┏━━【目次】━━━━
┠■【本日のニュースの連撃! クラスター爆弾徹底特集! ついにウクライナ軍が実戦でクラスター弾を使用!? 渾身の全5連弾!】
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┠■【第1弾! ウクライナ軍がトクマクをクラスター弾で砲撃したとロシア軍作戦部隊が報告!】メドベージェフ元ロシア大統領は『テレグラム』に「トクマクがクラスター弾で砲撃されたことが報告された。今こそ、これらの非人道的兵器を解放する時なのだ!」と投稿! しかし、ウクライナ軍は少なくとも2015年以降の東部ドンバスをめぐる内戦で旧式のクラスター爆弾「トーチカU」を使用していた!(TASS、2023年7月11日)
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┠■【第2弾! 米国がウクライナにクラスター弾を供給すれば、ロシアはウクライナに同等の兵器で対抗すると表明!】ロシアのショイグ国防相が「米国がウクライナにクラスター弾を供給すれば、ロシア軍は対抗措置として、ウクライナ軍に対して同等の兵器を使用せざるを得なくなるだろう」と表明! ウクライナ国内で、ウクライナ軍が始めたクラスター弾使用で、ロシア軍が応戦! 戦場となったウクライナが地獄に変わる!!(RT、2023年7月11日)
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┠■【第3弾! トランプ前大統領が警告! ウクライナへのクラスター爆弾供与で米国は第3次世界大戦へ引き込まれた!!】トランプ前大統領が、ウクライナへクラスター弾供与を決めたことで「米国はより一層第3次世界大戦へと引き込まれた」と指摘!「不発弾がこの先何十年もウクライナ人を殺し、障害を負わせる」と糾弾!!(スプートニク、2023年7月12日)
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┠■【第4弾! クラスター弾の非人道性! 半世紀前に東南アジアで米軍が敢行した空爆による不発弾の犠牲者の発生は今も続いている!】ラオス内戦で米軍が投下した大量のクラスター爆弾の不発弾で、60年間で3万人以上が死亡! 2万人以上が負傷!(『スプートニク』、2023年7月11日)
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┠■【第5弾! イーロン・マスク氏が「たとえ犠牲者が同じでも、消耗戦ではロシアが勝つ」とツイート!】イーロン・マスク氏がツイッターで「ロシア軍はウクライナ軍を4対1で上回っているため、たとえ犠牲者が同じでも、消耗戦ではロシアが勝つだろう」と指摘! さらに「ウクライナは反転攻勢に失敗すれば、さらに多くの領土をロシアに占領されるので、大規模攻勢に出られない」とも!(イーロン・マスク氏ツイッター、2023年7月10日)
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┠■7月に入り、IWJの今期第13期もあと残り1ヶ月となりました! この11ヶ月間の累積の不足額は、2039万3900円と、2000万円を超えてしまいました!! 7月こそは少なくとも月間目標額390万円を達成し、さらに不足分の赤字幅2000万円を皆さまのご支援で少しでも減らしたいと願っています! IWJを存続させてください! 今月末の期末まで緊急のご支援・ご寄付・カンパを、どうぞよろしくお願いいたします!!
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┠■【中継番組表】
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┠■<インタビュー報告>「『世の中は、アメリカの都合で回っているべきではないし、回ってはいない』ということを、みんなひしひしと感じてます」「リアリティが反映されてないな、というのは、日本のメディアを見ていての印象です」!「アメリカは守ってくれない」という、サウジアラビアなど中東親米国の不信感が、中東の政治バランスを劇的に転換した! 岩上安身による放送大学名誉教授・高橋和夫氏インタビューをお送りしました!
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┠■<インタビュー決定>7月18日(火)午後6時半から、フランス現代思想がご専門の哲学者である一橋大学名誉教授・鵜飼哲氏への、岩上安身によるインタビューが決定しました! 米国の正体は地上唯一の超帝国! その支配の完結を求めるNATOの東方拡大とロシアの弱体化が桎梏に! その間に、グローバルアジアが覚醒! 植民地にされ、奴隷貿易によって搾取されてきた欧米列強の不正義を訴え始めています! 鵜飼哲先生に、この世界の変化を解説してもらいます。
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┠■<インタビュー決定>7月24日(月)午後4時から、国際政治学者、六辻彰二氏への、岩上安身によるZOOMインタビューが決定しました! ウクライナのネオナチを支援したことで、ブーメランのように、ヨーロッパ各地に極右過激派が出現してしまうリスクについて、国際政治学者、六辻彰二氏にお話をうかがいます!
