日刊IWJガイド・非会員版「トランプ脅迫外交の末路! 中国とインドへ石油を売っていなかったカナダが、中国とインドに史上最大規模の石油を売る!」2025.8.15号~No.4594


┏━━【目次】━━━━
■はじめに~トランプ脅迫外交の末路! 制裁に足並みをそろえて、中国とインドへ石油を売っていなかったカナダが、中国とインドに史上最大規模の石油を売る! 同盟国のはずのアメリカのカナダへの嫌がらせと併合の脅迫が、カナダを中国・インド寄りにした! 中国のCNOOC(中国海洋石油総公司)は、カナダのサンコア・エナジーと1日32万5000バレルを15年間購入する契約を結び、米国メキシコ湾岸に向かっていた物量を転用! インディアン・オイル社もカナダの太平洋側インフラ強化を活用して複数年契約! アメリカ製造業は、不況の瀬戸際! 日本こそ、このカナダの英断を見よ! 米国の横暴に屈する必要など、どこにもない!

■<岩上安身による最新インタビュー配信!!>本日午後7時より、「貿易政策と安全保障政策の融合!?『トランプ関税』の衝撃波が世界を襲う! 日本は関税率15%で合意したが、5500億ドル(約86兆円)を米国に投資し、その利益の90%を米国が得るという不平等合意! 日本は米国による収奪の対象! 岩上安身によるインタビュー第1203回ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 第3弾 後編」を撮りおろし初配信します! 配信終了後、会員向けIWJサイトのアーカイブにアップします! 会員登録もお忘れなく!

■8月も半ばです! 第16期が始まりました! 7月末までの第15期は、残念ながら赤字が避けられなくなりました。しかし、IWJも、岩上安身も、めげません!! 困難は、国内外からやってきます! 向こう少なくとも10年は、日本が戦争に巻き込まれず、カナダのようにあざやかに対米自立を果たして、日本が生存できるように、死力を尽くして頑張るつもりです! より質の高い情報をお送りしつつ、今期16期こそは、黒字化し、累積する債務も少しでも返済したいと思います! どうぞ今期16期も、ご期待ください! 緊急のご寄付、カンパをどうぞよろしくお願いいたします! 会員登録もぜひとも、よろしくお願いいたします!

■【中継番組表】

■<岩上安身による最新インタビュー報告>1930年代、フーバー米大統領の高関税政策の影響は、全世界に波及して大恐慌に至った! 歴史の教訓になぜ学ばない? トランプ関税によって「世界経済はより大きな不確実性に直面」! 安全保障を餌にして不平等貿易をゴリ押し!?「トランプ関税」の衝撃波が世界を襲う! 岩上安身によるインタビュー第1203回ゲスト エコノミスト 田代秀敏氏 第3回(前編)

■ウクライナが行き詰まったら、米国の戦争マシンはすぐ次の手を打つ! 不仲だったアゼルバイジャンとアルメニアが、米国の仲介で和平協定に署名! ジョージアを含めて、ロシア南部のザカフカス3国を米国の影響下に置く!! イランは、アルメニア国内のイラン国境付近に設置される、アゼルバイジャンと飛地を結ぶ回廊について、「この地域の現状変更や不安定性の増大、米国とイスラエルの共同の陰謀を招く可能性がある」と懸念を表明! ロシア外務省も「地域外のプレーヤーの関与による、新たな分裂」を警戒! 米国の戦争マシンは、西方(ポーランド)と北方(バルト三国)と南方(ザカフカス三国)から、ロシア攻略を続行!?(中編)

■トランプが「戦争をやめる大統領」とは信じがたい! ロシア・ウクライナ紛争が終結しないうちに、NATO対ロシア戦争へと拡大か!? このタイミングでNATOが、ウクライナと国境を接するポーランドで史上最大の軍事演習! ドイツ軍は、第2次大戦後史上初の、外国に軍を派遣! リトアニアに駐屯! 飛び地のカリーニングラードはかつてのドイツ領ケーニヒスベルク!! 対抗するロシア・ベラルーシも大軍事演習! これはNATOとロシア軍の全面衝突を想定した軍事演習!?
┗━━━━━

■はじめに~トランプ脅迫外交の末路! 制裁に足並みをそろえて、中国とインドへ石油を売っていなかったカナダが、中国とインドに史上最大規模の石油を売る! 同盟国のはずのアメリカのカナダへの嫌がらせと併合の脅迫が、カナダを中国・インド寄りにした! 中国のCNOOC(中国海洋石油総公司)は、カナダのサンコア・エナジーと1日32万5000バレルを15年間購入する契約を結び、米国メキシコ湾岸に向かっていた物量を転用! インディアン・オイル社もカナダの太平洋側インフラ強化を活用して複数年契約! アメリカ製造業は、不況の瀬戸際! 日本こそ、このカナダの英断を見よ! 米国の横暴に屈する必要など、どこにもない!

 トランプ大統領は、関税政策を始めとしたさまざまな脅迫外交で、「アメリカファースト」という名の自己利益を追及しており、同盟国であろうと、遠慮なく富を搾取し続けていますが、米国の隣国で同盟国のカナダがついに反旗を翻しました。

 YouTubeチャンネル『ビジネス・プロ』は、5月23日付の番組「カナダは1004億で石油を中国に売却し、トランプは爆発しました。米国はこれを期待していませんでした!」を配信しました。

 本来は米国との経済的な結びつきが強いカナダが、トランプ大統領の脅迫外交の一番のターゲットである中国を相手に、経済的な結びつきを強化した結果である、というのです。

 「ワシントンが関税操作や国内政治闘争に気を取られている間に、カナダと中国は積極的に橋を架け、二国間の経済関係を強化し始めた。

 もはや単発的な契約にとどまらず、長期的なパートナーシップを構築するための計画的な取り組みである。

 2025年3月には、両国間で重要な枠組み協定が締結されたことが明らかになった。

 それは石油に関するものだけではなかったが、石油が確かに主要な要素であった。

 バッテリーに必要なリチウムや、肥料の生産に必要なカリなど、カナダ産の重要鉱物の供給拡大、さらにキャノーラや小麦、牛肉といった農産物の供給拡大にも合意した。

 加えて、中国によるカナダの鉱業、インフラ、さらには再生可能エネルギー分野への投資についても協議された。

 さらに、中国最大の独立系石油精製会社であるジュン・ペトロ社は、カナダの石油産業の中心地カルガリーに公式取引事務所を開設し、ほぼ直ちにカナダの石油大手サンコア・エナジーと長期契約を結び、2024年7月からの10年間、1日あたり10万バレルの石油を供給することになった。

