日刊IWJガイド・非会員版「<インタビュー報告>米国の代理戦争が引き起こす食料・エネルギー不足により『狂乱物価』が日本を襲う! 田代秀敏氏インタビュー第2回」2022.5.13号~No.3529号


┏━━【目次】━━━━
■はじめに~<インタビュー報告>「今や世界経済の大転換機、世界は人口減少期にはいった! 米国の代理戦争が引き起こす食料・エネルギー不足により『狂乱物価』の大波が日本を襲う!」岩上安身によるエコノミスト田代秀敏氏インタビュー第2回」をお送りしました。

■IWJの活動には市民の皆さまのご寄付・カンパが欠かせません! 昨年8月から4月末までの、第12期の9か月間にわたる累積の不足金額309万5534円に、5月の未達成分301万3845円をあわせて610万9379円、5月末までに必要です! 5月も、ぜひウクライナ報道で孤軍奮闘するIWJの活動をご寄付・カンパでご支援ください!

■IWJは、市民の皆さまお一人お一人の会費とご寄付・カンパで運営しています。4月のご寄付者様のご芳名を感謝を込めて順次掲載させていただきます! IWJの経済危機に手を差し伸べてくださった皆さま、誠にありがとうございます!

■【中継番組表】

■「ロシアと中国を一括りに考えるべきではない。政権交代を目標とする覚悟がないなら、民主対独裁の対立を問題にすべきでない」「中国の指導者は、プーチンが陥った事態をいかに避けるか考えているだろう」英『フィナンシャル・タイムズ』がヘンリー・キッシンジャー元米国務長官にインタビュー!

■<IWJ取材報告 1>懸念が残るまま、反対デモ中に可決・成立した岸田政権肝いりの「経済安保法」! 法律に記される何が「審査対象」で「罰則」にあたるのか具体的な線引きがされず!~5.11 #経済安保法案は戦争を呼び込む 連続アピール2Days

■<IWJ取材報告 2>「福島原発事故で、同じ証拠で東電、国の法的責任が問われている、一連の民事裁判の司法判断を、刑事裁判の審理対象にすべき!」~5.11東電刑事裁判 控訴審・被害者参加代理人による上申書と意見書提出後の記者会見

■<IWJ取材報告 3>東京都医師会が屋外でマスクの着用は不要との見解! IWJ記者の質問には「ワクチンはBA.2に対しても効果がある」「パンデミックに緊急事態条項を安易に適用しないほうがいいが、議論はすべき」~5.10 東京都医師会 記者会見

■<IWJ取材報告 4>植生の特徴を生かし、災害発生時の避難広場やヒートアイランド現象の軽減にもつながる「神宮外苑」の樹木は「可能な限り残さなければならない!」~4.29神宮外苑再開発連続学習会 第2回 ―内容:「先生に聞いてみよう、神宮外苑の樹木と都市計画基本のキ」

■【スタッフ募集・テキスト(赤反映担当)班】日刊IWJガイドや記事の執筆、編集業務を行っていただける方、特に深夜業務での作業を厭わない方は優遇し募集します。深夜に及んだ場合は、社用車での帰宅が可能です。時給は1300円から、能力・実績次第で昇給します。深夜業務は法にのっとった割り増し残業代を支払います。

■【スタッフ募集・テキスト(パワポ作成担当)班】書物や資料を読み砕いていく読解力やリサーチ能力が必要とされる「岩上安身によるインタビュー」のパワポ作成に責任をもってかかわっていただける方。時給は1500円です。
┗━━━━━

■はじめに~<インタビュー報告>「今や世界経済の大転換機、世界は人口減少期にはいった! 米国の代理戦争が引き起こす食料・エネルギー不足により『狂乱物価』の大波が日本を襲う!」岩上安身によるエコノミスト田代秀敏氏インタビュー第2回」をお送りしました。

 おはようございます。IWJ編集部です。

 5月12日、午後6時半から岩上安身によるエコノミスト田代秀敏氏のインタビューをお送りしました。

 冒頭、10日に報じられた「国の長期債務残高が20年で倍増!ついに1000兆円を突破!」というニュースについてお話をうかがいました。

※国の長期債務、初の1000兆円超え 21年度末(日本経済新聞、2022年5月10日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA105OW0Q2A510C2000000/

 田代氏は、利上げした場合の財務省の試算と、防衛予算の拡大について以下のように述べました。

田代氏「1000兆円というのはあくまで国の長期債務で、地方自治体の債務もあり、それを入れると1300兆円は行きます。

 1300兆円として、いったいそれを返せるんだろうかと。あんまり返せる見込みはないんですね。もし毎年10兆円ずつ返済していったとしても130年かかるわけですよ。通常はこんな話は通らなくて、デフォルト扱いされますよね。

 そこはさて置き、利払いは大丈夫なのかという問題があります。

 現状、日本の長期金利10年物国債の新規発行利回りは、0.245%です。非常に小さいんですが、元本が1000兆円ですから、馬鹿にならないわけです。

 この金利が上昇したらどうなんだろうと。財務省は1%金利が上昇したらと検討しているんですが、その試算には、経済成長率が3%で持続するという強力な仮定があって。

 もし一律に各種各国債の金利が1%上昇すれば、利払いが単純に13兆円増えるんです。それは日本のGDPの2.75%から出ています。

 今、防衛費をGDPの2%にしようと言っているじゃないですか。この金額を上回る利払い費の増加が生じるわけですよ」。

 借金大国日本の、どこにそんな余裕があるのでしょうか。

田代氏「よくある話で、日本国債は外国人が持っているのは7.5%ぐらいだから大丈夫と言うけど、実は、国債の中で、満期が1年未満の短期国債は、7割ぐらいは外国の機関投資家が持ってます。

 政府は、お金が足りないときは、まず短期国債を出すんですが、それに今一番応じてくれているのは、外国の金融機関なんですね。
 
 次に国債の取引。日銀は買ったきりでずっと保有しているだけですから『プレイヤー』ではないんです。実際に東京証券取引所で、日本の国債を売買しているのは、6割が外国の金融機関です。

 現物の価格の前に、先物の価格が決まります。大阪の取引はいくらだとか、シカゴはいくらと、日経平均の実際の値はそれにめちゃくちゃ影響されています。

 国債の先物取引は、96%外国の機関投資家です。債権の取引は非常に難しく、とても日本の金融機関のように、学部卒で、日本の法学部、経済学部を出た学生を使っていたら無理ですね。

 数学や物理学で博士号を取った人を、年棒で億円単位で雇わなければ、とてもできる取引ではない。そうなると日本国債の金利は、実質、外国の金融機関が決めているといってもいいわけです」。

