麻生太郎副総理(財務大臣兼金融担当大臣)定例記者会見 2013.3.1

記事公開日:2013.3.1取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・久保元)

 2013年3月1日(金)12時、東京都千代田区の財務省において、麻生太郎副総理(財務大臣兼金融担当大臣)の定例記者会見が開かれた。冒頭、麻生副総理は、アジア開発銀行(ADB)の黒田東彦総裁が、日銀の新総裁候補として国会に提示されたことに伴い、3月18日でADB総裁職を辞任する意向を表明したことについて触れ、「アジア太平洋地域の成長と貧困削減に卓越した指導力を発揮した」とこれまでの働きぶりを評価した。その上で、「黒田氏には、日本の金融政策の舵取りに、類いまれな資質を大いに発揮していただきたい」と期待感を示した。

■全編動画

  • 日時 2013年3月1日(金)12:00〜
  • 場所 財務省(東京都千代田区)

 記者から、「(麻生副総理は以前から会見等において)日銀総裁の資質について、『組織運営のできる人』『語学ができる人』『健康な人』という話があったが、これは黒田さんを最初から念頭に置かれていたのか」と問われた麻生副総理は、「結構早い段階から頭の中にはあった。『学者を頭に』という意見も強かったが、優先順位の一番として、組織の経験がない人ではだめだ」と以前からの持論を繰り返した。それとともに、「英語ができたほうが望ましいとは思っていた。いろんな人が頭の中にあったのも確かだ」と付け加えた。一方で、「日銀としては、『2%』『オープンエンド』『速やかに』という方向がほぼ決まっている」とし、「俺が(日銀総裁)をやると言ったら問題があるだろうけれども、『誰でもできるんじゃないの』なんて言いたくなるぐらいだ」とジョークを述べた上で、「(日銀総裁の人選は)安倍総理の今の流れを、必ずその方向で動かしていってくれる人として、総理は目をつけたのだろう」と語った

 麻生副総理は、直前に経団連の懇談会に出席したことに触れ、第二次安倍政権の「三本の矢」の取組みが経団連側から高く評価されたとする一方で、200兆円に上るともいわれる企業の内部留保について、「設備投資や配当、労働分配に回されるべきものがじっとしているという状態は普通ではない」との見解を示した。

 アメリカの国家予算の強制削減が避けられない状態になっていることの日本への影響について問われた麻生副総理は、「恐らく、削られる歳出の半分ぐらいが防衛費(軍事費)だ。アジアの安定を考え、アジアに軸足を移したら他のところを減らすのか、やり方は考えるだろうが、大変大きな影響が出ると思う」と懸念を示した。

 同日、マイナンバー制度法案が閣議決定したことについて、見解を聞かれた麻生副総理は、「マイナンバーをうまく活用すれば、行政コストは著しく下がる」とメリットを強調する一方、情報の機密性やプライバシー保護、さらに、いわゆる「なりすまし」の問題を挙げ、それらの問題の解決にはIT技術の進化と歩調を合わせていくことが必要で、「制度の定着には時間が掛かる」との見解を示した。

 「竹島の日」に関連し、韓国での不買運動の動きについて見解を求められた麻生副総理は、「これまで、日韓間において、戦後だけでも67年間、数々の危機を双方の政治家が大人の対応で乗り越えてきた」と述べ、「今回も、一部の人たちの感情論に乗っかって一緒に煽っていくのではなく、きちんとした対話を続けていかなければならない」と強調した。また、経済への影響については、「韓国の場合、日本から耐久消費財を買う比率は少なく、主に工作機械などの資本財を買っている。日本の商品を買わない、工作機械を買わないイコール、製品ができないことを意味する」とし、不買運動が実効を伴ったものになるのか懐疑的な見方を示した。

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