日刊IWJガイド・非会員版「コロナ対策は『できなかった』のではなく、『しなかった』だけ! 岩上安身による永井幸寿弁護士インタビュー報告! 23日に第2弾決定!」2021.12.21号~No.3386号


┏━━【目次】━━━
■はじめに~<インタビュー報告>コロナ対策は「できなかった」のではなく、「しなかった」だけ!「コロナ禍を口実に改憲による緊急事態条項の導入は不要!政府による人災に苦しめられたコロナ禍を検証!岩上安身による永井幸寿弁護士インタビュー」の前編をお送りしました。

■皆さまへ緊急のお願いです!!「改憲により、国家緊急権(緊急事態条項)という万能の魔法の杖を国家に渡してはならない!」と総選挙前から訴え続けてきましたが、改憲勢力で改憲発議可能な3分の2以上の議席を占められてしまった今回の総選挙!! そして、16日に開かれた憲法審査会で、国民民主党玉木代表も、「緊急事態条項の議論だ」と発言!! その「正体」を明らかに! 12月15日までのご寄付・カンパは月間目標額の20%!! 11月末までの累積の赤字は約628万円! どうか緊急のご支援をよろしくお願いします!! 昨日、永井幸寿弁護士緊急インタビューを中継! 危険きわまりない「緊急事態条項」について! ぜひご視聴と拡散を!!

■【中継番組表】

■中国西安市でネズミが媒介する流行性出血熱が流行! 中国メディアは「進行が速く致死率は0.4%、ワクチンが有効、発症は農家が8割」と報じるも、例年以上の大流行の兆しに経済への打撃懸念も!

■三菱電機がテレビ生産・販売から撤退! 世界市場ではサムスン、LGの韓国製が5割超のシェア、安価な中国製も急伸、日本製テレビが売れているのは日本国内だけ!?

■「米国はもはや世界の科学技術(S&T)の覇権を握っているわけではない」!! グレアム・アリソンが政権移行のためのメモをレポートとして発表!「偉大なるライバル 21世紀の中国vs.アメリカ」(技術編)で「今後10年で中国は米国を追い抜く」と提言!!
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■はじめに~<インタビュー報告>コロナ対策は「できなかった」のではなく、「しなかった」だけ!「コロナ禍を口実に改憲による緊急事態条項の導入は不要!政府による人災に苦しめられたコロナ禍を検証!岩上安身による永井幸寿弁護士インタビュー」の前編をお送りしました。

 おはようございます。IWJ編集部です。

 12月20日午後7時より、「コロナ禍を口実に改憲による緊急事態条項の導入は不要! 政府による人災に苦しめられたコロナ禍を検証!」と題して、岩上安身による永井幸寿弁護士インタビューの前編をお送りしました。

 冒頭、岩上が、自民党の茂木敏光幹事長らが、自民党改憲案の本丸は「緊急事態条項」だと堂々と言い始めたこと、高市早苗氏が自民党政調会長に就任したこと、安倍晋三元総理が12月1日「台湾有事は日本有事」と発言したこと、麻生太郎副総理が任期中に「日米で一緒に台湾を防衛しなければいけない」(7月)と発言したことなどをあげ、2016年の集団的自衛権問題の時から見ると現在は、自民党改憲案と緊急事態条項に対する危機意識が薄くなっているのではないかと問題提起しました。

 永井弁護士は、「コロナ対策で政府は国民の自粛に頼るばかりで何の有効な手立ても打てないまま、東京五輪を開催した。内閣支持率が急落した菅義偉総理は退陣に追い込まれたが、菅氏が辞めたことで自民党総裁戦に争点が移ってしまい、何の検証もされないままだ」と嘆きました。

 永井弁護士は、『世界』2021年12月号(岩波書店)に「検証 コロナと法」という記事を発表されています。インタビューでは「検証 コロナと法」に沿って、市民の自由や民間施設運営の制限にかかわる問題を中心に、5点の問題についてお話をうかがいました。

岩上「先生は『世界』12月号に『検証コロナと法』という論文をお書きになった。コロナと法というお話と、今、自民党は最優先は緊急事態条項と言い切り、台湾有事とセットで進めようとしている。

 でもメディアは緊急事態条項を扱えないんです。扱うと首が危うくなるから。米中戦争が現実になったとき、同時に日本は参戦することになります。(この台湾有事の話と)緊急事態条項とがつながって進んでいることがほとんどの人に伝わっていない。コロナを口実に進めとしている卑劣なやり方を先生が論破しています」

永井氏「政府のコロナ政策は基本的に国民の自粛に頼り、国民の反対を押し切りオリンピックを強行して。内閣支持率が下がって菅内閣は退陣したんですが、その後の検証と審判が飛んでしまいました。

 英国などはちゃんと検証しているんです。超党派で与党の議員も入っているんですが、ボリス・ジョンソン政権のコロナ対策の検証をして、数百ページに及ぶ報告書をまとめているんですね」