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おはようございます。IWJ編集部です。
■【本日のニュースの連撃! クラスター爆弾徹底特集! ついにウクライナ軍が実戦でクラスター弾を使用!? 渾身の全5連弾!】
■【第1弾! ウクライナ軍がトクマクをクラスター弾で砲撃したとロシア軍作戦部隊が報告!】メドベージェフ元ロシア大統領は『テレグラム』に「トクマクがクラスター弾で砲撃されたことが報告された。今こそ、これらの非人道的兵器を解放する時なのだ!」と投稿! しかし、ウクライナ軍は少なくとも2015年以降の東部ドンバスをめぐる内戦で旧式のクラスター爆弾「トーチカU」を使用していた!(TASS、2023年7月11日)
『TASS』は11日、ウクライナ軍がトクマク(IWJ注・ウクライナ中南部ザポリージャ州のロシア側支配の最前線にある集落)をクラスター弾で攻撃した、とロシア軍の同地域の作戦部隊が、記者団に語ったと報じました。
「17時15分、ナチス・キエフ政権の武装勢力がトクマクの町を砲撃した。予備情報によると、敵はクラスター弾を使用した。養鶏場付近と、ヴァシリエフカ方面の出口に命中した。被害と死傷者に関する情報は、現在調査中である」。
『インターファクス』(11日)によると、トクマクはザポリージャ地域の最前線集落のひとつで、最も頻繁にウクライナ軍の砲撃にさらされています。この都市は、当局が治安上の理由から住民の自発的な退去を組織した都市のリストに含まれています。
※В Запорожской области сообщили об обстреле ВСУ Токмака кассетными боеприпасами(TASS、2023年7月11日)
https://tass.ru/proisshestviya/18250065
※ВСУ обстреляли запорожский Токмак(interfax、2023年7月11日)
https://www.interfax.ru/russia/911167
★ウクライナ軍が、クラスター爆弾を使ったという一報に対し、ロシアの安全保障会議副議長であるドミトリー・メドベージェフ元大統領が、7月12日付け『テレグラム』に、「トクマクが、クラスター弾で砲撃された」と投稿しました。
「NATOサミットの結果速報。
思惑通りだ:
1. ウクライナの同盟加盟に関する行動計画(MAP)― 中止へ。より早く受け入れるかのように。
2. ウクライナをNATOに招待する。しかし、いつ、どのような条件で受け入れるかはわからない。
可能性はかなり高い。そしてこれは、同盟の現実主義者たちが声を大にして言うことを恐れていることでもある。
3. キエフ政権への軍事援助を増やす。ミサイル、クラスター爆弾、航空機など、ありとあらゆるものを使って。
完全に狂ってしまった西側諸国は、それ以外のことは考えられない。バカとしか言いようのない最高レベルの予測可能性。行き止まりだ。第三次世界大戦が近づいている。
このことが私たちにとって何を意味するのか。明白だ。特別軍事作戦は同じ目的で継続される。
そのひとつは、キエフのナチス集団のNATO加盟拒否である。
だから、このグループは清算しなければならない(これは可能であり、必要なことだ)。
P.S. トクマクがクラスター弾で砲撃されたことが報告された。今こそ、これらの非人道的兵器を解放する時なのだ」。
※メドベージェフ氏のテレグラム(2023年7月12日)
https://t.me/medvedev_telegram/353
この最後の、追伸部分ですが、翻訳の際、悩みました。「非人道兵器を廃棄するのだ」とも「非人道兵器を解放する時なのだ」とも訳しうるようなのです。そこで、メドベージェフ元大統領の発言を報じた『タス通信』を参照してみました。全文は、以下の通りです。
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メドベージェフ大統領、トクマク砲撃を受けてロシアのクラスター弾を「暴く」よう要請(Tass、2023年7月12日)
https://tass.ru/politika/18250605
「ロシアのセルゲイ・ショイグ国防大臣は以前、米国がウクライナに適切な物資を供給した場合、ロシア軍はウクライナ軍に対して同様の兵器の使用を余儀なくされるだろうと述べた。
モスクワ、7月11日。/タス/。
ウクライナがすでにザポリージャ地域のトクマクへの砲撃でクラスター弾を使用したことを受け、ロシアは保有するクラスター弾を使用すべきである。これはロシア連邦安全保障理事会のドミトリー・メドベージェフ副議長が述べた。
『トクマクがクラスター弾で砲撃されたと報じられた。だから、この非人道的な兵器の貯蔵庫を明らかにする時が来たのだ』と彼は自身のテレグラムチャンネルに書いた。
これに先立ち、ザポリージャ地域の作戦当局は、ウクライナ国軍(AFU)がクラスター爆弾を使用して同地域のトクマク市に発砲したと報告した。養鶏場周辺と市郊外で被害が記録された。
ロシアのセルゲイ・ショイグ国防大臣は、米国がウクライナにクラスター弾を供給すれば、ロシア軍はウクライナ軍に対して同様の兵器の使用を余儀なくされるだろうと述べた。同氏はまた、ロシアはクラスター弾が民間人に及ぼす脅威を認識しており、特別作戦中はクラスター弾の使用を控えたと付け加えた。ショイグ氏によれば、アメリカ人によるこれらの兵器の供給は紛争を長引かせるだろう」
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この『タス通信』の記事を読む限り、メドベ―ジェフ元大統領は、米国による、ウクライナへのクラスター弾の供与について、ショイグ国防相と同じく、報復のために使用すべきだ、と発言したことが明らかです。
もともとタカ派の発言をすることで知られているメドベージェフ元大統領は、ウクライナのNATO加盟の可能性も、ウクライナがクラスター弾を使用したことについても、いつものように興奮してイキリ立っていますが、ここはひとまず、落ち着きましょう。
まだ米国によるクラスター爆弾の供与は始まっていないはずです。そもそも、ウクライナ軍はすでにクラスター弾を所有しているのでしょうか?
実は昨年4月8日、クラマトルスク駅を攻撃した「トーチカU」は、「1個7.5kgの破片弾頭を最大で20個搭載可能で、約1万6000個の破片を発生させる」非人道的なクラスター爆弾だったと、ロシア国防省が発表しています。
※ロシア国防省によるブリーフィング (2022年4月8日)
https://www.facebook.com/watch/?v=706490470372233
当初、ウクライナ側は、ロシア軍が民間人も多く集う駅をクラスター爆弾で攻撃したと、非難しました。
しかし、その後、砲弾の破片に残っていたシリアルナンバーから、クラマトルスク駅を攻撃したクラスター弾は、ウクライナ軍が所有していた「トーチカU」であったことが判明しました。IWJは、この時点で、ウクライナと西側のプロパガンダを見破る検証報道を出しています。
