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 2013年7月5日(金)16時、東京電力の廣瀬直己社長が新潟県庁を訪れ、泉田裕彦知事に面会した。東京電力は、運転停止中の柏崎刈羽原発6、7号機の早期の再稼働を目指しており、原子力規制委員会が定めた新規制基準が7月8日に施行された時点で、再稼働に向けた安全審査を、原子力規制委員会に迅速に申請する意向を7月2日の会見で明らかにしていた。面会では、東京電力が地元への説明を実施していない状態にもかかわらず、安全審査を申請する意向を示したことについて、泉田知事が強い不快感を示した。

 泉田知事は、廣瀬社長に対し、再稼働を急ぐ理由を繰り返し質(ただ)した。これに対し、廣瀬社長は、「準備ができたため」などと回答した。また、泉田知事が、新潟県と東京電力との間で結んでいる協定を根拠に、安全審査を申請する際には、地元の事前了承が必須であることを繰り返し述べたのに対し、廣瀬社長は事前了承によって再稼働の行程が遅れることを懸念し、地元理解を得る作業と同時並行で、安全審査を申請したい考えを示した。

 このため、泉田知事は、「東京電力は約束を破る会社なのですね」と強い口調で批判した。また、「東京電力は約束を守る会社ですか」との泉田知事の問いに対しては、廣瀬社長が、「守るようにしたい」などと、願望のような回答に終始した。しかし、何度も問い質す泉田知事の気迫に押されたのか、途中で、廣瀬社長が、「はい」(守ります)と答える場面もあった。

 泉田知事が、東京電力側に報告するよう事前に求めていた、福島第一原発事故の発生時に東京電力が行ったベント作業状況についての説明も行われた。この中で、東京電力の担当者が技術的な回答に終始したのに対し、泉田知事は、周辺住民の避難確認や国民への公表が適切に行われたかという点を、東京電力側に質した。しかし、担当者からの回答によって、当時の不十分な対応ばかりが浮き彫りになったことから、泉田知事は、「ベントの設備で、放射性物質を放出するものを造ろうというときに、『(国に)チェックしてもらいます』というメカニカルな話じゃない」と述べ、技術的な問題以上に、著しく信頼性に欠ける東京電力の体質や姿勢こそが、根本的な問題であることを示した。

 面会では、質問に真正面から答えない、東京電力側の態度に不信感を募らせた泉田知事が、「話が噛み合わないんだったら、どうぞお引き取りください」と突き放す場面もあった。また、東京電力が新潟県に対して面会のアポを取った際の経緯にも不信感をあらわにし、事前了承の問題やベント作業の問題とも合わせ、「嘘をつかない、約束を守る、これがスタートラインです」と廣瀬社長にクギを刺した。
【IWJテキストスタッフ・久保元】

■来庁者
 廣瀬直己氏(東京電力 代表執行役社長)/姉川尚史氏(東京電力 常務執行役)

■詳細 http://www.pref.niigata.lg.jp/genshiryoku/1356762916676.html(新潟県)

※掲載期間終了後は、会員限定記事となります。

■Ustream録画
・1/2(18:11~ 37分間)

・2/2(18:50~ 13分間)

◆新潟県泉田知事と東京電力廣瀬社長の面談要旨

泉田知事:廣瀬さん、ここに初めて来られたのは1年前。下河辺(会長)さんと一緒に。もう1年になりますね。

廣瀬社長:ちょうど先週、株主総会がありまして、まさに2年目に入りまして、ぜひぜひ・・・。
泉田知事:再任おめでとうございます。1年前、下河辺さんと廣瀬さんに、こういう質問をしましたよね。「お金と安全と、どちらが大切ですか」と。廣瀬さん、どうお答えになったか覚えていらっしゃいますか。

