日刊IWJガイド・非会員版「米露首脳会談でプーチン大統領は『西側諸国はウクライナに「ミンスク合意」を守らせる圧力を行使していない』と批判! NHKはこれを報じず」2022.2.14号~No.3441号


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■はじめに~ウクライナ情勢をめぐる12日の米露首脳会談でプーチン大統領は「西側諸国はウクライナに停戦合意『ミンスク合意』を守らせる圧力を行使していない」と批判! しかしNHKはこれを報じず、ホワイトハウスの「大本営発表」のみ!

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■【中継番組表】

■13日、東京都の新型コロナウイルス新規感染者数は1万3074人、5日連続前の週の同じ曜日より減少! 一方、重症者・死者は増加中!

■米海軍原潜が千島沖でロシア領海侵犯! ロシアは「国家安全保障に対する脅威、重大な国際法違反」と抗議! 米軍は「真実ではない」とロシア発表を否定!

■IWJ検証レポート~米国の有識者が米中の国力逆転を認めたアリソン・レポートの衝撃!(その9)。「A2/AD圏は、2025年までに第2列島線まで拡大する」! 中国の国境や近海での紛争支援に米軍艦船は何日も何週間もかけて移動しなければならない! この距離の非対称性がA2/AD戦略の原動力! しかも「米国はもはや核増強の優位性に頼ることはできない」!

■<新記事紹介>IWJ検証レポート~米国の有識者が米中の国力逆転を認めたアリソン・レポートの衝撃!(その8)。「中国が半導体産業のリーダーになる可能性否定できず」! 2030年製造シェアのトップ3は中国、台湾、韓国! 首位の米国は5位に転落!
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■はじめに〜ウクライナ情勢をめぐる12日の米露首脳会談でプーチン大統領は「西側諸国はウクライナに停戦合意『ミンスク合意』を守らせる圧力を行使していない」と批判! しかしNHKはこれを報じず、ホワイトハウスの「大本営発表」のみ!

 おはようございます。IWJ編集部です。

 ウクライナ情勢をめぐり、日本時間の13日未明(米時間12日)、米バイデン大統領とロシアのプーチン大統領によるおよそ1時間の電話会談が行われました。

 12日付けホワイトハウスの発表です。

 「バイデン大統領は、ロシアがウクライナへのさらなる侵攻を行った場合、米国は同盟国やパートナーとともに断固として対応し、ロシアに迅速かつ厳しい代償を課すと明言した。

 バイデン大統領は、ロシアがウクライナにさらに侵攻すれば、広範な人的被害をもたらし、ロシアの地位を低下させるだろうと繰り返した。

 バイデン大統領はプーチン大統領に対し、米国は同盟国やパートナーと十分に連携して外交に携わる用意がある一方で、他のシナリオにも同様に備えていることを明らかにした」

※Readout of President Biden’s Call with President Vladimir Putin of Russia(THE WHITE HOUSE、2022年2月13日)
https://www.whitehouse.gov/briefing-room/statements-releases/2022/02/12/readout-of-president-bidens-call-with-president-vladimir-putin-of-russia/

 また、ホワイトハウスは12日付けで「政府高官による背景説明」も公表しています。

 「両大統領の電話会談は専門的で実質的なものでした。 1時間余り続きました。

 我々は、我々と同盟国が追求することが有益で、欧州の安全保障を強化し、ロシアが表明したいくつかの懸念にも対応できるようなアイデアをテーブルに乗せたと信じています。

 しかし、ロシアが武力行使ではなく、外交的に目標を追求することに関心があるかどうかはまだ不明です。

 我々は、外交によるデ・エスカレーションの見通しを維持することに引き続き尽力します。 しかし、私たちは、ロシアが私たちの目の前の明白な場所で取っている手順を考えると、その見通しについても明確な見解を持っています。 ロシアが破滅的な行動に出るのを避けるためにあらゆる機会を与えないのは、この問題の利害関係があまりにも大きすぎるからです。

 このことは、(バイデン)大統領が(ウクライナの)ゼレンスキー大統領との会談、昨日の主要同盟国との電話会談、今日のプーチン大統領との電話会談を含む二国間会談を繰り返し、また他の高官がこれらすべての同じカテゴリーの相手と電話会談したことからも明らかです。

 一方、我々は、ロシアを抑止し、仮にロシアが軍事行動に踏み切った場合のための抑止努力を強化しています。

 昨日(米時間・11日)、米軍3000人を追加してポーランドに派遣すると発表したのはご存じでしょう。 ウクライナに対する安全保障支援の提供はここ数日続いており、厳しい金融制裁と輸出規制を直ちに課す用意があることを確認するためのEU、英国、カナダ、その他のパートナーおよび同盟国との話し合いも、集大成の段階に来ています。

 ご承知のように、我々はキエフでの外交的プレゼンスを縮小し続けており、(バイデン)大統領はプーチン大統領に対し、ウクライナに滞在する米国人の安全と安心に対する我々の懸念について非常に直接的な発言をしました。

 ロシアがどのような決断を下すにせよ、戦略的地位を向上させるための彼らの努力はすでに失敗しており、軍事行動を取ることになれば、それは悪化する一方であるというのが我々の評価です。

 大西洋の関係は、ここしばらくなかったほど緊密に連携しています。 NATO はより強力で、より目的意識をもっています。 ロシアはすでに、より広い世界からますます孤立し、中国への依存度を高めており、私たちが支持する原則的、肯定的、国際法を遵守する世界観や価値観とは根本的に異なる世界観を共に露呈しています。

 そして、ロシアは、その意図について私たちが見透していることから、情報空間において防衛的立場であることに気づいています。

 時間が経つにつれて、もしロシアが侵攻すれば、このリストには、私がすでに述べたような厳しい経済的コストと、血生臭い戦争の選択のために罪のない人々の命を奪うことによる取り返しのつかない風評被害も含まれることになります。