※【号外第17弾】スコット・リッター氏の「クラマトルスク市の鉄道駅を攻撃したミサイルの残骸からシリアルナンバーを取得せよ」という呼びかけに対し、親ロシア派とみられるアカウントから、駅攻撃に用いられたのはウクライナ軍が保有する「9M79-1」系統のミサイルだという報告! ロシア国防省は、ロシア軍はそもそも「トーチカ-U」を使っていないと発表! クラマトルスク市の駅を攻撃したのはウクライナ軍!? 2022.4.11
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/504642
「トーチカU」は、ロシア軍も使っていましたが、ロシア軍では、「トーチカU」は2019年に退役しています。
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■【第2弾! 米国がウクライナにクラスター弾を供給すれば、ロシアはウクライナに同等の兵器で対抗すると表明!】ロシアのショイグ国防相が「米国がウクライナにクラスター弾を供給すれば、ロシア軍は対抗措置として、ウクライナ軍に対して同等の兵器を使用せざるを得なくなるだろう」と表明! ウクライナ国内で、ウクライナ軍が始めたクラスター弾使用で、ロシア軍が応戦! 戦場となったウクライナが地獄に変わる!!(RT、2023年7月11日)
ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は、7月11日の会見で、「米国がウクライナにクラスター弾を供給すれば、ロシア軍は対抗措置として、ウクライナ軍に対して同等の兵器を使用せざるを得なくなるだろう」と表明しました。7月11日付けロシア『RT』が報じました。
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■【第3弾! トランプ前大統領が警告! ウクライナへのクラスター爆弾供与で米国は第3次世界大戦へ引き込まれた!!】トランプ前大統領が、ウクライナへクラスター弾供与を決めたことで「米国はより一層第3次世界大戦へと引き込まれた」と指摘!「不発弾がこの先何十年もウクライナ人を殺し、障害を負わせる」と糾弾!!(スプートニク、2023年7月12日)
7月12日付け『スプートニク』(日本語版)は、「ドナルド・トランプ前米大統領は、バイデン大統領がウクライナへのクラスター爆弾の供与を決めたことで、米国はより一層第3次世界大戦へと引き込まれたと指摘した」と報じました。
「ジョー・バイデンはウクライナにクラスター爆弾を供与し、これ以上我々を第3次世界大戦に引き込むべきではない。彼は無力な大統領府によって引き起こされた戦争を終わらせ、無残な死と破壊を終わらせるべきだ」
『スプートニク』の記事は、トランプ氏の発言が、いつ、どこで行われたものかは明らかにしていませんが、クラスター弾の不発弾が「この先何十年もウクライナ人自身を殺し、障害を負わせることになる」と危惧を示し、米国の弾薬不足が「クラスター爆弾供与に踏み切った理由」だと指摘して、この事実自体が「ウクライナ紛争を早急に終わらせる必要性を明確に示している」と語ったと報じました。
また、この記事によると、トランプ氏は、バイデン大統領のウクライナ政策が「米国を著しく弱体化させた」と強調したとのことです。
※「米国を第3次世界大戦へ引きずりこむ」 バイデン大統領のクラスター爆弾供与決定をトランプ氏が痛烈批判(SPUTNIK日本、2023年7月12日)
https://sputniknews.jp/20230712/3-16513312.html
★好戦的なバイデン大統領にはうんざりだが、何をしでかすのか予想がつかないトランプ前大統領も苦手だ、という人は、決して少なくないと思います。
バイデン大統領は、共和党のブッシュ政権が始めた対テロ戦争、とりわけその嚆矢となった、アフガニスタンへの約20年間続いた侵略戦争を終わらせ、米軍を撤退しました。
そのかわりに、2014年、民主党のオバマ大統領時代にウクライナで、クーデターを引き起こし、バイデン自身が副大統領として、現在、国務次官のヴィクトリア・ヌーランドとともに「利権」を確保し、自身が大統領となってから、ドンバス紛争を激化させて、ロシアの介入を呼び込み、米露「代理戦争」を開始しました。
こうしてみると、共和党の「利権」となった中東を舞台とした対テロ戦争には冷ややかであるものの、民主党のクリントン政権時代に、NATOの東方拡大を始め、同じく民主党のオバマ政権時代にウクライナで決定的な「種」をまき、自分自身が大統領となってから、バイデン大統領は、「収穫」の時期を迎えて、快哉を叫びたいところだったでしょう。
NATOの東方拡大の限界地点、ロシアから見れば完全に「レッドライン」であるウクライナを、徹底した「アンチ・ロシア」の国に仕立て上げて、ロシア系住民の迫害によって挑発にも成功し、ロシアとプーチンを世界の「悪玉」にし、欧州とロシアの関係を切り裂き、古い武器の在庫も一掃して、これからスポンサーである軍事産業にさらなる儲け話を提出できるところにまでたどりついたのです。
しかし、意外にしぶとい支持率を誇るライバルでもあるトランプ前大統領が、バックにロッキード・マーティン社やレイセオン社などの利益を代弁しているバイデン大統領の「代理戦争」政策に、公然と、しかも「人道的」に正しい表現で、文句をつけだしているのです。
「クラスター爆弾を供与すべきでない」。
「我々を第3次世界大戦に引き込むべきではない」。
「戦争を終わらせ、無惨な死と破壊を終わらせるべきだ」。
欲望のおもむくままに自由に生きる、ビジネスマン風であったトランプ氏が、「優等生」のような発言(人として当たり前の発言ではあるのですが)を口にしていることに、意外に思われた方は多いのではないか、と思います。
これはまるで、民主党の中で、大統領候補を現職のバイデン大統領と競っているロバート・ケネディ・Jr氏の発言のようではないか、と。まさしく、ロバート・ケネディ・Jr氏の政策理念にそっくりの口ぶりです。
IWJでは、ノルドストリーム・パイプラインを爆破したのは米国とノルウェーであるとスクープを飛ばしたジャーナリストとして、たびたび紹介しているシーモア・ハーシュ氏が、最新の記事「エアフォースワンの恐怖と嫌悪」の中で、意表をつく大統領選の見立てを書いています。以下、引用します。
「2024年の大統領選について、民主党がパニックに陥っていることを示す、愚かな恐怖から始めよう。
トランプが共和党候補となり、ロバート・ケネディ・Jrを伴走者に選ぶかもしれない。この奇妙なコンビは、躓いたジョー・バイデンに大勝し、党の下院・上院候補の多くも倒すだろう」。
この書き出しを読んで、引っくり返りそうになりました。どれほど真実味のある情報なのか、単にハーシュ氏の思いつきに過ぎないのか、その点はわかりませんが、まったく想像もしていなかった組み合わせでした。
共和党のトランプ大統領と、民主党のロバート・ケネディ・Jr氏の副大統領というコンビ。これは、水と油のような組み合わせではあります。
しかし、ウクライナ紛争を終わらせ、ロシアとの熱核戦争という「世界の終末の日(Doomsday)」に向かってひた走るチキン・ゲームを終わらせ、「台湾有事」を口実とした東アジアでの米中「代理戦争」計画も御破算にしてくれて、「軍事超帝国」を、破産する前に上手に店じまいし、多極化世界で他の国々と平和共存する米国にシフトチェンジしてくれるのだったら――。