廣瀬社長:会長がメインにお答えになったことですが、一応、安全をと・・・。

泉田知事:安全第一と言われましたよね。ぜひお聞きしたいんですけども、大勢の方々が不安に思っている、こういった中で、地元に連絡もせずに、適合申請をするという決断をされた背景、どうしてこういうことになっているのか説明してください。

廣瀬社長:まず、若干言い訳がましいですけども、取締役会で決めた内容は、地元へのご説明をして、その上で、できれば、できるだけ早くご説明をするということで、申請をするということが、言い訳がましいですが先にあって、このあと、あとで地元に説明すればいいというつもりは毛頭ございません。ただ、一方で、取締役会の決議をもって、地元にこうしたアポをいただいて、ご説明をするという段取りにどうしてもなってしまったというのは、逆に、当然、その分だけ、時間がタイトになって、メディアの発表もどうしても大きくなりますし、一方で、ご存知の通り、適時開示という東京証券取引所のルールがあって、取締役会が決定したものについては、速やかに公表しなければいけないという、これは本当に言い訳でございますけども、そうしたことから、こういうバタバタの、地元軽視と受け取られかねない、こういう事象については、もう少しやりようがあったかなと反省しております。言い訳がましいですが、段取りとしては・・・。

泉田知事:段取りの話じゃなくて、安全第一の会社が、安全性の審査に関する説明もしないで、申請を先にやられた事情について説明いただきたいんですけども。

廣瀬社長:いえ、まだ申請はしておりませんし・・・。

泉田知事:申請をするという意思決定をした事情を説明していただきたいんですけども。

廣瀬社長:申請をするという意思決定をしたのは、ひとえに、このたび柏崎の6号機と7号機の準備が整ってきて、まずは事実関係が、さて用意ができました、さてどうしましょうということで、取締役会に掛けたということです。もちろん、今日も含めて、ぜひ地元にはご説明をさせていただきたいし、ご説明をさせていただく機会を設けさせていただきたいと思います。

泉田知事:そうじゃなくて、普通、どういう場を作ってということを、ものがあって相談をしていただく、情報をいただくということが必要でしょ。不安に思っている人がいっぱいいるわけですから。どうして、この不安の解消に努めないで、適合申請するってことを決められたんですか、ということをお聞きしているんです。

廣瀬社長:もちろん、その時点で説明が、その時点でもっと十分にしなければいけないとのご指摘はごもっともですし、そこの部分について、我々は反省しなければいけないところがあると思っています。ただ、今回、ご存知のことと思いますが、今回は設計の段階で説明をして、設計に対する審査をやりますので、実際のものは当然のことながら、あなたのところには、その通りに動くものがちゃんとあるのか、という視点にはなるのだと思いますけども、まずはいま、設計段階でのご説明ということにどうしてもならざるを得ない・・・。

泉田知事:じゃ、もっと端的に聞きます。なぜ急いだのですか。

廣瀬社長:ま、取締役会の決定は、繰り返しになりますが、まず準備ができたということがありまして、私たちはずっと準備をしてまいりましたので。ひとつの準備ができたということで会社的にですけども、これはおっしゃるように、地元の方の気持ちとか、違う視点からの決定ですので、そういう事実はありますが、地元の方にどうお伝えするか、どう理解をどう取るかということについては、知事がおっしゃるように、もう少しやりようがあったかもしれないし、これからもぜひ時間を掛けて、ご説明をさせていただきたい。

泉田知事:もう一回聞きます。なぜ急いだのか。背景を説明してください。

廣瀬社長:ま、準備を急いだという意味のことになるかもしれませんが、私たちはあれだけの大きな規模の事故を起こしてしまって、以来、我々なりに、事故を起こした当事者、事業者として、これは本当に口幅ったい言い方かもしれませんが、我々がより事故から学ばなければならない、反省しなければならない、あるいは教訓としなければならない部分は当然あると。そうしたものの中から、いろいろな取り組みを柏崎に取り入れてまいってきたわけです。したがって、そうした準備ができたというのがひとつの事実です。それに対して、どうして急いだのかということは、もちろん事実が明らかになってきて、こういう対策が必要だと、こういうことをやっておかなければいけないというのが出てきているわけですので、それを速やかに柏崎に取り入れていくということから、こういうことになっているわけです。