 これらすべては、私達が目にしているのが、偶発的な出来事ではなく、世界を大きく変え得る新たな強力な経済同盟の計画的形成であることを示している」。

※カナダは1004億ドルで石油を中国に売却し、トランプは爆発しました。米国はこれを期待していませんでした!(ビジネス・プロ、2025年5月23日)
https://youtu.be/XmVN2rMhBPQ

 財政・経済学・地政学のYouTube番組『アンドレイ・ヴォンデマーク』を主催するアンドレイ・ヴォンデマーク氏は、4月2日の同番組「カナダが1040億ドル相当の石油を中国に転用したことでトランプが激怒、米国のガソリン価格が急騰!」で、この間の事情を、かなり具体的に述べています。

 「カナダが米国への石油輸出を縮小するという決定―2024年には統計カナダによれば133億ドル相当の供給―は、突発的な反抗行為ではなく、長年の通商摩擦、外交の停滞、そして戦略的再編の集大成だった。

 ワシントンが、カナダ製EVやレアアース輸出への関税発動を繰り返し、脅す中、オタワはひそかにパイプライン輸送量をアジア向けに振り向け始めた。

 ブルームバーグによれば、カナダのジョナサン・ウィルキンソン天然資源相は、元首相トルドーがインドのOMGC(インド石油天然ガス公社)や中国のCNOOC(中国海洋石油総公司)幹部と会う数日前に、能力再配分を承認しており、明確な転換シグナルとなった。

 米政府は不意を突かれ、この動きを事前に防げなかった。

 米議会調査局が2月にまとめた報告書では、カナダからのエネルギー移転リスクが差し迫っていると警告していたにもかかわらず、西翼(ホワイトハウス上層部)の誰も注意を払わなかった」。

※カナダが1040億ドル相当の石油を中国に転用したことでトランプが激怒、米国のガソリン価格が急騰!(アンドレイ・ヴォンデマーク、2025年4月2日)
https://youtu.be/NiE-MpFrQZQ

 カナダは、米国向けのエネルギー転換を、長期的な視野の下で、すでに準備しており、しかも「奇襲」にも成功したのです。

 カナダのエネルギー資源の供給の移転先は、中国とインドです。アンドレイ・ヴォンデマーク氏は、こう述べています。

 「再配分の背後には、明確な計算がある。

 北京とニューデリーは、プレミアムを支払い、長期契約でスポット価格より8~11%高く買い、政治的条件も付けていない。

 ロイターによれば、中国のCNOOCはサンコア・エナジーと1日32万5000バレルを15年間購入する契約を結び、以前は米国メキシコ湾岸に向かっていた物量を転用。

 インディアン・オイル社も、カナダの太平洋側インフラ強化を活用して複数年契約を結んだという。

 米国が、カナダ製太陽光や電池製品に反ダンピング調査をかけるのに対し、アジアは、貿易全分野で協力を提示している」。

 この方針転換は、カナダが「生き残り」を賭けたものであることが、ロブ・スチュワート国際貿易副大臣のメモで明らかです。そこには、こう書かれているのです。

 「一つの不安定な相手への依存は、もはや耐えられない。多角化は理念ではなく生存だ」。

 この言葉こそ、不安定で強欲な米国へのみ依存し、多角化を図ろうとしない日本にとっての「金言」です。

※カナダが1040億ドル相当の石油を中国に転用したことでトランプが激怒、米国のガソリン価格が急騰!(アンドレイ・ヴォンデマーク、2025年4月2日)
https://youtu.be/NiE-MpFrQZQ

 そして、この結果、北米経済は、どうなるでしょうか。

 アンドレイ・ヴォンデマーク氏によれば、カナダの原油は、中国・インドばかりか、欧州や日本にも移転され、この結果、カナダの石油輸出の最大38%が北米から逸れる可能性があるというのです!

 「トランス・マウンテン拡張プロジェクトが全面稼働し、カナダは1日89万バレル超を、直接世界市場に輸出でき、米国経由を迂回できるようになった。

 ドイツのEonや日本のJerichoは、既に2040年までのLNG・原油供給契約の予備合意を結び、ウッド・マッケンジー(イギリスに本社を置くエネルギー・資源分野の調査・コンサルティング会社)によれば2026年までにカナダの石油輸出の最大38%が北米から逸れる可能性がある。

 欧州がロシア産ガス代替を急ぐ中、カナダは信頼性だけでなく、EU補助金対象となる環境指標(ESG)の優位性からも好まれ、アジアにとってはバンクーバー経由の短い海上輸送時間が魅力だ」。

 カナダに意地悪ばかりしていて、置き去りにされた、米国経済は、立ち行かないでしょう。

 実際に、米国経済で何が起きているか、アンドレイ・ヴォンデマーク氏は、こう述べています。

※ここから先は【会員版】となります。会員へのご登録はこちらからお願いいたします。ぜひ、新規の会員となって、あるいは休会している方は再開して、御覧になってください!

https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php

―――――――

■<岩上安身による最新インタビュー配信!!>本日午後7時より、「貿易政策と安全保障政策の融合!?『トランプ関税』の衝撃波が世界を襲う! 日本は関税率15%で合意したが、5500億ドル(約86兆円)を米国に投資し、その利益の90%を米国が得るという不平等合意! 日本は米国による収奪の対象! 岩上安身によるインタビュー第1203回ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 第3弾 後編」を撮りおろし初配信します! 配信終了後、会員向けIWJサイトのアーカイブにアップします! 会員登録もお忘れなく!

 本日午後7時より、「岩上安身によるインタビュー第1203回ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 第3弾 後編」を撮りおろし初配信します!

