経産省前テントひろばに迫ったスラップ訴訟 土地明渡しをめぐり裁判へ―「脱原発と命を守る裁判」についての記者会見 2013.4.10

記事公開日:2013.4.10取材地: テキスト動画
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 「明らかにスラップだ」。大口昭彦弁護士は、2013年4月10日に行われた「『脱原発と命を守る裁判』についての記者会見」でこのように述べ、「損害が生じていないにも関わらず、テント所有者に1100万円の請求を突きつけた。威嚇以外の何物でもない」との認識を示した。

■全編動画

  • 会見者 淵上太郎氏、正清太一氏、弁護士、他

 設置から約1年半、ついに、経産省前脱原発テントが本格的な立ち退きを求められようとしている。4月6日、テント所有者として特定された正清太一氏、渕上太郎氏の二名の自宅に、東京地方裁判所から、経産省前テントひろばの撤去と土地の明渡しを求める訴状が送られてきたのだ。これを受け、4月10日、テント前で、記者会見が開かれた。

 テントの所有者として指定された渕上太郎氏は、「不当な占拠であることはわかっているが、私たちは日本の民主主義や原発問題、それに対する国の無責任や隠蔽体質の告発のためにここにいる。テントは、脱原発を願う国民の心の支えでもある」と訴え、「非暴力不服従で戦う」と、最後まで国と争う構えをみせた。

 テントの弁護団の一員である大口昭彦弁護士は、「原発事故に対する日本政府の対応は、不徹底である。今回の提訴は、政府の冷たいあり方が端的に示されている。現在の、国民の生活が守られない反憲法的な事態において、主権者たる国民は自ら行動し、意思表明した」と、テントの正当性を強調。また、「正清、淵上の二名がやっていることだと決め付け、他の市民を無視しているのも間違い。テントはみんなの所有であり、二人に対する裁判をやれば済むという考えは違う。不法をやっているのはどっちだという点で、弁護団は全力を尽くして戦う」と意気込みを語り、反訴も予定していると明かした。

 さらに大口弁護士は、「損害は生じていないにも関わらず、一日あたり約2万円の計算で、計1100万円が所有者として指定された二人に突き付けられた。これは威嚇以外の何物でもない」と指摘。「『ここの占有者だと名乗るならお前にも請求するぞ』と、威嚇し、抑え込もうという意図が露骨に出ている。これは明らかにスラップだ」と述べ、国の姿勢を批判した。

 事故直後、双葉町から東京都港区に避難したという亀屋由紀子氏は、「逃げろと言われ、何も持たずに着の身着のまま逃げてきた。地獄だった。応募して入った借り上げ住宅には、お皿もテーブルも服も何もなく、毎晩泣いた。故郷に帰りたい、みんなに会いたい、と。そんな時、テントにきて励まされた。テントがなければ立ち直れなかった」と語り、「テントひろばは第二の故郷。このテントがなくなったら、どこで何をすればいいかわからない」と、テントの存在意義を涙ながらに訴えた。

 土地明渡しをめぐる裁判の第一回口頭弁論は、5月23日に東京地方裁判所で行われる予定。

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