岩上「短期があって、その中の特に先物が決定的な鍵を握っているわけですね」

田代氏「しかし、私はずっと不思議だったんですが、なぜ彼らはそんなに熱心に日本国債にこだわるんだろうかと。外国の金融機関に勤めている人に聞いてみると、『どこかでビッグディールがくる』と。日本国債暴落の瞬間に、賭けてるのではないかと思うんですね」

岩上「いつもおっしゃっている、ボラティリティがすごい、大きく上がったり下がったりする、そういう場面があれば、一番儲けになると。いわばダムに水が溜まっているような状態だということですね」

田代氏「しかもめちゃくちゃに大きい規模の金額ですから。これでもしひと山当てれば、もう大変なことが起こるんですね」

岩上「そのひと山当てるっていうのは、マイナスの方に賭けるってことですよね?」

田代氏「まあ、日本国債が急落して、金利が急騰するというのを予知した段階で、先物で、今の金利で、3ヶ月後に取引しましょうとやっておけば、日本国債が急落したときに、先物契約にしたがってやれば大儲けですよね。

 持っていなくても、バカ安になった日本国債を買ってきて、今日の価格で売ればその差額儲かるわけです。元手ゼロで」

 田代氏は、日本国債に外国の金融機関が注目しているのは、日本国債が急落して金利が急騰すると予知した段階で、先物で取引すれば大儲けだからだと、説明しました。

 田代氏は米国の現在のインフレも、レーガン政権時代のインフレやオイルショックの時の比ではない、バイデン大統領はなりふり構わず対応しなければならないのに、FRBの対応も「遅きに失した」と指摘しました。

 FRBのパウエル議長はずっと「今の物価上昇は一過的」であるから、放っておけば収まると主張し続け、もう収まらないとなったら急に血相を変えて金利を上げましたが、「ちょっと遅すぎます。遅ければ遅いほど金利の上昇幅が大きくなります」と田代氏は批判しました。

岩上「アメリカは大変な金額のウクライナへの武器支援をやっていますが、あんなことをやっている余裕があるのかな、と」

田代氏「バイデン政権がやっているのは、インフレーションという大火事が起こっているところに、ですね。世界有数の原油と天然ガスと石炭の生産国であるロシアを制裁してしまうと、当然資源価格が爆騰します。

 その上に、ウクライナに兆円単位の金を次々ぶち込んでいるでしょう。要するに財政出動です。

 これ、何をやっているかというと、インフレーションの炎に油をぶちまけているわけです。ガソリンをどんどん、放水ならぬ『放ガス』しているという状態です。経済学的にはもう、ただの狂気」

岩上「片目で地政学、あるいは軍事安全保障を考えるのはいいと思いますが、左目で財政とか経済を考えてもらわないと。破綻しているじゃないですか」。

 4月28日に日銀は金融緩和継続を発表し、円安容認を示しました。その途端、円相場はついに1ドル=130円台に突入しました。

岩上「ガソリン価格の高騰、幅広くさまざまなものの値上げが続いています。このままいけば、家計には1年6万円程度の負担増になると、政府は平気で言うわけです。

 ロシア産の資源がありますけれども、肥料なども、(対露制裁で)禁輸にされてしまうわけです。そうすると、世界中の農業に直接間接に影響が出てくるわけです。

 経済制裁をなぜするのかっていう反発が世界中に広がっているんですが、日本のマスコミに洗脳されちゃうと、マイナス面が見えてこないんですね。

 マイナス面を報じないで、ロシアが悪い、ウクライナかわいそうで、善玉悪玉を決め込んで、徹底的に世界は制裁しなければならないと」。

 実際に対露制裁に参加しているのは、世界で35ヵ国だけです。インドは、ロシアの原油を買い、それを、ロシア産石油の禁輸を掲げている欧州に転売しているという話もあります。

 コロナ禍でただでさえも苦しいのに、7割の企業が値上げもできずに苦しんでいます。円安は輸入大企業のために人為的に誘導されてきたとされていますが、実際は、多くの企業が円安は、経営上マイナスだと回答しています。
 
田代氏「厳密に言えば、円安は意図したものではなく、副産物です。あくまで日本の財政破綻を防ぐために、赤字国債を日本銀行が吸収しているわけです。その結果、金利がうんと低くなり、円安が進む。

 円安が進むと、実は大企業も苦しいんですが、例えばソニーグループは、営業収益が1兆円を超えて、史上最高益です。それは簡単なことで、世界中で事業をやっていますから、それを日本円に換算すると、バッと大きな金額が出るんですよ。何の努力もしなくても、魔法のように利益が膨らむわけです。

 日本の社長の任期は4年と短いですから、新しいことはできない。任期中に利益を膨らますのに一番いいのは、円安なんですね。ドルベースでは減っているんですが、目の前の数字は上がるわけです」

岩上「トヨタが最高益を出したわけですが」

田代氏「世界中で商売してるので、円安の時に円ベースで表示すれば数字は膨らむわけですよね。本当はトヨタもソニーも工場が止まってる状況です」。

 インタビューでは、この不況の中で、東京や大阪、福岡などで不動産バブルが起きている不思議について、田代氏が詳しく解説しました。また、日本の「人類史上初めて」ではないかといわれる人口減少についても話が及びました。

 どうぞIWJの会員となって、インタビュー全編をご覧ください。また、近日中に第3回インタビューも実施します。日程が決まりましたら、日刊IWJガイドでご報告いたします。

※フルオープン【5/12  18:30頃から ライブ中継】岩上安身によるエコノミスト 田代秀敏氏インタビュー
https://www.youtube.com/watch?v=m9iNdxnlIlQ

 岩上安身による田代秀敏氏インタビューの第1回は以下で御覧ください。

※「米国の代理戦争が引き起こす食糧・エネルギー不足により『狂乱物価』の大波が日本を襲う!」~岩上安身によるインタビュー第1074回 ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 2022.5.5
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/505554

岩上安身による直近の田代氏インタビューの動画とテキストは以下の通りです。

 2021年10月28日の岩上安身によるインタビューでは、大規模な財政出動を掲げる与野党の政治家に「待った」をかけた矢野康治・財務次官が『文芸春秋』2021年11月号に寄稿した「財務次官、モノ申す『このままでは国家財政は破綻する』」について解説していただきました。どうぞあわせて御覧ください。

※SWIFTからのロシア排除の影響を、IWJはエコノミスト・田代秀敏氏に取材! ロシアではデフォルト危機が高まり、為替暴落でインフレ激化! 一方欧州は金融危機リスクかインフレ激化リスクの二者択一に! 2022.3.22
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/503743