 インタビューの第1弾、第2弾と、8月13日に初配信したインタビュー第3弾の前編、8月14日に初配信したインタビュー第3弾の中編は、以下のURLからご視聴ください。

※「トランプ関税」の衝撃波が世界を襲う! 貿易政策と安全保障政策の融合!? 逆に米国と同盟国に、経済破綻と社会崩壊の危機が迫る!? 岩上安身によるインタビュー第1188回ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 第1弾
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/527367

※40年間続いた米国債の価格上昇が、下落へ! 世界一米国債を保有する日本には、巨大な含み損が発生! 米国債務は対GDP比100%を超え、利払い費だけで、米防衛費を超過!「アメリカの、世界に対する覇権を支えている財政システムが、大変動を起こしている」! 岩上安身によるインタビュー第1195回ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 第2弾 前編
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/527763

※フォン・デア・ライエン委員長は「我々が知っていた西側は、もはや存在しない」と宣言!「日本人がもっと真面目に考えないと。日本の立ち位置って何ですか?『西側の一員です』と。でも、その『西側』はないんです」! 米国債がクラッシュしてしまえば、最大保有国である日本は、最大の被害国に! 岩上安身によるインタビュー第1195回ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 第2弾 後編
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/527782

※8/13(水)19時~【撮りおろし初配信】貿易政策と安全保障政策の融合!?「トランプ関税」の衝撃波が世界を襲う! 日本は関税率15%で合意したが、5500億ドル(約86兆円)を米国に投資し、その利益の90%を米国が得るという不平等合意! 日本は米国による収奪の対象! 岩上安身によるインタビュー第1203回ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 第3弾 前編
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/528750

※8/14(木)午後7時~【撮りおろし初配信】貿易政策と安全保障政策の融合!?「トランプ関税」の衝撃波が世界を襲う! 日本は関税率15%で合意したが、5500億ドル(約86兆円)を米国に投資し、その利益の90%を米国が得るという不平等合意! 日本は米国による収奪の対象! 岩上安身によるインタビュー第1203回ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 第3弾 中編
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/528823

 詳しくは、本日初配信する「岩上安身によるインタビュー第1203回ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 第3弾 後編」を、ぜひご視聴ください!

 インタビューは、会員向けサイトのアーカイブにて、4日間、全公開で、その後はハイライトは公開、全編動画は会員限定となります。お見逃しの場合は、ぜひ、IWJの会員となって、全編を御覧ください!

―――――――

【撮りおろし初配信】19:00~
貿易政策と安全保障政策の融合!?「トランプ関税」の衝撃波が世界を襲う! 日本は関税率15%で合意したが、5500億ドル(約86兆円)を米国に投資し、その利益の90%を米国が得るという不平等合意! 日本は米国による収奪の対象! 岩上安身によるインタビュー第1203回ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 第3弾 後編
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/528826

―――――――

■8月も半ばです! 第16期が始まりました! 7月末までの第15期は、残念ながら赤字が避けられなくなりました。しかし、IWJも、岩上安身も、めげません!! 困難は、国内外からやってきます! 向こう少なくとも10年は、日本が戦争に巻き込まれず、カナダのようにあざやかに対米自立を果たして、日本が生存できるように、死力を尽くして頑張るつもりです! より質の高い情報をお送りしつつ、今期16期こそは、黒字化し、累積する債務も少しでも返済したいと思います! どうぞ今期16期も、ご期待ください! 緊急のご寄付、カンパをどうぞよろしくお願いいたします! 会員登録もぜひとも、よろしくお願いいたします!

 会員の皆様、ご寄付・カンパによってご支援くださっている皆様、IWJの第15期をお支えいただき、誠にありがとうございました。

 8月1日から、IWJは、第16期に入りました!

 8月は1日から12日までの12日間で、13件、22万2000円のご寄付・カンパをいただいています。これは、これまでの月間目標額350万円の6%にあたります。今期はまだ、予算が立てられていませんが、収支ともに縮小し、月間目標額も下げていくつもりです。

 ご支援くださった皆様、本当にありがとうございます。

 残念ながら、昨年8月から今年7月末までの第15期は、12ヶ月間で一度も、ご寄付が月間目標額に達することができませんでした。

 ラストの7月は、1日から31日までの31日間で、88件、182万3000円のご寄付・カンパをいただきました。残念ながら、7月も月間目標の350万円に届きませんでした。167万7000円のマイナスとなりました。

 第15期の期首の2024年8月1日から、11ヶ月経過した6月末の段階で、当初に設定したご寄付の年間目標額3850万円に対して、2025年6月30日現在の実績は、1750万円にとどまり、マイナス2100万円となっています。

 これに7月末までのマイナス167万7000円を加えると、第15期12ヶ月間のマイナスは2267万7000円となります。

 IWJの活動運営費は、約半分が、会員の皆様からの会費によって支えられています。残りの約半分が、ご寄付・カンパによって支えられています。

 2025年7月31日時点での会員数は1694名で、うちサポート会員様が654名、一般会員様が1040名です。

 会員数は、第15期は、前年度比で、サポート会員が208名、一般会員が375名、合計583名減少していて、会費収入に換算すると、前年度に比べて約930万円の減少となってしまう見通しです。

 即ち、ご寄付・カンパの収入のマイナスと合計すると、収入は予定していた目標値を、3197万7000円も下回ることになってしまいました。

 ちなみに、遅れて納入する方もいらっしゃるので、これはまだ確定値ではありません。ぜひ、会費納入をお忘れになっている方、納入が遅れている方は、お早めに会費をお納めください!

 また、会員として再開される方、新規に会員となられる方、大歓迎です! ぜひとも、よろしくお願いいたします!

