2010年4月6日(火)に行われた、岡田外務大臣会見の模様。
2010年4月6日(火)に行われた、岡田外務大臣会見の模様。
■全編動画
(1)平成22年版外交青書の閣議配付について
【岡田大臣】私(大臣)からは3点です。まず1番目は今日の閣議において、平成22年版外交青書の閣議配付を行いました。内容につきましては、特に私からご説明せずとも、もう既にご連絡がいっていることだと思っております。
(2)ハイチの地震の緊急無償資金協力について
【大臣】2番目はハイチの地震の緊急無償資金協力についても本日の閣議で決定をいただきましたが、我が国 政府はハイチに対する追加支援として2,260万ドル、約21億2,400万円を上限とする緊急無償資金協力を行うことといたしました。この追加支援は3 月31日にニューヨークで開かれたハイチ支援国会合において私(大臣)から表明した総額1億ドルの支援に含まれるものでございます。我が国としては、国際 機関と協力しつつ、シェルター、保健・医療分野において早急にこの支援の実施をする予定でございます。
(3)外交文書の欠落問題に関する調査委員会の設置について
【大臣】3番目ですが、「外交文書の欠落問題に関する調査委員会」の設置について、配付資料の とおり、本日、「外交文書の欠落問題に関する調査委員会」を設置いたしました。この委員会は、先般公表された、いわゆる「密約」問題に関する有識者委員会 の報告書、或いは衆議院外務委員会の参考人招致などにおいて指摘された外交文書の欠落問題について、その事実関係を調査・確認するために設置したものでご ざいます。
委員会のメンバーは4名で、私(大臣)、武正副大臣のほか、調査の専門性と客観性を担保するための外部委員として、東京大学の宇賀教授、筑波大学の波多 野教授の2人に加わっていただきました。宇賀先生は行政法の専門家で、特に公文書管理や情報公開の分野における第一人者です。波多野先生は密約問題に関す る有識者委員会のメンバーであり、外交文書の取扱いに非常に精通しておられます。
お二人には外務省参与となっていただき、守秘義務のある非常勤の国家公務員として委員会の業務に従事していただきます。今後はお二人の専門的知見をお借 りしながら、有識者委員会の報告書、参考人招致の質疑などを精査した上で、関係者からの聞き取りなどを行い、速やかに調査結果を御報告したいと考えており ます。
【フリーランス 岩上氏】ただいま大臣からお話しいただきました「外交文書の欠落問題に関する調査委員 会」について、これは先般の有識者委員会の報告の欠落部分を補うような形で行われるものではないかなと思うのですが、その辺の位置づけと、選考した有識者 委員会との関係と、それから有識者委員会のメンバーがここに含まれていなくて、また別のメンバーを選定するという違いについて教えていただければと思いま す。
【大臣】有識者委員会というのは、外務省の調査をした「密約」に関する資料に基づいて、密約問題についての解明を行うということでございます。今回 の委員会は、性格は全く異なります。有識者委員会においても指摘をされましたが、外交文書の欠落があるのではないかという指摘もございました。そういうこ とについて、事実関係を調査するということでございます。
【フリーランス 岩上氏】メンバーが重なってないことはどういうことでしょうか。
【大臣】それは全く違うものでございますので、波多野先生は共通ですけれども、こういう情報公開に関する専門家の宇賀先生に入っていただいたということでございます。
【NHK 別府記者】調査は、ないものを証明するというのは極めて難しいのではないかと想像するのですが、例えば文書を適切に廃棄したとしても、そ の廃棄簿の記録というのも、保存期間を過ぎている時代のものも対象として指摘されていると思うのですが、実際のところ個々人の聞き取りで得られる証言以外 に頼れるきっかけとか、物証があるのか、それ以外に期待できるものというのはあるのでしょうか。
【大臣】基本的にはなかなか難しいことだと思います。そして、対象にするのは、現時点では東郷元局長の指摘されたファイルに関することであると基本的には考えております。
【東京新聞 佐藤記者】「速やかに」ということですけれども、具体的に調査の終了の目途はどのように考えておられますか。
【大臣】これはどの程度ヒアリングをしなければならないかということは、走りながら考えざるを得ないところありますので、具体的な目途と言われても、それはなかなか今、申し上げることは難しいと思います。半年とか1年ということはないと思っております。
【東京新聞 佐藤記者】外務委員会での指摘ですけれども、外務委員会としてはこの調査を見て、谷内さんなりの招致を考えたいということも委員長は 言っておられるのですが、その辺の外務委員会の運びと今回の調査の関係について、そのスケジュール感を含めて、改めてお聞かせください。
【大臣】外務委員会は外務委員会の御判断としてお詰めになるんだと思いますが、本来これは外務省の中の問題でありますので、外務省できちんと調査するというのが必要なことだと考えております。
