- 日時 2016年7月13日(水) 19:45~
- 場所 希望のまち東京をつくる会事務所(東京都新宿区)
「今後も私はこれまでどおり、多くの市民・都民の『困った』という声に現場から向き合い、仲間たちとともに都政を監視し、都政を変えていく取り組みを進めてまいります」~宇都宮健児氏が出馬取り下げ!
海渡雄一・希望のまち東京をつくる会代表(以下、海渡と略す)「それでは、定刻となりましたので、『希望のまち東京をつくる会』の東京都知事選挙についての緊急記者会見を始めます。司会を務めますのは、『希望のまち東京をつくる会』代表の海渡雄一と申します。宇都宮健児のこの都知事選にのぞむ判断についてお話いただきます。宇都宮さん、お願いいたします」
宇都宮健児弁護士(以下、宇都宮と略す)「宇都宮健児です。お忙しいところお集まりいただいてありがとうございます。本日、私は、明日告示される東京都知事選への出馬を、取り下げるという判断をいたしました。
私は過去2回にわたり、首都東京のあり方を大胆に刷新することを目指し、『希望のまち東京』を掲げて、若い仲間たちや多くの支援者とともに、東京都知事選に挑戦してまいりました。
今残念に思うことは、自分が次点に終わった(※)ということにより、都民の生活を一番に考えるべき都知事が、カネの問題で短期間に辞任する、そんなことが2度も繰り返されたという異常な事態でした。
※2014年東京都知事選挙では、舛添要一候補が211万2979票を集め1位当選、宇都宮健児氏が98万2594票を集め2位に終わった。
今回、私は、今こそクリーンな東京を、無駄遣いをやめて、都民のために東京に希望を取り戻すために税金を使う、そんな当たり前を実現したいという思いから、先日、3度目の都知事選に挑もうと決意し、みなさまにも政策をお示しし、走り始めたところでした。
▲東京都知事選挙への出馬取り下げを表明した、宇都宮健児氏
私はこの選挙を、これまでの都知事選挙においてもそうでしたが、さまざまな社会問題の存在を知らせ、その解決をともに考え、討論する場所であると考えております。それを通じて政策を考え、新しい自治を作る場であると思います。決して、知名度優先の人気投票であってはいけないと思っていました。
しかしながら昨日になって、野党の方々が、他の候補者を立てられたことにより、その市民運動を担っている方々の中にも、非常に悩ましい、対立的な状況が生まれかねないことになりました。
一方で、今回の都知事選挙は、保守の候補者が分裂しているという状況にあり、都政をより都民の生活に優しいものへと転換していく、千載一遇の機会でもあります。
鳥越さんと、昨日と本日お会いして、その立候補へのお考えをうかがい、政策的にも私たちの政策を参考にされていく、というお考えをうかがいました。ちなみに私たちの政策資料を渡してあります。3度目の選挙を市民の力で戦う、という、私の支援者への敬意も感じられました。
そこで私は、大局的な観点から考え、今回の選挙戦からは撤退するという判断にいたしました。今回の選挙に向けて私を支援してくださり、支持を寄せてくださっていた多くの都民の方々に、心より御礼とお詫びを申し上げます。
もとよりこの東京をより人に優しい、希望のもてる町へと変革していく、そのための運動を諦めるわけではありません。むしろ逆です。そのための苦渋の決断です。どうぞご理解をお願いいたします。
今回私は都知事選への出馬を取り下げることにいたしましたが、今後も私はこれまでどおり、多くの市民・都民の『困った』という声に現場から向き合い、仲間たちとともに都政を監視し、都政を変えていく取り組みを進めてまいります。以上です」
「保守が分裂している選挙の中で、都政を変えるチャンスでもある、そういう状況を活かすためには、私が出馬を取り下げるということは一つの影響を与えるのではないか」~苦渋の決断の真意
TBS「完全にご自身の考えで引かれるのか、それとも、野党のどなたかから鳥越さんの話があったのでしょうか?」
宇都宮「野党の方からの話はいっさいありません。主体的に私の判断です。その判断するにあたっては、今日もたくさん支援者の方が来られていますけれども、支援者の方の話を聞いて、私が判断した次第です」
TBS「鳥越さんの応援に回るということですか?」
宇都宮「鳥越さんの支援をするかどうか、ということは、まだ、現時点では考えていないです。鳥越さんには頑張ってもらいたいとは思っておりますけれども、そういうことは現時点では考えていないです」
日本テレビ「いつ、取り下げの判断をされたのでしょうか?」
宇都宮「今日6時から支援者たちと会議を開きまして、支援者たちの意見を聞きながら、そういう判断をしました」
日本テレビ「立候補を取り下げる一番の理由はなんですか?」
宇都宮「さきほどお話したとおりなんですが、市民運動の中にかなり深い対立が生まれかねない状況になっている、ということです。
それから、保守が分裂している選挙の中で、都政を変えるチャンスでもある、そういう状況を活かすためには、私が出馬を取り下げるということは一つの影響を与えるのではないか、と私自身が考えたということです」