 支出については、経費などの大幅な削減に努め、前年度比約1000万円ほど削っています。あくまで現時点の推計です。これから請求が上がってくる経費も当然、あります。差し引きますと、収支は約2198万円ほどのマイナスです。

 このままでは、大幅な赤字となってしまいますので、非常手段として、万が一の時に備えて、セーフティネットとして積み立ててきた役員生命保険(受取人はIWJです)を解約することを決断いたしました。解約金1640万円を計上して、赤字の穴埋めとします。残りは、558万円のマイナスです。

 これは、最後の手段です。こうしたセーフティネットはもうIWJに残されていません。

 昨年も、私、岩上安身が年頭にコロナに感染し、その後も後遺症に苦しめられてきたため、インタビューなど、オリジナルのインタビューなどがすこぶる減ってしまい、厳しい決算となりました。

 今期は、健康回復につとめるとともに、インタビューなどオリジナルコンテンツ制作のため、挽回するよう頑張りましたが、今年は、不況、インフレ、会員の方々の高齢化など、さまざまな要因で経済苦を訴える方のメールも多数、受け取っており、IWJを取り巻く外部の経済状況は、さらに厳しくなったと言わなければなりません。

 今回のように、長いこと積み立ててきた保険の解約のような非常手段も、これで最後です。第16期は、支出を思いきって、しぼりこまなければならないと覚悟しています。

 しかし、IWJも、岩上安身も、めげません! 困難は、国外からも日本国内からも、続々、やってきます。向こう10年が、東アジアでも、全世界においても、第3次世界大戦に巻き込まれるか否かの正念場です!

 今期16期は、中身やポリシーは一切変えず、より質の高い情報を、なおもエッジをきかせて情報をお届けしつつ、経営面は、黒字に転換し、累積していた借金をバリバリ返済していきたいと思います!

 そのためにも、経営面では、思い切った改革、支出の削減を、断行します!

 どうぞ、ご支援のほど、よろしくお願いいたします!

 損益に直接の関係はありませんが、私の会社への貸付金はIWJからの返済が滞っていて(逆の言い方をすると、自分への返済を後回しにしていて)、2025年6月30日現在の貸付残高が、約1150万円あります。

 また、コロナ期に融資を受けた金融機関からの借入金残高は、2025年6月30日現在で、約1870万円となっています。こちらは、毎月、必ず返済していかなければなりません。この連帯保証人は、私、岩上安身1人です。事実上、IWJの代表取締役である私が借りて、私が返済する借金です。

 したがって、今期の収支とは無関係に、私の負っている借金は現在3000万円ほどになります。これらは、今期の赤字とは、また別の借金となります。

 今期の最終的な収支は、決算を終えないとわかりませんが、機材の故障のため、新機材の購入でまとまった出費が必要になるなど、突発的な出費がない限り、おおよそこの予測からは、大きく外れることはないと思われます。最終的な数字が固まり次第、皆様にご報告をさせていただきます。

 どうか、皆様のご寄付・カンパ、そして会費の納付によって、今月の目標額を達成し、さらには、赤字額を少しでも減らすことができれば、と存じます!

 どうぞ、よろしくお願いいたします!

 岩上安身 拝

※以下は、IWJの活動へのご寄付・カンパを取り扱っております金融機関名です(各金融機関ごとに口座名が非統一ですが、どれも、各銀行の仕様に従ったもので、間違いではありません)。どうぞ、ご支援のほどよろしくお願いします!

みずほ銀行
支店名 広尾支店
店番号 057
預金種目 普通
口座番号 2043789
口座名 株式会社インデイペンデント ウエブ ジヤーナル

城南信用金庫
支店名 新橋支店
店番号 022
預金種目 普通
口座番号 472535
口座名 株式会社インディペンデント.ウェブ.ジャーナル

ゆうちょ銀行
店名 〇〇八(ゼロゼロハチ)
店番 008
預金種目 普通
口座番号 3080612
口座名 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル

 IWJホームページからも、お振り込みいただけます。

※ご寄付・カンパのお願い
https://iwj.co.jp/join/pleasehelpus.html

※会員の再開、新規会員登録はこちらからお願いします。
(会員登録済みの方)https://iwj.co.jp/ec/mypage/login.php
(新規会員登録の方)https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php

 年会費をまとまってお支払いいただければ、12ヶ月中2ヶ月分がサービスとなります。即ち、一般会員が月1100円で、年間だとその12ヶ月分1万3200円のところ、一括払いなら、1万1000円(消費税込み)となります。

 同じくサポート会員が、1ヶ月3300円で、毎月支払ってゆくと、12ヶ月で3万9600円のところ、一括払いですと、3万3000円(消費税込み)ですみます! 2ヶ月分おトクです! ぜひ、ご検討ください!


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

◆中継番組表◆

**2025.8.15 Fri.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【撮りおろし初配信】8月15日(金)19:00~「貿易政策と安全保障政策の融合!?『トランプ関税』の衝撃波が世界を襲う! 日本は関税率15%で合意したが、5500億ドル(約86兆円)を米国に投資し、その利益の90%を米国が得るという不平等合意! 日本は米国による収奪の対象! 岩上安身によるインタビュー第1203回ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 第3弾 後編」
視聴URL: https://iwj.co.jp/wj/open/archives/528826

 岩上安身によるエコノミスト・田代秀敏氏インタビューを配信します。これまでIWJが報じてきた田代秀敏氏関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%E7%94%B0%E4%BB%A3%E7%A7%80%E6%95%8F

========

◆中継番組表◆

**2025.8.16 Sat.**

調整中

========

◆中継番組表◆

**2025.8.17 Sun.**

調整中

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

◆昨日アップした記事はこちらです◆

【撮りおろし初配信】貿易政策と安全保障政策の融合!?「トランプ関税」の衝撃波が世界を襲う! 日本は関税率15%で合意したが、5500億ドル(約86兆円)を米国に投資し、その利益の90%を米国が得るという不平等合意! 日本は米国による収奪の対象! 岩上安身によるインタビュー第1203回ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 第3弾 中編
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/528823

「『なかったこと』にさせない!」~8.10『琉球・沖縄における性暴力と継続する植民地主義』強姦救援センター沖縄代表・高里鈴代氏講演会
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/528806

【撮りおろし初配信】貿易政策と安全保障政策の融合!?「トランプ関税」の衝撃波が世界を襲う! 日本は関税率15%で合意したが、5500億ドル(約86兆円)を米国に投資し、その利益の90%を米国が得るという不平等合意! 日本は米国による収奪の対象! 岩上安身によるインタビュー第1203回ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 第3弾 前編
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/528750

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

■<岩上安身による最新インタビュー報告>1930年代、フーバー米大統領の高関税政策の影響は、全世界に波及して大恐慌に至った! 歴史の教訓になぜ学ばない? トランプ関税によって「世界経済はより大きな不確実性に直面」! 安全保障を餌にして不平等貿易をゴリ押し!?「トランプ関税」の衝撃波が世界を襲う! 岩上安身によるインタビュー第1203回ゲスト エコノミスト 田代秀敏氏 第3回(前編)