※【第542-545号】岩上安身のIWJ特報! 現役の矢野康治財務事務次官が与野党「バラマキ」批判! 「このままでは国家財政破綻」と訴えた「矢野論文」の真価とは!? 「不都合な真実直視」を言うなら、なぜ累進課税強化を言わない!? 岩上安身による宇都宮健児弁護士、エコノミスト・田代秀敏氏インタビュー 「矢野康治財務事務次官による積極財政批判論文」検証編2022.3.1編.3.1
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/501890

※「生産年齢人口」は敗戦直後と同じ落ち込み! 岩上安身は90年代から「日本人が消滅する日」等連載で少子化問題に警鐘! 2018年、岩上安身は「田代秀敏氏インタビュー」で「生産性向上」論を徹底批判! 2022.2.15
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/502300

※「円は今、1970年代のレベルまで安くなっているんです。日本は大バーゲンセール」! 第2のオイルショックとオミクロン株が厳冬日本を同時に襲う!? ~岩上安身によるインタビュー第1060回 ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 2021.12.2
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/499803

※<衆院選にむけての緊急インタビュー5!>争点は改憲・緊急事態条項と財政・税制! 岩上安身によるインタビュー第1058回 ゲスト 宇都宮健児弁護士、エコノミスト・田代秀敏氏 2021.10.28
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/498546

■IWJの活動には市民の皆さまのご寄付・カンパが欠かせません! 昨年8月から4月末までの、第12期の9か月間にわたる累積の不足金額309万5534円に、5月の未達成分301万3845円をあわせて610万9379円、5月末までに必要です! 5月も、ぜひウクライナ報道で孤軍奮闘するIWJの活動をご寄付・カンパでご支援ください!

 おはようございます。IWJ代表の岩上安身です。

 IWJでは、今期第12期の年間の予算を立てる上での見通しとして、代表である私、岩上安身への報酬をゼロにすることを筆頭に、支出をぎりぎりまでにしぼった上で、IWJの運営上、必要なご寄付・カンパの目標額は月額420万円(年間5040万円)としておりましたが、支出をさらに削って、月間目標金額をさらに下げて400万円といたしました。5月も目標額を400万円に据え置きます。

 昨年8月から始まったIWJの今期第12期は、5月で10か月目に入りました。

 今期スタートの8月1日から4月30日までの9か月間の累計の不足分は、309万5534円となっています。

 また、5月は1日から12日までの12日間で、61件、98万6155円、目標額の25%分に相当するご寄付・カンパをいただきました。ありがとうございます。

 従って、4月末までの不足分309万5534円に、5月の未達成分301万3845円を加え、5月末までに610万9379円が必要となります。今月5月を含めて、7月末に迎える期末までの残り3か月で赤字を削って、不足分がゼロになるように、どうか皆さまのお力で、ご支援ください!

 IWJの会員数は現在3241人です。そのうちサポート会員は1108人です(2022年4月30日現在)。本当に心苦しいお願いではありますが、会員の皆さま全員が1885円ずつカンパしてくださるか、サポート会員の皆さまが全員1人5514円ずつカンパしてくださったならば、なんとかこの赤字は埋められます!

 伏してお願いいたします! どうか皆さまのお力で、この窮状をお助け願います!

 また、3月16日に宮城県・福島県で震度6強を記録した地震の際に大規模停電が起きて、その影響で、インタビューや動画配信に必要なIWJの設備が故障し、その修理費用が約70万円かかります。

 この故障を完全に修理することができないと、再配信ができません。現在、対応中ですが、いまだに再配信ができず、ご不便をおかけしていて、申し訳ありません。1日も早く復旧できるように、ご支援と、ご理解をたまわれればと思います。

 引き続き、ご支援のほど、よろしくお願いいたします。

※ご寄付・カンパはこちらからお願いします。
https://iwj.co.jp/join/pleasehelpus.html

 ロシアによるウクライナへの侵攻と、それに対する世界中からの反発・非難は、米英とNATOによる、ウクライナへの事実上の「参戦」という段階に至っています。

 「同盟国」である日本は、国民の大多数が気づかないうちに、米国が段取りした「世界大戦」を戦う「連合国」のメンバーに加えられています。日本国民はまず、1人でも多く、この事実に気づかなければなりません。

 米国の真の狙いは、実現できるかどうかは別として、恒久的に米軍が欧州を軍事的に支配し、ロシアを米国に抵抗できないレベルにまで弱体化することにあります。それが米国の単独覇権の維持・強化になると、一般の米国国民はともかくとして、少なくとも米国の一部、軍産複合体やネオコンらは思っているからです。

 ロシアのウクライナ侵攻は、その米国の単独覇権の維持・強化戦略を推し進めるための口実として、巧妙に利用されました。

 バイデン大統領は、5月3日、「ロシアとの戦いは、民主主義と中国などの専制主義との戦いの戦線のひとつに過ぎない」と指摘したと、『AFP』は伝えています。また、同日『RT』は、「中露に対する『文明の戦い』の最初の『実戦の戦闘』を戦っている」とバイデン大統領の言葉を伝えました。これらのバイデン大統領の言葉を、日本のマスメディアはほとんど報じていませんが、これは重要な発言です。

 IWJは、侵攻直後から、このウクライナ侵攻から始まった動きが、極東に飛び火して、台湾をめぐる米中の対立と連動する可能性があると、散々、警鐘を鳴らしてきましたが、今回のバイデン発言は、対ロ戦線と対中戦線を直接、つなげるものです。そうしようとしている「主体」は米国です。

 これまで、侵攻された当事国であるウクライナと侵攻したロシアが「主体」で、米国を含む西側諸国は、第三者的立場でウクライナに連帯を表明し、加害国のロシアに抗議していたはずです。

 ところがバイデン大統領は、本音がぽろりとこぼれ出たのでしょう。「主体」は米国であり、「民主主義」対「専制政治」という戦いのために、中国とロシアに対する「文明の衝突」をこれから戦うというのです。そして、「ウクライナはその最初の実戦なのだ」というわけです。当然、「実戦」はこれからも次々と続く予定なのでしょう。

 我々、IWJが当初から指摘して、批判してきたことがまた、その通りとなってきました。これはまさしく「ワシントンはウクライナ人が最後の1人となるまでロシアと戦う」という戦争なのです。この言葉はレーガン政権時の外交アドバイザーだったダグ・バンドゥ氏の論文の秀逸なタイトルです。ぜひ御覧になってください。

※「ワシントンはウクライナ人が最後の1人となるまでロシアと戦う」!! 米国のレーガン政権で外交アドバイザーを務めた保守の論客・ダグ・バンドゥ氏が強烈にバイデン政権を批判する論文を発表! この戦争の主語は「ワシントン」であり、最後の1人まで戦わされるのは「ウクライナ」! これは「正義」の戦争なのか!?
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/505301

 極東まで米国が戦線を広げてきた場合、ウクライナや東欧・西欧がそうであるように、日本が米国にとって都合の良い対中ミサイル前線基地とさせられてしまう危険性があります。日本がウクライナのような運命をたどり、国土を戦場として提供して、米国の戦争の道具と化してしまうようなことは絶対に避けなければいけません!