こんな不思議なコンビでもいいのか、という気持ちが少しわいてきます。
現実には、「超帝国」は、覇権を失ってゆく過程で、その延命のために、何度も悪あがきを続けることでしょうし、このような凸凹コンビが登場したからといって、すべて事が円満におさまるものでもないことは重々承知しているつもりです。
とはいえ、ハーシュ氏の「想像力」で、しばし、頭の中が涼しくなりました。米国内の大統領選の行方にも、注目していきましょう。(IWJ)
■【第4弾! クラスター弾の非人道性! 半世紀前に東南アジアで米軍が敢行した空爆による不発弾の犠牲者の発生は今も続いている!】ラオス内戦で米軍が投下した大量のクラスター爆弾の不発弾で、60年間で3万人以上が死亡! 2万人以上が負傷!(『スプートニク』、2023年7月11日)
『スプートニク』(日本語版)は7月11日付け記事で、ウクライナへクラスター爆弾の供与を決定した米国が、1960年代から70年代に、ラオス内戦で大量のクラスター爆弾を投下し、戦後に米国のボランティアらが不発弾処理を行ったことを指摘して、「米国はインドシナ戦争の教訓を忘れ、ウクライナへのクラスター爆弾供与を決定した」と報じました。
『スプートニク』の記事によると、「ラオス内戦で米軍はクラスター爆弾を大量に投下し、散開した計2億7000万発の子弾のうち、8000万発ほどが不発弾として残った。スプートニクが不発弾処理に関するラオス政府の報告書を調査したところによると、内戦から約60年間で、不発弾によって3万人以上が死亡、2万人以上が負傷している」とのこと。
この『スプートニク』の記事は、ラオスで1990年代から2000年代に不発弾処理にあたってきた、不発弾処理を担う国際プログラムの元参加者の中には、米国の元軍人もいて、「米国が過去のラオス侵略でもたらした損害を、不発弾処理で少しでも償いたいと話していた」とのことです。
※【視点】一方で治癒し、他方で傷つける ラオスで不発弾処理の元軍人、米クラスター爆弾供与の矛盾を斬る(SPUTNIK日本、2023年7月11日)
https://sputniknews.jp/20230711/16508005.html
★クラスター爆弾の非人道性は、一発の爆弾の弾体の中に、数個から多ければ数百個の子弾を抱えていて、その子弾の多くが不発弾となり、戦争が集結したあとでも長期にわたって残存し、時に炸裂して地域住民に犠牲者を出す点にあります。いったん投下されれば、その一帯は、いつになっても「戦争が終わらない」土地になってしまうのです。
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■【第5弾! イーロン・マスク氏が「たとえ犠牲者が同じでも、消耗戦ではロシアが勝つ」とツイート!】イーロン・マスク氏がツイッターで「ロシア軍はウクライナ軍を4対1で上回っているため、たとえ犠牲者が同じでも、消耗戦ではロシアが勝つだろう」と指摘! さらに「ウクライナは反転攻勢に失敗すれば、さらに多くの領土をロシアに占領されるので、大規模攻勢に出られない」とも!(イーロン・マスク氏ツイッター、2023年7月10日)
米国の実業家イーロン・マスク氏は、11日、米起業家・投資家のジェイソン・カラカニス氏の、「プーチンはウクライナでクラスター爆弾を使ったが、ウクライナは自国領土でクラスター爆弾を使用できない。これは正しいでしょうか?」というツイートに返信する形で、次のようにツイートしました。
「ウクライナとロシアの若者たちという花は、領土をほとんど得ることのないまま、長い間、塹壕で枯れ(死に)続けている。
どちらの側が、塹壕の多い敵陣地に攻勢に出たとしても、はるかに多くの兵士を失うことになる。しかも、ロシア軍はウクライナ軍を4対1で上回っているため、たとえ犠牲者が同じでも、消耗戦ではロシアが勝つだろう。
ウクライナの攻勢が失敗し、多くの死傷者が出た場合、ロシアの反撃により、さらに多くの領土が占領されるだろう。これが、大規模な攻勢が行われていない理由だ」。
※イーロン・マスク氏のツイート(2023年7月10日)
https://twitter.com/elonmusk/status/1678215642858569729
★驚くのは、ジェイソン・カラカニス氏は、ロシア軍が先にクラスター弾を使ったことを自明の前提としており、その報復として、ウクライナがクラスター弾を使用するのはいけないのかと、問いかけていることです。これでは、話があべこべです。
米国ではクラスター弾がロシア軍によって先に使われた、という情報なり、報道なりが広まっているようです。これは、恐るべき事態です。ロシアがクラスター弾を用いたという情報は、公式的に確認されていません。
このカラカニス氏は、起業家で投資家とのことですが、投資家は特に情報の正確性に敏感でなければならないはずです。情報を正確に把握しなければならない投資家ですら、「ロシアが先制してすでにクラスター弾を使っている」という流言飛語を信じてしまうような社会状況にある、ということです。積み重ねた政府とマスメディアのプロパガンダ、そこにネットやSNSでのガセ情報も加わって、妄想が支配的になっている状況なのではないかと心配になります。
西側では日本を含めてどこも似たような状況かもしれませんが、米国の世論には、危険な兵器の供与や使用の決定能力がある、という点で、米国市民の責任や影響力は重大です。
これに対して、イーロン・マスク氏は、クラスター弾の先制使用がロシアかウクライナのどちらかについては、何も言及していません。
反論はできないくらいに、「ロシア軍が先に使用している」というナラティブ(物語)は、米国では優位なのでしょうか。
しかし、マスク氏は、兵力差によって「消耗戦ではロシアが勝つだろう」とリプライしています。マスク氏の兵力差が4対1という主張は、おそらく総人口でロシアがウクライナの4倍である、ということを根拠としていると思われます。
一昨日、IWJが号外で、最新の論文の仮訳を出したミアシャイマー氏は、同じ論文の中でこう書いています。
「消耗戦を誰が勝つかは、ほとんど3つの要因の関数で決まる。両軍の決意のバランス、両軍の人口のバランス、および減損数比である。ロシア軍は、人口規模では決定的な優位にあり、減損数比では顕著な優位にある」。
減損数比とは、簡単にいえば軍の死者や負傷者が出た比率です。これがウクライナの方がロシアを上回っている、つまりウクライナの方が戦場での犠牲者が多く、無事な兵力が減っているということです。
それに加えて、ウクライナによるロシア系住民が300万人もロシアへ脱出したという、人口の社会的移動も考えあわせると、ミアシャイマー氏は「人口規模ではロシアが約5対1の優位に立つ」と結論しています。このくだりを含めた、論文の仮訳の続きは、近々、号外でまた出しますので、ぜひ、お読みください!(IWJ)
■7月に入り、IWJの今期第13期もあと残り1ヶ月となりました! この11ヶ月間の累積の不足額は、2039万3900円と、2000万円を超えてしまいました!! 7月こそは少なくとも月間目標額390万円を達成し、さらに不足分の赤字幅2000万円を皆さまのご支援で少しでも減らしたいと願っています! IWJを存続させてください! 今月末の期末まで緊急のご支援・ご寄付・カンパを、どうぞよろしくお願いいたします!!
