安倍総理、報ステの9党党首討論で一人しゃべりまくり!!挙げ句の果てに「フェアじゃない」とは、独善的な駄々っ子か!?お維、新党改革、日本のこころとはチームプレー! 2016.6.24

記事公開日:2016.6.24 テキスト
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(太田美智子)

「でもちょっとフェアじゃないじゃない。これ」――。

 2016年7月10日の参議院選挙公示日前日(6月21日)。テレビ朝日系列『報道ステーション』の9党党首討論に自民党総裁として参加した安倍総理が、討論終了間際に言いがかりをつけた。

 最もフェアじゃなかったのは、安倍総理自身なのに、である。

 同日夕に収録され、夜、放送された党首討論は、司会者による質問なども含めて46分45秒。9党の党首が平等に発言していれば、一人あたり5分程度しか発言時間がない計算になる。ところが、安倍総理は3倍近い14分40秒間、しゃべりまくった。ほかの党首が話している最中にかぶせた発言もある。そればかりか、自分をアシストしてくれる党首を次の発言者に指名する場面さえあった。“総理大臣”の威を笠に着て、これでもかと傍若無人に振舞ったのだ。

 「いやいや。一番しゃべってますよ」。すかさず、生活の党と山本太郎となかまたちの山本太郎共同代表が突っ込んだ。

参院選公示後は、安倍総理のせいで党首討論ができない!?

 事の次第はこうだ。

 安倍総理の“都合”で、『報道ステーション』での党首討論が、参議院選前に行われる最後の党首討論になると言われていた。司会を務めた同番組キャスターの富川悠太アナウンサーが、討論を締めるにあたり、この件について「最後にお聞きしたい。我々としては、どうしてもこの後もやりたいという気持ちがあるんですけれども。岡田さん…」と、民進党の岡田克也代表に発言を求めようとした。

 そこに、安倍総理が「それね、お答えしましょう」と割って入り、大仰な身ぶりと高音でまくしたてた。

 「たとえば菅政権のときに、報道ステーションのとき、菅さん出なかったじゃないですか。だから党首討論は4回ですよ。今度は5回。プラス、ネットの討論もやっていますから、回数は多いんですよ。それとプラス、もう1点はですね、期日前投票がいまや4分の1増えたんですよ。だからその期日前投票の前にしっかり議論をおいておくべきだろうと思います」。
 
 菅政権下で選挙前の党首討論を何回やったかなど、ここでは関係ない。富川アナが「沖縄の問題とか、18歳選挙権とかいろいろ話を聞きたいんですが」と言葉を継ぎ、岡田代表に発言を求めようとした。すると、安倍総理はかぶせるように、「ちょっと6時に出なきゃいけない。飛行機の問題があるから」と腕時計を指した。

 それでも富川アナが「岡田さん、最後の一言をお願いします」と粘ると、ついに安倍総理は冒頭のように「フェアじゃない」と言い出したのだ。

※安倍総理は大急ぎだと主張していたが実は時間は十分あったようだ

安倍総理が「へっ!?」と驚き二度見した、おおさか維新・片山共同代表の発言

 安倍総理にとっては、最後の発言者が岡田代表になると、自分が反論する機会がないので気に入らなかったのだろう。しかし、もうすでに割り込んで、釈明したではないか。しかも、討論中、安倍総理はあらゆる反論を展開した。すぐに反論の機会がなければ、別の話題で発言が求められた後でも、「その前に…」と話題を戻してまで反論した。だから発言時間が長くなったのだ。

 そして、山本代表から「一番しゃべってますよ」と突っ込まれた。この時、さすがにまずいと思ったのか、安倍総理は笑顔で引き下がった。

 ところが、次の瞬間、表情が一変した。おおさか維新の片山虎之助共同代表が「始まるのが遅いんだよ!」と、不機嫌きわまりない声で、叫んだからだ。

 安倍総理は「へっ!?」と間抜けた声を出し、驚いた表情で片山代表を二度見した。「私も飛行機乗るんですよ!だからあ!始まるのが遅いんじゃない!」片山代表が続けた。
 
 それを聞いて、「ここは笑って済ませてはいけないんだ」と、はたと気づいたかのように、安倍総理はにわかに表情を険しくした。

 一方、岡田代表はこのとき、「(党首討論を)ぜひやってください。総理が来ないって言うんなら、われわれだけでもやりますよ」と意気込んでいた。

安倍総理のフェイスブックで、秘書が「安倍総理が党首討論から逃げているという印象操作はフェアではない」と言い訳、菅元総理も参戦

 この最後のゴタゴタのせいで、18時の予定だった終了時間が1分過ぎたという。

 民進党の岡田代表が、「番組が終わってから(首相が)相当文句を言っていた。あれが首相の姿かと思うとがくぜんとする」と記者団に話したことが報じられている。

 ことのなりゆきに危機感が出たのか、同日深夜、安倍総理のフェイスブックに、「…秘書です。」の書き出しで、テレビ朝日に非難の矛先が向かうよう印象操作を試みる批判が掲載された。