【朝日新聞 鵜飼記者】今も少しお話がありましたけれども、東郷さんの後任になられる谷内元外務次官ですが、谷内さんには当然聞き取りを行うという理解でよろしいのでしょうか。
【大臣】具体的なことは申し上げません。調査が終わった段階で発表したいと思っております。
【フリーランス 岩上氏】対象になるのは、東郷元局長の仰っていた紛失したファイルの件であると仰られました。聞き取りをする人物は非常に絞られて きて、東郷さん、もしくは谷内さん、その週辺の人物になるのだろうとは思いますが、こうした聞き取りは大臣自ら聞き取りをするということはあり得るので しょうか。ご多忙だと思いますので、どなたか他の方が聞き取りをすることになるのでしょうか。
【大臣】だれに聞き取りをするかということは、私(大臣)は申し上げません。それから、委員会として聞き取りをするということでございますから、私(大臣)は委員会のメンバーであります。
【共同通信 斎藤記者】中国の死刑執行についてお伺いします。これまで日本政府は、事前通告の時点から、 繰り返し懸念を表明してきたということですが、ここで実際に執行されたということになりました。今後、この死刑執行をした中国に対して何らかの対応を取る のか、また、今回の死刑執行について、どのように受け止められているのかという点についてお伺いします。
【大臣】何度も申し上げておりますように、基本的にどういう行為にどういう刑罰を科すかということは、その国の立法政策の問題であり、そして具体的 な司法の問題であります。したがって、そのこと自身について何か異論を唱えている訳ではもともとございません。しかし、そういった死刑が行われるときに、 今、言われているのは、合計4名ということでありますので、もしそういったことが短期間に行われるとすると、それは日本人の感覚からすると、かなり違和感 を持つということになることについての懸念を伝えてきたということでございます。
今回、死刑執行ということがあったことは非常に残念なことだと思っております。
【共同通信 斎藤記者】確認ですが、そうすると、これまでは懸念をいろんな形で表明されてきました。例えばこの前、程永華駐日大使を呼ばれて、そこ で日本の立場を説明されたと聞いております。今後はまた改めて、つまり3人の方の事前通告を受けていますが、執行はまだされていません。勿論、中国の司法 権、主権に関わる話ですから、実際に執行停止を求めるような通告をするのは難しいというのは理解しております。そうした中で、改めて何らかの形でメッセー ジといいますか、立場を表明するようなことはあり得るのかどうか、この点について教えください。
【大臣】既に先日、大使を呼んで懸念を表明したところでございます。
【テレビ朝日 新堀記者】こうした日本人が海外で麻薬犯罪に関わるケースというのは後を経たないわけですけれども、そうした中でこういった厳しい処 罰がある国があるということで、海外の邦人の安全を管轄する外務省として、国民に対して改めて注意喚起というか、メッセージというか、何かお願いできます でしょうか。
【大臣】その点については、前回も申し上げたところであります。麻薬犯罪は、我が国のみならず、国際社会にとって極めて重大な犯罪であります。そし て、その対策のために死刑を含む非常に重い量刑を科している国が多いということについて、これは中国だけではありません。前回も申し上げましたが、シンガ ポール、その他多くの国が死刑を含む重罰を科しております。そのことについて十分に理解をし、今後、国民がこうした犯罪にかかわらない、あるいは巻き込ま れることがないということを切に願っているところでございます。
【NHK 梶原記者】今回の死刑執行ですが、中国側では十分なデュー・プロセスが踏まれたという評価でよろしいのでしょうか。
【大臣】基本的にそれぞれの国の司法手続について、明確な反証といいますか、証拠がないときに、それについてコメントをすることはありません。これは日本も同じだと思います。
【NHK 梶原記者】立法政策とか処罰に関しては、なかなか私見の問題ですから言えないと思いますけれども、少なくとも司法の手続が適正であるかと いうのは、日本国としてしっかり検証していく必要があると思うのですが、今の段階で明確でないとすれば、ある程度調査というのを考えていらっしゃらないの でしょうか。
【大臣】この事案のうち、3人までは自ら犯罪の事実をお認めになったと聞いております。
【毎日新聞 吉永記者】確認ですけれども、今回の死刑執行を受けて、何らかのアクションは中国に対しては今回行っていないということなのでしょうか。それとも行ったなら、どういうことを、例えば懸念をもう一度伝えるなり、そういうことを何らかの形でしたのでしょうか。
【大臣】前回御出席いただいていれば当然おわかりだと思いますが、先週の金曜日に大使を呼んで、日本国民がそういったことについて、さまざまな気持ちを持つということについて、懸念を表明したところであります。
【読売新聞 川崎記者】先週、大使を呼んで、大臣自ら意思を既に伝えてあるということで、本日の執行にそれを踏まえて特に中国側に何かアクションを起こされることはしないという理解でよろしいでしょうか。