 日本が台湾有事によって、米国の戦争に巻き込まれた時、中国だけでなく、北朝鮮やロシアをも同時に相手して、日本が戦わなくてはならない可能性があります。しかもミサイル戦の時代、日本全土も戦場となります。

 米国の支援があっても、そんな戦いを現実に遂行できるのか、その上で、核を保有したその3カ国に勝つことができるのかといえば、誰が考えてもまったく不可能でしょう。

 勝敗以前に、日本は開戦早々、全土をミサイルで空爆されて、軍事拠点と重要なインフラを破壊されます。日本は現在のウクライナのような状態となり、経済や、国民生活は破綻します。

 ウクライナの今年のGDPは、現時点で昨年の半分となる予想です。日本も参戦した場合は、GDPはそうしたレベルにまで落ちるでしょう。

 そんな状態に陥ったとき、少子高齢化した日本国民が、過酷な現実を受け入れ、乗り切れるでしょうか。仮に敵国に、配備されたミサイルによって痛撃を与えることができたとしても、相手には最後の手段として、3カ国とも核攻撃というカードが残されています。日本に勝ち目はありません。米国から核弾頭をシェアリングされ、中距離ミサイルに配備したとして、核抑止が効くかどうか。

 日本に配備されたミサイルの弾頭を、通常弾頭から核弾頭に取り替え終わるまでおとなしく待ってくれるお人よしがいるとは思えません。イスラエルのように沈黙のうちに、秘密裏に核武装を行うのではなく、元首相の安倍晋三氏のような人が、国民的雑誌『文藝春秋』で「ニュークリアシェアリング(核共有)」の必要性を鐘や太鼓を鳴らすように宣伝しているのですから、かえって敵の先制攻撃を誘発してしまうリスクとなります。

 しかも、日本は島国です。

 海上を封鎖されれば、エネルギー資源もなく、食糧自給もできない日本は、たちまち身動きもできなくなり、国民は飢餓に直面します。ウクライナ国民の多くは陸続きの隣国ポーランド等へ逃れましたが、日本国民の多くは陸伝いに「難民」になることもできません。海を越えていこうとしても、渡航の安全性は保証されていません。

 どこをどう考えても、米国と同調し、ロシアに制裁を下し、いたずらにロシアとの緊張を高めることは、日本にとって負担やリスクが増えるだけで、何もメリットがありません。

 同様に、米国に同調して中国に対していたずらに敵対的となり、ミサイル配備や、ニュークリアシェアリングの可能性を大声で喧伝して回るなど、自ら戦争リスクを高めるだけですし、日本が火ダルマになるだけで何のメリットもありません。

 日本には原発が51基(そのうち稼働中のものは9基、稼働していない原発もプールに燃料がたくわえられている)存在するのです。これらは核自爆装置のようなものです。自国にミサイルが飛んでくる可能性のある戦争を、日本は遂行できるような国ではないのです!

 IWJは、中立の立場を守り、ロシアとウクライナの間でどのような確執が起きてきたのか、8年前、2014年のユーロ・マイダンのクーデターの時点から、ずっと注目して報じてきました。ぜひ、以下の特集を御覧ください。

※【特集】ウクライナ危機 2013年~2015年 ~ユーロ・マイダンクーデターからウクライナによるロシア語話者への迫害・殺戮まで~
https://iwj.co.jp/wj/open/ukraine

 2022年の2月23日、それまで何の前提もなく突然、ロシアのプーチン大統領が狂気にとりつかれて、ウクライナに侵攻し始めたのではありません。

 そこに至るプロセスがあります。独自取材を続けてきたIWJだからこそ、この事態に対してしっかりと客観視する視点をもつことができた、と自負しています。

 ロシア軍によるウクライナへの「侵攻前」のプロセスを伝えず、「ロシア侵攻」のみを大騒ぎして伝える思考停止のイエローペーパーに頼っていては、真実は見えてきません。

 公平に見て、ウクライナと米国のプロパガンダは、ロシアのプロパガンダよりはるかに巧みで、大胆かつ強引であり、ウクライナをロマンチックに見せたり、ロシアを悪魔に仕立て上げたりして、ハリウッド映画のように、多くの人を惹きつけています。

 しかし、その米国とウクライナのプロパガンダを、日本のマスメディアまでが鵜呑みにして垂れ流ししているようでは、ジャーナリズムの本来の役割を放棄していると言わざるをえません。

 我々IWJは、どんなに石つぶてを投げられようとも、メディアの王道を歩み、客観的で、中立的で、公正な報道をし続けます。

 米国につき従っていきさえすれば、安全で繁栄も約束される、というのは、第二次大戦後の米国が、ゆるぎなく、軍事力も経済力も圧倒的に強大で、余裕があり、そしてまだしもモラルが残っていた時代の話です。現在の米国は、昔日の米国ではありません。

 既存の大手新聞、テレビなどの御用マスメディアは、日本政府と同様、米国追従を続けていますから、それらに頼っていては、こうした現実は、まったく見えてきません。現実には記者クラブメディアは国民の目を真実からそらせるような情報操作ばかり行い続けています! IWJは、国民をないがしろにして戦争準備を進める政府と、そのプロパガンダ機械と成り果てたマスメディアに対して、これでいいのか! と声を上げ続けていきます!

 こうしたことがIWJに可能なのは、市民の皆さまに直接、支えられているからです。特定のスポンサーに頼らずとも、活動することができる独立メディアだからです! 何者にも縛られず、権力に忖度せずに、真実をお伝えしてゆくことができるのは、市民の皆さまのご支援のおかげです!

 非会員の方はまず、一般会員になっていただき、さらに一般会員の皆さまには、サポート会員になっていただけるよう、ぜひご検討いただきたいと存じます!