 両大統領は、両チームが今後数日間、交渉を続けることで合意しました。 ロシアはいずれにせよ、軍事行動を進めることを決定するかもしれません。 実際、その可能性は十分にあります。

 もしそうなれば、ウクライナ、欧州の安全保障、そしてロシアへのダメージは甚大なものになるでしょう。 バイデン大統領は、(この電話会談の)結果について、我々は(武力衝突を)回避するために努力し続けるべきだと考えています」

 高官によるブリーフィングに続いて、記者から「デ・エスカレーションについてバイデン大統領が提案したことについて、もう少し詳しく聞かせてもらえませんか?」という質問を受け、この高官は「私たちは同盟国との緊密な協議を経て、外交のテーブルに真剣で実質的なアイディアを持ち込んできた。それらを直接ロシアに提示した」と述べました。

 その上で「私たちは、公の場で交渉することを強く望んでいないことも明確にしてきました。なぜなら、それがデ・エスカレーションへの道筋を見出す最善の方法だとは考えていないからです。それが、今回の外交交渉の最大の優先事項です」と答えました。

 また、別の記者は「あなたは『攻撃の可能性がある』と言ったが、昨日のブリーフィングでは『攻撃が差し迫っており、決定が下された』というトーンだった。もう少し詳しく」と質問しました。

 これに対して高官は「プーチン大統領が決断したかどうかという考えについては、ジェイク・サリバン(国家安全保障問題担当・大統領補佐官)がコメントしたように、我々はプーチン大統領の意思決定について完全な可視性を持っていない。その質問はクレムリンかプーチン大統領本人に直接する必要がある」と答えた上で、次のように続けました。

 「しかし、私たちはロシア人が公言する内容にもとづいて評価をしているわけではありません。ウクライナとの国境でロシアの軍事力増強が続いており、緩和の意味ある証拠も、緩和への関心も見られないということです。 つまり、これまで何週間もかけて見てきた、そして話してきたような傾向が続いているというのが私たちの感覚です。 それ以上のことは、私たちからは何も言えません」

※Background Press Call by a Senior Administration Official on the President’s Call with Russian President Vladimir Putin(THE WHITE HOUSE、2022年2月13日)
https://www.whitehouse.gov/briefing-room/statements-releases/2022/02/12/background-press-call-by-a-senior-administration-official-on-the-presidents-call-with-russian-president-vladimir-putin/

 日本の大手メディアはこのホワイトハウス発表と政府高官によるブリーフィングの内容にもとづいて、この米露首脳会談を報じています。

 しかしその一方で、記者による質問で明らかなように、プーチンがウクライナ侵攻を決断したという明確な証拠が米政府から何も示されていないことを問題視する声は皆無です。

 「イラクは大量破壊兵器を隠し持っている」と言い切って一方的に空爆を始めながら、大量破壊兵器などどこからも見つからなかったイラク戦争を思い起こさせます。米政府には「前科」があるのです。

 13日午後の時点で、クレムリンの英語版ホームページには、まだこの米露首脳会談について、何も発表されていません。

 しかし、ロシアのスプートニク通信は、13日日本語版記事で、ユーリー・ウシャコフ露大統領補佐官(国際関係)による記者団への説明として、「ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はジョー・バイデン米大統領と1時間にわたって行った電話首脳会談の中で、西側諸国がウクライナに対し、停戦協定の『ミンスク合意』に伴う義務を遵守させるために然るべく圧力を行使していない現状に懸念を示した」と報じています。

 さらにスプートニクは「西側諸国は協力してウクライナに最新兵器を供給することで、ウクライナ南東部のドンバス地域や、ロシアに編入されたクリミア半島に対するウクライナ軍の攻勢を助長する可能性がある」と、プーチン大統領が懸念を示したとも報じています。

 また、スプートニクは「ウシャコフ露大統領補佐官はウクライナへの侵攻計画を巡る過熱した報道を受け、『ヒステリーは絶頂に達した』とコメントし、ウクライナ侵攻の可能性はないことを改めて強調した」と報じています。

※西側はウクライナに停戦合意の遵守を要求していない=露大統領(スプートニク日本、2022年2月13日)
https://jp.sputniknews.com/20220213/10159862.html

 ところがこのウシャコフ露大統領補佐官の記者団への説明について、13日付けNHKは「ロシア大統領府のウシャコフ補佐官は、『NATOのさらなる拡大など、ロシアにとって重要な要素は考慮されていない』として不満を表しました。そして、プーチン大統領がアメリカ側の安全保障の見解を慎重に吟味し、近く対応を示すと明らかにしました」としか報じていません。

 おそろしいほどの偏向報道です。

※米ロ首脳が電話会談 プーチン大統領が近く示す対応が焦点に(NHK、2022年2月13日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220213/k10013481521000.html

 ロシアの英語メディア『RT』は、13日付け記事で、このウシャコフ補佐官の説明を詳報しています。

 「ロシア、バイデン-プーチン会談の詳細を明らかにする。大統領補佐官は、会談は前例のない米国の『ヒステリー』の中で行われたと述べた」と題された記事の内容は以下の通りです。

 「クレムリンの外交政策補佐官ユーリ・ウシャコフは、土曜日の夜(モスクワ時間)に終了した電話会談の直後に、ロシアのプーチン大統領とジョー・バイデン米大統領の会話の詳細を明らかにした。

 ウシャコフ氏はメディアブリーフィングで記者団に対し、今回の会談は、ロシアによるウクライナへの『侵略』が差し迫っているとの懸念を理由に、ワシントンからの要請で行われたことを明らかにした。プーチンとバイデンの会談は当初、月曜日に行われる予定であったと同補佐官は付け加えた。

 ウシャコフは、『この会談は、ロシアによるウクライナへの差し迫った「侵略」とされるものに対して、米国当局がかつてないほどのヒステリーを起こしている雰囲気の中で行われた』と述べている。

 プーチンは、ウクライナを軍事化し、近代的な武器を満載する西側の努力を批判しており、こうした政策は、同国東部の紛争を武力で解決しようとするキエフ(ウクライナ政府)を効果的に後押ししていると、ウシャコフは指摘している。

