「なぜ黙っているのか。安倍総理に対して何か言うことがあるはずだ」――。
集団的自衛権の行使を禁じてきた歴代の首相は、2015年7月16日、衆議院本会議で採決、可決された安全保障関連法案、いわゆる「戦争法案」をめぐる賛成、反対の攻防をどのような思いで見ているのだろうか。
50人以上が呼びかけ人として名を連ねるマスコミOB会は近日中に、歴代の総理12人に要請状を送付することを決めた。法案に対する賛否とともに、安倍総理への提言を募るのだという。21日、マスコミOBの会からむのたけじ氏、澤地久枝氏などが記者会見を開き、提言を求める要請行動の趣旨について説明、安倍政権や法案に対する思いも口にした。
100歳になる元ジャーナリストのむのたけじ氏は、朝日新聞の特派員として戦場で取材した経験を持つ。60年安保闘争も見てきた一人として、国会周辺で高まりを見せる「戦争法案」反対の市民運動について、次のようにコメント。デモをやっても世論は負け続けるのではないか。そう指摘した記者の質問に反論したものだ。
「国民の情勢に対する正確な判断は進んでいるし、特に、若い世代、社会の問題に関心がないとか何とか言う人も多いが、私がこの身体で歩き回って感じ取っている現実からすれば、日本の将来はこうでなきゃいかんということについて、日本国の主権者としての自覚を込めながら、問題を考えるという国民は増えつつあるのではないですか」
- 出席者 むのたけじ氏、澤地久枝氏、黒田杏子氏などマスコミOBの方々
- 日時 2015年7月21日(火) 14:00~
- 場所 日本プレスセンター(東京都千代田区)
「誤りなき明日を作るべく努力するのがジャーナリズム」
▲100歳のむの氏は途中、マイクを使うのを止めた。会見場にはむの氏の肉声が轟いた
むの氏は会見の中で、安倍総理を「あなた」と呼び、直接話しかけるように叱咤した。
「こういう情勢の中で安倍晋三、あなたはニッポンの社会体制を元の軍国体制に戻すための色々な工作をやりながら、それを説明するのに『戸締まりを固くすれば泥棒に入られない』という例え話で軍国体制へ戻ることを語るとは、あなたに、政治家としての資格がありますか。
あなたは、幾度もテレビの前で、日本国民の生命・財産を守る責任は政府にあり、最高の責任者は自分になると申し上げた。その責任をまっすぐに取るためにはどうすべきか、あなた、お考えください」
終戦の年、「負け戦を勝ち戦のように書いてきた責任をとる」と言って朝日新聞を退社したむの氏。会見の中でむの氏は、日本のジャーナリズムを痛烈に批判した。
「本当に情けないね。日本のジャーナリズムは。
過去に何があるから現在こうなっていて、明日はこうなるだろうと、社会現象の原因を明らかにしながら誤りなき明日を作るべく努力するのがジャーナリズムでしょう。
その役割をまっすぐに果たしたと言える日があったでしょうか。昭和20年、8月12日にポツダム宣言受諾が報道関係に知らされました。その日に号外を出すはずです。軍部は敗北を宣言したと。
しかし、どこも書いてない。天皇の放送の前に、日本の結果を言うべきでしょう。何もない。そして、そこでやるべきことは、日本国民全体の責任と誇りを込めて、歴史の経験を整理して負うべき責任を負うということです。この歴史の課題に対して、報道産業はすっかり自己規制してやるべきことをどこもやらなかった。この重い重い荷物を、日本の報道産業は背負っているんですよ」
むの氏は最後に次のようなメッセージを残した。
「戦争をやめさせようと思ったら、始まる前に力を尽くして始めさせない。それしか手はない。始まってしまえば、もうどうにもならない」
安倍が倒れても、「アベ政治」を引き継ぐ人は許さない
▲「アベ政治を許さない」のスローガンを発案した澤地久枝氏
作家の澤地久枝氏は、7月18日の「アベ政治を許さない」全国一斉行動を鳥越俊太郎氏らと発案した一人だ。一斉行動を終えた澤地氏は「日本全国で一つのメッセージを掲げたことで、『アベ政治』を許さないということが浸透したと思う」と手応えを話す。
「(北海道の)稚内から一番西の(沖縄県)与那国まで、とにかく日本全国で安倍を辞めさせようということで、『アベ政治を許さない』というスローガンが掲げられました。500人の集会もあれば、たった1人で(街頭に)立ったという人もいました。安倍内閣のやっていることは許せない、直ちに退陣せよ、法案は白紙に戻せと。
安倍がやってきたこれまでの色々、貧困の切り捨てやオリンピック、原発など、それらをつらつら並べていくと迫力がないんですよ。これは全部『アベ政治』ということにしようと。安倍が倒れてたら次の人が出てくるだろうけども、安倍政治を引き継ぐ人も反対だという意味も込めて、『アベ政治を許さない』ということにしました」
▲「アベ政治を許さない」の文字は、澤地氏が俳人の金子兜太氏に依頼。澤地氏「コピーしても迫力が変わらなかった。これで行けると思った」
「このスローガンが書かれた紙をこのままにするのはもったいないと、玄関に貼ってますという人や、車のガラスに貼っているという人もいる。すれ違った車がこのスローガンを見てピースサインを送ってくれたという話もある。今まで、よそよそしくて何も縁がなかった人たちが、安倍のやっていることには反対だと、連帯する気持ちを色々な形で示してくれたのだと思う」
「日本の平和を守ってきたのは日米安保ではなく憲法9条」
元朝日新聞記者であり、現在は日本ジャーナリスト会議の代表委員である柴田鉄治氏もマイクを取り、憲法9条の重要性を力説した。
安倍晋三の政治家としての資質を鋭くただす100歳を超す,ジャーなーナリスとの叫びは,果たして今の安倍晋三に届くだろうか? しかし着実に国民はこの危うい政治体制にはっきりとNO!と意思表示を始めている。特筆すべきはSEALDsの若い人の台頭と、子育て世代の反応は危険な安倍政権への率直な叫びである。彼らは既に次の選挙にどう取り組むか、現政権の最も恐れる方向に向かっている。遅ればせながら国民の怒りは完全にアンチ安倍にシフトを始めた。
私の父は1939年中国に召集された。途中でマラリアに罹り何とか日本に帰ることができ。私が生まれた。父の弟は1945年衛生兵として沖縄に従軍し同年にアメリカ軍からの艦砲射撃に戦士した。叔父は仏教への信心深い人だった。祖母は叔父のほかに4人の男の子を2か月足らずに亡くしている。
母方の伯父は37歳の時三人の子供を残して南方で散った。伯父は出征する何日かまえ親しい親戚に戦争に行きたくないと言って泣いたそうだ。その妻である伯母は出征の前日出征祝いをする皆に隠れて泣いたそうだ。
1月31日のテレビ対談”関口宏さん”を拝見しました。
最後の言葉として”全世界の人類はお互いに
① 学びあう ② 敬いあう ③ いたわりあう
との提言がありました。 大賛成です。