 その会費と、ご寄付・カンパの両方によって、支えられてはじめて、IWJは、市民の皆さまのために役立つ、真の独立市民メディアとして活動を継続し、その使命を果たすことが可能となります。

 マスメディアが報じない事実と真実を報道し、売国的な権力への批判を続け、主権者である日本国民が声をあげ続けることができるようにすることが、今、絶対に必要なことであり、それが我々IWJの使命であると自負しています。

 本年、2022年は、参院選もあります。主権を外国に売り渡すがごとき、売国的な改憲勢力は、改憲による緊急事態条項の憲法への導入を狙っています。この緊急事態条項は、国民主権と議会制民主主義を根こそぎ奪うものです。その先には、終わりのないファシズムと、国民の声に一切耳を貸さない、問答無用の戦争が待ち受けています。今年は、本当に日本の分水嶺の年となります!

 決して負けられないこの戦いに、私は、IWJのスタッフを率いて全力で立ち向かいたいと腹をくくっています! 皆さまにはぜひ、ご支援いただきたくIWJの存続のために、会員登録と緊急のご寄付・カンパによるご支援をどうぞよろしくお願いしたく存じます。

 下記のURLから会員登録いただけます。ぜひ、会員登録していただいてご購読・ご視聴お願いいたします。
https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php

※ご寄付・カンパを取り扱っております金融機関名です。どうぞ、ご支援のほどよろしくお願いします。

みずほ銀行
支店名 広尾支店
店番号 057
預金種目 普通
口座番号 2043789
口座名 株式会社インデイペンデント ウエブ ジヤーナル

城南信用金庫
支店名 新橋支店
店番号 022
預金種目 普通
口座番号 472535
口座名 株式会社インディペンデント.ウェブ.ジャーナル

ゆうちょ銀行
店名 〇〇八(ゼロゼロハチ)
店番 008
預金種目 普通
口座番号 3080612
口座名 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル カンリブ

 IWJホームページからもお振り込みいただけます。

※ご寄付・カンパのお願い
https://iwj.co.jp/join/pleasehelpus.html

 どうか、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます!

岩上安身拝

■IWJは、市民の皆さまお一人お一人の会費とご寄付・カンパで運営しています。4月のご寄付者様のご芳名を感謝を込めて順次掲載させていただきます! IWJの経済危機に手を差し伸べてくださった皆さま、誠にありがとうございます!

 IWJは、市民の皆さまお一人お一人の会費とご寄付・カンパで運営しています。4月のご寄付者様のご芳名を感謝を込めて順次掲載させていただきます! IWJの経済危機に手を差し伸べてくださった皆さま、誠にありがとうございます!

 4月は30日間で、345件、388万2650円のご寄付・カンパをいただきました。ご寄付をくださった皆さま、本当にありがとうございます。

 ここに感謝のしるしとして、掲載の許可をいただいた方152名様につきましては、順に、お名前を掲載させていただきます。また、弊社ホームページにも掲載させていただくと同時に、ツイッター、フェイスブック等のSNSにて告知させていただきます。

============

イシバシ ミネオ 様
藤家 雪朗 様
O.S. 様
ミヤモト ユキ 様
K.S. 様
M.K. 様
Fuyuki Murakami 様
藤林弘資 様
N.N. 様
H.S. 様
炭谷克己 様
小宮幸夫 様
金 盛起 様
H.H. 様
斎藤 一弥 様
川嶋秀子 様
H.S. 様
石嶋眞理 様
三浦 聡一郎 様
T.K. 様

==========

 皆さま、コロナ禍の厳しい経済情勢の折、また、ウクライナ戦争の影響が及び始めている情勢下、誠にありがとうございました。

 いただいたご寄付は、大切に、また最大限有効に活用させていただきます。

 今後とも、ご支援をよろしくお願い申し上げます。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

◆中継番組表◆

**2022.5.13 Fri.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ・エリアCh2・福島】13:30~「第44回 福島県『県民健康調査』検討委員会」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_areach2

 「福島県保健福祉部県民健康調査課」主催の「県民健康調査」検討委員会を中継します。これまでIWJが報じてきた県民健康調査関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e7%9c%8c%e6%b0%91%e5%81%a5%e5%ba%b7%e8%aa%bf%e6%9f%bb
———————-

【IWJ・エリアCh5・東京】18:00~「原発反対八王子行動」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_areach5

 「キンパチデモ実行委員会」主催の原発反対八王子行動を中継します。これまでIWJが報じてきたキンパチデモ実行委員会関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/kinpachi-demo-executive-committee

========

◆中継番組表◆

**2022.5.14 Sat.**

調整中

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

◆昨日アップした記事はこちらです◆

東京都医師会が屋外でマスクの着用は不要との見解! IWJ記者の質問には「ワクチンはBA.2に対しても効果がある」「パンデミックに緊急事態条項を安易に適用しないほうがいいが、議論はすべき」~5.10 東京都医師会 記者会見
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/505765

植生の特徴を生かし、災害発生時の避難広場やヒートアイランド現象の軽減にもつながる「神宮外苑」の樹木は「可能な限り残さなければならない!」~4.29神宮外苑再開発連続学習会 第2回 ―内容「先生に聞いてみよう、神宮外苑の樹木と都市計画基本のキ」
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/505275

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

■「ロシアと中国を一括りに考えるべきではない。政権交代を目標とする覚悟がないなら、民主対独裁の対立を問題にすべきでない」「中国の指導者は、プーチンが陥った事態をいかに避けるか考えているだろう」英『フィナンシャル・タイムズ』がヘンリー・キッシンジャー元米国務長官にインタビュー!

 英『フィナンシャル・タイムズ』が9日、「5月7日にワシントンで行われた、ヘンリー・キッシンジャー元米国務長官兼国家安全保障顧問とエドワード・ルース・フィナンシャル・タイムズ米国代表編集者との対談の編集記録」を掲載しました。

※‘We are now living in a totally new era’ - Henry Kissinger(FINANCIAL TIMES、2022年5月9日)
https://www.ft.com/content/cd88912d-506a-41d4-b38f-0c37cb7f0e2f

 10日には、同インタビューの動画もアップされています。

※Henry Kissinger: ‘We are now living in a totally new era’(FINANCIAL TIMES、2022年5月10日)
https://www.ft.com/video/8ee73080-6e00-4dd3-a72c-5eda436328e1

 1972年のニクソン訪中、共同声明「上海コミュニケ」の立役者として、米中対立を終わらせたキッシンジャー氏に対し、ルース氏は親密さを増すロシアと中国について「私たちは中国と新たな冷戦状態にあるのか?」「バイデン政権の『民主主義対独裁主義』という枠組み設定は間違っているのではないか?」と質問しています。