いつもIWJをご支援いただきまして、誠にありがとうございます。
7月に入り、昨年8月1日から始まったIWJの第13期も、いよいよ最後の1ヶ月となりました!
厳しい経済状況の中、ご寄付をお寄せくださっている皆さま、誠にありがとうございます!
6月のご寄付が確定致しましたので、ご報告いたします。6月は月末までの30日間で、130件、218万9000円のご寄付をいただきました! ありがとうございます! 月間目標額390万円の約56%でした!
これにより、今期第13期6月末までの、11ヶ月間の累積の不足額は、2039万3900円と、2000万円を超えてしまいました! 今月7月は第13期最後の月です! 月間目標額を達成し、さらに残り1ヶ月でこの2000万円の累積の赤字幅を少しでも圧縮できるように願っております! どうぞ緊急のご支援をお願いします!
7月は1日から12日までの12日間で、50件、61万2000円のご寄付をいただきました。ありがとうございます! これは、月間目標額390万円の約16%にあたります。IWJを存続させてください! 今月末の会期末まで、ぜひ、皆さま、緊急のご寄付・カンパ・会員登録・YouTube登録による、皆さまのご支援の力で、ご支援をよろしくお願いいたします!!
また、現状の会員数をお知らせします。
6月末時点での会員総数は2630人(前年同日比:1061人減)でした。会員の方々の会費と、ご寄付が、IWJの運営の二本柱です。ご寄付も、連日お伝えしているように、目標額を下回っていますが、会員数も会費も減少しています。
経営は本当に赤字が連続し、厳しい運営状況が続いています。どうぞ、会員登録、あるいは元会員の方は、再開をよろしくお願いします!
どうぞ、皆さま、IWJを知人・ご友人、地域の皆さまへIWJの存在をお知らせいただき、独立系メディアの意義と、米国に忖度する日本政府、大手主要メディアの「情報操作」の恐ろしさについて、広めてください。
IWJの内部留保も底を尽き、キャッシュフローが不足したため、私、岩上安身が、個人的な私財から、IWJにつなぎ融資をいたしました。
私がこれまでにIWJに貸し付けて、まだ未返済の残高は約600万円。これにつなぎ融資1000万円と合計すると、IWJへの私の貸し付け残高は約1600万円にのぼります。近いうちに、また私がIWJにつなぎ融資をしなければならない見込みですが、本当にもう貯金が底を尽きます!
私の貯えなどたかがしれていますから、この先も同様の危機が続けば、私個人の貯えが尽きた時、その時点でIWJは倒れてしまいます。
皆さまにおかれましても、コロナ禍での経済的な打撃、そしてこのところの物価上昇に悩まされていることとお察しいたします。
しかし、会費も減少し、ご寄付までもが急減してしまうと、たちまちIWJは活動していけなくなってしまいます。IWJも支出を減らし、業務を縮小し、効率化をはかるなどしておりますが、急な変化にはなかなかついていけません。
ウクライナ紛争に続き、「台湾有事」を口実とする米国の「代理戦争」が、東アジアで画策されている今、私、岩上安身とIWJは、破滅的な戦争を回避すべく、また、ウクライナ紛争報道で明らかになった、偏向マスメディアの不誠実な「情報操作」に代わるべく、少しでも正確な情報を皆さまにお届けできるよう走り続けたいと存じます。
その結果として、日本が戦争突入という悲劇に見舞われないように、無謀な戦争を断固阻止するために、今後も全力で頑張ってゆきたいと思います。
日本は、米国への依存から脱却をはかり、独立した主権国家として立つべきです。同時に、エネルギーと食料の自給ができず、資源をもつ他の国々からの海上輸送に頼らなければならない、孤立した「島国」であるという「宿命」を決して忘れず、国外にそもそも「敵」を作らない、多極的な外交姿勢をめざすべきではないでしょうか?
皆さまにはぜひ、マスメディアが真実を伝えない、こうした問題について、IWJが追及を続けてゆくために、どうか、会員登録と緊急のご寄付・カンパによるご支援をどうぞよろしくお願いしたく存じます。
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岩上安身
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◆中継番組表◆
**2023.7.14 Fri.**
あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。
【IWJ・Ch5】11:00頃~「齋藤健 法務大臣 定例記者会見 」
視聴URL:https://twitcasting.tv/iwj_ch5
齋藤健 法務大臣 定例記者会見を中継します。これまでIWJが報じてきた法務大臣関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%E6%B3%95%E5%8B%99%E5%A4%A7%E8%87%A3
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【IWJ・エリアCh5・東京】18:00~「原発反対八王子行動」
視聴URL:https://twitcasting.tv/iwj_areach5
「キンパチデモ実行委員会」主催の原発反対八王子行動を中継します。これまでIWJが報じてきたキンパチデモ実行委員会関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/kinpachi-demo-executive-committee
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◆中継番組表◆
**2023.7.15 Sat.**
調整中
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◆昨日アップした記事はこちらです◆
「検察は本当に殺人犯をつくろうとしている。国家によって人を殺そうとしている。そういう事件だということを改めて皆さんに感じていただきたい」~7.10 袴田事件 裁判所提出の冒頭陳述骨子と証拠調べ請求書について
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/517189
【IWJ号外】ジョン・ミアシャイマー教授の最新論文『前途の闇:ウクライナ戦争の行方』を全力で全文仮訳! 第1回「意味のある和平合意は可能なのか。私の答えは『ノー』、『最悪の結末は、核戦争』!」
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/517283
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■<インタビュー報告>「『世の中は、アメリカの都合で回っているべきではないし、回ってはいない』ということを、みんなひしひしと感じてます」「リアリティが反映されてないな、というのは、日本のメディアを見ていての印象です」!「アメリカは守ってくれない」という、サウジアラビアなど中東親米国の不信感が、中東の政治バランスを劇的に転換した! 岩上安身による放送大学名誉教授・高橋和夫氏インタビューをお送りしました!