岩上「検証をするどころか、日本は野党が求めた国会を開きませんでした」

永井氏「いわば『国難』なんですから、国会を開かないといけなかったんです。でも、野党が求めても開かなかった。憲法53条違反です」

岩上「『1.患者受け入れを医療施設に強制できたか』と問題提起されています。医療体制が逼迫して自宅療養を余儀なくされ、大阪は死亡者数ワースト1位、東京も、沖縄も大変でした」

永井氏「日本のコロナ対策の1番の問題は医療の逼迫でしたね。日本は人口あたりの病床数は世界一多いのに、コロナ病床の受け入れがわずか1%未満。英国22.5%、米国12.2%に比しても極めて低い割合です。

 まず、日本の病院は民間が主体で、公的な医療機関が少ないので、『コロナ病床の受け入れを政府が強制できない』というのは誤りです。飲食店は私的企業ですが、強力な事業制限を受けていますよね。民間の医療機関にも公的規制を行うことは可能なんです」

岩上「尾身分科会会長の病院(独立行政法人地域医療機能推進機構JCHO、ジェイコーが管轄する公的病院)の問題だけではないんですね」

永井氏「一般的には公的病院の問題と思われていますが、そうではないんです。民間の病院であってもコロナ患者の受け入れを要請することは可能なんですね。お医者さん達は使命感を持っていますから、環境が整えば受け入れてくれるところもたくさんあります。

 問題になるのは病院の営業の自由、つまり『経済活動の自由』という人権を制限できるかどうかなんですが、憲法12条・13条でも、他の人の人権との調整のために、必要最小限度の制約を受けることが認められています」

岩上「13条には、『すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする』とあります。この、『最大の尊重』をされたのかと。

 高市(早苗)さんは『公共の福祉』を『公共の秩序』に変えたいと。どのような危険性がありますか?」

永井氏「国家の利益『国益』のために人権を制約したいということ。人と人の関係でお互いの人権を調整するのではなく、政府の利益のために人権が制約されるということで、『お国のために』で、大変危険です」

岩上「圧倒的な権力をもつ、強者の秩序に従えということになるんですね」

永井氏「新型インフル特措法31条で、『都道府県知事は医療関係者や病院に対して医療行為を要請ができる』としています。まずは、お願いができるんですね。

 それでも、正当な理由なく要請に応じないときは、『厚生労働大臣及び都道府県知事は医療行為を行うように指示できる』指示ができるんです。法律では『指示』は事実上の命令のことです。罰則はないですけれど」

岩上「これ(新型インフル特措法)をどうして、政府も知事らも使わなかったんですかね? ここまでくると意図的なものを感じてしまうんですけれども」

永井氏「まあ、そこまでは言えるかどうか…。

 国や都道府県は、命令するだけではなく、ちゃんと『医療関係者の生命及び健康の確保に配慮し、危険が及ばないよう必要な措置を講じなければならない』(31条4項)とか、『実費を弁償しなければならない』、『コロナ対策に協力する医療機関、医療関係者に対する支援その他必要な措置を講ずる』など費用の支払い(62条2項)とか、損害の補償(63条1項)まできちんと定められているんです」

岩上「これが嫌で動かなかったんでしょうか? 全然信用できないんですよ、国は。ワクチンの副反応で亡くなったら4000万円補償するとあれだけ言っておきながら、ワクチンでお亡くなりになった方に因果関係はないとしてずっとたなざらし」

永井氏「分かりませんけれども、とにかく『法』は完備されていたんです。すごくいい法律でしょう?」

 永井氏は、民間の病院がコロナ患者を受け入れるリスクはもちろんあるが、180床のコロナ病床を受け入れた神奈川県の仁厚会(じんこうかい)病院の対応を紹介しました。

 仁厚会病院では、県立病院の専門医との間で医師と医師のリモートによる助言を受けたり、医療機器を国からの補助で、看護師の人件費は県の特別手当で賄ったりしています。こうした財政の裏付けと自治体や医療機関との連携も「新型インフル特措法」に書き込まれているのです。

永井氏「地方公共団体は、『関係機関が実施する新型インフルエンザ等対策を総合的に推進する責務』(3条4項)とも定められており、対応することが『責務』だとされています。やらないといけないんです」

岩上「コロナ対策のボトルネックになったのは保健所だという指摘があります。ずっと減らしてきたんですよね」

永井氏「はい。保健所は1992年には852ヶ所ありましたが、2019年には472ヶ所と45%も減らされました。

 東京都は1995年には53ヶ所あったんですが、今は1区ひとつで23ヶ所しかありません。

 大阪市などは、24ヶ所が1ヶ所に減らされています。これでは医療崩壊しますよね。当然です。

 こうしたことも国会できちんと検証されるべきです」

岩上「維新はこんなことをやってきているということです。保健所を半減させるのは失政ではないでしょうか? こういうことも国会で再検討すべきですよね」

永井弁護士「新型インフル特措法は、感染症は一種災害に似たところがあるので、実は、『災害対策基本法』に倣ってつくられているんです。『災害対策基本法』は被災現場の都道府県が主体ですが、コロナ対策も都道府県知事が『リーダー』としての自覚を持って、特措法を活用しないといけませんね」