【大臣】私(大臣)は「残念なことである」と申し上げました。
【読売新聞 川崎記者】確認ですが、その申し上げたというのは、この会見の場で今、申されたという意味なのか、それとも中国政府に対して大臣のお言葉を外交ルートで伝えたということでしょうか。どちらでしょうか。
【大臣】私(大臣)としては、これ以上のことは私(大臣)はないと思いますが、大使を呼んで、日本国としての国民感情、その懸念を表明したところで す。それは今回の死刑執行に関するものではなくて、その後、更に3人(の死刑執行を)行うという通告があって、私(大臣)は大使を呼んだ訳です。
【フリーランス 岩上氏】関連しまして、本当に言葉の正しい意味での確認ですけれども、「懸念」というのは何を指しての懸念になるのでしょうか。そ れぞれの国の司法制度を重んじるということで、中国に死刑制度があるということに対して抗議とか懸念を表明したわけではないとして、容疑事実に疑問がある のか。そうではないとすると、この場合、どの点について大臣として懸念を表明されたということになるのでしょうか。その死刑自体は仕方がないことではある けれども、スピードとかそういうことでしょうか。その点をお聞かせいただきたいと思います。
【大臣】それはもう前回の話ですが、そのときに詳しく申し上げておりますが、こういった死刑が連続して行われるということになると、それは国民感情、いろいろな感情が日本国民の中に出てくるといったことについての懸念ということを表明した訳でございます。
【共同通信 斎藤記者】関連してお伺いします。今回の一連の死刑執行をめぐって、中国は1つは日本側に事前通告をしてきた。それから、今回、死刑執 行がされた方について言えば、ご家族との面会があった。更には本日、新華社が執行された直後にその事実を発表した。いろいろと中国国内のほかの死刑執行と 比べて、若干対応が違うような印象も受けます。この点、中国は日本への配慮、つまり今の日中関係の重要性にかんがみて、何らかの対応をしたという側面があ るのかないのか、この点について大臣のご所見をお伺いしたいと思います。
【大臣】それは中国政府にお聞きいただかないと、私(大臣)が憶測でものを言うという立場にはございません。ただ、想像するに、懸念をされたということが背景にあるのかもしれないと想像をしております。
【毎日新聞 吉永記者】今回の懸念を伝えたにもかかわらず、死刑が執行されたということについて、日中関係に何らかの悪影響を及ぼすと大臣自身はお考えでしょうか。
【大臣】国民感情がこのことで何らかの影響を受けるということは、可能性としてはあると思います。そう思ったからこそ懸念を伝えたわけであります。
【フリーランス 岩上氏】先ほどの私の質問に関連しまして、言葉尻をとらえるような質問になってしまって大変恐縮なのですが、大臣は連続して執行す ることについて懸念を表明したと仰いましたが、そうしますと、懸念の表明のねらいは、連続して行うのではなく、時間をおいて執行するのであればよいという ことなのでしょうか。それとも、執行についての連続という間の問題ではなく、何か別のところで配慮してほしいということを相手に希望したということなので しょうか。
【大臣】そういう具体的なことを言っているわけではありません。ですから、4名という死刑執行が短い期間にあるということであれば、それは国民感情に悪い影響を及ぼす可能性があるということで懸念を表明したということです。それ以上でもそれ以下でもございません。
【共同通信 斎藤記者】この中国の死刑問題をめぐっては、昨年の12月にイギリスのブラウン首相が自ら中国の対応を非難した経緯があります。まずこ の点をご存じかどうか確認したいということです。それと、イギリスは死刑制度を既に廃止していると私は聞いております。その死刑制度を廃止した国だからこ そ、イギリスの対応と日本の対応は異なってきているのかどうか、この辺はなかなかイギリス側にも話を聞かなくてはいけない部分かもしれませんが、外形的に 見ると、イギリスの対応と日本の対応というのはやはり違いがあるように思われます。この辺の違いというのはやはり、両国の死刑制度の違いにあるのかどう か、この点についてのご所見をお伺いしたいと思います。
【大臣】まず、イギリス政府がそういったことについて、中国政府に対して述べたということは、ひとつは確かに死刑制度そのものを認めていないという ことはあると思います。死刑制度を認めていない国が、これは日本も含まれるわけですが、死刑制度をそのまま残している国に対して、死刑制度そのものが批判 の対象になって、なくしたわけですから、これを残していることに対する批判。ましてや自国民が、死刑制度はないわけですから、自国においては死刑にはなら ないにもかかわらず、外国において死刑になるということがひとつです。
確か私(大臣)の記憶ではイギリスの場合には、精神的にそういう不安定な状況にあったということで、犯罪を犯したときの状況というものを考慮に入れるべきであるということもあったかと思っております。