第1回 脱原発サミット in 茨城/東海村 2012.10.14

記事公開日:2012.10.14取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)

 2012年10月14日(日)13時から、茨城県東海村の東海文化センターで「第1回 脱原発サミット in 茨城/東海村」が行われた。第1部の基調講演では、各講師が原発政策に対する問題提起を行い、国民がどのような意識を持って、この問題を見ていかなければいけないのか、などを話し合った。第2部では、佐高信氏がコーディネーターを務め、パネルディスカッションが行われた。

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  • 出演者
    • 佐藤栄佐久氏(前福島県知事)
    • 根本良一氏(前矢祭町町長)
    • 村上達也氏(東海村村長)
    • 佐高信氏(評論家)
    • 上原公子氏(元国立市長)
    • 宮嶋光昭氏(かすみがうら市長)
  • 主催 茨城の環境と人を考える会議
  • 日時 2012年10月14日(日)13時
  • 場所 東海文化センター(茨城県東海村)

 最初に挨拶を述べた村上達也氏は、現在の状況について、「各紙の世論調査や官邸前のデモの様子を見ると、福島の原発事故に遭遇してしまった、われわれ日本人の脱原発への意志は固まっていると感じる」と述べた。また、大間原発の建設再開に続き、山口県上関原発の建設計画を進めようとしている動きや、立地上、問題のある東海第二原発や浜岡原発の再稼働も画策されている現状を説明した。続けて、「これらの直接原因は、野田政権の足腰の弱さと、今まで甘い汁を吸い合ってきた原子力利権関係者、原子力ムラのあり方に問題がある」と指摘し、「福島第一原発の事故は、日本原子力業界のまぎれもない敗北であるが、彼らは認めようとしない。われわれは、脱原発社会を世界的に実現しなければいけない。戦いはこれからが本番である」と語った。

 ゲストして招かれた元国立市長の上原公子氏は、文部科学省が作成した教科書の中の、『有権者の一人一人が賢明にならなければ民主主義は上手くいかない。国民が賢明で、物事を科学的に考えるようになれば、嘘の宣伝はたちまちに見破られてしまうから、誰も無責任なことは言い出せなくなる』という一文を引用し、民主主義のあり方を改めて問い直した。

 続いて、基調講演の講師として招かれた佐藤栄佐久氏は、ドイツのメルケル首相が、日本の3.11の事故を見て脱原発に動き出した例を取り上げ、「ドイツは技術委員会ではなく、倫理委員会を新たに作り、そこでの話し合いで結論を出した。一方、日本はこれだけの事故を起していながら、事故がなかったかのような振る舞いで、来た道をまた戻ろうとしている」と指摘した。原発の問題に対して、倫理的な視点から物事を見る必要性を訴える佐藤氏は、「地球の問題は100年、1000年の単位で考えなければならない。1979年のスリーマイル島の事故から、チェルノブイリ、東海村、2011年の福島第一原発事故まで、約30年の間に、これだけの事故が起きている。これを許して良いのだろうか。いくら科学的に可能であったとしても、倫理的な観点で物事を判断しないと、地球が駄目になる」と、問題提起した。

 根本良一氏は「原発を容認する代わりに、地元には国から使いきれない程の金が撒かれてきた。地震大国である日本に、どうして原発があるか、もう一度考えたい。 脱原発を進めるとするならば、我々も相応の覚悟が必要である。便利な生活を享受している私たちの側にも責任がある」と話した。

 佐高信氏は、20年前の青森県の知事選を例に挙げ、原発推進派の人間が、多額の金で世論を買い占めていく構造を解説し、「現在、テレビに出ている人たちは、まともな事を話すことができない。日本人は、判断の基準がテレビに依っているが、それよりも本を読んでほしい。これだけの事故があったにも関わらず、原発を推進している人間は、まったく反省していない。メディアを変えるのは、皆さん一人ひとりの意識である」と呼びかけた。

 第2部では、佐高氏がコーディネーターを務め、パネルディスカッションが行われた。東海村に原発が建てられた経緯を、村上氏は「もともと、東海村は貧しい村だった。最初は、原子力研究所がやってくるものだと、村の皆は思っていた。湯川秀樹博士がノーベル賞を獲得したあとだったので、科学者は憧れの対象であり、最先端の町になっていくという感覚があった。そのような中、我々の知らない間にやってきたのが原発だった。そして、原子力推進派によって、『貧しい村がこんなに豊かになった』というショーウィンドウにされてしまった。そういう意味で、我々は植民地的に扱われた」と説明した。

 また、政治と電力会社の関係について、村上氏は「電力業界は、経済産業省と電力会社によって作り上げられた、極めて特異な権力集団であり、今の政治家ではどうにもならない世界である。そういう権力集団と、国民は真っ正面から対峙している」とした。

 質疑応答での、「何をすれば原発を止められるか」という質問に、根本氏は「20世紀の人類は、科学によって、自然に対して挑戦を仕掛けた。しかし、21世紀は反省をしなければいけない段階にきていると思う。我々は、自然に対して敬虔な想いを持つべきである」と述べた。

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