岩上「確かに、知事のリーダーシップが光った県もありました」

永井弁護士「神奈川県もよくやっています。去年の5月に神奈川県は臨時の医療施設を作ってお医者さんを供給しています。臨時の医療施設も作って。神奈川モデルですね」

 続いて、第2の問題点「臨時の医織施設を設置できたか」、第3の問題点「過去の教訓(第1波の教訓)を生かせたか。PCR検査体制強化、国立感染症研究所、保健所の人員増加、米国CDC等を参考にした組織強化」、第4の問題点「憲法に緊急事態条項は必要か」、第5の問題点「ロックダウンは憲法上認められるか」について、関連法の条文を紐解きながらじっくりとお話をうかがいました。詳しくは全編動画でぜひ御覧ください。

 自民党の下村博文前政調会長は、「憲法に緊急事態条項がないことが(コロナ対応の)スピード感を鈍らせている」、「日本では憲法上ロックダウンが認められていないので、緊急事態条項を設けるべきである」と、まるで憲法に緊急事態条項がないから、コロナ対策が失敗したかの如き発言をしています。

 しかし、永井弁護士は、コロナ対策には「新型インフル特措法」があり、さらに言えば「コロナ特措法」をつくればまったく問題はなかったと主張しました。なぜなら、特別定額給付金も「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」にもとづく要綱で実施、持続化給付金は会計法22条にもとづく政令で対処するなど、日本政府は行政的行為(通知、告示、要綱)等の行政措置で対応してきたからです。

 永井弁護士は、コロナ対応に緊急事態条項が必要だというのであれば、国会の法律の制定を待ついとまがなかったかを検討すべきだと主張、実態としては野党も協力的で国会開催中に十分対応できたと指摘しました。

 永井弁護士は、コロナ問題が山積するにもかかわらず、2020年6月18日に国会を閉会してしまい、その後開かれた国会も野党の要請にもかかわらず、一切会期延長しなかったこと、野党が憲法53条にもとづいて総議員の4分の1で臨時国会を要求しても(2021年9月2日)、憲法に違反して内閣は召集を決定せず放置するなど、自民党政権の「違憲」対応を批判しました。

 以上のように、永井弁護士はコロナ対応において、「法律の制定を待ついとまがなかったという事実はない」と論じました。

 なぜ、自民党政権は「違憲」であるのに、何の処分も罰も受けないのでしょうか?永井弁護士は、その理由は国家の統治に関わる行為は司法が及ばないとする「統治行為論」の実績を作ってしまった砂川判決に遡ると指摘しました。

 日本国憲法81条には以下のようにあります。

 「第八十一条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である」

 「統治行為論」があるために、この81条が事実上無効化されているのです。

 また、「新型インフル特措法」が定める責務を無視してしっかりとした医療体制の構築をしてこなかった地方公共団体は、自宅療養を余儀なくされるなどして命を落とした人が訴訟を起こせば、国家賠償法(地方公共団体も含まれる)によって賠償をしなければならない可能性がある、と永井弁護士は指摘しました。

 結局、以下のような問題があり、コロナ対策は「できなかった」のではなく、「しなかった」のだというべきです。

1)コロナ対応のための法制度は完備されていた。
2)しかし、問題は国や地方公共団体が法律に従った対応を行わなかった。
3)コロナ対応について充分な事前の準備がなかった。
4)国会を常時開催して法の審議をしなかった。
5)この間のコロナ対策の検証がされていない。

 永井弁護士のインタビューから、コロナ対策に「緊急事態条項」はまったく必要ないし、「むしろ濫用の危険があるので創設すべきではない」ということが明確に伝わってきました。

 大変スリリングな論点がいくつも出たインタビューでした。ぜひ、全編動画で詳細を御覧ください。

URL: https://www.youtube.com/watch?v=iM8B5RknIwo

 また、続編は23日木曜日の午後6時より生配信する予定です。こちらもぜひ御覧ください。

■皆さまへ緊急のお願いです!!「改憲により、国家緊急権(緊急事態条項)という万能の魔法の杖を国家に渡してはならない!」と総選挙前から訴え続けてきましたが、改憲勢力で改憲発議可能な3分の2以上の議席を占められてしまった今回の総選挙!! そして、16日に開かれた憲法審査会で、国民民主党玉木代表も、「緊急事態条項の議論だ」と発言!! その「正体」を明らかに! 12月15日までのご寄付・カンパは月間目標額の20%!! 11月末までの累積の赤字は約628万円! どうか緊急のご支援をよろしくお願いします!! 昨日、永井幸寿弁護士緊急インタビューを中継! 危険きわまりない「緊急事態条項」について! ぜひご視聴と拡散を!!