泉田知事:ん?審査の順番ということを気にしたんじゃないんですか。

廣瀬社長:審査の順番というのは。第一グループということですか。もちろん、我々は申請させていただく以上、当然、準備ができたから申請するわけで、これは規制庁の側なので、我々は如何ともしがたいところですが、準備が整えば申請をすることは必須のことだと思っております。

泉田知事:ん?だから、地元に説明してから取締役会に説明してもよかったでしょ。なぜ急いだんですか、ということを聞いているんです。

廣瀬社長:今回の決定は大変重い決定ですので、いわゆる根回しとして、まだ取締役会の決定はできてないけども、実はこういうことだから、よろしくお願いしますよ、ということはできたのかもしれない。ただ、大変重い決定ですので、我々としては取締役会の決議があって、それに基づいて、それを持ち出しているというのが現状です。

泉田知事:廣瀬さん、本当のこと言ったらいいじゃないですか。なぜ急いだんですか。根回しもしないで。

廣瀬社長:いや、ですから、根回しというのは、反省すべき点があったかもしれませんが、ただ、そういう段取りでしてきたわけで、いま、まさに、こうしてお時間をいただいているのは、こういうのは根回しとは言わないと思いますけれど、ご説明をさせていただくと。

泉田知事:急いでますか、急いでませんか。

廣瀬社長:申請を、ということですか。

泉田知事:他の説明も含めて。急いでますか、急いでませんか。

廣瀬社長:時間をいただければ、一生懸命説明したいと思います。

泉田知事:そんなことを聞いているんじゃなくて、急いでいるのか、急いでいないのかと聞いているんです。東電として。

廣瀬社長:ご説明は、でき、できれば、い、あのう、やらしていただきたいと思っています。

泉田知事:申請を早くやりたいと思っていますか。

廣瀬社長:地元の、もちろんご理解をいただければ、早くやりたいと。

泉田知事:なぜ早くやりたいんですか。

廣瀬社長:準備ができているからです。

泉田知事:どうして、準備ができているから早くやりたいんですか。安全と、スピードと・・・

廣瀬社長:ですから、我々は我々の、今回、フィルターベントもそうですし、いろんな対策は、逆に言うと、新審査基準ができる前に、かなりの工事を始めてきているということがあり、したがって、我々の考えで、色々な対策をとってきたつもりですが、これが本当に果たして、新しい規制基準に適合しているんだろうかというのは、非常に重要なポイントだと思っています。

泉田知事:では、もっと聞きましょうか。年度内の黒字化というのは意識しましたか。金融機関からの融資というのを意識しましたか。

廣瀬社長:もちろん、経営ですので、今回のことと全く別の話としたとしても、それは絶えず意識しています。

泉田知事:ということは、不安を解消する安全よりも、お金を優先したということですね。

廣瀬社長:いえ、そういうふうに、一つ一つで因果関係というか、事実関係が全部決まっているわけではないと思いますので・・・。

泉田知事:もう少しわかるように説明してください。

廣瀬社長:もちろん、私は経営者ですので、いま知事がおっしゃったように、黒字化しないと、3年連続の赤字というのは何としても避けたいということになります。

泉田知事:つまり、下河辺さんと廣瀬さんが、一年前にお話しをされた、安全優先というのは、嘘をつきましたということですね。

廣瀬社長:いえ、安全かどうかを確かめてもらうのが、今回の申請だと。

泉田知事:だったら、なぜ急いでいるんですか。

廣瀬社長:ですから、準備ができてきたから。

泉田知事:だから、準備ができるということと、それから、不安を解消して、安全を確保するってことは違うわけでしょう。

廣瀬社長:ですので、その辺については、まだ申請をしておりませんし、これからまさに、こうした機会をいただきながら、できるだけそうした不安を抱いていただかなくて済むように、我々として、しっかりやっていかなければならないと。