7月13日(木)、午後4時半から、「中東で次々和解が実現する『不思議な風景』の鍵を握るのは、核保有『敷居国家』となり、通常戦力による抑止力も確立したイラン!」と題して、岩上安身による放送大学名誉教授・高橋和夫氏インタビューを生中継でお送りしました。
高橋教授は、4月に『ロシア・ウクライナ戦争の周辺』というご著書を刊行されました。
※『ロシア・ウクライナ戦争の周辺』(先端技術安全保障研究所)
https://giest.base.shop/items/72681186
ロシアがウクライナに侵攻してから、500日を超え、1年と5ヶ月が経とうとしています。ウクライナで、ロシアとウクライナが戦っている紛争の形をとりつつ、その背後では対露制裁やウクライナへの武器支援で、米国やNATO、EU、G7など西側諸国も動いています。
他方、中国やインドは、欧米諸国からの働きかけにも動じず、軍事的には中立を守りながら、対露制裁には参加せず、むしろロシアとの貿易を増やしています。アジアで対露制裁に参加しているのは、日本と韓国、シンガポールが少し、といったところです。
欧米列強の植民地支配に苦しんできたアフリカ勢は、ウクライナ紛争が米露「代理戦争」の様相をあらわにしていくにつれて、ウクライナで米国をはじめとする西側諸国と戦うロシアを、植民地主義からの解放者とさえ見立てるようになってきています。
ウクライナ紛争を契機として、米国をはじめとする西側諸国の衰退と、グローバルサウスの台頭がはっきりと可視化されてきたように見えます。
高橋教授は、中東がご専門の国際政治学者です。ウクライナ紛争と対露制裁の間、中東でも大きな動きがありました。高橋教授に最近の中東の動向についてお話をうかがいました。
高橋教授は、これまでは紛争のイメージが強い中東で「和解」が次々と進む「不思議な風景」が見られるようになっている、と指摘されています。
高橋教授「ひとつは、中東だけじゃなくて『グローバルサウス』という言い方をしますよね。みんな思っているのは、『ロシア人とウクライナ人が喧嘩してるんで、何で俺たちが巻き込まれないといけないんだ』という感覚ですよね。
ウクライナが侵略を受けているという議論は、もちろん、あっていいんですけど。
でも、侵略された国はたくさんあって。そのときは『誰も助けてくれなかったじゃないか』と。『何で、ウクライナにだけ、俺たちはそれほど肩入れしないといけないんだ』と」。
岩上「(なぜウクライナだけ)バックアップしているんだと。アメリカとヨーロッパがやる気になっていて、そうすると、国際社会はアメリカとヨーロッパ中心なんだから『従え』、こういう感じで来る。これまでは渋々、そういう国々に黙ってついていった。
今、『侵略に反対』には、皆さん多くは賛成したんですけど、国連決議で。
『対露制裁』となったら、途端に、非常に大きなアクターとなった中国であるとか、何よりもインドですね。インドは西側の仲間だと思い込んでいるところもあるわけです、クアッドとか。でも、インドが(対露制裁は)『ノー』と言って、どんどん石油をロシアから輸入して、ディーゼルに精製して欧州に売ったりとかしているわけですよね。
そういうことが、『アメリカのバインドが弱まったな』という感じで、ラテンアメリカの国々も猛然と声を上げたり、アフリカの国々がまとまってウクライナに和平使節団を出したりとか、中東は中東で大変化が起こった。これは何でしょう。やっぱり一言で言うと、アメリカの覇権は弱まっているぞと、今なら動く時だと思い出し始めているということですか?」。
高橋教授「もう、(米国の)覇権が弱まっていることは確かだし、『世の中は、アメリカの都合で回っているべきではないし、回ってはいない』ということを、みんなひしひしと感じてますよね。
欧米の新聞や日本の新聞を読んでいると、まだ(欧米を)中心に回っていることになっていますけれど。リアリティが反映されてないな、というのは、日本のメディアを見ていての印象です」。
高橋教授は、米国から睨まれて圧力をかけられたこともある『アルジャジーラ』など、中東のメディアにも触れています。高橋教授は、日本人が英語のニュースに触れるのはとてもいいことだけれど、「アメリカイギリスのメディアだけ読んでたのでは(日本のメディアと)あんまり変わらないですから、どこのソースかという、ニュース源を考えつつ、色々あたられるといいかなと思います」と述べました。
中東情勢の変化といえば、今年3月に北京で、サウジアラビアとイランが「歴史的和解」に到達したことが記憶に新しいところです。高橋教授は、サウジアラビアとイランの和解については、イラクとオマーンが調整をしてきて、中国が最終的に仲介の花を持たせてもらったのだ、と説明しました。
岩上「サウジとイランが和解して、しかも北京で。習近平の仲介によって。ちょっとこれは、『覇権交代か?』と、驚いたのですけども。あれはもう、伏流水としてもあったものが、本当に現れてきた、くらいの感覚で受け止めるべきということですか?」
高橋教授「実際はイラクとオマーンですね。イラクは、ずっとサウジとイランの仲介をやっていて、だんだんまとまりかかって、そろそろかなという時に、『じゃあ中国に花を持たせるか』というような形ですよね」。
岩上「これは、従来だったら(仲介するのは)アメリカだと思うんですけれども、もうそういう役割は、アメリカではなくなったということは、すごく象徴的な感じがしたのですけど」。
高橋教授「そうですね。アメリカはイランと外交関係は持っていないし、もう仲介する資格はまずないので。
ですから、アメリカとイランの交渉も、実は、大体オマーンでやるんですね。オマーンの首都マスカットに『ブースタン・パレス』というとても素敵なホテルが、ちょっと郊外にあるんですね。
だから、人目に触れずに会えるというので、イランの外交官とアメリカの外交官は、そこにたまたま泊まって、話をするというようなことなので。そこのボーイの方にチップを握らせると、色々教えてくださいますね」。
高橋教授は、サウジアラビアとイランの歴史的和解だけではなく、2020年に、イスラエルとアラブ首長国連邦、そしてイスラエルとバーレーンが国交を樹立していると指摘しました。高橋教授は、それまでイスラエルを無視してきたアラブ諸国とイスラエルの関係が、突然、変わり始めたのは、2019年に起きたある事件からだ、と説明しました。
高橋教授「この時期(2020年)、突然ですよね。で、何なのだろうかということで。イスラエルが、(国交樹立の)代わりに何をオファーしてくれるのかということなんですけれども」。
岩上「何らかの取引があったのかと」。
高橋教授「重要なことは、この前の年(2019年)に、サウジアラビアの油田地帯が爆撃されるという事件があった。2019年」。