 お世話になっております。IWJ代表の岩上安身です。

 今年も残すところあと10日あまりとなりました。

  IWJでは、今期第12期の年間の予算の見通しを立て、ご寄付・カンパの目標額を月額420万円(年間5040万円)とさせていただきました。

 12月に入り、12月15日までのご寄付・カンパは、80件、82万4000円です。ご寄付をくださった皆さま、本当にありがとうございます。

 しかしながら、この金額は、月間の目標額の20%にとどまっています。

 今期第12期は8月から始まり、11月で4ヶ月目を終えました。しかしながら、8月は月間目標額を87万900円下回り、9月は185万2600円下回り、10月は153万290円下回り、11月は202万5900円下回りました。

 4ヶ月間の累計の不足分は627万9690円となってしまいました。

 このペースで進んでいくとIWJは壊滅的な打撃を受けてしまい、今期の途中で活動を極端に縮小するか、停止せざるをえなくなるかもしれません!

 すでにお伝えしている通り、私、岩上安身は、キャッシュフローが足りなかったIWJに対して1093万円を貸し込んでいます。私は富裕層でもなんでもなく、40年間働いてきて乏しい貯えがわずかにあるだけのもともとは一介のフリーランス、自営業者に過ぎません。

 個人が1000万円を超えるお金を会社に貸す、というのは大変なことです。第12期のスタートにあたって、前期の第11期の途中から無報酬で働いてもおりましたが、8月から始まった第12期も、1年間にもわたって無報酬で働き続けています。

 これ以上は、私、岩上安身個人の力だけではいかんともしがたい苦しい状況です。私1人の力や、無報酬のため細る一方の私の貯えでは、627万9690円もの不足分を穴埋めすることはできません!

 どうか会員の皆さまのお力で、IWJをお支えください!

 IWJの会員数は現在3429人です。そのうちサポート会員は1196人です。本当に心苦しいお願いではありますが、会員の皆さま全員が1200円ずつカンパしてくださるか、サポート会員の皆さまが1人3500円ずつカンパしてくださったならば、なんとかこの赤字は埋められます。

 伏してお願いいたします! どうか皆さまのお力で、この窮状をお助け願います!

※ご寄付・カンパはこちらからお願いします。
https://iwj.co.jp/join/pleasehelpus.html

 コロナ禍は、日本のすべてを直撃しています! IWJも例外ではありません!

 同じように皆さまもそれぞれ、コロナ禍で厳しい状況に直面されていることと拝察いたします。こうした状況で皆さまに、会員登録のお願いとご寄付・カンパを繰り返しお願いすることは、心苦しいことではあります。

 しかし、どうしても声を大にして、お伝えしなければならないことがあります! 緊急事態条項の導入と米国による中国との戦争に日本が巻き込まれる現実的な懸念が迫っているからです!

 特定のスポンサーをもたないことで、何者にも縛られず、忖度せずに真実をお伝えしてゆくのが、独立メディアであるIWJの存在意義です!

 非会員の方はまず、一般会員になっていただき、さらに一般会員の皆さまには、サポート会員になっていただけるよう、ぜひご検討いただきたいと存じます!

 その会費と、ご寄付・カンパによって支えられてはじめて、IWJは、市民の皆さまのために役立つ、真の独立市民メディアとしてその活動を継続し、その使命を果たすことが可能となります。

 マスメディアが報じない事実と真実を報道し、売国的な権力への批判を続け、主権者である日本国民が声をあげ続けることができるようにすることが、今、絶対に必要なことであり、それが我々IWJの使命であると自負しています。

 決して負けられないこの戦いに、私は、IWJのスタッフを率いて全力で立ち向かいたいと腹をくくっています! 皆さまにはぜひ、ご支援いただきたくIWJの存続のために、会員登録と緊急のご寄付・カンパによるご支援をどうぞよろしくお願いしたく存じます。

 天下分け目の衆院選が、改憲勢力の圧勝で終わってしまいました。先の選挙ほど重要な選挙は過去になかったのではないかと思われますが、最も重要な「改憲問題」という争点が隠され、大変残念な結果になってしまいました。

 世界は今、100年に1度あるかないかの巨大な政治的経済的軍事的な地殻変動に見舞われています。いうまでもなく、日本を含む世界全体に単独覇権国として支配力と影響力を及ぼしてきた米国が衰退し、中国が米国の国力を上回る勢いの新興国と台頭してきているからです。

 地球上の覇権国の力関係が、劇的に変わろうとしつつあります。この米中のせめぎあいに、米国の「従属国」に甘んじてきた日本はモロに巻き込まれつつあります。

 米国の衰退の原因は、米国自身の奢りによるところが大きい、と言わざるをえません。自ら生み出した新自由主義とグローバリズムのために、米国内部で超富裕層と貧困層の格差が民主主義国と言えないほど開いてしまい、他方、単独覇権主義を徹底するために、巨大な軍事力を備え、行使してきたために、巨額の財政赤字を積み上げ、結果として国力を落としてしまっています。