泉田知事:廣瀬さんが記者会見をしているときに、秘書課にはどういう連絡が来ていたかご存知ですか。新潟県の秘書課に。もう一度、再任をされたんで、就任のご挨拶をされたいという話が来ていました。いま廣瀬さんが説明しているのは、「フィルターベントの適合申請をしたいという説明」をしたいということなんですけど、アポを取るときに、「嘘をつけ」と指示をしたのか、会社全体が嘘をつく体制になっているのか、どっちですか。

廣瀬社長:アポを最初に入れさせていただいたのは、先週の水曜日の頃だったと思います、ですので、まさに、株主総会が終わって、2年目の体制に。で、金曜日には福島県に同様の主旨でご挨拶に行ってきて、という流れでアポを入れさせていただきました。で、まあ、取締役会の決議が、2日の火曜日ですので、もちろんその、アポがたまたまということはあったかもしれませんけども、そこで、そうした話をさせていただく必要が出てきたと。

泉田知事:答えになってないんですけど。新潟県に対しては、就任のご挨拶にうかがいたいと。再任のご挨拶にうかがいたいと。でも、いまお話されてるのは、適合申請の説明をしたいと言われてるんです。なぜ理由が違うんですか。

廣瀬社長:ですから、地元に対して、極力早く、丁寧なご説明をする必要があるのは、まさに我々も考えているところですので、まあ、今日こうしてお時間をいただいて、なかなか知事にもお会いできませんので、柏崎市も、村もそうですが、こうした自治体に、できるだけご説明をさせていただきたいと。

泉田知事:いや、だから、何を言ってるかわからないんですけど。時間を取るために、どうして真実を言わずに、違う理由を言われるんですか。

廣瀬社長:ですので、先週の水曜日・木曜日の段階で、私どもはまだ決議をしておりませんので、当然、再任のご挨拶の・・・。

泉田知事:提案するというのはなかったんですか。

廣瀬社長:正直なところを申し上げますと、今回の取締役会は、かなりの短期間で準備が整ってきたというのがあって、それがその、秒読み段階に入ってきたというのはあるとは思いますけども、その時点では決まっておりませんので、そうしたことで逆にアポを入れることも、まさにそれこそ虚偽になってしまいますし、それはできませんし、仮にそういう動きがあったとしても、そういうアポの取り方は難しいと思います。その時点で明らかなのは株主総会が終わって、私が2年目に入るということでしたので。それがずるいといえば・・・。

泉田知事:つまり、廣瀬さんからは、株主総会で2期目に選任されたので、挨拶でアポを取れというふうに指示を出されたんですね。

廣瀬社長:私は、私はそういうことです。

泉田知事:そういうことですね。でも心の中では、急速に進めて、取締役会に掛けようという気持ちがおありだったということですね。

廣瀬社長:いえ、それもそこは、正直、社外取締役のご意向もありますし、私の一存では決められないというのもありますので、そこはなんとも申し上げられませんが、ただ、2日の決議をもって、アポイントの中身といいますか目的を、私どもの意向を対応させていただこうとしたことは事実でございますので、それについては本当に申し訳なく思いますが。ただ、先週からそういうことでの、ということではなく、先週は先週で、その段階で決定していた、私が2期目に入るということをもって、まずはご挨拶と。それをまさに実際に福島のほうもやらせていただいたと。金曜に。

泉田知事:だから、昨年の下河辺さんと一緒に来られたときの、安全とお金、どっちが大切ですか、安全を大切にします、と真摯にお答えいただいた言葉が嘘だったわけですから・・・。