 ウシャコフ氏は、『「侵略」に関する疑惑の背景には、ウクライナ軍が挑発的な行動を取る可能性があるという条件が整っている』と指摘した。

 ロシア大統領はバイデン氏と、キエフ軍(ウクライナ政府軍)がドネツクとルガンスクの分離共和国と対峙しているウクライナ東部の紛争から抜け出す道筋を示した、2015年の主要な多国間協定であるミンスク合意を『妨害』するために、ウクライナ当局が追求する『破壊的』政策について、話をした。ロシア大統領は、西側諸国がキエフに協定を履行するための十分な『圧力』をかけていないと強調したと、ウシャコフ氏は指摘した。

 一方、米国大統領は、ウクライナ周辺情勢をめぐり、反ロシア制裁の導入の可能性に言及した。しかし、制裁措置の話はプーチンとバイデンの会話の中心ではなく、全体として建設的で『ビジネスライク』だったとウシャコフは指摘する。

 『バイデンはロシア制裁の可能性に言及したが、これはウクライナ情勢が緊迫していることから予想されたことだ。同時に、この問題はロシアの指導者とのかなり長い会話の中心ではなかった』と述べ、両首脳は今後も議論を続けることで合意したと付け加えた。

 過去数ヶ月間、西側諸国の高官やメディアは、モスクワがウクライナを攻撃しようとしていると繰り返し非難し、迫り来る『侵略』の疑惑が繰り返し語られてきた。しかし、そのような主張を裏付ける確かな証拠はこれまで出てきていない。

 最新の主張は、土曜日に複数のメディアが匿名の情報源を引用し、モスクワが来週水曜日にキエフを攻撃する可能性があると主張したことから始まった。モスクワは一貫してこの疑惑を否定し、ウクライナや他の国々を攻撃する計画はないと主張している」

※Russia reveals details of Biden-Putin call A presidential aide said the talks took place amid unprecedented US ‘hysteria’(RT、2022年2月12日)
https://www.rt.com/russia/549175-putin-biden-phone-talks/

 ウクライナ危機の根底には、ウクライナ国内にいるロシア系住民=ロシア語話者への、ウクライナ政府による迫害的政策があります。ウクライナ東部のロシア系住民の多いドネツク・ルガンスク両州でウクライナからの分離独立運動が高まっているのは、そのためです。

 ロシアとウクライナ両国の反目がその問題の解決を求めて対立しているのに、介入してきた米国はこの点には一切触れずに「ロシアがウクライナに軍事侵攻する」というプロパガンダを大声で続けています。現実は、ウクライナ政府軍が、自国内東部でロシア系住民による分離主義勢力に武力攻撃を続けているにもかかわらず、です。

 中国には、マイノリティであるウイグル人に人権問題の解決を求めているのに、ウクライナにおけるマイノリティであるロシア系住民の人権問題には目をつぶるのはあまりにもあからさまなダブルスタンダードであると言わざるをえません。

 戦争は悲劇以外のなにものでもありません、これ以上挑発のエスカレートは、誰のプラスにもなりません。

 ウクライナ国内のマイノリティであるロシア系住民の生命・財産の保護や人権が、守られることがまず担保されなくてはなりません。その上で、停戦合意である「ミンスク合意」を守り、ロシアとウクライナだけでなく、米欧も冷静に話しあうべきです。

■皆さまへ緊急のお願いです!! 2月になり、8月1日から始まったIWJの今期第12期も後半に入りました! しかしながら1月末までのご寄付・カンパの目標の累計不足金額は、トータルで322万2951円の赤字! 今月2月の月間目標額は420万円! 2月末までに必要な金額は、合計で 681万7097円となります。どうかこの1ヶ月、もう一段の緊急のご支援をよろしくお願いいたします!!

 IWJ代表の岩上安身です。

 IWJでは、今期第12期の年間の予算を立てる上での見通しとして、支出をぎりぎりまでにしぼりにしぼった上で、ご寄付・カンパの目標額を月額420万円(年間5040万円)と決めさせていただきました。

 2月になり、昨年8月から始まったIWJの今期第12期は、折り返しを過ぎて後半に入りました。

 1月のご寄付・カンパの集計が確定いたしましたので、ご報告させていただきます。1月は、1日から31日までの31日間で、473件、453万4311円のご寄付・カンパをいただいております。

 たび重なるご寄付のお願いにこたえてくださった皆さまのおかげをもちまして、1月は12月に続き、ご寄付の月間目標額に到達することができました。皆さまに心より感謝申し上げます。本当にありがとうございます。

 しかしながら、1月末までの6ヶ月間の累計の不足分は、まだなお322万2951円となっております。

 2月の月間目標額も420万円ですが、1日から7日までの7日間で52件、60万5854円のご寄付・カンパをいただいています。ありがとうございます。したがいまして、2月末日までに必要な額は、あと681万7097円になります。

 2月7日までにいただいたご寄付の金額60万5854円は、月間の目標額の14%、上記の累積の不足額をあわせた2月末までの必要額の8%にとどまっています。

 2月は28日しかありません。13日はすでに半分ほど経過しています。

 どうか会員の皆さまのお力で、2月もIWJをお支えください!

 IWJの会員数は現在3298人です。そのうちサポート会員は1153人です(2022年1月31日現在)。本当に心苦しいお願いではありますが、会員の皆さま全員が998円ずつカンパしてくださるか、サポート会員の皆さまが1人2854円ずつカンパしてくださったならば、なんとかこの赤字は埋められます!

 伏してお願いいたします! どうか皆さまのお力で、この窮状をお助け願います!

※ご寄付・カンパはこちらからお願いします。
https://iwj.co.jp/join/pleasehelpus.html

 コロナ禍は、日本のすべてを直撃しています! IWJも例外ではありません!

