「2030年の原発ゼロ」を前提としたエネルギー政策提言をまとめる ~第28回大阪府市エネルギー戦略会議 2013.5.31

記事公開日:2013.5.31取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・久保元)

 2013年5月31日(金)11時、大阪市北区の大阪市役所において、「第28回大阪府市エネルギー戦略会議」が開かれた。今回の会合では、これまで行ってきた27回の議論の集大成として、「2030年の原発ゼロ」を前提としたエネルギー政策提言をまとめた。

 提言では、「福島第一原発事故により、原発事故の被害は極めて甚大かつ人類の時間スケールという観点からすると不可逆的であることを思い知った」とし、被曝による健康被害や、放射性廃棄物、施設老朽化、廃炉などの問題、さらに、巨大地震、労働被曝、巨大事故時の損害賠償、テロ対策など、容易にクリアできない課題や危険性を列挙し、原発依存からの脱却を図る必要性を明記した。

■Ustream録画(23:35~ 2時間18分)

  • 出席予定者
    植田和弘氏(京都大学大学院経済学研究科教授)、大島堅一氏(立命館大学国際関係学部教授)、河合弘之氏(さくら共同法律事務所 弁護士)、古賀茂明氏(元経済産業省大臣官房付)(※)、佐藤暁氏(原子力コンサルタント)、高橋洋氏(株式会社富士通総研経済研究所主任研究員)、長尾年恭氏(東海大学海洋研究所地震予知研究センター長)、竹柴清二氏(大阪府環境農林水産部理事)、山本仁氏(大阪市環境局長)
    ※古賀委員はインターネットを利用して会議に参加
  • 議題
     大阪府市エネルギー戦略の提言(案)について
  • 日時 2013年5月31日(金)11:00~
  • 場所 大阪市役所(大阪府大阪市)

 電力政策については、これまで国や電力会社などが原発推進の根拠としてきた、「原発の電気は安い」という主張に異を唱え、「原発に経済的優位性がないことは明らかである」と明記したほか、「供給者目線から、需要家・生活者目線へ移行する」「再生可能エネルギーの拡大と、省エネを推進する」「中央集権的なエネルギー政策を改め、地方に権限や財源を移行する」ことを求めた。

 提言には、脱原発をどのように、具体的に進めていくかを明記した工程表も盛り込んだ。工程表は、直近の5年間で取り組むべき課題として、「脱原発関連」「再生エネルギー・電力システム改革」「省エネ・エネルギー効率・化石燃料」「大阪府市の役割」という4つの表で構成しており、この中には、2013年度中に行うべきこととして、「核燃料サイクルの中止」「高速増殖炉もんじゅの廃炉判断」「事業者による(廃炉にする)原子炉の仕分け」「原発推進目的の研究開発中止」などを明記した。

 提言がまとまったことについて、植田和弘会長(京都大学教授)は、これまでの議論や取り組みを振り返りつつ、「3.11以降、『専門家』が問い直された。この会議には様々な分野から専門家が集まり、包括的かつ具体的に議論でき、一定の成果があったと考えている。この提言が、今後のエネルギー政策議論のたたき台になればと願っている」と感慨深げに語った。河合弘之委員(弁護士)は、脱原発を進めようという流れに逆行する動きとして、安倍政権が進めようとしている、トルコなど諸外国への原発輸出について、「原発事故が起きたら、トルコ国民は日本を許さないだろう。原発輸出とは『リスクの輸出』である。自国での事故を収束できないような危険なものを輸出するのは、道徳に反する。まさに『死の商人』である」と厳しく批判した。

 今回の会合が最終開催となった同会議は、福島第一原発事故によって顕在化したエネルギー問題に関連し、エネルギーの一大消費地の自治体である大阪府と大阪市が、当事者意識を持ってエネルギー政策を考える場とするべく、2012年2月に第1回目の会合を開いたのが始まり。以来、「原発の全停止によって電力不足が生じる」との関西電力の主張に対し、「電力不足は生じない」との試算を提示したほか、大飯原発3、4号機の再稼働についても、「安全性が確認されていない」として反対の立場を採った。地方自治体によるエネルギー政策への提言は極めて異例で、この提言を機に、エネルギー政策論議がよりいっそう深まることが期待される。

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