廣瀬社長:いえいえ、そんなことはありません、私どものほうと・・・。

泉田知事:ちょっと、最後まで聞いてください。アポイントを取るときも、再任のご挨拶と言って取りながら、本当は下心を持っていたということでしょ。

廣瀬社長:いえいえ、ですから繰り返しになりますが、私どもは、あのぅ・・・。

泉田知事:カメラ回ってますから。これ、国民が聞いたらどう感じるかということですよ。東京電力は嘘をつく会社だと、トップが先頭を切って嘘つく会社だというふうにしか伝わらないですよ。

廣瀬社長:いえ、ぜひそれは誤解を解いていただきたいと思いますが、先週の段階で、株主総会があったわけですから、その時点ではっきりしたことしか、私どもとして申し上げられないし、その時点で確かにアポイントいただいて、アポイントの日に言ったと思いますよ、まさに福島県では金曜日に、私、知事にお会いしに向かっていますので、その段階ではもちろん何も決まってないわけですから、まさにご挨拶ということになったと。

泉田知事:東京電力は約束を守る会社ですか。

廣瀬社長:ぜひ、そういう会社でありたいと思っていますし、そういうふうになりたいと。

泉田知事:ありたいけど、破ることもあるんですか。

廣瀬社長:いえ、そういうことのないようにしたいと。

泉田知事:約束は守るんですか。

廣瀬社長:はい。

泉田知事:約束は守る会社ですね。そうしましたら、次にお聞きしたいんですけども、昨日ペーパーを差し上げましたが、安全協定というのは、県と東京電力のお約束です。無論、事前了解なしに申請はしませんね。

廣瀬社長:ですので、それについては、昨日申し入れのあった一番になると思いますが、これはフィルターベントの話と理解しておりますが、知事がおっしゃっているようにフィルターベント、もちろんフィルターベント自身は、使ってはいけない設備ではありますけども、まさに使わなければいけない状態になったときには、いかに量を下げるとはいっても、地域の住民の方に大変な影響を与える設備ですので、それをどう使うかということは、極めて重要なことだと思っています。ましてや、それは、まさに地元の地域の、特に自治体のオペレーションに大きく関わりますので、その点については、これからよくご相談させていただかないといけないと思っていますし、使わない設備ではありますけども、そういう設備が使うという状態になるまでには、しっかりと詰めておかないといけないというのが・・・。

泉田知事:事前了解なしに申請はあり得ませんね。それは、お約束を破ることになりますよ。

廣瀬社長:まだ途中なんですけども、そうした使い方の面について、ぜひきっちりご相談をさせていただきたいし、自治体の、逆に、取り組みについても、反映させていかなければいけないと。一方で、いわゆる設計の、ハードのほうの話がございます。これについては、まさに規制委員会が新しい基準でハードをまさに決めて、来週の月曜日からそれが施行されることになっています。したがって、そこで、それがまず合ってるのかどうかというのを聞いて、その中で、それと同時といいますか、それと並行して、県の技術委員会なりで、こちら側の設備面からのチェックといいますか、確認事項もしていただけるということは可能なのではないかと思っています。

泉田知事:東京電力は、トラブル隠しを起こして、社会的信用を失いました。柏崎刈羽原子力発電所、職員の皆さんを含め、その後、信頼回復をするためにどれだけ苦労をされたか、ご存知ですか。県との間でも、やり取りができるように、ホットラインだってちゃんとつながるようにということで、免震重要棟、2007年の中越沖地震のときに、ホットラインがつながらなかったことから、造ってくれということで造っていただいたわけです。新潟に造ったから、たまたま福島でも造ったわけです。あれがあったからこそ、東京がいま住めているわけですよね。それだけ真摯に現場の人が苦労しているのに、トップが嘘ついたり、約束を守らないという形で信用を失っていったら、この人たちの苦労はどうなるんですか。そういうことは考えませんか。