 同じように皆さまもそれぞれ、コロナ禍で厳しい状況に直面されていることと拝察いたします。こうした状況で皆さまに、会員登録のお願いとご寄付・カンパを繰り返しお願いすることは、心苦しいことではあります。

 しかし、どうしても声を大にして、お伝えしなければならないことがあります!

 改憲による緊急事態条項の導入と、米国による中国との戦争に日本が巻き込まれる現実的な懸念が、迫っているからです!

 昨年は、天下分け目の衆院選が、改憲勢力の圧勝で終わってしまい、しかも最も重要な「改憲問題」という争点が隠され、大変残念な結果になってしまいました。

 しかし嘆いてばかりはいられません! 改憲発議がなされれば、国民投票となりますし、夏の参院選もあります! 勝てない戦争は断固としてNOという民意を、国民皆で示さなければなりません。

 世界は今、100年に1度あるかないかの巨大な政治的経済的軍事的な地殻変動に見舞われています。

 いうまでもなく、日本を含む世界全体に対し、単独覇権国として支配的な影響力を及ぼしてきた米国が衰退し、中国が米国の国力を上回る勢いの新興国として台頭してきているからです。米中両超大国とも、地理的に両国にはさまっている、我々日本の都合など、考えてはくれません!

 地球上の覇権国の力関係が、劇的に変わろうとしつつあります。この米中のせめぎあいに、米国の「従属国」に甘んじてきた日本は、モロに巻き込まれつつあります。

 「ウクライナ危機」も、米国の覇権延命のための、壮大な仕掛けとみることができます。米国は、冷戦終結後も、ロシアの攻略を諦めていませんでした。スラブ系の兄弟民族であるウクライナとの仲まで引き裂かれ、ロシアは追い込まれています。

 米国は核保有国であるロシアをどこまで追い詰めるつもりなのか、落とし所を本気で見つけようとしているのでしょうか?

 落とし所もなく、ロシアを追い詰め過ぎるのは非常に危険です。冷静になって米国やNATOに自省を求める声が、日本を含めた西側から出てこないのが気がかりです。

 ロシアは、中国のバックアップがなければ、経済的にいきづまっていたことでしょう。皮肉なことに、一極単独覇権を貫徹しようとする米国の圧力は、中露を結束させる方向へ作用していきました。

 しかし、米国は、追い打ちをかけるように中国がロシアへの制裁を無効にするような、ロシアに対する援助を行なった場合、中国に対して制裁を加えると表明しました。

 中露に対してABCD包囲網を敷くような追い詰め方です。まるで中露との戦争は不可避であると、米国自身が腹を括っているかのようです。なぜ、米国はここまでロシアと中国を叩こうとしているのでしょうか?

 米国の衰退の原因は、米国自身の傲りによるところが大きい、と言わざるをえません。自ら生み出した新自由主義とグローバリズムのために、米国内部で1%の超富裕層と、その他の貧困層との格差が、民主主義国とは言えないほど開いてしまっています。

 他方、米国は、自らの単独覇権主義を徹底するために、巨大な軍事力を備え、行使してきたために、巨額の財政赤字を積み上げ、結果として国力を落としてしまっています。

 米国が科学技術と、軍事の両面で、新興ライバル国・中国にどのくらい迫られ、追いつかれ、あるいは追い抜かれているのか、日本のマスコミは正面切って取り上げません。

 その現実がわからないと、中露に対して高圧的かつ好戦的な態度を、なぜ米国がとるのか、その理由が見えてきません。

 米国は中国に追い抜かれそうになっている今だからこそ、叩くならば今しかない、という方向に傾きつつあるのです。今、躊躇したら、数年後、10年後には米国の国力を超え、大きくなり過ぎてつぶせなくなっているだろうと米国がみなし始めているのです。

 このシビアな米中逆転の現実を直視した「アリソン・レポート」を、IWJでは断続的に紹介しています。以下、ぜひ、御覧になってください。

※IWJ検証レポート~米国の有識者が米中の国力逆転を認めたアリソン・レポートの衝撃!(その1)。「米国は科学技術の覇権を握っていない」グレアム・アリソンが政権移行のメモをレポート「偉大なるライバル」(技術編)で「10年で中国は米国を抜く」2022.1.13
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/501076

※IWJ検証レポート~米国の有識者が米中の国力逆転を認めたアリソン・レポートの衝撃!(その2)。中国のAI競争勝利は「すでに決定」!? 優位の根本は14億の人口! 14億人から数秒で個人特定の顔認識技術!
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/501743

※IWJ検証レポート~米国の有識者が米中の国力逆転を認めたアリソン・レポートの衝撃!(その3)。中国はAIとIoT(あらゆる物のインターネット)を促す全国5G網を構築の「次世代テクノロジー・ジャイアント」
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/501775

※IWJ検証レポート~米国の有識者が米中の国力逆転を認めたアリソン・レポートの衝撃!(その4)。中国の量子コンピューターはグーグル製より「100億倍速い」! 中国の量子通信衛星ネットで、米国は中国政府と軍の通信を盗聴することが不可能に!
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/501829

※IWJ検証レポート~米国の有識者が米中の国力逆転を認めたアリソン・レポートの衝撃!(その5)。2030年代に中国が軍事技術で米国を上回る!? 中国は未来の戦争「システム破壊戦」に注力するが、米軍は対テロ等「低強度作戦」で時代遅れの装備を倍増!
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/501896

※IWJ検証レポート~米国の有識者が米中の国力逆転を認めたアリソン・レポートの衝撃!(その6)。中国の防衛費は実質で米国の約53%に、近い将来同水準! 米軍の時代遅れで高価なシステムに中国安上がりに対抗!
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/501998

※IWJ検証レポート~米国の有識者が米中の国力逆転を認めたアリソン・レポートの衝撃!(その7)。「アジアは米国支配のフロンティア後退を目撃」! 台湾紛争ウォーゲームで米軍「大きく有利」な作戦次元皆無に!
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/501996