「都知事選では、まだ野党共闘の中で政策協定がなされていない。『野合だ』という指摘を受ける危険性がある!」~大義なき野党共闘に苦言
日本テレビ「今日の共同会見での鳥越さんの政策については、納得されているんでしょうか?」
宇都宮「鳥越さんの政策については、昨日お会いしたときにも、『まだ政策はこれからだ』と。『参議院選挙の結果を見て、改憲勢力が3分の2を取ったことについて、日本の将来に大変な危機感を覚えたので立候補したんだ』というような思いはあったんですけど、『都政についてはこれから考える』ということだったので、そういう都政については十分なお考えを聞けなかったです。
ただその時に昨日、私たちの政策資料をお渡ししたんですね。そして、今日お会いしたときには、『基本的にはこの政策資料を全部活かさしてもらいたい』ということは、言われていました。ただ出馬して間がないので、やはり準備不足は否めないので、しっかりそういう面の対応を考えていただきたいと思っております。
なお、特に私たちはこの政策の中で2~3点について確認をして、そういう点については考えていただきたいと。
一つは築地の問題です。11月7日にも豊洲に移転することになっていますけど、これは築地で働く人たち、仲買業者の多くの人たちが、『豊洲の土壌汚染対策は極めて不十分、できれば築地の方で営業を続けたい』、こういう人たちが8割近くいるわけですね。土壌汚染対策そのものが極めて不十分なので、私たちの政策は、移転をいったんストップして、見直しを図るということなんですけど、これについても、『その政策を受け入れる』ということでした。
外環道の問題、道路建設等についても、見直しをする。横田基地へのオスプレイの配備についても反対をすると、こういう点について、その場で具体的にお答えをいただきました」
日本テレビ「都民のみなさんは非常に短い期間での判断を迫られることになると思いますが、宇都宮さんの政策を反映して、鳥越さんは政策を作ることができるとお考えですか?」
宇都宮「それはしっかり勉強してもらわないといけないですね。
それから私は、鳥越さんを推している野党の方の共闘も、ややちょっと、心配しているんですね。参議院選挙というのは野党共闘が成立して、市民連合と政策協定をやっていますよね。これは、安保法制の廃止と立憲主義の回復、憲法改悪の阻止、市民連合との関係では、個人の尊厳を実現する政治をつくるということで、様々な貧困とか格差、女性政策が掲げられていますけど、こういう政策協定があったので与党の方から『野合じゃないか』と言われても『大義があるんだ』と跳ね返すことができたんです。
ところが都知事選では、まだ野党共闘の中で政策協定がなされていないようなんですね。これは、まさにそういう(『野合だ』という)指摘を受ける危険性があるので、1人民進党の方が(鳥越氏との会談に)ついてこられていましたけど、『やっぱり早急に政策協定は作り上げるべきだ』と。
鳥越さんとの間でも、『協定等については締結して、発表すべきじゃないでしょうか』という話はさせていただきました」
時事通信「昨日、鳥越さんが出馬表明されてから宇都宮さんと面会して話した後、どういう展開があったんでしょうか」
宇都宮「実は、申し訳ありませんけど、こっそり弁護士会館の会議室で面談さしてもらっています。プレスセンターでの共同記者会見の後ですね。それ以前に鳥越さんの『ザ・スクープ』という番組に私は前に出演したことはあって、その当時のキャスターとしては知っていたんですけど、今回の件では2度、お会いしたということです」
時事通信「そのときにはどういう会話があったんでしょうか」
宇都宮「鳥越さんの方からは、昨日お渡ししたこういう政策集ですね、記者会見で発表した、それからチラシをお渡ししたんですけど、『これよく読ましてもらって、これはもう自分は全部賛成できる政策だ』というような発言をされました。
ただ、読み飛ばされたら困るから、特に築地の問題とか、外環道の問題、それから横田基地のオスプレイ配備の問題については、念を押して、『それも賛成する』というようなお答えでした」
「われわれの選対は3年続けて、本当に都政を変えようと思って政策をつくって、都議会傍聴をやって、努力してきている。それに対する尊敬、敬意を持ってくれ」~宇都宮氏の語る出馬取り下げの”重さ”
時事通信「それを受けて、最終的に判断したのは、どなた?」
宇都宮「判断したのは私であって、ただ、私が判断する前に鳥越さんの意見を聞いて判断したのではなくって、実は昨日、支援者と一緒に会議やったんです。みんな多くは『闘うべし』という人もいたんです。私も、『支援者が闘うなら、私自身も野党の推薦なくしても闘う用意がある』というような思いでした。だからいろいろ、これから告示があって、選挙資金もかかりますから、自宅から今日200万円おろして、私は闘う用意をもってきているんです。