 8月13日、岩上安身によるエコノミスト・田代秀敏氏インタビュー、「安全保障を餌にして不平等貿易をゴリ押し!?『トランプ関税』の衝撃波が世界を襲う!」の前編を撮り下ろし初配信しました。

 このインタビュー報告です。

 田代氏は、ドバイから帰国したばかり。ドバイで新たな会社を設立されました。

田代氏「アフリカのビジネスをする企業をマネジメントするんですけども。大体そういう会社は、日本企業も、あるいは(海外)企業もドバイに拠点を置くわけですよね。

 近いし、インドの会社もそうですけど、インドやアフリカで拠点を置いた時に、例えば駐在員の安全は確保できますかというような、わかりやすい問題ですよね」

 田代氏は、「警官は見かけないけれども、治安は東京よりもいいですよ」と述べました。

田代氏「ドバイの古い町並みのところの金の宝飾品店が割と多い。行ってみると、本当にガラスのショーケースに、山と、もう金の宝飾品が置いてあるわけです。

 これ、日本だったら、闇バイトのギャング団に、たちまち襲われて持っていかれますよね。なのに、警官もいないし、警備員も歩いてないんですよ」

 田代氏は、治安の良い理由について、街全体が「かつての日本みたいに、豊かさのオーラで包まれている」と説明しました。

田代氏「だからお店に入っても、むき身で、ずらっと、八百屋さんで野菜が並んでいるように、金の宝飾品がずらっと並んでいるんですよ」

 田代氏は、店側も盗まれるなどと考えてもいなくて、店内にも警備員もいない、と付け加えました。

 岩上が、今は、欧州とかアメリカの治安が悪くなっている、先進国だから治安がいいという状況ではない、と指摘すると、田代氏は日本でも、警察の指導で質屋がショーケースに商品を展示するのをやめている、と述べました。

田代氏「人口約400万弱と言われてるんだけど、その中で人口の8割から9割が外国人ですよね。ドバイって。(中略)

 90年代の半ばぐらいまでの日本っぽい雰囲気ですよね。だから、ビジネスの拠点になるのはよくわかるし、あと、ドバイ空港からは全世界に直行便が飛んでますよ。エミレーツ・エアラインが飛ばしていて。あそこってもう、世界最強の航空会社ですよ。利益率とか、めっちゃいいわけですよ。

 ドバイにこう会社を作って、アフリカの資源開発事業の、もちろん自分ではできないから、そのプロジェクトをマネジメントするという会社を作ったんです。実際にアフリカへ行って掘ったり、道路整備するのは、中国の土木会社で。

 (田代氏が)中国のことを少し知っていると、あとイスラムのことも少し知ってると。そういうことで頼まれたので。なかなか得難い経験だと思っていたらですね、あっさり圧倒されてきました」。

 田代氏は、ドバイから帰国した時、「夜風って、こんなに涼しいんだと思った」と述べ、ドバイではヘアドライヤーの熱風を浴びているような暑さだったと振り返りました。

 ドバイのお話は、またの機会に詳しくおうかがいしたいと思います。

 インタビュー本編では、岩上安身が冒頭、「トランプ関税が妥結したとか、合意に至った、『メデタシ、メデタシ』などという政府のお偉いさんのお話」をマスメディアが垂れ流しているが、「どこがめでたいのか?」、「25%と言っていたのが15%になったという、そのどこがめでたいのか?」と問題提起しました。

 トランプ関税政策は「不平等貿易のごり押し」であるといった批判や、トランプ関税がもたらす日本の自動車産業などへの影響、米国の「ドル特権」と貿易赤字の関係、中国との貿易摩擦、日本政府の弱腰対応などについて議論が交わされました。

<トランプ関税政策への批判>

 岩上安身は、トランプ関税合意について、日本政府はこんなにやすやすと、ぼったくりの不平等関税を受け入れてしまって、どうするんだ、と問題提起しました。

岩上安身「その裏側には何があったかというと、関税率15%で合意をしたけれども、5500億ドル、約86兆円ですよ。86兆円を特別会計から金をかき集めてきて、米国市場に投資しろ、と。

 そして、投資したその利益、――普通は投資して利益が上がったら、等分で、そのリターンをもらえるのが当たり前じゃないですか。ところが、(利益の)9割は米国政府のものであると。

 これを、堂々とトランプ大統領は『トゥルース・ソーシャル』というSNSに自分で書き込んで。『このディールは、我々の勝利だ』と大喜びで。

 しかもそれを各国のディールというよりは、恐喝ですね。これはボッタクリであり、恐喝であり、カツアゲだと思うのですけれども。こういう犯罪的な貿易ゴリ押し、不平等貿易のごり押しの事例を作ってしまったということに対して、これはどうしてくれるんだと。本当にこれだけ、何の抵抗もなく、こんなことをするようであると…。

 インドは、ものすごく抵抗しているんですけれども。こういう抵抗のために、2度脅されもしているんですけれどもね。

 だけれども、抵抗しなかったら主権も何もなくなりますよ。だって、お金は、もう無尽蔵にあるわけじゃないですから。『あそこは甘ちゃんだから、いくらでも収奪していけるわ』。

 馬鹿じゃないかなと思うんですけれども、そういうところを切り口にしていきまして、今や中国もインドもロシアも、それからNATO、欧州も引っ掻き回されている、この動きなどというものを総覧していくことをお願いしたいと思っておりまして。

 となると、幅広く語れるというのは、また田代さんしかないというところで。

 田代さん、海外出張から帰ってきたばかりなんですけれども、ぜひともよろしくお願いいたします」

<トランプ関税政策の影響>

 6月2日、『人民日報』が、トランプ関税についての田代秀敏氏のコメントを単独で掲載する、という出来事がありました。『人民日報』の海外版ではなく、国内向け本紙で、外国人の単独コメントが掲載されることは大変珍しいとのことです。

 田代氏は「私も驚いたし、中国のジャーナリストの人達もびっくりだと、初めて見た、と」言っていると述べました。

 田代氏は中国の語学教育の水準の高さ、そして世界中のどこにいっても、日本人の100倍、1000倍の規模で中国人が居住していることなどをあげ、「中国は帝国化する」と話しました。

