【IWJブックレビュー】 食糧をつくり、食べる権利は、それぞれの地域に住む人々にとって、生きるための固有の権利 山下惣一 大野和興著『百姓が時代を創る』(七つ森書館)

 日刊ベリタ編集長で農業ジャーナリストの大野和興氏さんご本人から『百姓が時代を創る』をご恵贈いただきました。

 本書は、農民であり、作家でもある山下惣一氏と農業ジャーナリスト大野和興氏による日本の農業、農村、農民の来し方行く末をテーマとした対談の記録です。グローバリゼーションが進む農業の国際的な背景、大型農業のその後、政策から切り捨てられる大多数の百姓の生きる道について語ります。

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【IWJブックレビュー】 グローバリゼーションの波に飲み込まれる農業。地域伝統農業復活の道はあるのか。 大野和興著『日本の農業を考える』(岩波ジュニア新書)

 日刊ベリタ編集長で農業ジャーナリストの大野和興さんご本人から『日本の農業を考える』をご恵贈いただきました。

 農業ジャーナリスト大野和興氏が、40年間取材を続けてきた日本の農業に関して、現状の解説から、現在に至った背景・過去の検証、そしてそれらを受けて未来に続く「もうひとつの農業」を提案します。

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【IWJブックレビュー】森炎著『死刑肯定論』(ちくま新書)

『市民の観点で死刑制度をとらえる場合、国民に死をもたらす「死刑権力」という見方が欠かせない。今までの死刑存廃議論には、この点がそっくり落ちていた』

 ”死刑肯定論”このタイトルが意味するところは、死刑について今まで行われてきた議論に潜む矛盾を解消しようという試みです。まず著者は本書の1/3のページ数を割いて、今までの死刑存置論-廃止論の根拠をことごとく否定していきます。意外な展開ですが、現在の定義では、教育としての刑、犯罪予防のための刑、それらが少なくとも終身刑ではいけない理由がない、と説明。またフーコーやバタイユ、マルクスなど多くの歴史的な思索を検討し、死刑がどう位置付けられてきたかを丁寧に検証していきます。

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【IWJブックレビュー】日露開戦の裏にあった真の目的とは 金文子著『日露戦争と大韓帝国-日露開戦の「定説」をくつがえす』(高文研)

 株式会社高文研の、真鍋かおる様から『日露戦争と大韓帝国』をご恵贈いただきました。

 本書は『朝鮮王妃殺害と日本人』の著者金文子による第二作です。本書は近年公開された『極秘明治三十七八年海戦史』、『日露戦役参加者史談会記録』などの史料を活用するとともに、日露戦争を韓国(大韓帝国)からの視点が取り入れられることで、これまでの日露開戦の定説を『くつがえす』ものとなっています。従来の日露交渉のもつれから防衛的に開戦せざるを得なかったという捉え方から、日本が仕掛けた戦争であることを貴重な史料を読み解くことによって明らかにしています。

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【IWJブックレビュー】日本はもう一度敗戦直後に戻ったつもりで国を新しく作り直さなければならない 矢部宏治著『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』(集英社インターナショナル)

 株式会社集英社インターナショナルの、小林恵理子様から『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』をご恵贈いただきました。

 著者は『戦後史の正体』『日米地位協定入門』など「<戦後再発見>双書」シリーズの企画・編集責任者である矢部宏治氏です。本書は著者が沖縄で感じた違和感からスタートしています。なぜ市街地の上を米軍機が自由に飛んでいくのか? なぜ悲惨な原発事故を起こした日本が原発再稼働を推進しているのか?そして、それらの疑問にはれっきとした理由があることを著者は明らかにしていきます。

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【IWJブックレビュー】『イラン・パペ、パレスチナを語る〜「民族浄化」から「橋渡しのナラティブへ」』(つげ書房新社)

 昨年行われた、イスラエルによるガザ地区への攻撃が記憶に新しい、パレスチナ情勢。本書は、第2次大戦後、現在に至るまで激しい対立が続くイスラエルとパレスチナとの間に、歴史学の観点から「共生」の橋を架けることを試みます。

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【IWJブックレビュー】原発立地県の地元紙は原発をどのように報道してきたのか 本間龍著『原発広告と地方紙』(亜紀書房)

 亜紀書房様から『原発広告と地方紙』をご恵贈いただきました。

 本作は、大手広告代理店での勤務経験もある著者本間龍氏が、3.11以降メディアの姿勢に疑問を抱き、全国紙と雑誌メディアの原発広告の歴史を綴った『原発広告』の続編にあたります。この続編では、原発立地県の地方新聞に掲載された原発広告や社説・記事を原発建設当時から2010年まで最大約40年間を遡って収集しています。その膨大な資料をもとに、著者は地方紙ごとに異なる原発に対するスタンスを紹介しています。掲載資料は広告・記事が多かった福島、北海道、青森、新潟、福井が中心となっています。

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【IWJブックレビュー】複眼的に考察する安保政策 柳澤協二・半田滋・屋良朝博共著『改憲と国防 混迷する安全保障のゆくえ』(旬報社)

 IWJではお馴染み、元内閣官房副長官補の柳澤協二氏が共著者に名を連ねる新刊『改憲と国防~混迷する安全保障のゆくえ』を、ご恵贈いただきました。

 憲法改正、集団的自衛権の行使容認、国防軍の創設を推進する安倍政権の外交・安全保障政策について、柳澤氏、東京新聞編集委員の半田滋氏、元沖縄タイムスの記者で現在はフリージャーナリストの屋良朝博氏による鼎談を収録。

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【IWJブックレビュー】直木賞作家がたどる知られざる東北の歴史 高橋克彦著『東北・蝦夷の魂』(現代書館)

 『緋い記憶』で第106回直木賞を受賞した作家の高橋克彦氏の新著『東北・蝦夷の魂』を、ご恵贈いただきました。

 阿弖流為、安倍貞任、藤原泰衡、九戸政実、奥羽越列藩同盟など、中央政権に蹂躙され続けてきた東北、蝦夷の歴史を、岩手県釜石市出身の著者が綴っています。

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【IWJブックレビュー】改革派元官僚が明かす、「あきらめない」秘訣 古賀茂明著『信念をつらぬく』(幻冬舎新書)

 元経産官僚の古賀茂明氏の新著『信念をつらぬく』を、ご恵贈いただきました。

 古賀氏は大阪府市統合本部特別顧問を務め、大阪府エネルギー戦略会議では橋下徹大阪市長と関西電力大飯原発再稼動をめぐり、白熱の議論を繰り広げるなど「改革派官僚」として知られています。

 古賀氏の半生がコンパクトにまとめられた一冊。時の権力者とどう闘うのか。その原動力とは何か。古賀氏の信念と哲学が、読みやすい軽快なタッチで綴られています。(2013/06/26発行【IWJウィークリー第8号】より転載)

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