ただ、やはりさきほどお話したいろんな方がこの選対には参加していまして、共産党系の人もいれば、社民党系の人もいれば、さまざまな市民運動、地域で活動している人がいるんです。その中でのいろんな軋轢が生じてきている。せっかく連帯した運動が分裂しかねないし、また、こちらに対してする誹謗中傷を、これは細川選対のときの2年前の選挙でも、そうとうこちらに対して『降りろ』と、『通るあてもないのになんで立つんだ』という脅迫まがいの、そういうことが行われて、大変選対のメンバーが傷ついています。今回もそういうようなことが行われています。無数に。
だから私は鳥越さんとの会談(の際に)、となりに民進党の人がいましたけど、これだけは辞めさせてくれと。われわれの選対というのは3年続けて、本当に都政を変えようと思って政策をつくって、都議会傍聴をやって、努力してきている、そういう人たちが集まってきているんだと、それに対する尊敬、敬意を持ってくれと、これは強く申し入れました。
そこを誹謗中傷するような、もしそういうことを言う、野党の大物がきて『降りろ』と言うなら僕は闘います。私はそういう人間なんです。ますます一方的にやられたら、闘いたくなる。
ただ、今回は、そういうような直接私のところに来て、強引なことを言う人はいなかったです。ただ、ここの選対で頑張っている人たちに対する悪質な誹謗中傷、これは横行していますからね。それは止めさせろという申し入れをしました」
共同通信「さきほど、人気投票であってはならないとありましたが、今回の野党の候補者の設定のしかたはどう思われますか?」
宇都宮「私はそういう(人気投票になる)危険性があると思っていますね。だから舛添・猪瀬の二の舞いにならないように、鳥越さんを支える人たちがしっかりしていかなきゃ、同じ問題が起こりかねないですよね。そういう危険性がある候補者の選定のしかただと思っています」
共同「『千載一遇』ということですが、まだ支援するかわからないというのはどういう点で乗れないところがあるのですか?」
宇都宮「私ではなくて私の支援者、選対の中には、応援に駆けつける人も多いと思います。さきほど言った共産党系の人もいれば、社民党系、隣の海渡さんは、奥さんが福島みずほさんですからね。
ただ、そうじゃなくて、無党派の市民の方もたくさん入っていますから、やはり『宇都宮さんで闘いたかった』と、それについて素直になかなか受け入れられないと。今の野党の統一候補っていうのは、選定過程がまったく不透明ですよね。密室の中で決まっている。公の議論じゃないですよね。そういう決まり方の状況の中で、しかも多くの市民団体から『降りろコール』をやられている。それは不当で、多くの人間が傷つきますよね。だから(選挙を)やりたいと。
私もですね、昨日(7月12日)まではそういう気持ちもあったんです。多くの人たちが離脱してでも、少数の人でも残って闘いたいなら、その気持ちを私は無にするわけにはいかないと。どちらかというと私自身は、『闘いたい』という意見を述べた方なんですね。私、ゲリラ戦が好きですから。大型の宣伝なんか必要ないんだと。ゲリラ戦でやろうやないかと。その中で活動家が育てば、大きな運動の前身になるんだ、ということを話したんですけど。
ただ冷静に見て、徐々にそういうことを31日までやっていく中でですね、支援者として駆けつけて来られている人が、大変に精神的・肉体的にも苦労されるんじゃないかということと、これからの運動、東京都の市民運動の将来を考えた場合にですね、傷口を深めるようなことはすべきじゃないんじゃないかと、むしろもっと未来に向けて、運動は『一歩後退、二歩前進』という考え方があると。そこを決めるのは候補者自身だと思いますので、私が決断したと。
それについて納得いかないという方も、心の中ではいらっしゃったと思いますけど、最終的にはみなさんが、賛同していただいたということですね。昨日(7月12日)の議論はもう、喧々諤々。私は、『もうこんなふざけたこと許せない』ということで、『闘うべしだ』と。かみさんに預金をおろして、みなさん方、家の前に立っていましたけどね。軍資金を持って、テレビ朝日の番組に出て、日本記者センターでの共同記者会見に出ていると。最終的にそこでこれまで闘ってきたみなさんと腹を打ち合わせて、そういう結論になったということです」
テレビ東京「今回出馬を取りやめるわけですが、納得されていない方もいらっしゃるかもしれないと、今後これが分裂することはないんですか。また、今回出馬してほしいと宇都宮さんを推した方と、出馬を取り下げてほしいを推した方、これはどのくらいの割合でいたんですか」
宇都宮「それはなんとも言えないですね。半々くらいだったかもしれないですね」
テレビ東京「今も半々くらい?」
宇都宮「いや、私が決断してからは、ほとんどの人がオーソライズしてくれたかな、と思っています。それから政策論争が基礎であるべきだと、今でもそうなんで、我々は引き続き都政の勉強を続けていきますし、新知事のもとで都議会が開かれる場合には、都議会の傍聴にも行って、監視運動をやるということはやりたいと思っています。
「できるだけテレビ討論の機会を多くすべき」~議論の深まらない”人気投票選挙”を深く憂慮