 財政赤字と国民の格差の拡大については、そっくりそのまま日本で同じことが起こっています。日本が米国のマネをしてこなかった(できなかった)のは、軍事力の行使だけでしたが、今後の行方次第ではそのタガも外れてしまうことでしょう。

 日本の場合、現在GDP比266%もの債務を「平時」の間に積み上げてしまっており、このあと「有事」となって巨額の戦費を必要としたら、戦時国債を大増刷して国民に強制的に買わせるか、その前に財政破綻の危機に瀕するか、いずれにしても国債のデフォルトを避けるため、改憲によって緊急事態条項を導入した上で、それを使って全国民に大増税をかけることになるでしょう。

 私がIWJというインターネット報道メディアを立ち上げた(会社登記)のは、正式には2010年12月のことですが、準備期間に約1年間かけました。その際、IWJという社名だけ決めて、「移行期通信」というメルマガを支持者の方々にお送りしていました。

 社名になぜIndependent(独立)という言葉を入れると決めていたのか。独立メディアである、という意味はもちろんのことですが、もう少し深い意味を込めて、日本の独立に少しでも資するように、という願いを込めたからです。それが私の志であり、一貫した「初期衝動」です。

 日本よ、独立せよ。

 米国への過度の依存から離れ、世界の国々、とりわけ隣国との友好に尽くし、独立国としてサバイバルせよ、という思いです。

 その思いを込めてスタートしたIWJですが、私の願い、言いかえれば危機感の方が、的中してしまい、日本は国力を落としながら、さらに米国への依存を深めどんどんと危うい方向に向かいつつあります。

 敗戦から冷戦の終わりまで日本は当たり前のように米国に、外交・安全保障を依存してきました。実際、「軽武装・経済優先」という当時、自民党の主流派だった宏池会のような考えでも、実際、日本は豊かになっていたのですから。

 しかし、冷戦に「勝利」した米国は、傲りたかぶり、世界を一極支配する単独覇権システムを強引に構築しようとし、かえって世界の反発を買って多極化を招いてしまいました。

 にもかかわらず日本は、米国を不動のヘゲモン(覇権国)としてあがめたてまつり、依存をさらに深めており、米中対立の「最前線」に立たされつつあります。その戦争準備のために、国会から立法権を奪って、内閣独裁を実現し、超法規的な「政令」を繰り出せる緊急事態条項を含めた改憲をしようと躍起になっているのです。

 衆院選についての報道も連日行われていたのに、今回の選挙の真の争点である自民党の改憲案については、すべてのマスコミが開票が終わるまで沈黙し続けました。

 自民党単独で過半数を取るか、自公で過半数を取るか、などが問題なのではなく、自公だけでなく、野党ながら改憲に前のめりな姿勢を見せる維新と国民がどれだけ議席を獲得するか、という点が真の争点でした。その真の争点はマスコミによって隠されてしまいました。

 結果、自公プラス維新と国民を含めた改憲勢力が衆議院の4分の3に迫る議席を得て、改憲発議が可能になってしまったという事実をどう受け止めるか。その点こそが、今回の総選挙の真の争点だったのであり、そして選挙後に我々が直視しなくてはならない最重要課題なのも、やはりこの改憲による緊急事態条項の導入の是非なのです!

 しかしながら、大手メディアは、開票が終わるまで改憲問題の、特に最も危険な緊急事態条項については、大っぴらに報じたり、論じたりするのを、徹底して避けてきました。多くの国民に、その危険性を悟らせないためなのです。今もなお、緊急事態条項の危険性を知らせるメディアはIWJ以外にほとんど見あたりません。

 改憲勢力が改憲発議可能となる議席を占めるかどうか、というこの総選挙の真の争点を、事前に報じ、論じるメディアはIWJをおいては皆無に近く、ありとあらゆるテレビ局や大新聞は、程度の違いこそあれ「立憲議席増、自民議席減」という、根拠の怪しい(各社自身の調査の生データと乖離している)、無党派の中でも「やや立憲寄りで反自民」の層が、「油断」をするようなアナウンスを繰り返しました。

 そのあげく、投票率も上がらず、事前の予測とは真逆に立憲・共産の野党共闘が議席を減らし、自民自身は議席を減らしたものの、公明は微増、自民の「別動隊」である維新は、4倍増と躍進し、国民民主も微増となり、改憲勢力全体では議席を増やしました。

 そして、10月31日の投開票が終わった途端に、岸田総理や、維新の松井代表らが、手を翻したように、積極的に改憲による緊急事態条項の導入に前のめりの姿勢を示し始め、大手メディアは、これに飛びついて改憲について記事にし、番組で取り上げています。

