2014年8月6日、東京電力本店にて「未確認・未解明事項の調査・検討結果~第2回進捗報告」記者会見が行われた。
新たな解析の結果、3号機の燃料溶融がこれまでの考えより早かったことや、炉心の強制減圧で水素が発生し、炉心溶融を促進した可能性などが明らかになった。
2014年8月6日、東京電力本店にて「未確認・未解明事項の調査・検討結果~第2回進捗報告」記者会見が行われた。
新たな解析の結果、3号機の燃料溶融がこれまでの考えより早かったことや、炉心の強制減圧で水素が発生し、炉心溶融を促進した可能性などが明らかになった。
記事目次
■全編動画
東京電力は2013年11月1日に「原子力安全改革プランの進捗状況(2013年度第2四半期)」を公表し、「福島原子力事故における未確認・未解明事項」について、調査や検討を継続的に実施し、半年に1回を目途に進捗状況結果を公表、優先順位の高いものは 今後、2年以内に結論を出すことを目指している。
2013年12月13日に未確認・未解明事項の調査・検討結果の進捗報告の第一回目を行った。その際、未確認・未解明事項52件を抽出し、うち10件について調査をほぼ完了したと報告した。
今回第二回目の進捗報告として、未完了事項のうち、優先順位の高い下記4件について、進捗状況を報告するもの。頭3件は一応の結論が得られたが、最後の項目はいまだ明確な結論を得ていない。
これらの解明は事故当事者の責務であり、今後の廃炉への知見、既存の柏崎刈羽原発の安全対策への反映を目的としている。
RCIC(Reactor Core Isolation Cooling system、原子炉隔離時冷却系)は、原子炉蒸気を用いたタービンで駆動するポンプを用い、全交流電源喪失時でも冷却水の注入を可能とするための装置である。
3号機のRCICは震災時20時間近く運転後に停止したが、停止原因が特定できていなかった。今回、タービンの排気側圧力が高くなり、安全弁が動作して停止したと特定できた。システム本来の動作である。
しかし、非常時に原子炉に注水する手段が他になくなった時には、RCICの機器破損のリスクよりも、注水して原子炉を冷却することが原発全体の安全には必要である。そういったことから、東京電力は、RCICの排気圧力高でインタロックすることを除外する手順を、柏崎刈羽原発の津波アクシデントマネジメント手順に反映させている。
パラメータを修正し、MAAPによる解析を実施した結果、3号機は燃料の溶融がこれまで考えられていた時期よりも早く始まり、炉心燃料のほぼ100%が溶け落ちていた可能性が明らかになった。
原子炉の圧力や水位の実測データをもとに、緊急時に炉心に冷却水を送り込むHPCI(High Pressure Coolant Injection、高圧注水系)が3月12日20時に停止したと仮定し、東京電力はこの仮定を反映したMAAP解析を実施した。
その結果、3月13日2時30分頃に燃料集合体が冷却水面に顔を出し始め(TAF到達)、5時30分頃に燃料溶融が始まり、3月14日の午前中にRPV(格納容器)破損、燃料のほぼ100%が溶け落ちたという解析結果が得られた。
燃料が全て水面上に露出するのは9時10分頃と解析しており、燃料が半分露出した状態で既に溶融が始まったということになる。
被災当時、事故対処の現場である福島第一の技術班は、3号機のTAF到達3月13日5時半、そのまま何もしないと炉心損傷が9時半だと評価していたことが東電の記録に残っている。それよりもはるかに早く事態が進展した可能性が明らかになった。
2号機は3月14日の12時頃、SRV(逃がし安全弁)を強制的に開き、原子炉の圧力を下げたが、その後圧力が上昇しており、原因が分からなかった。
評価の結果、強制的に減圧した際、炉心の冷却水が減圧沸騰し燃料が露出。その後、消防車から注水した冷却水が燃料と接し蒸気が発生した。ここで水-ジルコニウム反応により水素が発生し、炉圧が上昇するとともに、炉心溶融を引き起こしたと推定した。
冷却するための注水、そのための減圧が、かえって危機的状況を招いたという可能性が明らかになった。
消防車からの注水が全て原子炉に到達していれば、十分に冷却できたと東電は評価している。ところが、バイパス流の経路が複数あり、実際に原子炉にどれだけの水が注水できたのかは不明確だ。事故の進展を解析し、注水量の精度を高めるため、今後も継続的に検証するものである。
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以下、東京電力ホームページより、リンクを表示
別紙
(以下、報告書資料内訳)
参考