 『人民日報』は、何万字かの田代氏の論考を正確に要約したものだということです。

 米国による関税賦課の対象や基準はころころ変わる可能性があり、関税政策は予測不可能である、というお話がありました。

田代氏「まず、関税をどうかけるか。対象や基準が、もうランダム。コロコロ変わると。まったく予測不可能。

 それは、トランプに限らず、皆そうだと。トランプという人が、それを楽しんでいるところがあるので、目立つだけで」。

 外国企業にとっても、米国の地元企業にとっても、事業活動のための合理的な取り決めを行うことが難しくなり、世界経済はより大きな不確実性に直面することになるという見通しも述べられました。

田代氏「外国企業にとっても、何よりも、アメリカの地元企業にとっても、そう。合理的な取り決めをすることが、すごく難しいんですよね。

 だって、明日いくらになるか、わからないんだから」

岩上「部品を納入してもらうと、それがとんでもない値段になっちゃう」

田代氏「注文した時と、届く時に、関税がさあ2倍になりましたと言われて。もう、まったく不確実性の世界に入ってるわけですよ」

 国際社会は一般的に、米国による無差別な関税適用によってすべての当事国の経済に損害を与え、最終的には米国にその結果をもたらすという見方をしていると言います。

田代氏「国際社会は一般的に言って、アメリカによる関税適用は、すべての当事国の経済に損害を与えると。

 で、最終的に、『でも、それって、アメリカにも同じことになるでしょう』ということは、誰もが思ってます、と。それが世界的な見方ですよね」

<フーバー大統領の歴史的な関税政策失敗の教訓>

 1930年代には、貿易保護主義が蔓延、国際貿易の相互制限は当時の経済恐慌の重要な原因となりました。

田代氏「少し歴史をたどりましょう。

 1930年代にはですね、貿易保護主義が蔓延したと」

岩上「これは、きな臭くなってくる、第2次大戦前の時代ですよね」

田代氏「うん。国際貿易の相互制限というのがですね、経済恐慌が広がっていく重要な原因だったわけです。

 1929年のニューヨークの大暴落だけで大恐慌が起きたわけじゃないんですね。その対処を間違ったと。アメリカが、そこで高関税政策をとったわけですね。

 フーバー(ハーバート・フーバー)が大統領だったんですけど、もう、特にアメリカの財界人、経済学者はもう大反対したわけですね。『あんたは、アメリカを滅ぼすのか』と。

 なんと、モルガンの中興の祖であるラモント(モルガン商会、T.W.ラモント)なんてね、ホワイトハウスに行って、跪かんばかりに懇願したんです。『こんな高関税政策はやめてくれ』って。

 だけど、フーバーは、政治的配慮で高関税政策をやって。

 案の定、アメリカの大暴落で始まった景気後退は、全世界に波及して大恐慌に至るわけですね」

岩上「長く語れば長くなっちゃうかもしませんが、できるだけコンパクトに教えていただきたいんですけれども。

 フーバーの頭の中にあるロジックとしては、――(結局)非常に不況になったわけですよね。それを高関税にすれば、どういう循環によって良くなると思い込んだんですか?」

田代氏「そんなに難しいことではなくて。

 アメリカ大統領にとって第1の仕事っていうのは、議会の同意を取り付けることですよね。じゃないと予算が通らないし、法律もできないし。

 その時、アメリカ議会の上院と下院のそれぞれ、農業州から、農業の盛んな州から選出されているベテラン議員二人が、超高関税政策を実現する法案を提案したわけ。

 で、フーバーは、それをもし拒絶したら、つまり(大統領)拒否権を発動したら、彼は議会の支持、特にオレゴン州とか、農業が盛んなところの州から選出された議員達の支持を失うと。

 そうすると、もう完全に政策は通らなくなってしまうというので、これほど財界人、経済学者の経営学者が連名で、ものすごい当時のアメリカの主立った経済者ほぼ全員が連名で、『こんなことをやめてくれ』と言ったのに、本当に政治的配慮(で超高関税政策を行った)」

岩上「他国が高関税にしているのを攻撃して、関税を安くしろと、アメリカの物を買え、というのはわかるんですけど。

 その時には、防衛的な意味で、つまりアメリカで作っているものよりも、外から入ってくるものが、農作物が安く入ってこられたら困ると。だから、関税を高く設定してもらわないと困る。

 そういうような防衛的な状態にあったということですか?

 今のイメージだと、今のアメリカの農業というのは大規模化して、とにかくコストダウンして大量に売りつけるっていうイメージがあるわけですけど」

田代氏「まあ、単に農業団体の利益の代表なわけですよね、それは。

 外国、特にウクライナとかフランスから入ってくる、あるいはアルゼンチンから入ってくる穀物をブロックするというためには、高関税をかけるとなるので。

 で、ついでにあれにもこれにもと言って、高関税をかける法律を通しちゃって、議会で。

 フーバーはもちろん、拒否権があるんだけど、拒否しちゃうと、もう議会は完全にフーバーに対しては協力しないと。そうなってしまうのを恐れて、法律を通してみたら、事態はもっと悪化したと」

 戦後の1948年には関税貿易一般協定(GATT)が一時的に発効し、経済体制も発展段階も、イデオロギーも異なる国々が、関税と貿易問題に関する交渉に徐々に参加するようになり、戦後の多国間貿易システムの基本原則と枠組みが確立されました。

田代氏「その苦い経験から、戦後1948年に関税と貿易に関する一般協定、英語の『ジェネラル・アグリーメント(GA)』ですね。『タリフ・アンド・トレード(TT)』の略、頭文字をとったガット(GATT)が、一時的に発効するんです。正式発効じゃなくて。

 要するに、合意をとるのは面倒だから、例えば『一時的なものですよ』という形でやって、その後、徐々にいろんな国が参加するようになって。時間をかけて、これ(GATT)作られていくんです」