 さらに、現在のウクライナ情勢について『プーチン大統領の核使用発言は、どうとらえるべきか?」「プーチンのレッドラインはどこにあると考えるか?」「中国はウクライナ情勢からどのような教訓を得ているか?」と、質問は続きます。

※ここから先は【会員版】となります。会員へのご登録はこちらからお願いいたします。ぜひ、新規の会員となって、あるいは休会している方は再開して、御覧になってください!

https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php

―――――――

■<IWJ取材報告 1>懸念が残るまま、反対デモ中に可決・成立した岸田政権肝いりの「経済安保法」! 法律に記される何が「審査対象」で「罰則」にあたるのか具体的な線引きがされず!~5.11 #経済安保法案は戦争を呼び込む 連続アピール2Days

 5月11日水曜日、この日、参議院で採決・成立が予定されていた経済安全保障推進法案に反対するデモ「#経済安保法案は戦争を呼び込む 連続アピール2Days」が参議院会館前で行われました。

 経済安全保障推進法案とは、岸田政権の目玉政策の一つで、基幹インフラ14業種における安全確保、医療・半導体などのサプライチェーン強化、ハイテク分野での先端技術開発での官民協力、軍事技術に関わる特許の非公開など、4つの柱から構成されます。

 米国のトランプ前政権は、情報通信技術を巡り、中国との対立が激化、米国政府機関でファーウェイ社製など、中国製品の使用を禁止しました。そんな中、日本ではコロナ禍におけるマスクの供給が滞り、半導体が不足するなどの事態が起きました。

 こうしたことを背景に、経済活動をこれまで通り継続することができるよう対応を急ぐべきだとの意見が上がり、自民党の甘利明元幹事長が主導するかたちで、2020年頃から法制化が目指されました。

 2021年秋に岸田政権が誕生すると、その動きは一気に加速しました。「経済安全保障担当相」を新設し、そのポストには甘利氏に近い小林鷹之氏が任命されました。

 デモの中で海渡雄一弁護士は、経済安全保障法案について「中国との敵対的な経済関係を作ってしまう可能性が高い」と指摘した上で、次のような見解を示しました。

 「アメリカ政府が作っている法律案は、中国のITを入れている企業と、政府の通商を断つとか、はっきり決めて作るわけですよ。(日本では)それをやったら大変なことになるから、それを隠してるわけです。

 そういう中身であることを隠して、『外部に依存するような重要インフラシステムについては、一定の制限をかけていく』、こういうことを言って、『じゃ、どうするんですか?』(と聞くと)、『それはこれから決めます』ということになるんですね」。

 さらに海渡弁護士は、次のように自身の見解を裏付けました。

 「参議院の参考人質疑の中で、坂本雅子さんという名古屋経済大学の先生が、極めて実証的に、具体的に、『これはアメリカの指示で行われている法制定なんだ』ということ、そしてアメリカがアメリカ企業に対してやったことを、日本でも同じようにやれと、要するにファーウェイ社とか、会社のシステムに使ってるのは全部止めさせろということをはっきり明示しています」。

※参議院内閣委員会(2022年4月21日、参議院)
https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/sp/detail.php?sid=6841#

 岩上安身は2019年に、日本の産業の「空洞化」と「属国化」について、坂本雅子名古屋経済大学名誉教授にインタビューを行っています。ぜひ、あわせて御覧ください。

※電機産業は崩壊!? 凋落する日本のものづくり!~岩上安身によるインタビュー 第949回 ゲスト『「空洞化」と「属国化」 ― 日本経済グローバル化の顛末』著者 名古屋経済大学・坂本雅子名誉教授(2019年6月17日)
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/450800

 経済安全保障推進法案は、デモ中に、自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党、立憲民主党などの多数により可決・成立し、「法案」から「法」に変わりました。

 しかし、この法律は、条文に記されている何が「審査対象」で、何をすれば「罰則」にあたるのか、明確な線引きがされておらず、政令・省令で定められることになっているため、恣意的な運用が行われかねないと懸念する声もあります。

 2021年には、軍事転用可能な噴霧乾燥機を許可なしに輸出したとして、大川原化工機の幹部が警視庁公安部に逮捕されました。しかし、検察が裁判の直線に起訴を取り下げるという異例の対応をし、冤罪であった可能性が極めて高いとされています。

 経済安全保障推進法は、海外との経済対立を起こすだけでなく、国内での監視社会化を助長し、大川原化工機事件と似た冤罪事件を増やすのではないかと指摘されています。

 詳しくは、ぜひ全編動画を御覧ください。

※ 懸念が残るまま、反対デモ中に可決・成立した岸田政権肝いりの「経済安保法」! 法律に記される何が「審査対象」で「罰則」にあたるのか具体的な線引きがされず!~5.11 #経済安保法案は戦争を呼び込む 連続アピール2Days
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/505275

■<IWJ取材報告 2>「福島原発事故で、同じ証拠で東電、国の法的責任が問われている、一連の民事裁判の司法判断を、刑事裁判の審理対象にすべき!」~5.11東電刑事裁判 控訴審・被害者参加代理人による上申書と意見書提出後の記者会見

 2022年5月11日、福島第1原発事故の東電刑事裁判で、業務上過失致死傷罪で強制起訴され、一審で無罪となった東京電力の旧経営陣に対する控訴審で、被害者参加代理人の弁護団が、東京高裁に「被告人有罪」の結論を導くことが可能であるとする意見書を提出しました。

 弁護団はその後、午後2時より、東京・司法記者クラブにて、記者会見を開催しました。

 被害者参加制度は、刑事事件の被害者や遺族が、裁判で被告人に対して質問するなど、直接裁判に参加できる制度です。

 この控訴審は、6月6日の公判で結審される予定ですが、現在、並行して、6月末までに最高裁判決が予定されている福島原発事故集団訴訟と、7月13日に地裁判決が予定されている東電株主代表訴訟が行われています。

 弁護団は、この2つの訴訟の判決内容を踏まえないままの結審は不合理であるとして、この日、結審せずに次回期日を指定するよう「続行期日の指定」を求める上申書も提出しました。

 福島原発告訴団弁護団は、2022年4月5日、裁判所に伝えるべき事実関係や重要証拠を指摘し、別件の東電株主代表訴訟での証人尋問などから、新たな事実関係を指摘する意見書を提出しました。

※「要求した証拠調べを行わなかった裁判所がどのような事実を見過ごしたのか」福島原発告訴団弁護団が約370ページの意見書を高裁に提出!~4.5 東京高裁は被害者の声を聞け!長期評価の信頼性を認め有罪判決を!記者会見2022.4.5
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/504392