※IWJ検証レポート~米国の有識者が米中の国力逆転を認めたアリソン・レポートの衝撃!(その8)。「中国が半導体産業のリーダーになる可能性否定できず」! 2030年製造シェアのトップ3は中国、台湾、韓国!
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/502227

 財政赤字と国民の格差の拡大については、そっくりそのまま日本で同じことが起こっています。日本が米国のマネをしてこなかった(できなかった)のは、軍事力の行使だけでしたが、今後の行方次第では、米国からの「命令」で対中戦争に参戦することとなり、そのタガも外れてしまうことでしょう。

 ウクライナと台湾どちらかの紛争が弾ければもう一方も連動して弾ける可能性があります。局地戦にとどまらず、第3次世界大戦への扉を開く可能性もありえなくはありません。

 現在の日本政府は、そんな「大火事」を目の前に、自らの頭で国益を考え、立ち止まる判断をせず、ただただ米国の言いなりになって火中に飛び込んでいくことしか考えていません。

 私がIWJというインターネット報道メディアを立ち上げた(会社登記)のは、正式には2010年12月のことですが、準備期間に約1年間かけました。その際、IWJという社名だけを決めて、「移行期通信」というメルマガを支持者の方々にお送りしていました。

 社名になぜIndependent(独立)という言葉を入れると決めていたのか。独立メディアである、という意味はもちろんのことですが、日本の独立に少しでも資するように、という願いを込めたからです。それが私の志であり、一貫した「初期衝動」です。

 日本よ、独立せよ。

 米国への過度の依存から離れ、米国に都合よくふりまわされ、利用されずに、世界の国々、とりわけ周囲・隣国との友好に尽くし、独立国としてサバイバルせよ、という思いです。

 その思いを込めてスタートしたIWJですが、私の願いはかなわず、危機感の方が、的中してしまい、日本は国力を落としながら、さらに米国への依存を深め、集団的自衛権まで突破してしまい、米軍と軍事的に一体化して、どんどんと危うい方向に向かいつつあります。

 敗戦から冷戦の終わりまで、日本は当たり前のように米国に、外交・安全保障を依存してきました。たしかに、「軽武装・経済優先」という、当時、自民党の主流派だった宏池会のような考えでも、実際、日本は豊かになっていきました。

 しかし、冷戦に「勝利」した米国は、傲りたかぶり、世界を一極支配する単独覇権システムを強引に構築しようとし、かえって世界の反発を買って多極化を招いてしまいました。

 にもかかわらず日本は、米国を不動のヘゲモン(覇権国)としてあがめたてまつり、依存をさらに深めており、米中対立の「最前線」に立たされつつあります。

 その戦争準備と遂行のために、国会から立法権を奪って、内閣独裁を実現し、法律の代わりに、内閣が独断で超法規的な「政令」を繰り出せる緊急事態条項を含めた改憲をしようと躍起になっているのです。

 緊急事態条項を憲法に書き込み発効させなければ、米国の利益のために、日本が「身代わりの犠牲」になるようなバカげた戦争を遂行し、国民にムチャクチャな無理強いをすることなど、できないからです。

 「戦争となれば、南西諸島や九州は当然、戦域になる」と、自衛隊トップだったの河野克俊元統合幕僚長は、2021年9月2日に、南日本新聞の取材に答えて明言しています。

※「台湾有事なら沖縄・鹿児島も戦域に。これは軍事的常識」 河野前統幕長 対中抑止へ「正面切って議論を」(南日本新聞、2021年9月2日)
https://373news.com/_news/storyid/143030/

 住民の避難などの対策を立て始めると、戦争反対の声が高まるため、国民に何も知らせず、何の避難対策も打っていないのです。これでは国民はだましうちにあうようなものです! 国民のための政府ではなく、米軍の傀儡として動くだけの政府であることは明白です。

 こうした現実は、既存の新聞、テレビなどのマスメディアに頼っていては、まったく見えてきません。意図的に、国民に現状から目をそらせるような情報操作ばかり行われています! IWJは、国民をないがしろにして戦争準備を進める政府にこれでいいのか! と声を上げ続けてきています!

 こうしたことがIWJに可能なのは、特定のスポンサーをもたないことで、何者にも縛られず、忖度せずに真実をお伝えしてゆく、独立メディアだからです!

 特定の政党や、特定の政治団体などから、隠れ資金を受け取ったことなど、IWJは1度もありません! 市民の皆さまに直接、真実をお届けすることができるのは、市民の皆さまから直接の、会費、ご寄付・カンパによるお支えがあってこそです!

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 マスメディアが報じない事実と真実を報道し、売国的な権力への批判を続け、主権者である日本国民が声をあげ続けることができるようにすることが、今、絶対に必要なことであり、それが我々IWJの使命であると自負しています。

 本年、2022年は、本当に日本の分水嶺の年となります!

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口座名 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル カンリブ

 どうか、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます!

岩上安身拝

■IWJは、市民の皆さまお一人お一人の会費とご寄付・カンパで運営しています。1月のご寄付者様のご芳名を感謝を込めて順次掲載させていただきます! IWJの経済危機に手を差し伸べてくださった皆さま、誠にありがとうございます!