 12月16日の衆議院憲法審査会で、自民党の新藤氏は自民党が提示している改憲4項目の緊急事態条項について、「大規模な自然災害に加えて感染症の蔓延などといういわゆる有事と言うべき事態が発生した場合に、どのように対応するのか、国としての枠組みについて議論しておくことは、国民の関心も高く、極めて重要なことだ」と自民党の「本音」を主張しました。

 そして、国民民主党の玉木代表も、「議論しなければならないのは、コロナ禍で明らかになった緊急事態における法の支配の空洞化で、ここを是正するための議論、つまり緊急事態条項の議論だ」と発言し、真の「正体」を露わにしました。

※憲法審査会(衆議院インターネット審議中継、2021年12月16日)
https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=53215&media_type=

 自民・公明・維新・国民の改憲勢力によって、憲法に「緊急事態条項」が書き加えられるのは、本当にすぐそこまで迫っています。

 自民党は改憲4項目を示していますが、その中の「緊急事態条項」こそが改憲の「本丸」なのです。IWJは、2012年に自民党が憲法改正草案を出した約10年も前からこの危険性を指摘し続けてきました。

 実際に私は、梓澤和幸弁護士、澤藤統一郎弁護士と対談を重ねて、それを共著『前夜』としてまとめ、自民党の「緊急事態条項」を含む憲法改憲草案の危険性を徹底的に記しています。

※【増補改訂版・岩上安身サイン入り】前夜 日本国憲法と自民党改憲案を読み解く(IWJ書店)
https://iwj.co.jp/ec/products/detail.php?product_id=171

※前夜 ~日本国憲法と自民党改憲案を読み解く(配信記事)
https://iwj.co.jp/wj/open/%E5%89%8D%E5%A4%9C

※これこそ「ナチスの手口」!9条を含めすべての現行憲法秩序を眠らせ、日本改造を行う「緊急事態条項」 この上ない危険性!!(HP記事)
https://iwj.co.jp/wj/open/%E7%B7%8A%E6%80%A5%E4%BA%8B%E6%85%8B%E6%9D%A1%E9%A0%85%E7%89%B9%E9%9B%86

 しかし、ここまで緊急事態条項の必要性を正面に掲げるようになっても、改憲勢力は「災害のため」というカムフラージュを相変わらず口にして国民を欺き、マスメディアも、緊急事態条項の中身の検討、その危険性については、まったく触れません。

 はっきりと言いきります。緊急事態条項は、「台湾有事」という言葉でしきりに安倍元総理らが煽り立てている、米国と中国との戦争に日本を参戦させること見すえて、この緊急事態条項によって、日本に戦時独裁体制を築き、国民の反対を強権発動で抑え込んで米国の傀儡国として、米本土を守るため、日本国民を犠牲にする無謀な戦争に突っ込むための仕掛けです。

 同時に、景気の回復やコロナ対策どころか、戦費調達で無制限に国債を増発して国の借金がどうにもならなくなったら、国家緊急権をもって、国民に対して大増税を強行するためでもあります。

 1946年、第二次大戦の敗戦の翌年、日本政府は国民に強制的に買わせた戦時国債がインフレで価値がなくなっている時、国家緊急権(緊急勅令)を発令して、「一回限り」という言い訳つきで全国民から財産を没収し、(最高税率90%!)インフレのために額面ほどの価値のなくなった国債の形ばかりの返済にあてて、表向きデフォルトをまぬがれた「前科」があるのです。

※(再掲)改憲で緊急事態条項が通れば「国民に『お前らの財産没収します!』なんてこともできます!」と明石順平弁護士が危惧!~岩上安身によるインタビュー 第937回 ゲスト 『データが語る日本財政の未来』著者 明石順平弁護士 第3弾
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/447524

※【エッセンス版】改憲で緊急事態条項が通れば「国民に『お前らの財産没収します!』なんてこともできます!」と明石順平弁護士が危惧!岩上安身によるインタビュー 第937回 ゲスト 明石順平弁護士 第3弾
https://www.youtube.com/watch?v=DSyU3bKBn5Y

※【矢野論文について・切り抜き5】GPDを増やしても赤字はなぜ減らない!?~岩上安身による弁護士 宇都宮健児氏、エコノミスト 田代秀敏氏インタビュー
https://www.youtube.com/watch?v=pHZl0wcn5-c

 その恐ろしい「財産税」のために、新円切り換えと同時に緊急勅令(=国家緊急権)を用いて、全国民の預金封鎖を行うという荒業まで用いたのでした。

 国家緊急権は、国家が、国民の意志とは無関係に超法規的な強大な権力をふるえるようになる、「悪魔の魔法の杖」の如きものです。

 国家緊急権という万能の「魔法の杖」を国家に渡さないように、IWJはこれまでもずっと、この問題に警鐘を鳴らし続けてきました! しかしこの問題は、マスコミではタブー扱いになっています。選挙前も、選挙後も、です。

 選挙後も、「改憲」の話は出ても、「緊急事態条項」については大きく取り上げたり、コミットしないよう、各政党の政治家も、御用記者クラブメディアも、慎重にふるまっています。口裏もあわせずして、大手メディアがことごとく、「緊急事態条項」については黙り続ける、こんな芸当がどうしてできるのでしょうか?