※福島原発告訴団弁護団意見書(福島原発刑事訴訟支援団、2022年4月5日)
https://shien-dan.org/wp-content/uploads/written-opinion-20220406.pdf

 この日の会見で、被害者参加代理人として登壇した海渡雄一弁護士は、提出した上申書の内容について、次のように説明しました。

 「上申書については、結審を延期してほしいという内容。延期してほしい理由は単純で、恐らく6月中に(福島原発事故集団訴訟の)最高裁の判決が出るだろうと。そして、東電株主代表訴訟の判決が7月13日に出る。この両方ともが、東電刑事裁判と争点が共通している。ほとんど同じ証拠を用いて裁判が行われている。(中略)

 この福島原発事故という一連の事故について、東電の役員、国には、どのような法的責任があるのかが問われている2つの裁判についての、重大な司法判断というものを、東京高裁は東電刑事裁判の審理対象にすべき。

 そのためには、少なくとも、7月の後半に期日を入れてさえくれれば、それで結審されることに、こちらとしては何ら意見をするつもりはない」。

 また、意見書の内容について、海渡氏は、「前回、4月5日に提出した『意見書』は370ページあった。これが今回、約半分の188ページになっている。

 これは、刑事裁判での証拠にもとづかないで、株主代表訴訟の審理などにもとづいて書いた部分を削除し、代わりに、新しい調書にもとづく論述を入れた。

 両方の書面について、裁判所も少しは感じるところがあると思うんですよね。

 東京高裁は、とにかく、2つの訴訟(福島原発事故集団訴訟と東電株主代表訴訟)の判決を東電刑事裁判の証拠調べの対象としてほしい。そのために、結審期日をもう一期日、7月の後半以降にずらすべきだ」。

 会見の詳細については、ぜひ全編動画を御覧ください。

※「福島原発事故で、同じ証拠で東電、国の法的責任が問われている、一連の民事裁判の司法判断を、刑事裁判の審理対象にすべき!」~5.11東電刑事裁判 控訴審・被害者参加代理人による上申書と意見書提出後の記者会見
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/505787

■<IWJ取材報告 3>東京都医師会が屋外でマスクの着用は不要との見解! IWJ記者の質問には「ワクチンはBA.2に対しても効果がある」「パンデミックに緊急事態条項を安易に適用しないほうがいいが、議論はすべき」~5.10 東京都医師会 記者会見

 5月10日火曜日、東京都医師会の定例会見が、千代田区にある東京都医師会館で行われました。

 会見には、尾崎治夫会長の他、東京都のモニタリング会議にも出席している猪口正孝副会長、角田徹副会長、平川博之副会長、川上一恵理事、黒瀬巌(いわお)理事が参加し、東京都の新型コロナ感染防止対策等について語りました。

 会見で東京都医師会は、段階的に感染対策を解除していくことを提案したうえで、熱中症のリスクなども考慮し、ソーシャルディスタンスが十分確保できる屋外では、マスクの着用は不要という見解を示しました。

 さらに、尾崎会長は「マスクを外せる場面は外した方がいいし、どうしてもリスクが高いような場面は抗原定性検査をやって、(コロナに)かかっていないということを確認する」と述べ、飲食店のような屋内でも検査で陰性が確認できれば、マスクを着用しなくてもよいのではないかという認識を示しました。

 質疑応答で、IWJ記者は東京都医師会ワクチン担当の角田徹副会長と、尾崎会長にそれぞれ質問しました。

IWJ記者「今月末にも始まる新型コロナワクチンの4回目接種についておうかがいします。

 米国ではオミクロン株の別系統BA.2が感染の約7割を占めており、日本でも都内では同様にBA.2オミクロン株の74%を占めています。感染力が強いとされているBA.2に対して米食品医薬品局(FDA)は、『今のワクチンはBA.2にあまり適していない』と指摘しています。

 このような状況で、現在と同じワクチンを4回目に接種して、果たして効果が見込めるものなのでしょうか? ご見解をお聞かせください」

 IWJの質問に対し、角田副会長は次のように答えました。

角田副会長「最新のデータで、都内でもやはりBA.2が85%ぐらい株が出ています。それはちょっと前のデータですから、現時点ではたぶん90%以上というふうに推測します。

 確かに、BA.2へのワクチンの効果について、多少落ちるというデータは出ておりますが、やはりBA.2にも十分効果があるというデータは出ております。

 ただ、比較の問題で、BA.1ないしはその前の株に比べると効果は落ちていることは出ております。ただ、3回目のワクチン接種というのは、非常に2回目までで得た、基礎的な免疫力をさらに高める機能がございますので、ぜひその辺を含めて3回目のワクチンはぜひお願いしたいというふうに思っております」

 尾崎会長には、次のように質問しました。

IWJ記者「現在、国会の憲法審査会で、ウクライナ情勢とともにコロナ禍を理由として、人権を制限して内閣に権力を集中させる緊急事態条項が必要だという議論がなされています。

 そこでお聞きしたいのですが、実際にこの2年あまり、医療の現場から、現行憲法の人権規定があるために命を救えなかったとか、憲法で人権を制限しなければ、命と健康が守れないといった事例や現場からの報告はあったのでしょうか?

 また、東京都医師会としては、今後の疫病などのパンデミックに備え、憲法で人権を制限して、内閣に権力を集中させる必要があるとお考えでしょうか?」

 尾崎会長は次のように回答しました。

尾崎会長「そういったケースがあったかどうかという検証は、なかなか医師会レベルでは難しいと思いますので、お答えはできないと思うんですね。

 ただ、今後そういうものは必要かどうかというのは、そのパンデミックを起こす原因となるウイルスの性質とか、毒性とか、感染力とか、そういったものによって、ある程度制限せざるを得ない場面というのも、もしかしたら出てくるかもしれないということで、一概には論じられないと思っています。

 なるべくそういったことは、安易に適用しない方がいいんだとは思いますけれども、やはり場合によってはそういったことも必要になるというような考え方といいますか、それはやはり十分議論をすべきじゃないかなと思います」

 ワクチンの4回目接種について、角田副会長はBA.1よりは劣るかもしれないが、BA.2に対しても効果があるという見解を示しました。

 緊急事態条項導入の是非について、尾崎会長は「適用しない方がいい」としつつも今後、さらなる悪性感染症が出現することを考慮すると、議論には値するという認識を示しました。

 詳しくは、ぜひ全編動画を御覧ください。

※東京都医師会が屋外でマスクの着用は不要との見解! IWJ記者の質問には「ワクチンはBA.2に対しても効果がある」「パンデミックに緊急事態条項を安易に適用しないほうがいいが、議論はすべき」~5.10 東京都医師会 記者会見
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/505765