岩上「2019年、イランによるサウジアラビアの攻撃」。
高橋教授「この爆撃があって、イランはもちろん(攻撃を行ったことを)否定しているんですけど」。
岩上「否定してるんですね」。
高橋教授「でも非常に大規模だし、非常に正確に目標を潰しているんですね。イエメンのフーシ派というところが犯行声明を出してるんですけど、『いや、フーシ派にこんなことできない』とみんな思っていて」。
岩上「フーシ派は、いわゆるシーア派ですね?」。
高橋教授「シーア派。イランの支援を受けているんですね。で、みんな『イランがやったんだろう』と思っていて。トランプ政権もそう言ってる訳ですね」。
岩上「当時はトランプ政権で、ポンペオが国務長官だった時代ですね」。
高橋教授「そうですね」。
岩上「(ポンペオが)イランによる『戦争行為』だと非難したというのは、そういうことはなんですね。
でも、トランプは(イランに報復)しなかったんですね」。
高橋教授「一番重要なことは、これが『攻撃された』ということじゃなくて、その後に『何にも起こらなかった』ということなんですね。
岩上「アメリカは、何もしなかった」。
高橋教授「世界は、少なくともサウジアラビアは、アメリカが報復するものだと思っていたら、トランプは『サウジが頑張るんだったら、応援しないこともないよ』と冷たかったんですね。
ということは、『アメリカは守ってくれない』ということじゃないですか。
サウジは毎年、毎年、日本円にすると何兆円ほどもの武器をアメリカから買っているわけですよね。その武器で、サウジが軍事大国になるなんて誰も思っていないわけです。
何のためにそんなお金を使っているのかというと、まあ、保険をかけているんですね、アメリカにね。『いざとなったら来てくださいよ』という。暗黒社会の言葉で言えば、『みかじめ料』を払ってる」。
岩上「莫大なみかじめ料をね」。
高橋教授「なのに、いざとなったら、アメリカが向こう向いちゃったっていうんで、『何なんだ。これは』とサウジは思って」。
岩上「日米安保条約だとか、NATOの集団安全保障条約のような明文化された、がっちりとしたアメリカ・サウジアラビア安保条約みたいなものはないのですか? 一定の安全保障を与えますよ、という何らかの契約だとか、条約だとかあるんですか?」。
高橋教授「いや(明文化された契約や条約はない)。それは、暗黙の合意ですね。
1945年から、サウジの石油をアメリカが掘る、あるいはそれを輸出する。その後、サウジはアメリカに石油供給をする、世界に約束する。アメリカをサウジは守るというのが契約」。
岩上「『ペトロダラー・システム』ですね。こうやってサウジの石油が出ていく。そして結局、お金がドルで返ってくる。でも、返ってきたドルは、サウジにとどまる富ではなくて、アメリカを潤す。『いろんなものを買いなさい』。
米国債も買ってますね。兵器も買っていた。自分たちで、そんなものをオペレーションする気はないし、そこまでの軍隊を持ってないんだけど」。
高橋教授「アメリカの軍事顧問団、コントラクターが実際動かすと。ところが、そういうことだったのに、『何もしてくれなかったんだ』と。
『じゃあ、新しい親分を探すしかないかな』というので、探すと、親分がイスラエルで。イスラエルと組めば、防空システムも入るかもしれない。
ただ、サウジというのは、やはり、イスラムのメッカ・メディナを抱える盟主ですから、サウジが直接イスラエルと付き合うわけにいかない。だから、サウジとしては、親しいアラブ首長国連邦、あるいはサウジの実質上、県のひとつのようなバーレーン(がイスラエルと国交樹立するのを黙って見ていた)」。
高橋教授は、バーレーンは、小さな島だったが、サウジアラビアとの間に橋をかけてから、事実上陸続きとなり、サウジの人々がお酒を飲みにいくところになった、「ペルシャ湾岸の中の、赤提灯みたいなところ」だと説明しました。そのくらい、サウジとは一体化している、ということです。
高橋教授「ですから、もうバーレーンはこの地域では、一番最初に石油が出た国なんですけど、石油がもう枯れていて。サウジの補助金で何とかやってるという感じ。だから、サウジにとっては、モルモットというか、観測気球」。
もはや米国をあてにはできないと知ったサウジアラビアは、イスラエルの防空システム「アイアンドーム」に強い興味を持っていましたが、米国の後ろ盾なしにイランと対立を深めていくのはあまりにも危険です。サウジアラビアも、イランとの関係改善を模索していました。このような情勢が、2023年3月に、北京で華々しく、サウジアラビアとイランが「歴史的和解」に至った背景にありました。
インタビュー後半で、オマーンやイラクの調停で進んでいたサウジアラビアとイランの「歴史的和解」の花を、中国が最後に取ることができた理由、イランが教育大国で、特に科学技術は非常に優れていること、そのためロシアに輸出したドローンなどは、最新鋭のものが作れること、トランプ政権が、2018年に一方的にイランの核開発を封じ込める「核合意」から離脱した結果、イランで核濃縮が進み、イランが核保有の直前にまで到達した「敷居国家」となったこと、イランは今年「極超音速ミサイル」の試射に成功し、核兵器を用いない通常戦力だけでも抑止力を実現しつつあることなどを、高橋教授にうかがいました。
詳しくはぜひ、インタビュー全編動画で御覧ください。
※【ライブ配信】ロシアへの経済制裁の発動以降、国際政治環境が激変! 中東諸国が中国との関係を深め、中国とパレスチナは「戦略的パートナーシップ」確立へ! 放送大学名誉教授 高橋和夫
https://www.youtube.com/watch?v=uRA8J7i4DHY
IWJ書店では、会員の方限定で、高橋先生のサイン入りの御本を10冊限定で販売しています。ぜひ、IWJの会員となってお買い求めください。
※【高橋和夫さんサイン入り】ロシア・ウクライナ戦争の周辺
https://iwj.co.jp/ec/products/detail.php?product_id=472
この最新刊に書かれているような、ロシアとウクライナの紛争の深刻化が、どのように中東諸国に影響を与えるか、また、中東における重要なプレイヤーであるトルコが、欧州や米国なども手玉に取るタフネゴシエーターぶりを見せていますが、これはいったいどこに落着するのかなど、お聞きしたいことがまだまだありました。
しかし、お時間の都合があり、また次回に、ということになりました。
ご多忙な高橋名誉教授ですが、またお話をうかがわせていただける機会を作ってくれるとのことです。
近日中に、続編をお届けできると思います! ご期待ください!