 1月は31日間で、473件、453万4311円のご寄付・カンパをいただきました。ご寄付をくださった皆さま、本当にありがとうございます。

 ここに感謝のしるしとして、掲載の許可をいただいた方206名様につきましては、順に、お名前を掲載させていただきます。また、弊社ホームページにも掲載させていただくと同時に、ツイッター、フェイスブック等のSNSにて告知させていただきます。

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嶋田 千恵子 様
S.K. 様
A.U. 様
藤林弘資 様
池田憲一 様
K.M. 様
H.K. 様
T.Y. 様
織田 好孝 様
T.K. 様
炭谷克己 様
NOBUAKI IKEDA 様
T.K. 様
高橋正安 様
A.Y. 様
M.M. 様
徳永彰宏 様
K.N. 様
HUMIYA MORITA 様
T.I. 様
深町 洋 様
S.T. 様
H.R. 様
秋山信孝 様
塩川 晃平 様
村木徳一 様
山本智美 様
T.S. 様
小林 様
金剛寺 和子 様

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 皆さま、コロナ禍の厳しい経済情勢の折、誠にありがとうございました。

 いただいたご寄付は、大切に、また最大限有効に活用させていただきます。

 今後とも、ご支援をよろしくお願い申し上げます。

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◆中継番組表◆

**2022.2.14 Mon.**

<調整中>

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◆中継番組表2◆

**2022.2.15 Tue.**

<調整中>

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◆昨日アップした記事はこちらです◆

維新躍進の裏に、やしきたかじん氏の番組制作会社の偏向メディア・コントロール! 政界引退後の橋下徹氏は、偏向著しいフジテレビで「大活躍」!? 海外メディアは維新を「右翼ポピュリスト」と正しく報道!
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/502147

自民の選挙の闇!! 新潟5区の泉田裕彦氏が「2〜3千万円の裏金要求された」と「新潟のドン」星野佐夫新潟県議員告発! 金子恵美元衆院議員は「驚いてない」! 橋下徹氏も自民大阪府連が「2000万要求」!
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/502149

石塚伸一龍谷大学教授が、懲役刑と禁固刑を一本化し新自由刑を創設する刑法改正案を批判! 法が人格矯正にまで踏み込んでおり「世界の流れに反している」!!~2.12 講演会「懲役刑とは何か?~刑罰としての労働~」
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/502073

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■13日、東京都の新型コロナウイルス新規感染者数は1万3074人、5日連続前の週の同じ曜日より減少! 一方、重症者・死者は増加中!

 東京都は13日に新たに確認された新型コロナウイルス陽性者を1万3074人と発表しました。5日連続で前の週の同じ曜日より減少しており、直近7日間平均の対前週比は86.7%でした。

※新型コロナウイルスに関連した患者の発生について(第2908報)(東京都福祉保健局、2022年2月13日)
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/hodo/saishin/corona2908.html

 7日間平均の対前週比は、11日(金)が101.8%でしたが、12日(土)に91.4%と100%を下回りました。連休や雪の影響もあるのでしょうが、このままピークアウトに向かってくれればと願わずにはいられません。

※新型コロナウイルスに関連した患者の発生について(第2904報)(東京都、2022年2月11日)
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2022/02/12/01.html

※新型コロナウイルスに関連した患者の発生について(第2906報)(東京都、2022年2月12日)
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2022/02/13/01.html

 12日の東京都発表の死者は12人でした。

※新型コロナウイルスに関連した患者の死亡について(第2909報)(東京都福祉保健局、2022年2月13日)
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/hodo/saishin/corona2909.html

 一方、大阪府では13日の新期感染者が1万2574人、死者が26人と発表されました。

※新型コロナウイルス感染症患者の発生および患者の死亡について(大阪府、2022年2月13日)
https://www.pref.osaka.lg.jp/attach/23711/00376026/0213.pdf

 札幌医科大学が集計しているデータベースによると、大阪府の新規感染者数の7日間平均も12日現在、97.6%で100%を切りました。また、全国でも99.2%と100%を切っています。

 しかし、これとは別に、死者数は増加しています。

 人口あたりの死者数の7日間平均を見ると、12日現在、全国で179.0%、東京都で182.9%、大阪府で166.3%、いち早くピークアウトに向かったと見られる沖縄県でも137.5%の増加傾向にあります。

 同じように人口あたりの重症者数の7日間平均も、12日時点で全国132.5%、東京都168.8%、大阪府126.2%と増え続けています。

 医療提供体制の逼迫は、まだこれから進む可能性があります。新規感染者数にピークアウトの兆しが見え始めたとはいえ、油断は禁物です。

※【都道府県別】人口あたりの新型コロナウイルス感染者数の推移(札幌医科大学)
https://web.sapmed.ac.jp/canmol/coronavirus/japan.html?x=1&a=1&dmin=l&rg=all

■米海軍原潜が千島沖でロシア領海侵犯! ロシアは「国家安全保障に対する脅威、重大な国際法違反」と抗議! 米軍は「真実ではない」とロシア発表を否定!

 米海軍の原子力潜水艦がロシア領海を侵犯、ロシア国防省が抗議しましたが、米軍は「領海侵入は事実ではない」と発表しました。

 12日付け『RT』は「ロシア国防省が土曜日に発表したところによると、米国のバージニア級原子力攻撃型潜水艦がクリル諸島(千島列島)沖のロシア領海で探知され、追い払われた」と報じました。

 『RT』の記事は、詳細を次のように報じています。

 「米原潜は、ロシア太平洋艦隊が同海域で演習を行っていた際、ウルップ島沖で潜水しているのを発見された。ロシアの艦艇が潜水艦に接触し、領海内であることを警告し、直ちに浮上するよう命じたという。

 しかし、潜水艦はメッセージに応答せず、駆逐艦マーシャル・シャポシニコフが出動して追い払った。ロシア艦は米国の潜水艦に対して『適切な手段』を用いたと、軍はそれ以上の詳細を示さずに指摘した。

 駆逐艦との接触後、バージニア級潜水艦はアクティブ・レーダー・デコイを使用し、全速力でロシア海域から離脱した」

 また、この『RT』の記事によると、ロシアは「ロシアの国家安全保障に対する脅威を生み出す重大な国際法違反である」として、米側に厳しく抗議したとのことです。

 記事はバージニア級原潜について「巡航ミサイルと対艦ミサイル、マーク48魚雷で武装している。米海軍は『ステルス、情報収集、兵器システム技術』の最新鋭を採用したと宣伝している。一隻あたり約35億ドルの建造費を要するこの艦船は、監視、偵察、情報収集に頻繁に使用されている」と解説しています。

※US nuclear submarine violates Russian waters Defense Ministry(RT、2022年2月12日)
https://www.rt.com/russia/549177-us-submarine-violate-waters/