「あたかもこちらが打ち切った様な印象を与える演出は卑怯」というのだ。

 終了時間の1分の遅れについて、安倍総理がしゃべりすぎたことは棚に上げ、「報道ステーションの対応にはあきれました。まず時間を守らない」と大仰に取り上げた。

 「民主党政権時の参議院選挙では菅首相(当時)はテレビ朝日の番組への出演を拒否しています。その事を伏せて『安部総理の都合で報道ステーションでは選挙前に一回しか行なわれていない、もう一回』というのは実にアンフェア」「安倍総理が党首討論から逃げているという印象操作はフェアではない」などと、安倍総理に勝るとも劣らないイチャモンをつけている。

 アンフェアな振る舞いをした安倍総理が、富川アナを「フェアじゃない」と非難した言い訳づくりだろうか。

 さらに、翌22日、菅直人元総理も参戦した。

 菅元総理は自身のブログで、「6月21日『報道ステーション』での安倍首相の出演拒否発言について」と題した見解をマスコミ各社に送ったことを明らかにした。以下、一部抜粋。

この件について調査したところ、2010年7月1日の「“参議院選挙各党首に古舘が聞く”」という報道ステーションの番組に当時の菅首相は出演している。

安倍首相は、いつどの番組に当時の菅首相が出なかったというのか明確にすべきだ。

いずれにしても、他人の出演のことを持ち出して、今週で最後と投票日前の2週間の間、党首討論に出ないことを正当化することはできない。

 安倍総理および、秘書の方。これは「いつ、どの番組に当時の菅首相が出なかったのか」について、証拠を明示して、事実を明らかにすべきではないか。テレビで言い放しですませれば、「印象操作」の汚名は、安倍総理の側に突きささる。

自公の連立与党と、おおさか維新、新党改革、日本のこころによる「チーム安倍・自民」の茶番

 繰り返すが、討論終了直前、安倍総理が片山代表の怒りの声を聞いて表情を険しくした。これは実際、片山代表から安倍総理への「ここは怒れ」というパスだったのではないか。

 討論中も、名目上、野党と呼ばれる、おおさか維新の片山代表、新党改革の荒井広幸代表、日本のこころを大切にする党の中山恭子代表の3人も、「チーム安倍・自民」の一員のようだった。自民党と連立を組む公明党・山口那津男代表はもちろん安倍サイドなので、「チーム安倍自民」は安倍総理を含めて5人となる。

 言うまでもなく、片山、荒井、中山の3氏は元自民党議員である。片山代表は1989年、自民党衆議院議員として初当選した。1993年初当選の安倍総理よりも先輩だ。荒井代表はやはり1993年初当選で、安倍総理と同期。そして中山代表は、第一次安倍政権で内閣総理大臣補佐官を務めている人物だ。

 片山代表と荒井代表の献身的な「チーム安倍・自民」ぶりは、とくにあからさまだった。

改憲の争点隠しも安倍・自民に歩調をあわせる「チーム安倍・自民」の面々

 「憲法は参院選の争点になるのか」という司会からの質問に対して、安倍総裁は「まだ憲法審査会において収斂していない」、山口代表も「国会ではまったく議論が成熟してない。まず議論を深めること、そして国民の皆様の理解を得ていくこと」と答えた。

 これに、おおさか維新の片山代表も「憲法審査会で議論すればいい。そこである程度、(議論を)こなしてから国民に信を問うことになり、それから争点になる」と、同じ主張を繰り返したのだ。

 おおさか維新といえば、2016年2月4日の衆議院予算委員会で、下地幹郎議員が「憲法改正『キラキラ提案』」と題して、統治機構改革、教育の無償化、緊急事態条項を挙げ、「私たちも堂々と憲法改正を真正面から訴えていく」「3分の2の勢力になりたい!」と叫んだ。翌日も同党の足立康史議員が同委員会で「来る国政選挙でしっかりと、憲法について争点化していくことが大事」と主張している。