岩上「じゃあ、その度に、ウルグアイ・ラウンド…」

田代氏「ウルグアイ・ラウンドってあったのは、それです。ケネディ・ラウンドとかね。

 そういう風に、大円卓会議が開かれて、どんどん参加者が増えていくから、ほとんど収拾困難になっていくわけですね」

岩上「それはそうですよね。それぞれに得意分野とか苦手分野がありますからね」

田代氏「それでも交渉が続けられ、多国間交渉を続けられて、多国間貿易システムの基本的原則と枠組みが作られた、というわけですね」

 その後40年間で、先進国の平均関税は36%から4.7%に引き下げられ、同時期に発展途上国・地域の平均関税も13%まで低下し、世界貿易総額は10倍以上に増加するに至りました。

田代氏「少し敷衍すると、その原則というのは…」

岩上「随分、(関税が)下がったんですね」

田代氏「そう。関税をなくすということですけど、関税をなくすというだけにすると、要するに、それが喜ばしい国もあれば、それが喜ばしくない国もある。いろいろ問題があるわけです。

 あと、関税を武器にする国も出ますよね。関税を武器化しないために、その大原則というのは、内国民待遇と最恵国待遇。

 どういうことかというと、外国の企業であっても合法的に自分の国の中で商売するんだったら、自分の国の企業と同じように扱う。内国民として扱うということ。

 次に、例えば、関税を発動する必要がある時もあるかもしれない。自国の産業がだめになるなら。その時に、特定の国からの輸入品だけに関税をかけるというのはダメ、と。

 逆に言えば、特定の国からの輸入品にだけ関税を免除するのも、ダメと。

 関税免除する時には、すべての国からの輸入品に対して、その品目に関してはなくすか、あるいはすべての国・地域からのその品目に関して、同じ関税率を適用すると。

 これが最恵国待遇、つまり最強の最も優遇されるということ、それを許さないってことですよ。

 やるんだったら、つまりGATTの参加国のある国に対して、『じゃ、お前のとこからの輸入品には、関税0にする』と言ったら、ほぼ全部0にしないといけない。

 おわかりのように、トランプが言ってることって、この2つの原則を完全に蹂躙してるわけですよね」

岩上「めちゃくちゃですよね。まず(関税の)兵器化ですよね」

田代氏「これはですね、第2次戦後の、長い期間かけて作り上げてきた貴重なシステムなんだけど、これが今、風前の灯火になったというのは」

岩上「大変なことですね」

田代氏「音頭をとっていたアメリカが、要するに、御輿を一番担いだど真ん中いた人間が、その神輿をひっくり返そうと。もっと言えば、火をつけようと、してるという時代なんですね。

 で、かなり火炎瓶とか投げ込んでいるんですよ。必死になって、消火活動をするんだけど」

岩上「でも、それについて根本的な、このガットみたいなものが、長い間時間をかけて、40年間かけて…」

田代氏「(先進国の平均関税は)36%から4.7%に(引き下げられた)」

岩上「それも先ほどおっしゃられたように、一時的なもので、ラウンドごとに話し合いをして、お互い妥協したりしながら作ってきたわけじゃないですか。

 そうやってきたものを、今、めちゃくちゃに壊してるわけですよね。で、信じられないことをやってますよ。それを正面から批判するってことがほとんどないんですよ」

田代氏「正面から批判してるのは、中国だけ。中国だけですよ、正論を切って反論してるのは。

 他の国は、日本なんか典型だけど、『うちだけは勘弁してください』ってね。

岩上「もう欧州も、全く同じですよ。関税率までも(15%)」

田代氏「『うちだけ勘弁』というのは、さっき言ったように、最恵国待遇の原則に抵触してるんですよ」

岩上「ダメですよね。アウトってことですね」

———-

8/13(水)19時~【撮りおろし初配信】貿易政策と安全保障政策の融合!?「トランプ関税」の衝撃波が世界を襲う! 日本は関税率15%で合意したが、5500億ドル(約86兆円)を米国に投資し、その利益の90%を米国が得るという不平等合意! 日本は米国による収奪の対象! 岩上安身によるインタビュー第1203回ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 第3弾 前編 2025.8.5
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/528750

———-

(続く)

■ウクライナが行き詰まったら、米国の戦争マシンはすぐ次の手を打つ! 不仲だったアゼルバイジャンとアルメニアが、米国の仲介で和平協定に署名! ジョージアを含めて、ロシア南部のザカフカス3国を米国の影響下に置く!! イランは、アルメニア国内のイラン国境付近に設置される、アゼルバイジャンと飛地を結ぶ回廊について、「この地域の現状変更や不安定性の増大、米国とイスラエルの共同の陰謀を招く可能性がある」と懸念を表明! ロシア外務省も「地域外のプレーヤーの関与による、新たな分裂」を警戒! 米国の戦争マシンは、西方(ポーランド)と北方(バルト三国)と南方(ザカフカス三国)から、ロシア攻略を続行!?(中編)

 昨日のこの『日刊IWJガイド』でお伝えした、米国の仲介によるアルメニアとアゼルバイジャンの和平合意の後編です。

※ウクライナが行き詰まったら、米国の戦争マシンはすぐ次の手を打つ! 不仲だったアゼルバイジャンとアルメニアが、米国の仲介で和平協定に署名! ジョージアを含めて、ロシア南部のザカフカス3国を米国の影響下に置く!! イランは、アルメニア国内のイラン国境付近に設置される、アゼルバイジャンと飛地を結ぶ回廊について、「この地域の現状変更や不安定性の増大、米国とイスラエルの共同の陰謀を招く可能性がある」と懸念を表明! ロシア外務省も「地域外のプレーヤーの関与による、新たな分裂」を警戒! 米国の戦争マシンは、西方(ポーランド)と北方(バルト三国)と南方(ザカフカス三国)から、ロシア攻略を続行!?(前編)
(日刊IWJガイド、2025年8月14日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20250814#idx-8
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/55022#idx-8

 ホワイトハウスでの和平合意前日の8月7日付『ポリティコ』は、「アルメニアは、ザンゲズール回廊の土地における、米国への99年間の独占特別開発権の付与に合意した」とした上で、次のように報じています。

 「米国は、27マイル(約43キロメートル)の回廊沿いに鉄道、石油、ガス、光ファイバー回線、そしておそらくは電力送電網を開発するコンソーシアム(共同事業体)に土地を転貸することになる」。

