2012年2月29日(水)、自由報道協会・麹町報道会見場にて行われた「塩崎恭久衆議院議員 記者会見」の模様。
(テキスト・浜本)
2012年2月29日(水)、自由報道協会・麹町報道会見場にて行われた「塩崎恭久衆議院議員 記者会見」の模様。
福島第一原発事故については、これまでに政府、民間の2つの所管で別個に事故調査委員会が設置され、それぞれすでに報告書が提出されている。塩崎議員は、政府がからんだ重大事故について、政府自らが設置した調査委員会では見方が甘くなることは否めず、また民間では権限が狭すぎて十分な調査ができないと指摘した。真の原因究明と再発防止策の策定を可能にするためには、立法府による事故調査が不可欠であることから、国会は民間の専門家から成る事故調査委員会を設置(委員長は黒川清東大名誉教授)、法に基づく最大限の権限を与えたうえで調査を依頼したと述べた。調査は昨年12月から半年間の予定で始まっており、今年5月にも報告書が提出される見通し。
なお、この事故調査委員会には、部外者が同委員会に接触する場合、報告義務が生じる。そのため同委員会は、政府関係者をはじめ民間企業、政治家の思惑からも独立性を保つことができるという。塩崎議員は、こうして結果的に政府・民間・国会という三つのレベルで事故調査委員会が発足し、それぞれの角度から調査結果が示されることで事故の全容がより明らかになるとの期待を示した。
政府は、今年1月31日に閣議決定した原子力規制関連法の改正案のなかで、原子力規制庁設置に関する法案を示した。これについて塩崎議員は、環境省の外局として原子力規制庁を設置するという政府案を「第2の原子力安全・保安院にすぎない」として、事故の反省が生かされたものとは言い難いと指摘。この政府案に対抗するため、原発事故で多大な混乱、失敗を生んだ政府の仕組みを根本から修正できるような代案を検討中であるという。
政府案との最大の違いは、新たな原子力関連組織をきわめて高い独立性を保持できる三条委員会として発足させるという点。総理には三条委員会の委員長の任命権があるが、罷免権はない。また三条委員会は人事、予算等の権限も政府から独立しているため、政府の考え方や方針に左右されることのない組織形成が可能であるという。
他方、政府案のとおり環境省の外局として原子力規制庁が設置されると、その長官は閣議で決定されることになる。この体制下では、仮に政府が原発推進の立場から停止中の原発の再稼働を急ごうとした場合、規制庁は、もし当該の原発の安全性に問題があったとしても政府方針に従う可能性があり、これでは国民の安全は確約されないという。
また塩崎議員は、規制庁は平時では独立性を保つが、緊急時には独立性を失い、政府をサポートする立場になるという点についても懸念を示した。たとえば原発で深刻な事故が発生した際に、オンサイト(事故現場)の対応は独立した規制機関が取り仕切るのが世界の常識であり、オンサイトの対応について政府のトップが決断したり、干渉したりすることはあり得ないという。
したがって政府の規制庁設置案では、原発事故で見られたような「菅リスク」を払拭することはできないとし、政府は今年4月1日にも規制庁を発足させたいとのことだが、そのような短期間でこうした大きな問題を扱う政府の姿勢もとうてい受け入れがたいと述べた。代案については自民党内をはじめ各党会派と話し合いを進め、同意を得ていきたいとしている。