■<インタビュー決定>7月18日(火)午後6時半から、フランス現代思想がご専門の哲学者である一橋大学名誉教授・鵜飼哲氏への、岩上安身によるインタビューが決定しました! 米国の正体は地上唯一の超帝国! その支配の完結を求めるNATOの東方拡大とロシアの弱体化が桎梏に! その間に、グローバルアジアが覚醒! 植民地にされ、奴隷貿易によって搾取されてきた欧米列強の不正義を訴え始めています! 鵜飼哲先生に、この世界の変化を解説してもらいます。
岩上安身は7月18日(火)午後6時半から、一橋大学名誉教授の鵜飼哲氏にインタビューを行います!
哲学者である鵜飼氏は、フランスの文学と現代思想、特に作家ジャン・ジュネと哲学者ジャック・デリダの著作の研究を軸とされています。また、フランスの旧植民地であるマグレブ(北アフリカ)地域から、中東アラブ世界の植民地期、脱植民地期、ポスト植民地期の文学や思想を研究されています。
鵜飼氏には、ウクライナ紛争そのものと、この紛争を極端な「正義と悪」の戦いとして描くゆがめられた報道のあり方や、ウクライナ紛争のエスカレートによって、原発が破壊され、核が用いられてしまう可能性と、それを阻止するために何ができるのか、といったことをおききします。
また、フランスの政治学者で『帝国と共和国』(青土社刊)の著者のアラン・ジョクスが示した、超大国アメリカとグローバル企業が並び、日本を含む主要な諸国家はその下にぶら下がっているという、世界構造のモデルと、そうした構造が至る所で矛盾をきたしている現状について、おききします。
また、この先、世界は米国の単独覇権が強化・維持される一極化のままか、それとも多極化するのか、また、多極化した場合の問題点とは何か。無極化された多国間主義は理想的だが、実現可能なのか、ということもお話し願えると考えています。
ウクライナ紛争をめぐるマクロン大統領の政治的スタンスや、トルコのエルドアン大統領、サウジのサルマン皇太子など、G7中心の世界の外にある、これからの世界にとって、鍵を握るであろうグローバルサウスの国々の動きと指導者の動向などについても、おうかがいする予定です。
■<インタビュー決定>7月24日(月)午後4時から、国際政治学者、六辻彰二氏への、岩上安身によるZOOMインタビューが決定しました! ウクライナのネオナチを支援したことで、ブーメランのように、ヨーロッパ各地に極右過激派が出現してしまうリスクについて、国際政治学者、六辻彰二氏にお話をうかがいます!
岩上安身は7月24日(水)午後4時から、国際政治学者、六辻彰二氏にインタビューを行います!
NATOからウクライナに供与された武器の管理がきわめて杜撰であり、拡散してゆく危険性があるとの懸念が、フランスにおける暴動によって、改めてクローズアップされました。
今後、NATOからウクライナに送られた武器を手にした極右勢力が拡大すれば、ヨーロッパは、シリアのような内乱状態になる可能性もあります。
六辻氏は、これまでの岩上安身のインタビューに応じた際に、ウクライナのネオナチを支援することで、世界中に散在する白人至上主義者や、人種差別主義者、ネオナチらを武装化させ、活気づけてしまう懸念があると警告していました。
※米国主導で大量の武器が送られるウクライナで育つ外国人戦闘員が戦後『白人テロ』拡大の危険を招く!~岩上安身によるインタビュー 第1070回 ゲスト 国際政治学者 六辻彰二氏 2022.3.25
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/503870
※米国主導で大量の武器が送られるウクライナで育つ外国人戦闘員が戦後『白人テロ』拡大の危険を招く!第2弾~岩上安身によるインタビュー 第1071回 ゲスト 国際政治学者 六辻彰二氏 2022.3.30
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/504186
※ブチャ市での民間人大量殺害事件を検証! 米国主導で大量の武器が送られるウクライナで育つ外国人戦闘員が戦後『白人テロ』拡大の危険を招く! 第3弾~岩上安身によるインタビュー 第1073回 ゲスト 国際政治学者 六辻彰二氏 2022.4.6
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/504401
こうした六辻氏の懸念が、今後、ブーメランのように、フランスだけでなく、ヨーロッパ各国でどのように顕在化していくか、それが政治に与える影響についてもお話をうかがう予定です。
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それでは、本日も1日、よろしくお願いします。
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IWJ編集部(岩上安身、六反田千恵、尾内達也、前田啓)
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