 この『ポリティコ』に証言した米政府関係者は、「明日は小切手を書き出すための握手だが、まだ契約書に署名し、小切手を換金する必要がある」と、生々しく語っています。

※US brokers a deal between long-hostile Armenia and Azerbaijan(POLITICO、2025年8月7日)
https://www.politico.com/news/2025/08/07/us-deal-armenia-azerbaijan-00499285

 アルメニアとアゼルバイジャンの和平を米国が仲介した背景は、利権だけにとどまりません。

 もともと、アゼルバイジャンと飛び地であるナヒチェヴァンを結ぶルートとしては、イラン国内を通る回廊が計画されていました。

 イランとアルメニアは、経済・エネルギー面で協力関係にあり、アルメニアにとっては、トルコとアゼルバイジャンが国境を封鎖しているため、イランは重要な貿易ルートです。

 一方、アゼルバイジャンは、トルコやイスラエルと友好関係にあり、この点で、イランとアルメニアには、アゼルバイジャンとトルコの影響拡大を警戒するという、共通の利害関係がありました。

 さらに多民族国家であるイラン国内には、人口比率で1/6~1/3とされるアゼリー人がいます。彼らアゼリー人は、アゼルバイジャン人と同じトルコ系の民族であり、イラン政府が少数民族の蜂起を警戒している、という側面もあります。

※親米・親イスラエルへのイランの体制転覆は、パキスタンが受け入れない! インド・パキスタン紛争の空中戦で、圧勝したパキスタンが使ったのは、中国製戦闘機! ロシア製の最新兵器を提供してもらえないイランも、中国製兵器の導入を検討中! 岩上安身によるインタビュー第1199回ゲスト 放送大学名誉教授・高橋和夫氏(後編)
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/528289

※ここから先は【会員版】とさせていただきます。御覧になりたい場合は、ぜひ、新規の会員となって、あるいは休会している方は再開して御覧ください! 会員へのご登録はこちらからお願いいたします。

https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php

―――――――

■トランプが「戦争をやめる大統領」とは信じがたい! ロシア・ウクライナ紛争が終結しないうちに、NATO対ロシア戦争へと拡大か!? このタイミングでNATOが、ウクライナと国境を接するポーランドで史上最大の軍事演習! ドイツ軍は、第2次大戦後史上初の、外国に軍を派遣! リトアニアに駐屯! 飛び地のカリーニングラードはかつてのドイツ領ケーニヒスベルク!! 対抗するロシア・ベラルーシも大軍事演習! これはNATOとロシア軍の全面衝突を想定した軍事演習!?

 8月15日のアラスカでの米露会談の裏で、米を中心としたNATO軍と、ロシア・ベラルーシ合同軍による、史上最大規模の軍事演習が、9月に計画されています。

 NATO史上最大と言われる軍事演習の名称は、「アイアン・ディフェンダー25」です。

 この演習の実施時期は9月で、参加規模は、ポーランドなどNATO諸国(ドイツ、フランス、スペイン、オランダ、ルーマニア、バルト三国)を含め、約3万4000名の兵力(陸軍2万5000人、空軍2500人、海軍・統合サイバー電子部隊6500人)が参加する予定です。

 演習エリアは、ポーランドです。

 具体的には、ポーランド北部ポモージェ県にある港町で、バルト海沿岸に位置するウストカ、ポーランド北東部ヴァルミア=マズールィ県にあり、ロシア・カリーニングラード州国境近くのオルシュ、ポーランド南東部ポドカルパチェ県にある町で、ウクライナ国境に近いノヴァ・デバで実施されます。

 この演習で使用する兵器は、約600種類です。ただし、これには通信、整備、救助、燃料タンカーなどの大型車両は含まれていません。

※Around 34,000 troops from Poland, NATO countries to take part in Iron Defender drills(アーメンプレス、2025年7月23日)
https://armenpress.am/en/article/1225545

 管理司令部は、米国のフォートノックスに、前進司令部はポーランドのパウスナンにあります。

 中核部隊には、米第一歩兵師団、第三歩兵師団、第101空挺師団が含まれます。

※米国からロシアへの大きな回答:34,000人の鉄の軍隊がロシアの玄関口に積極的に向かっている(ミリタリー・ポリティクス、2025年8月11日)
https://youtu.be/ogZP-nkQdHc

 ベラルーシ向けに独立系報道を行うポーランドのロシア語サイト『Belsat』は、この演習が、ロシア・ベラルーシの合同軍事演習「ザーパド2025」への対抗措置として構想されたと、ポーランドのウワディスワフ・コシニャク=カミシュ国防相が答えたと報じています。

 「そうだ。これはポーランド軍と我々の同盟の力を示す演習だ。当然ながら、ロシア側もベラルーシ領内で演習を行っているので、NATOの力、ポーランド軍の力、我々の関係、能力、そして可能性を明確に示すべきだ」。

※В ответ на ≪Запад≫ Польша запланировала свои учения, чтобы ≪четко показать силу Альянса≫(Belsat、2025年6月25日)
https://ru.belsat.eu/87467973/otvet-na-zapad

 また、参加国は、6月25日付『Belsat』によれば、「ポーランドからは第18機械化師団が参加し、米国、トルコのほか、スロバキア、フィンランド、カナダなども参加に関心を示しているという」。

 具体的な演習作戦について、7月25日付『charter97』はこう報じています。

※ここから先は【会員版】となります。会員へのご登録はこちらからお願いいたします。ぜひ、新規の会員となって、あるいは休会している方は再開して、御覧になってください!

https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php

―――――――

― – ― – ― – ― – ― – ― – ― – ― – ― – ― – ― – ― – ― – ―

 それでは、本日も1日、よろしくお願いします。

 YouTubeへの高評価とチャンネル登録も、よろしくお願いします。10万人登録まであと少しです!

 ご支援のほども、よろしくお願いします。

※日刊IWJガイドのフルバージョン(会員版)は下記URLより御覧ください。
https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20250815

IWJ編集部(岩上安身、六反田千恵、尾内達也)

IWJ 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル
岩上安身サポーターズクラブ事務局
公式サイト【 https://iwj.co.jp/
公式X(旧ツイッター)アカウント【 https://twitter.com/iwakami_staff