■<IWJ取材報告 4>植生の特徴を生かし、災害発生時の避難広場やヒートアイランド現象の軽減にもつながる「神宮外苑」の樹木は「可能な限り残さなければならない!」~4.29神宮外苑再開発連続学習会 第2回 ―内容:「先生に聞いてみよう、神宮外苑の樹木と都市計画基本のキ」

 4月29日、午後7時より、東京都渋谷区の東京体育館にて、「神宮外苑を守る有志ネット事務局」の主催により、「神宮外苑再開発連続学習会 第2回―内容:『先生に聞いてみよう、神宮外苑の樹木と都市計画・基本のキ』」が開催されました。

 ちなみに第1回の学習会は、2022年2月27日、今回と同じく、東京体育館にて、「イチから知りたい神宮外苑再開発~連続学習会 その1」(※)として開催されています。

※住民女性が訴え!「木を伐らなければ、185メートルもの建物を作ってもいいということではない!!」都の神宮外苑再開発計画で突如樹木892本の伐採計画が明らかに!~2.27 イチから知りたい神宮外苑再開発~連続学習会 その1 2022.2.27
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/502797

※その他の関連記事
東京都は市民に対し丁寧な説明を! SDGsの新しい時代にかなうプロジェクトへの見直しを!~3.2 神宮外苑1000本の樹木を切らないで~再開発計画は見直しを!小池百合子都知事への約5万筆の署名簿提出後の記者会見 2022.3.2
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/503021

 学習会は「神宮外苑を守る有志ネット」の西川直子氏を司会に進められました。

 環境植栽学の藤井英二郎氏と都市計画学の大方潤一郎氏を講師に迎えた2つの講義が行われ、東京都議会議員(共産党)で、都市計画審議会委員の原田あきら氏からの審議会の現状報告とそれを受けての登壇者と参加者との質疑応答が行われました。

 学習会冒頭、会場では「神宮外苑を守る有志ネット事務局」と大方氏が4月17日に行った神宮外苑のフィールドワークの映像が放映され、その中で、一級建築士の大橋智子氏は自らの思いを次のように訴えました。

 「私たちはすべての計画に反対しているわけではなくて、建物の建て替えが必要であれば、建て替えなければならないのかもしれない。あとは、今、SDGsの時代で、建物を利用して、改修していくというのは、建築の世界でもよく行われているので、そういうこともあるかもしれない。

 だけど、建て替えすべてに反対し、すべてこのまま凍結しろと言っているわけではなくて、1000本の木を伐らなきゃいけないような計画ではない計画にしてほしいというふうに願っているだけで、なんでもかんでも反対しているわけではないし、集まりでもなくて、それぞれが、同じ考えを持っている人たちが集まって、皆さんに知ってもらおうと、こういう企画をたてているだけなので、そこのところは理解していただきたい」

 また、この再開発地区の地権の大半は明治神宮が持っているが、創建時からこれまで、神宮外苑を守ってきた明治神宮自身が、事業者のうちの一者でありながら、いまだ明確な説明を行っていないことについて、大橋氏は以下のように語りました。

 「明治神宮も何か事情があるのだろうなと思うので、単に『明治神宮ひどい、ひどい』と言うんじゃなくて、どういうことが起きているのか、みんなの声を届けることで、考えが変わってくれればいいなと思っていますし、(中略)世論を広げていくことが大事かなと思っております」。

 詳しくは、ぜひ全編動画を御覧ください。

※植生の特徴を生かし、災害発生時の避難広場やヒートアイランド現象の軽減にもつながる「神宮外苑」の樹木は「可能な限り残さなければならない!」~4.29神宮外苑再開発連続学習会 第2回 ―内容:「先生に聞いてみよう、神宮外苑の樹木と都市計画基本のキ」
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/505275

■【スタッフ募集・テキスト(赤反映担当)班】日刊IWJガイドや記事の執筆、編集業務を行っていただける方、特に深夜業務での作業を厭わない方は優遇し募集します。深夜に及んだ場合は、社用車での帰宅が可能です。時給は1300円から、能力・実績次第で昇給します。深夜業務は法にのっとった割り増し残業代を支払います。

 日刊IWJガイドや記事の執筆、編集などの作業のうち、主に日刊IWJガイド校了前の赤反映業務に携わってもらいます。パソコンのスキルが必要です。時に深夜まで及ぶことがありますが、社用車での帰宅、あるいは自宅への送りが可能です。雇用形態はアルバイトまたは契約社員で時給1300円からのスタートになります。能力と実績次第で昇給します。正社員登用の途もあります。在宅勤務や業務委託契約も相談に応じます。残業代、深夜残業代もきっちりお支払いします。

 入社ご希望の方は、下記のURLのスタッフ募集フォームにご記入の上、履歴書、職務経歴書(書式自由)を添付の上、admin@iwj.co.jp までお送りください。

※スタッフ募集フォーム
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdiPIiSuiFyoVpF_HRNqdbKlIucA_Vdk6DEWqCq7mCQM6O1kw/viewform

■【スタッフ募集・テキスト(パワポ作成担当)班】書物や資料を読み砕いていく読解力やリサーチ能力が必要とされる「岩上安身によるインタビュー」のパワポ作成に責任をもってかかわっていただける方。時給は1500円です。

 テキスト班で「岩上安身によるインタビュー」のためのパワーポイント作成に責任をもって携わっていただける方を募集します。時給は1500円です。雇用形態はアルバイト又は契約社員からのスタートになります。正社員登用の途もあります。業務委託契約も相談に応じます。残業代、深夜残業代もきっちりお支払いします。

 パワポ作成には、書物や資料を読み砕いていく読解力やリサーチ能力が必要なため、基礎的な学力や広範な教養・知識力が必要です。優れた人員を募集します。

 入社ご希望の方は、下記のURLのスタッフ募集フォームにご記入の上、履歴書、職務経歴書(書式自由)を添付の上、admin@iwj.co.jp までお送りください。

※スタッフ募集フォーム
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdiPIiSuiFyoVpF_HRNqdbKlIucA_Vdk6DEWqCq7mCQM6O1kw/viewform

 それでは、本日も1日、よろしくお願いします。

※日刊IWJガイドのフルバージョン(会員版)は下記URLより御覧ください。
https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20220513

IWJ編集部(岩上安身、六反田千恵、浜本信貴、富樫航、城石裕幸、中村尚貴)

IWJ 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル
岩上安身サポーターズクラブ事務局
公式サイト 【 https://iwj.co.jp/
公式ツイッターアカウント 【 https://twitter.com/iwakami_staff