 多くの国民は世間の話題にもならないため、その危険性に気づかず、眠るように忘れさせられてゆくのです。

 その点の危うさを、IWJはずっと「炭鉱のカナリア」のように、近づく危機を1人でも多くの方に知らせるべく、叫び続けています!

 戦後憲法は、明治憲法に書き込まれていた、この危険な国家緊急権を取り除きましたが、自民党をはじめとする現在の改憲勢力は、再び憲法に書き入れようとしています。

 もしも書き込まれれば、どうなるのでしょうか。暴力的な愚行を一度やらかした政府です。二度とやらないなどと誰が保証できるのでしょうか。

 こうして、マスコミが沈黙し続けている自民党改憲案の危険性を訴え続けているIWJが、今、活動費が足りずに沈没しかけています! 市民の皆さんからの緊急のご支援がどうしても必要です!

岩上安身拝

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預金種目 普通
口座番号 2043789
口座名 株式会社インデイペンデント ウエブ ジヤーナル

城南信用金庫
支店名 新橋支店
店番号 022
預金種目 普通
口座番号 472535
口座名 株式会社インディペンデント.ウェブ.ジャーナル

ゆうちょ銀行
店名 〇〇八(ゼロゼロハチ)
店番 008
預金種目 普通
口座番号 3080612
口座名 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル カンリブ


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◆中継番組表◆

**2021.12.21 Tue.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ・Ch5】10:00~「武蔵野市議会 本会議(令和3年第4回定例会)―内容:武蔵野市住民投票条例案の審議など」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_ch5

 武蔵野市議会 本会議を中継します。これまでIWJが報じてきた住民投票関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e4%bd%8f%e6%b0%91%e6%8a%95%e7%a5%a8
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【IWJ・Ch4】17:30~「林芳正 外務大臣 定例会見」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_ch4

 林芳正外務大臣による記者会見を中継します。これまでIWJが報じてきた外務大臣関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e5%a4%96%e5%8b%99%e5%a4%a7%e8%87%a3

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◆中継番組表◆

**2021.12.22 Wed.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【タイムリー再配信 1040・IWJ_Youtube Live】16:30~「電機産業は崩壊!? 凋落する日本のものづくり!~岩上安身によるインタビュー 第949回 ゲスト『「空洞化」と「属国化」 ― 日本経済グローバル化の顛末』著者 名古屋経済大学・坂本雅子名誉教授(前編)」
視聴URL(後半は会員限定): https://iwj.co.jp/wj/open/archives/420867

 2019年6月に収録した、岩上安身による坂本雅子氏インタビューを再配信します。これまでIWJが報じてきた坂本雅子氏関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e5%9d%82%e6%9c%ac%e9%9b%85%e5%ad%90

[記事URL] https://iwj.co.jp/wj/open/archives/450800
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【タイムリー再配信 1041・IWJ_Youtube Live】20:00~「キリスト教の『神話』のベールを取り去り、『史的イエス』の実像に迫る~岩上安身によるインタビュー 第380回 ゲスト 上村静氏(1/2)」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 2013年12月に収録した、岩上安身による上村静氏インタビューを再配信します。これまでIWJが報じてきた上村静氏関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/uemura-sizuka

[記事URL] https://iwj.co.jp/wj/open/archives/117865

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■中国西安市でネズミが媒介する流行性出血熱が流行! 中国メディアは「進行が速く致死率は0.4%、ワクチンが有効、発症は農家が8割」と報じるも、例年以上の大流行の兆しに経済への打撃懸念も!

 新型コロナウイルスのオミクロン株の拡大が懸念される中、また別の感染症の懸念が出ています。中国陝西省(せんせいしょう)の省都西安市で、「流行性出血熱」と呼ばれる感染症の患者が続出しています。

 中国人民日報系の医療情報メディア「健康時報」は19日付け記事で、「西安市保健当局の18日発表によると、西安市で冬に入って出血熱の患者が続出。西安で発生のピークを迎えている」と報じました。

※西安相継接診多例出血熱,専家解読(健康時報、2021年12月19日)
http://www.jksb.com.cn/html/news/hot/2021/1219/174507.html

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■三菱電機がテレビ生産・販売から撤退! 世界市場ではサムスン、LGの韓国製が5割超のシェア、安価な中国製も急伸、日本製テレビが売れているのは日本国内だけ!?

