「小泉元首相の訪朝による拉致被害者の明確化」と「日韓ワールドカップ共催」は排外主義思想が激化したターニングポイント ~新大久保アゲインスト レイシズム サッカーと愛国 フットボール vs レイシズム 2013.7.11

記事公開日:2013.7.11取材地: テキスト動画
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(IWJ・芹沢あんず)

 「観客席に座っている時は差別主義者、敵を憎むということ。それがレイシズムとごっちゃになりやすい」――。新大久保のネイキッドロフトで、7月11日(木)、サッカーとレイシズムをテーマにしたトークセッションが開かれた。

 現在、新大久保や鶴橋などで、「在特会」などを中心とした排外主義者が在日の人々に対し、ヘイトスピーチを叫ぶデモが頻繁に行われている。一方で、排外差別デモに対して「差別はやめろ」と声を上げる「レイシストしばき隊」などがカウンターデモを展開している。排外差別デモに対するカウンター側の人間の一人であり、サッカーと関わりが深い清義明氏が今回のイベントを主催、司会を務めた。

■ハイライト

  • 登壇者
    小田嶋隆氏(コラムニスト、テクニカルライター:著書「小田嶋隆のコラム道」、他)
    木村元彦氏(ノンフィクション作家、ビデオジャーナリスト:著書「オシムの言葉」、他)
    千田善氏(国際ジャーナリスト、通訳・翻訳者、元オシム日本代表監督通訳)
    松沢呉一氏(ライター、タコシェ創設者、古本、性風俗研究家:著者「風俗見聞録」)
    安田浩一氏(ジャーナリスト:著者「ネットと愛国」他)
  • 司会
    清義明氏

 トークセッションは、2002年の「小泉元首相の訪朝による拉致被害者の明確化」と「日韓共催のワールドカップ開催」が、排外主義思想が激化したターニングポイントだったと話すところから始まった。

 小泉元首相が初めて訪朝した2002年9月17日、「日朝首脳会談」で、北朝鮮は拉致被害者の存在を認め、当時の金正日総書記は小泉首相に対し、「遺憾なことでありお詫びしたい。これらの問題で責任ある人々は処罰された。このようなことが二度と起こることがないよう適切な措置をとることとする。また、これらの方々とその家族の面会、および帰国への便宜を保証することとしたい」と、公式に謝罪した。このことはメディアに大きく報じられ、北朝鮮による日本人拉致があったということを多くの日本人が知る契機となった。

 また、2002年のサッカーワールドカップは、アジアで初めて行われるワールドカップとなり、日本が主催国として最初に手を挙げたが、あとから韓国も立候補した。日本は、自国の単独主催を強く望んだが、FIFA側から、日本が共催という形を受け入れない場合は、「韓国の単独開催」か「開催地決定の延長」、「中国での開催」などといった諸案があると言われ、望まない形で日韓共催を受け入れた。しかし、共催でワールドカップが行われるというのは規約違反であり、日本側の不満は多くあったという。

 ところが、日韓共催という形になったことにより、日本のメディアは「共同開催のパートナーだから仲良くしようという気持ち悪いメディア報道の抑圧」があったと、ノンフィクション作家の木村元彦氏は指摘。サッカーの試合は「敵意を楽しむものでもある」とし、日韓で仲良く共催しようというメディアの誘導によって、韓国に対する敵意をより抑圧する風潮となり、人々の不満が爆発したと説明した。

 加えて、この時の審判の判定には「誤審が多かった」ことから、これも日本人が韓国人に対して不満が爆発した要因であると清氏は説明した。

 コラムニストの小田嶋隆氏は「(サポーターとして)観客席に座っている時は差別主義者、敵を憎むということ。それがレイシズムとごっちゃになりやすい」と話し、試合中の敵を憎む気持ちと、レイシズムが混合しやすいという危うさについて解説した。

 司会の清氏もまた、「90分間の(相手に敵意を持つという)フィクションを、外まで持ちだしてしまった人がいる」と述べ、レイシストになってしまった元サポーターの実際の話を例に出して説明した。また、試合中の敵意とレイシズムが混ざってしまいやすいとされるサッカーでは、レイシズムが起こらないようにする対策も多く取られているということにも言及した。

 他にも、世界各国で豊富な指導歴を持ち、前日本代表監督も務めたオシム氏について話がおよんだ。レイシズムが起こりやすいサッカーにおいて、あえて多国籍な選手を集めてチームを作り、国境は関係ないという姿勢で取り組んできたオシム氏のエピソードが紹介された。

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「「小泉元首相の訪朝による拉致被害者の明確化」と「日韓ワールドカップ共催」は排外主義思想が激化したターニングポイント ~新大久保アゲインスト レイシズム サッカーと愛国 フットボール vs レイシズム」への1件のフィードバック

  1. あのねあのね より:

     この映像を観てどうしても解けない疑問が氷解しました。アクセス数の多い人気ブログに、ロフトグループ特にネイキッドロフトを中傷するコメントが、ここ数日同じハンドルネームで連続的に投稿されていたからです。何故、突如としてロフトグループの中傷を始め、中でもネイキッドロフトを中傷するのか理解が出来ませんでしたが、映像のアップを知った時点で、こういうことだと納得できました。その中傷コメントによると、ロフトグループは3店舗しか無いそうで、阿佐ヶ谷とプラスワンとネイキッドしかなく、ネイキッドには私が入り浸っているそうです。更に、鈴木邦男さんと10年来の付き合いが有ると私が豪語しているとか。
     その中傷コメントは、何故か在特会の主張と重なるので、その点をコメントで指摘したところ、デマのオンパレードの中傷コメントを投稿してきました。成り立ちがデマならば、反論もデマというおかしな団体ですが、カルト宗教とどこか似ている点が気になります。
     

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