廣瀬社長:もちろん、考えています。

泉田知事:もう一回聞きますよ。東京電力は、約束を守る会社ですか。

廣瀬社長:ぜひ守りたいです。

泉田知事:ということは、事前了解なしに申請はありませんね。

廣瀬社長:ですので、私が先ほど申し上げましたように、方法があるのではないか。それについてはぜひ、知事のご意見もうかがいながら、そういう方法もあるのではないかと考えています。

泉田知事:いま問われているのは、東京電力の信頼性なんです。嘘をつくのかつかないのか、約束を守るのか守らないのかというように、どういうところで議論してもらうかという技術的な話ではなく、信用できる会社なのかということをうかがってるんです。なぜ嘘をつくんですか。

廣瀬社長:もちろん、嘘をついているつもりは毛頭ございませんし、私どもが取り組んできた取り組みを、私どもなりにやっていたのでは、おっしゃる通り信頼がない。したがって、規制委員会なり、第三者機関にチェックしていただくというのは、本当に必要だと思っています。

泉田知事:約束破りませんね。

廣瀬社長:ですので、フィルターベントの審査と、事前了解の順番につきましては・・・。

泉田知事:そういうことを聞いてるんではなくて、約束は守りますかって聞いてるんです。

廣瀬社長:もちろん約束は守りたいと思います。

泉田知事:じゃ、ちゃんと事前了解を取ってください。

廣瀬社長:ですので、事前了解の取り方について・・・。

泉田知事:それはあと(の話)です。事前了解を取ると明言してください。

廣瀬社長:ですので、いま今日ここに来て、知事とお話を・・・。

泉田知事:明言できないんですか。

廣瀬社長:ですので、そこをぜひ知事にご了解をいただけないかというのが、我々のお願いで・・・。

泉田知事:だから、信頼のできる会社かどうかが重要なんで、約束を守る気があるんですか、ないんですか。

廣瀬社長:ですので、繰り返しで申し訳ございませんが、私どもがお願いする、事前了解は取るんです、もちろん取るんです。その事前了解の取り方について、こういうやり方でどうかと・・・。

泉田知事:その時期も問題ですよ。

廣瀬社長:もちろん時期も問題です。

泉田知事:申請してからなんていうのは、事前了解とは言いませんからね。わかってますね。

廣瀬社長:ですので、いま申し上げたように、一方で規制委員会もすでにスペックも出ております、強度も出ております、それに合ってるか合ってないかというのは、一つの判断基準はあるわけです。それを一方で審査しつつ・・・。

泉田知事:我々は、事前了解とはみなしません。事前了解取ってくださいね。

廣瀬社長:そこについては、ぜひ私どもの、引き続き、そこの順番と言うんでしょうかね、同時性というか並行性については、ぜひ我々としてもお願いしたい・・・。

泉田知事:事前了解です。並行ではありません、同時ではありません。約束守りますか。

廣瀬社長:事前ですか。

泉田知事:事前了解です。協定には事前了解と書いてあります。

廣瀬社長:ま、しかし、今回の・・・。

泉田知事:約束を破る会社ということですか。

廣瀬社長:いえ、そこ、そこはぜひ、私どもの考え方をお聞きいただきたいところですけども、今回の新しい基準に基づいて、いままでに全くない設備を、これから造っていく、またその設備についても、本当に、まさかのときに使う設備ということで、そういう特殊事情の中で、こうした手続きをいま踏もうとしているわけですけども、そこについてはぜひ、我々の、順番と言いますか、同時並行的に進めていただくということは可能なんではないか、あるいはそれで大きな問題は生じないのではないか・・・。

泉田知事:事前了解です、と何度も言ってます。お金と安全は、どちらが重要ですか、と聞いたときに、安全です、とお答えになった。実は嘘だったと。約束は破る会社、これじゃあ、もう信頼できないでしょ。

