【寄稿】東海第二原発の再稼働で事故が目前に〜「福島応援プロジェクト茨城」主催講演会「原発事故から命を守るために」が2018年1月20日開催!神田香織氏、広瀬隆氏登壇、IWJ も協賛! 2018.1.19

記事公開日:2018.1.19 テキスト
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(文・「福島応援プロジェクト茨城」小張佐恵子)

 2011年3月の福島第一原発過酷事故からもうすぐ7年になります。

 どこをどうひっくり返しても、経済的に、そして倫理的に不合理な原発は、世界中で見捨てられている発電方法なのに、日本では再稼働され続けています。

 イタリアもドイツも脱原発を宣言しましたし、アメリカでも廃炉処理が進んでいます。

 元はと言えば、原爆・水爆を始めとした核戦略の残虐性を隠しつつ、核兵器の原料であるプルトニウムを生産するために作られてきたのが原発でした。「安くて安全な原発」という宣伝文句は、全くの嘘でした。

 嘘だからこそ宣伝して国民を洗脳しなければならなかったのです。

 独占企業で、国民にとって選択の余地のない電力会社が、日本企業の中でダントツに宣伝にお金をかけていることが、どんなに不自然なことなのか、考えてみれば子供でもわかりますよね。

 茨城県では、日本原子力発電(日本原電)によって、日本一古くて危険な東海第二原発の再稼働に向けた手続きが進められています。

 私たちはこれを止めるための運動の一環として、広瀬隆さんの講演会と神田香織さんの講談公演の会を開催することにしました。

 1月20日(土)、土浦駅前の茨城県県南生涯学習センターでの開催です。1部が神田香織さんの講談公演で、 午後1時から 講談「ふくしまの祈り― ある母子避難の声」。

 2部が 広瀬隆講演会で午後2時半からで、「日本列島の全原発が危ない!-広瀬隆 白熱授業 (DAYS JAPAN刊出版記念)」です。

進む避難者の帰還政策と補償の打ち切り〜賠償格差で分断された福島県民たち

 神田香織さんからは、福島母子避難者の苦難の日々を、リアリティ迫る講談で語っていただきます。

 神田さんは「はだしのゲン」「チェルノブイリの祈り」など、核による被害者の話や、横浜米軍機墜落事故によって奪われた母と子の話、「米軍ジェット機墜落事件『哀しみの母子像』」など、社会問題を鋭くえぐる作品を創作し、語り続けてこられました。真に迫る情景描写によって、権力の対岸にいる庶民が引き受けさせられてきた不条理が我が身のように感じさせられます。

 福島県には、放射能の危険性も知らされず、加害者である国が勝手に決めた線引きで、何の補償もないままに、仕事も故郷も捨てざるを得ないで避難生活を続けている避難区域外の避難者がたくさんいます。また、避難区域内の避難も帰還政策がどんどん進められ、次々と補償も打ち切られています。

 一方で強制避難者の方たちにはそれなりの損害賠償金が出ていますので、安全なところで新たな住まいを得て、第二の人生を送っている方もいます。ただし、その賠償金も事故前の所得や資産によりますので、救済されないで困窮している人たちも非常に多くいるのです。

 このような賠償格差などによって福島の人たちは分断させられ、その窮状は報道されることも滅多になく、厳しい状況に据え置かれ、打ち棄てられています。

原発の脆弱性と危険性、地震大国日本のメカニズムと今後を描いた『広瀬隆〜白熱教室』出版!

 広瀬さんは2010年、福島第一原発事故の前にこの惨事が起きることを、予言した書『原子炉時限爆弾 ・大地震におびえる日本列島』を出版されています。

 そしてこの度、新たな次の事故の危険を警鐘する『日本列島の全原発が危ない! 広瀬隆 白熱授業』を出版されました。

 原発がもともと抱えている脆弱性と危険性。日本が世界で1番地震が起きうる国であることのメカニズムの解明と、今迫りつつある危機――。

 世界では地震の少ない場所に原発が設置されており、日本のような地震多発地域に原発を建設することが、どんなに愚かな間違いであるかということ。そして放射性廃棄物による事故の恐れと過去の事故の事例等々、豊富なカラー図表が全ページに大きく掲載され、わかりやすく説明されています。

 この本の内容は、4月に東京で開催された講演の記録に加筆された3時間分の講演内容です。土浦では、その中のエッセンスを凝縮してお話しいただきます。

 311の事故直後、私はまず福島原発の廃炉を求める署名活動を、友人とともに始めました。当時、東京電力は、事故を起こした福島第一原発の廃炉すらすぐには認めませんでした。2ヶ月で5,000筆余りを集め、東電と内閣府に届けました。

 しかし署名を求めて歩いてみると、原発の危険性はまったく認知されていないことがわかり、多くの人が署名を拒否することに衝撃を受けました。

 そこで、環境活動家の田中優さんの講演会を皮切りに、学習会や上映会、集会やデモ、アピール活動等を始めました。「脱原発ネットワーク茨城」を立ち上げ、同時に「福島応援プロジェクト茨城」を結成して福島の子供たちの保養受け入れも始めました。「応援プロジェクト」が今回の企画の主催団体です。

7割以上の茨城県民が「再稼働反対」なのに原発推進の知事が当選!?