 一方、12日付けロイターは、「米軍報道官は声明で『ロシア領海でのわれわれの活動に関するロシアの主張は真実でない』と反論。『米潜水艦の正確な位置についてはコメントしないが、われわれは国際水域で安全に飛行、航行し、活動している』と強調した」と報じています。

※ロシア、米潜水艦が「領海侵入」 米軍は否定(ロイター、2022年2月12日)
https://jp.reuters.com/article/russia-usa-submarine-idJPKBN2KI038

 食い違う米露の発表の、どちらが真実なのかはわかりませんが、米露の緊迫したつばぜりあいがウクライナ周辺にとどまらず、極東にも及んでいることは確かなようです。

 バイデン大統領の「ロシア人とアメリカ人が互いに撃ち合いを始めたら、世界大戦になる」という言葉を忘れるわけにはいきません。日本にも飛び火する可能性は大いにあるのです。

※日刊IWJガイド・非会員版「バイデン米大統領が『アメリカ人とロシア人が撃ち合いを始めれば世界大戦になる』と断言!! 世界大戦となれば日本も当然巻き込まれる!!」2022.2.12号~No.3439号
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/50222

■IWJ検証レポート~米国の有識者が米中の国力逆転を認めたアリソン・レポートの衝撃!(その9)。「A2/AD圏は、2025年までに第2列島線まで拡大する」! 中国の国境や近海での紛争支援に米軍艦船は何日も何週間もかけて移動しなければならない! この距離の非対称性がA2/AD戦略の原動力! しかも「米国はもはや核増強の優位性に頼ることはできない」!

 日刊IWJガイド2021年12月25日号でお伝えしたアリソン・レポートの第9弾です。

 米ハーバード大学ケネディ行政大学院(ケネディスクール)のグレアム・アリソン氏が中心となって作成し2021年12月7日に発表されたレポート「The Great Rivalry: China vs. the U.S. in the 21st Century(偉大なるライバル 21世紀の中国vs.アメリカ)」(以後、『アリソン・レポート』)は、米国が、中国との対比で自らの技術と軍事を冷静に自己評価した重要なレポートです。

 米国が中国の技術水準と軍事水準をどう見ているのか、また、今後、米中覇権競争が技術と軍事という中心的な領域でどう競いあうのかを見極めるための必読文献の一つです。

 本日は、全52ページの「Tech(技術)」と、全40ページの「Military(軍事)」の2部構成からなる『アリソン・レポート』の「Military(軍事)」篇の「中国のA2/ADの優位性」の1章分を全篇仮訳してご紹介します。

※The Great Rivalry: China vs. the U.S. in the 21st Century(HARVARD Kennedy School、2021年12月7日)
https://www.belfercenter.org/publication/great-rivalry-china-vs-us-21st-century

※The Great Tech Rivalry: China vs the U.S.(HARVARD Kennedy School、2021年12月7日)
https://www.belfercenter.org/sites/default/files/GreatTechRivalry_ChinavsUS_211207.pdf

※The Great Military Rivalry:China vs the U.S.(HARVARD Kennedy School、2021年12月7日)
https://www.belfercenter.org/sites/default/files/GreatMilitaryRivalry_ChinavsUS_211215.pdf

 なお、「Military(軍事)」篇は、英文全40ページで、「Executive Summary(要旨)」「The Rise of a Peer(対等者の台頭)」「China’s A2/AD Advantage(中国のA2/ADの優位性)」「War Games: A Perfect Record(ウォーゲーム:完璧な記録)」「Technologies of the Future(未来のテクノロジー)」「The Curious Question of Defense Spending(防衛費という不思議な問題)」「Conclusion: Where Do We Go from Here?(結論:我々はここからどこへ向かうのか)」という7章から構成されています。

 以下から「中国のA2/ADの優位性」の章の翻訳となります。

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「中国のA2/AD(訳注*)の優位性

 2021年3月に米海軍のフィリップ・デビッドソン大将が証言したように、北東アジアの軍事バランスにおいては『(中国が)一方的に現状を変えようと勢いづきリスクが高まっている』。

 オバマ政権で国防次官だったミシェル・フルールノア氏によると、北京の接近阻止/領域拒否(A2/AD)能力が『最大の懸念』である。

 このシステムは、米国の指揮・統制ネットワークを混乱させ、戦闘力を低下させることで、A2/AD圏内(原注*)での米軍の戦力投射(訳注*)や戦力展開を阻止するように設計されている」

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訳注*)A2/AD(antiaccess/areadenial、接近阻止/領域拒否)は、2012年1月17日に発表された米国防総省の「統合運用接近概念(JOAC)」ver 1.0の中で次のように定義されている。

 「本稿では、『接近阻止』(antiaccess)とは、敵対勢力が作戦地域に侵入するのを阻止するための行動や能力(通常は長距離)を指す。

 『領域拒否』(areadenial)とは敵対勢力の侵入を防ぐのではなく、作戦エリア内での行動の自由を制限するための行動や能力を指す。通常は短距離である」(同書p.5)

※JOINT OPERATIONAL ACCESS CONCEPT(JOAC)(国防総省、2012年1月17日)
https://dod.defense.gov/Portals/1/Documents/pubs/JOAC_Jan%202012_Signed.pdf

原注*)A2/AD(接近阻止/領域拒否)は、ほとんどの場合、1つの言葉で表示される頭文字だが、実際には2つのコンセプトを含んでいる。

 接近阻止システム(Anti-Access system)は、米国がその地域へ展開するのを防ぐためのものであり、領域拒否(area denial )は、全領域で米軍の自由な活動を阻止し作戦目標達成を妨害することを目的にしている。

訳注*)戦力投射(power projection)とは、軍事力を準備・輸送・展開して軍事作戦を遂行すること。

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 「現在、中国のA2/AD圏は、中国本土から100マイル(約161キロメートル)の位置にある台湾と、中国本土から400マイル(約644キロメートル)の位置にある日本の琉球諸島を含む第一列島線の内側となっている。

 しかし、デビッドソン大将が議会に提出した図によると、中国のA2/AD圏は、2025年までに第2列島線(訳注*)まで拡大する可能性があり、それには、中国から1800マイル(約2897キロメートル)離れたグアムの米軍施設も含まれる。

 より鮮明な説明として、1999年から2025年予測までの、拡大する中国のA2/AD圏を示す上述のインド太平洋軍の略図を見てほしい(原注*および訳注*)」

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■<新記事紹介>IWJ検証レポート~米国の有識者が米中の国力逆転を認めたアリソン・レポートの衝撃!(その8)。「中国が半導体産業のリーダーになる可能性否定できず」! 2030年製造シェアのトップ3は中国、台湾、韓国! 首位の米国は5位に転落!