廣瀬社長:規制委員会に審査してもらうことは、安全を確保するために審査してもらうものだと私は思っています。

泉田知事:では、一つ聞きます。2007年の中越沖地震のあと、トランスから火を噴きました。そのときに、東京電力はどう説明したか、もう一度言ってみてください。

廣瀬社長:ま、ちょっと私、そのときのあれ(社長)ではないので、つまびらかにお答えできませんけども。

泉田知事:土台が建屋と離れてたんです。だからパイプが離れて、そこから漏洩したものに火がついて火事になりました。だから、「我々は二度と起こさないように、パイプと建屋を一体化します」と、そういう説明をいただきました。今度のフィルターベントの設備は、何と驚くことに、建屋と一体化してないじゃないですか。あのときの説明と何で違うんですか。

廣瀬社長:建屋とフィルターベントの設備の、それぞれの土台は、同じ土台に建ってますので、こっちとこっちがずれて動くということはないように設計しています。

泉田知事:だって、それは地盤にということであって、建屋とつながっていないんで・・・。

廣瀬社長:地盤を通じて同じものの上に建っているということです。

泉田知事:地盤を通じてといったら、こないだのトランスだって、地盤を通じてそういうことになったわけじゃないですか。

廣瀬社長:いや、あれは、あの、その、間の、その、つないでいた部分が、そもそも同じ地盤に建っておりませんし・・・。

泉田知事:東電というのは、詭弁を弄する会社なんですか。

廣瀬社長:いえいえいえ、事実を申しているだけです。あれは、同じ地盤に建っておりませんので、当然・・・。

泉田知事:信頼を獲得することと、お金の話とどっちが大事なんですか。

廣瀬社長:繰り返しますけれど、信頼を回復しなければ、お金の話なんかできないと思っています。

泉田知事:でしょう。だから約束を守ってください。

廣瀬社長:はい、ですから、我々としても、安全を確保するために、規制委員会にその旨をチェックしていただきたいと、強く思っているところです。

泉田知事:だから、事前了解を取ってくださいって言ってるんです。なぜ事後なんですか。

廣瀬社長:事後じゃなくて、同時にできるんじゃないかと考えさしていただいて・・・。

泉田知事:事前に、やってください。約束です。約束破るんですね。

廣瀬社長:いえ、同時にさしていただくと、どういう・・・。

泉田知事:昨日ね、ペーパー差し上げましたけど、福島第一原子力発電所のベント状況の説明は今日いただけるんですか。

廣瀬社長:用意してまいりました。

(編注:ここで、東電の原子力技術担当者が、知事らに資料を渡す)

原子力技術担当者:説明させていただきます。福島第一原発の事故直後、ベントをした回数が、1号機、2号機、3号機について書かれています。1号機が2回、2号機が2回、3号機が9回。初回操作、その過程で再び閉まったとか、機器の不調で再び弁が閉鎖したという状況があって、再開した操作が書いてあります。これについてのご質問は、通報・公表の状況がどうであったか、これを決断した責任者は誰であったかというご質問です。決断した責任者は、プラントの状況を踏まえ、現地の所長が行っております。所長が最終判断者になっております。通報・公表について、1号、2号、3号それぞれについて、所長の責務として通報し、公表も行っております。この表では、念のために、ベントがうまくいったものもありますし、なかなか開かなかったものもありますし、開いたか開かなかったか、わからなかったものもあります。それを、ベントの成否として右側に書かせていただいております。これが、ご質問に対する直接の回答でございます。

泉田知事:聞いているのは、そういうことじゃなくて、通報する責任者は誰ですか。

原子力技術担当者:通報の責任者は現地の所長です。

泉田知事:で、それで、誰にお伝えをして、実際、避難が終わったかという確認を取ったのでしょうか。

原子力技術担当者:通常の手順はオフサイトセンターに連絡するんですが・・・。

泉田知事:いや、だから、事実関係でいいです。オフサイトセンターが機能してないんだから。

原子力技術担当者:あのときはオフサイトセンターが機能しておりませんでしたので、各役場の避難に同行している当社の社員がおります。その社員に対して、避難の状況がどうかということを確認を取って調査をいたしました。