 改憲はこの党の党是であり、しかも、もっとも警戒しなければならない「緊急事態条項」が含まれている。これを忘れてはならない。おおさか維新から出馬した田中康夫氏が、いくら個人として「緊急事態条項」に反対だと言ってみても、党幹部が前々から主張してきた政策を覆せるわけがない。しかも田中康夫氏は今回の出馬で、おおさか維新に大きな借りを作った。自説を党内で主張できる立場ではない。

 安倍総理が改憲を目指すと公言すればそれに同調し、争点隠しをすれば、やはり足並みをそろえる、という訳だ。

 新党改革の荒井代表は「今はやっぱり議論をして、何を変えて、何を守って何を付け加えるか、出てないんですから、話のしようがないですよね」と、意味不明な言葉ながらも、争点にならないという与党の主張をなぞった。もちろん「出てない」というのは真っ赤な嘘である。与党・自民党は2012年に改憲草案を示し、以降、一度もおろしたことがない。これまで参院選で改憲勢力が3分の2議席をとったら、「もう4年も前から示してきたじゃないか」と言いだすのは火を見るより明らかである。

 「自主憲法の制定」を目指す、日本のこころを大切にする党・中山代表は、「自主憲法の制定を目指し、17日にその基本的な考え方と草案の概要を発表した。選挙のためだけというよりは、戦後70年たって、日本という国のあり方というのを、みんなで議論していったらいい」と答えた。

 実際は、争点隠しをしつつも、各党とも、「次の国会から憲法審査会を動かしていきたい」と発言している安倍総理の言葉通り、参院選後、改憲に向けた手続き上の“議論”をヤル気満々なのだ。手続き上の“議論”に過ぎないから、野党が3分の1以下に抑え込まれた場合は形式的にすませて発議し、国民投票へかけるだろう。マスメディアさえコントロールできれば、過半数をとり、成立させられると踏んでいるはずだ。それが「緊急事態条項」であってもである。だから、その前に何としても、改憲の発議が可能となる参院の議席3分の2を取らせてはならないのである。

アベノミクスの信奉者たち――補完勢力というよりも、小回りの利く牽引役か

 独走する安倍総理を支える、「チーム安倍・自民」の連携プレーはまだまだ続く。

 安倍総理は司会を無視して荒井代表に発言させようとしたし、「私に対する質問ですから、私と山口さんに答えさせてください」「山口代表はまだ発言していないです」と、自分とセットで山口代表に発言させるようにごり押しをした。

 来年4月に予定していた消費税率10%への引き上げの2年半延期にともない、実施できなくなる社会保障の充実策について安倍総理が問われたときも、野党3党は、安倍政権をサポートする発言に終始した。

 荒井代表は「アベノミクスの果実を一時的に使わせてもらって、将来は消費税を上げなければいけない」と発言。片山代表も「安倍総理が言ったように、できるものとできないものの仕分けをやって、仕組みをつくるべき」と話した。

 中山代表はアベノミクスの成長戦略について、「経済の成長・拡大なくして税収は増えない」として、「まずはしっかりした経済成長を行っていく(ことが大切)」「公共事業で経済成長していく」と話し、アベノミクスを支持した。また、「今の社会保障費は国家予算の33%。先の戦争のときの戦時費は31%なんです。異様な状態にあるということもしっかり分かっておく必要がある」と、社会保障費と戦時中の軍事費を比較する驚きの発言もした。中山代表、戦時国債のことは御存知だろうか。戦時特別会計について、ご理解なさっての発言だろうか。中山代表のあげた数字は、それほどまでに現在の社会保障費は大きいのだというアピールのための数字である。中山恭子しについては、拉致問題でともに手をたずさえて取り組んできた蓮池透さんの「告発」をぜひ、御覧いただきたい。怖いひと、である。

 おおさか維新、新党改革、日本のこころが改憲派であることは明らかだが、安倍・自民に追従する「補完勢力」というよりも、むしろ小回りの利く牽引役も引き受けているのではないだろうか。

 中山代表にいたっては、穏やかな口調で話す上品な女性、というかつてのイメージは完全に間違っていたことが明らかになった。小回りというより、突撃隊長役である。社会保障支出で最も大きいのは年金の支払いであり、これをつづめれば、自民党の麻生副総理大臣が口にした「おいいつまで生きてる気だよ」という発言につながる。

「国民すべてに、おい活躍しろ、とさらなる勤労を迫り、高齢者には、おい金を吐き出せよ、と迫り、あげくにおいいつまで生きてるんだ、と死ぬことを迫る。自民党のおぞましさ。

RT@JCyouli 麻生副総理の発言に対する94歳からの怒りの声」(岩上安身のツイート)

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