 本記事は、「IWJ検証レポート~米国の有識者が米中の国力逆転を認めたアリソン・レポートの衝撃!」の第8弾で、「アリソン・レポート」「Tech(技術)」篇の「半導体」の章の仮訳を掲載しています。なお、第1弾~第7弾は本記事末尾でご案内します。

 米ハーバード大学ケネディ行政大学院(ケネディスクール)のグレアム・アリソン氏が中心となって作成し、2021年12月7日に発表されたレポート「The Great Rivalry: China vs. the U.S. in the 21st Century(偉大なるライバル 21世紀の中国vs.アメリカ)」(以後、『アリソン・レポート』)は、米国が、中国との対比で自らの技術と軍事を冷静に自己評価した重要なレポートです。

 米国が中国の技術水準と軍事水準をどう見ているのか、また、今後、米中覇権競争が技術と軍事という中心的な領域でどう競いあうのかを見極めるための必読文献の一つです。

 この「半導体」の章では、「AIやコンピューター、自動車など、日常的に使われる多くの技術の中核」であり、「米中技術競争の不可欠な汎用的原動力」とされる半導体産業を取り上げ、そこでの中国の猛烈な追い上げを紹介しています。

 半世紀にわたり半導体産業をリードしてきた米国を、製造シェアではすでに中国が凌駕しています。しかも2030年には、中国は世界最大の半導体生産国になり、米国は台湾、韓国、日本に続く第5位に転落すると予測されているのです。しかもそれは米国半導体工業会自身の予測です。また、チップ設計の分野でも中国企業の進出は著しいものがあります。

 さらに米国の中国企業への制裁措置が、米国の市場を奪うとともに、中国の独自開発を招く自滅的政策だと指摘しています。

 ただし現在のところ、半導体製造装置などを含む半導体産業全体では、米国が「世界的なリーダーであることは間違いない」といいます。にもかかわらず、「中国が半導体産業のリーダーになる可能性は、もはや否定できない」と近未来の厳しい展望を率直に認めているのです。

 詳しくは下記の記事を御覧ください!

※IWJ検証レポート~米国の有識者が米中の国力逆転を認めたアリソン・レポートの衝撃!(その8)。「中国が半導体産業のリーダーになる可能性否定できず」! 2030年製造シェアのトップ3は中国、台湾、韓国!
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/502227

 また、<IWJ検証レポート~米国の有識者が米中の国力逆転を認めたアリソン・レポートの衝撃!>のシリーズで、これまでに仮翻訳した、「Tech(技術)」篇の要約である(その1)、「AI(人工知能)」の章(その2)、「5G」の章(その3)、「量子情報科学」の章(その4)、「Military(軍事)」篇の「未来のテクノロジー」の章(その5)、「防衛費という不思議な問題」の章(その6)、「ウォーゲーム:完璧な記録」の章(その7)は、それぞれ以下からご覧いただけます。

※IWJ検証レポート~米国の有識者が米中の国力逆転を認めたアリソン・レポートの衝撃!(その1)。「米国は科学技術の覇権を握っていない」グレアム・アリソンが政権移行のメモをレポート「偉大なるライバル」(技術編)で「10年で中国は米国を抜く」 2022.1.13
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/501076

※IWJ検証レポート~米国の有識者が米中の国力逆転を認めたアリソン・レポートの衝撃!(その2)。中国のAI競争勝利は「すでに決定」!? 優位の根本は14億の人口! 14億人から数秒で個人特定の顔認識技術!
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/501743

※IWJ検証レポート~米国の有識者が米中の国力逆転を認めたアリソン・レポートの衝撃!(その3)。中国はAIとIoT(あらゆる物のインターネット)促す全国5G網を構築の「次世代テクノロジー・ジャイアント」!
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/501775

※IWJ検証レポート~米国の有識者が米中の国力逆転を認めたアリソン・レポートの衝撃!(その4)。中国の量子コンピューターはグーグル製より「100億倍速い」! 中国の量子通信衛星ネットで、米国は中国政府と軍の通信を盗聴することが不可能に!
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/501829

※IWJ検証レポート~米国の有識者が米中の国力逆転を認めたアリソン・レポートの衝撃!(その5)。2030年代に中国が軍事技術で米国上回る!? 中国は未来の戦争「システム破壊戦」に注力するが、米軍は対テロ等「低強度作戦」で時代遅れの装備を倍増!
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/501896

※IWJ検証レポート~米国の有識者が米中の国力逆転を認めたアリソン・レポートの衝撃!(その6)。中国の防衛費は実質で米国の約53%に、近い将来同水準! 米軍の時代遅れで高価なシステムに中国安上がりに対抗!
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/501998

※IWJ検証レポート~米国の有識者が米中の国力逆転を認めたアリソン・レポートの衝撃!(その7)。「アジアは米国支配のフロンティア後退を目撃」! 台湾紛争ウォーゲームで米軍「大きく有利」な作戦次元皆無に!
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/501996

 それでは、本日も1日、よろしくお願いします。

※日刊IWJガイドのフルバージョン(会員版)は下記URLより御覧ください。
https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20110214

IWJ編集部(岩上安身、尾内達也、城石裕幸、六反田千恵、中村尚貴)

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