泉田知事:3月12日の10時過ぎには、避難が終わったという確認が取れたんですか。

原子力技術担当者:3月12日には確認が取れましたが、実際はご存知のように双葉病院に避難できていない方がいましたので、完全に、結果的に取れてはいませんが、そのときは、連絡が入ってきたときには、避難が完了したという連絡を受けて、そういうのを出しております。

泉田知事:風向きというのは時間によって変わるのに、なぜ初回しか通報しないんですか。

原子力技術担当者:それは、ベントをやりますと、格納容器の圧を逃がすためにやってますので、特に再計算の作業をしてません。何で再開したかというと、エアの抜けでありますとか、コンプレッサーの不調で再び閉まりましたから、それを開ける試みをしたということで、前回から一連の動作ということで、再びの通報はしておりません。

泉田知事:特に、東京都でペットボトルを配るほど、大量の放射性ヨウ素が飛んだでしょ。で、成否不明ってどういう意味ですか。

原子力技術担当者:2番目の表を見ていただきたいのですが、東京で線量が上がったときの、1ページの最後、3月20日11時過ぎ、これはベントを行う努力をしているんですが、成否不明というのは、ここで圧が抜けておりません。それから、周辺でモニタリングをしてるんですが、モニタリングの線量が上がっておりません。全く開かなかったとも言えないんですが、有意なベントが再開したという手応えを得られていません。したがって、我々は3月20日のものが東京に回ったのではないと思っています。じゃ、どこから来たのかということになりますが、我々は2号機のものだと思っておりまして、2号機はウェットウェルベントができなかったために、格納容器から直で、上気流に乗って外に出ております。1号機と3号機に比べ、100倍以上のヨウ素が出ております。これは3月15日以降も、量こそは減りましたが、コンスタントに継続して出ていたと思われます。それが東京で(線量が)上がったときには、ちょうど福島からの気流が東京を通過中に降雨がありました。そのため、この降雨によってヨウ素が落ちた。この降雨の量と線量が上がったグラフのデータと同期していますので、我々は2号機から継続的に出ていたものが、東京を通過中に降雨のために落ちたと解釈しています。

泉田知事:施設境界で線量が上がったでしょ。ペットボトルを配る直前に、大量の放射性物質が来たんです。我々、新潟にいて、北から放射性物質がだんだん南下しているのは、それぞれのポストの発表数値で認識していました。そのときに、警告しましたか。世の中に。上がったときに警告しましたか。世の中に。してないはずなんです。警告一切なしに、直接、水道施設からヨウ素が検出されたということなんです。だから、いったい、情報伝達ってどういう責任者で、どういう過程でやったんですか。

原子力技術担当者:その点については、全般的に、当社の情報伝達が稚拙だったことは肝に銘じて反省しておりますので、そのときのことについて、あらためて弁解申し上げるつもりはございません。

泉田知事:ということは、ベントの設備で放射性物質を放出するものを造ろうというときに、「チェックしてもらいます」とかいうメカニカルな話じゃないでしょう。

東電:おっしゃるとおりです。メカニカルな話だけじゃないです。

泉田知事:でしょう。事前了解とってくださいね。

東電:ですので・・・。

泉田知事:話が噛み合わないんだったら、どうぞお引き取りください。

廣瀬社長:ぜひ、あのぉ、私ども、今日の説明も一部不十分なところはありましたけども、ぜひ、また知事にお時間いただいて、何度でも参りますので、ぜひご説明をさせていただく機会を。また、柏崎市や刈羽村も回るつもりでおりますけども、ぜひ・・・。

泉田知事:何度も申し上げますけども、嘘をつかない、約束を守る、これがスタートラインですよ。

廣瀬社長:ですので、今回の状況を鑑みて、やり方をご相談させていただきたいと思っていますので。

泉田知事:ご相談できる相手になってくださいね。まずね。
【IWJテキストスタッフ・久保元】