 今年11月1日、三菱電機がテレビ事業の縮小を発表しました。三菱電機の発表によると、「市場環境やニーズの急激な変化に伴い、製品競争力の維持が困難な状況となったため」とのことで、家電量販店向け製品は既に9月に出荷を終了しており、地域の家電店である「三菱電機ストア」向けの出荷については、「来年3月まで継続、以降の方向性については今後検討」とのことです。事実上の撤退と言えます。

※液晶テレビ事業の見直しに関するお知らせ(三菱電機株式会社、2021年11月1日)
https://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2021/1101-b.pdf

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■「米国はもはや世界の科学技術(S&T)の覇権を握っているわけではない」!! グレアム・アリソンが政権移行のためのメモをレポートとして発表!「偉大なるライバル 21世紀の中国vs.アメリカ」(技術編)で「今後10年で中国は米国を追い抜く」と提言!!

 12月7日、米ハーバード大学ケネディ行政大学院(ケネディスクール)から、「The Great Rivalry: China vs. the U.S. in the 21st Century(偉大なるライバル 21世紀の中国vs.アメリカ)」というレポートが発表されました。

 執筆者の中心は、クリントン政権時の政策担当国防次官補で、同校の学長も務めたグレアム・アリソン氏です。アリソン氏の著書の中で『米中戦争前夜――新旧大国を衝突させる歴史の法則と回避のシナリオ』は代表作となっています。

 レポートは、全52ページの「Tech(技術)」と、全40ページの「Military(軍事)」の2部から成り立っています。

※The Great Rivalry: China vs. the U.S. in the 21st Century(HARVARD Kennedy School、2021年12月7日)

※The Great Tech Rivalry: China vs the U.S.(HARVARD Kennedy School、2021年12月7日)
https://www.belfercenter.org/sites/default/files/GreatTechRivalry_ChinavsUS_211207.pdf

※The Great Military Rivalry:China vs the U.S.(HARVARD Kennedy School、2021年12月7日)
https://www.belfercenter.org/sites/default/files/GreatMilitaryRivalry_ChinavsUS_211215.pdf

 本日はこのうち、「Tech(技術)」についてご紹介します。「Military (軍事)」については、また別の機会に。

 グレアム・アリソン氏については、今年2月9日に行われた「岩上安身によるインタビュー 第1028回 ゲスト 元外務省情報局長・孫崎享氏 連続インタビュー第1回」の中で、孫崎氏が外務省官僚として米国駐在時(ハーバード大学国際問題研究所研究員)、「アリソン氏の授業を取ろうと思った」と述べており、「(アリソン氏は)一番、安全保障とかそういうところを作る人間を育てた人間」「彼が言っているセリフは、学者が単にこういうことだと言ったんではなくて、彼の教え子が、国防総省であるとか国務省であるとか、そういう人間としょっちゅう話をして、今の現在の一番の、行政府が行う、ものの考え方というものを示したのが、アリソンの考え方」「彼は(米国の安全保障政策の)中枢の中枢にいる人間」などと評しています。

※バイデン新政権始動! 強硬な対中国政策と「同盟再強化」は東アジアでの戦争発火へつながるのか? そのとき日本はもはや傍観できない~岩上安身によるインタビュー 第1028回 ゲスト 元外務省情報局長・孫崎享氏 連続インタビュー第1回 2021.2.9
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/488564

 さらにこの「Tech(技術)」の論文には、監修者として、ドン・ローゼンバーグ(クアルコム)、エリック・シュミット(シュミットフューチャーズ)、ジョン・ホルドレン(ハーバード大学)、ノーマン・オーガスティン(ロッキード・マーティン元CEO)、リチャード・ダンツィグ(第71代米海軍長官)、ヴェンキー・ナラヤナムルティ(ハーバード大学)と、6人の名前が連ねられています。

 調べてみると、エリック・シュミットは、グーグルの前CEO、ジョン・ホルドレンはホワイトハウス科学技術政策室前所長、ノーマン・オーガスティンは第17代米陸軍次官、などの肩書きが出てきます。GAFAのようなビッグテック企業のトップと軍産学共同体のトップがレポートの共著者として名を連ねています。

 7日に発表されたうち、「Tech(技術)」の論文は、英文で全52ページで、「Executive Summary(要旨)」「AI(人工知能)」「5G」「Quantum Information Science(量子情報科学)」「Semiconductors(半導体)」「Biotechnology(バイオテクノロジー)」「Green Energy(グリーンエネルギー)」「Macro Drivers of the Tech Competition(技術競争のマクロ環境因子)」という8章から構成されています。

 ここにそのすべてをご紹介することはできませんが、「Executive Summary(要旨)」には、次のように書かれています。

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 それでは、本日も1日、よろしくお願いします。

※日刊IWJガイドのフルバージョン(会員版)は下記URLより御覧ください。
https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20211221

IWJ編集部(岩上安身、六反田千恵、城石裕幸、富樫航、中村尚貴)

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岩上安身サポーターズクラブ事務局
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