 広瀬隆さんの講演会は事故直後に2回、開催しましたが、その際は合わせて2,200名もの方が参加してくださいました。神田香織さんやおしどりマコさんケンさんの講演会も開催しました。

 茨城県全体の各団体で取り組んだ東海第2原発再稼働阻止署名は、300,000筆を超えました。

▲署名提出の様子

 しかし事態は好転しません。そのうえ、徐々に人々の関心は薄れ、風化の厳しさを感じます。

 茨城県ではこの夏、県知事選挙があり、なんと、原発推進派の自民党推薦の大井川氏が選ばれました。7割以上の県民が、再稼働に反対と答えているとのアンケート調査が出ていながらのこの結果に、大きな衝撃を覚えました。

 東海第二原発が再稼働に向かっている状況や、原発の危険性が実感としてつかめない方がまだ多いのではないかと思われます。「この問題をなんとか前に進めるため、初心に帰って、広報活動をしていくしかない!」と思い定めての企画が、この講演会催事です。

 以下概要です。皆様のご参加を心からお待ちしています。

原発事故から命を守るために
第1部 神田香織公演 13:00~ 講談「ふくしまの祈り― ある母子避難の声」
避難のリアルな現実を、福島県民としてその身になって伝える神田香織さんの語りは真実に迫ります。
第2部 出版記念 広瀬隆講演会 14:30~
日本列島の全原発が危ない!-広瀬隆 白熱授業 DAYS JAPAN刊
広瀬隆さんから原発の全てを学びたいと思います。

原発事故後、福島では甲状腺がんの多発だけでなく、突然死、心臓疾患、脳血管障害などが急増しています。
そんな中、日本原子力発電は東海第二原発の再稼働に向けた手続きをずんずん進めています。
新たな事故を防ぎ、命と暮らしを守る為に、今何をなすべきなのかを、皆様と一緒に考えたいと思います。

1月20日(土)  開場  12:30
茨城県県南生涯学習センター  多目的ホール
入場料 前売  一般1500円 学生・障がい者  800円
    当日  一般1800円 学生・障がい者1000円
    福島県避難者・高校生以下は無料

主催 福島応援プロジェクト茨城 http://blog.goo.ne.jp/oueniba
後援 土浦市・土浦市教育委員会・つくば市・つくば市教育委員会
   常総生協・東海第2原発の再稼働を止める会
協賛 DAYS JAPAN・IWJ・快医学ネットワーク・さよなら原発いばらきネットワーク

チケット問合せ
090-9108-0464(小張) 090-7845-6599(長田) 029-857-8845(花小路)

【チラシ内容】

東海第二原発、再稼働=原発事故が目前に迫る

 日本原子力発電は再稼働へ着々と準備を進めており、原子力規制委員会で「適合性審査合格」が示されてGOサインが出、20年運転延長が認められる見通しとなりました。

 東海第2原発は、運転開始から40年を迎える老朽炉で、東日本大震災で被災し、内部にどんな損傷を受けたかもしれない日本一危険な原発です。現代の原発の国際標準装備である①多重格納容器、②コアキャッチャー、③フィルターベント、のうち、フィルターベントしか装備されません。原発には万全の安全性は求められていないと、原電は水戸地裁での再稼働反対訴訟で明言しています。

 福島県と同じ苦難が茨城県民に降りかかる怖れは、今、目前に迫りつつあります。半径30km圏内に96万人もが住み、事故が起きれば避難を余儀なくされますが、脱出および長期にわたる避難は、可能でしょうか?原発は、避難計画が立てられなければ動かせない発電法で、しかも、経済的に決して安くない代物だということが、はっきり判っているのです。

誰も事故の責任を問われず、被ばくの危険性が無視されている

 福島県では、原発事故のあと心臓病で亡くなる人が増加し、急性心筋梗塞で全国平均の2倍以上、慢性リウマチ性心疾患で3倍以上の死者が出ています。子どもの甲状腺がんは200人近く発症し、事故前の50倍以上で異常な事態です。

 チェルノブイリでの移住義務である年間5ミリシーベルトの4倍の20ミリシーベルトまで安全と決めつけられ、危険な汚染地に住民を戻す政策が強行されているのが日本の現実です。推進してきた国が勝手に引いた線引きにより、避難区域外とされた地域の人々の被害や不安は、無視されて補償を受けることもまったくありません。自力で避難し子どもを守ってきた人々の命綱だった住宅無償提供が打ち切られ、困窮に打ちのめされている状況は、明日の私たちに起きることかも知れません。

福島原発事故は津波ではなく、地震で起きた

 福島原発は津波の前に地震で配管が損傷していたことが、わかってきました。漏れ出た高線量の放射能に阻まれ、事故対応ができなかったのです。2000ガル以上の地震はたびたび起きていますが、原発の耐震指針は600ガルまでしか想定されていませんし、40年前に作られた東海第二原発は、その指針すらない時代の設計施工であり、元来、配管の塊である原発は、極めて地震に弱いのです。

 地殻活動が活発化して危機が指摘されている今の日本で、大地震に耐えられる原発は、ひとつもないと断言しても良いのではないでしょうか。電力自由化を活用して、原発を使わない新電力を選び、真に安全な社会を作りましょう。

広瀬隆プロフィール
東京生まれ。作家。早稲田大学理工学部卒業。メーカー技術者を経て、執筆活動開始。1979年のスリーマイル島 原発事故以来、原発の危険性を警鐘し続けてきた。
著書多数。『東京に原発を!』(1981年)。『原子炉時限爆弾  大地震におびえる日本列島』(2010年)。『新エネルギーが世界を変える。』(2011年)。『第二のフクシマ、日本滅亡』(2012年)

神田香織プロフィール
いわき市生まれ。立体的演出で独自の境地を開く講談師。NPO「ふくしま支援―人と文化ネットワーク」理事長。1986年「はだしのゲン」で日本雑学賞受賞。2010年 女性人権活動奨励賞「やより賞」受賞。2012年 第24回多田謡子反権力人権賞受賞。作品「はだしのゲン」「チェルノブイリの祈り」米軍機墜落事件「哀しみの母子像」「フラガール物語」他。

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