希望の党は「改憲勢力」になるのか? 「踏みとどまる」のか? 11月10日の共同代表選に立候補した玉木雄一郎候補と大串博志候補をIWJが直撃! スタンスの違いが明らかに! 2017.11.9

記事公開日:2017.11.9 テキスト動画
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(取材:原佑介、取材・文:城石エマ、協力:段田亜由美)

2017年11月10日、テキストを追加しました。

 希望の党の共同代表選挙が、2017年11月10日に迫る。衆院解散総選挙では、小池百合子代表の人気のもとで、当初は飛ぶ鳥を落とす勢いと思われた希望の党だったが、獲得できた議席は50議席にとどまった。公示前から7議席減らし、野党第一党の座を立憲民主党に奪われた。

 小池代表の「排除」発言に加え、希望の党を失速に導いたのは、民進党からの合流組に突きつけたと言われた、「集団的自衛権を含む安保法制の容認」と「憲法9条を含む憲法改正の容認」という、「踏み絵」の存在だっただろう。これによって、希望の党ははっきりと「改憲勢力」の一角として認識されるようになった。

▲希望の党結党記者会見(2017年9月27日 撮影:IWJ)

 しかし、選挙戦の最中から、希望の党候補者の一部からは、「集団的自衛権を含む安保法制の容認」や「憲法9条を含む憲法改正の容認」をはっきりと否定する声があがり始めていた。声をあげていたのは、民進党からの合流組候補たちだ。IWJはそうした声をあげた候補者たちの選挙演説を取材し、ひとくくりに「改憲勢力」と切り捨てることのできない、希望の党の実態を浮き彫りにした。

 選挙が終わり、自公が改憲発議の可能な衆院の3分の2の議席をおさえ、米朝間の緊張が朝鮮戦争再開と日本が巻き込まれる危機を予感させるまでに高まっている今、注目すべきは、元民進党議員が多数を占める希望の党が、今後、どのようなスタンスで、他野党とどのような距離感を取っていくのかである。共同代表選挙は、そのための1つの大きな分岐点となるだろう。

▲野党が割れる「ライン」はどこか?(作成:IWJ)

 今回、共同代表選挙に立候補したのは、玉木雄一郎議員(当選4回)と、大串博志議員(当選5回)だ。11月9日IWJは、東京・永田町の憲政記念館で行われた討論会後の両候補を直撃した。

 民進党の代表選にも立候補した経験のある玉木議員と、蓮舫元代表のもとで民進党政務調査会長を務めてきた大串議員は、ともに財務省出身で、今回の選挙を小選挙区で制した実力を持つ。

 外交安全保障について「現実路線」を強調する点も共通しているが、安保法制や憲法9条改正をめぐっては、大串議員が「容認しない」と断言したのに対し、玉木議員は「安保法制については容認できるところとできないところが混在」「(憲法改正の)議論はちゃんとやらないと」と述べ、安倍政権への対峙姿勢はあいまいな印象だ。

 以下に、全文文字起こしを掲載するので、ぜひ、その違いをご確認いただきたい。

■玉木雄一郎氏 希望の党共同代表選 パネルディスカッション後のコメント 2017.11.9

■大串博志氏 希望の党共同代表選 パネルディスカッション後のコメント 2017.11.9

自民党改憲草案を否定しつつも「議論はちゃんとやらないと」――玉木雄一郎議員は安保法制についても「見直し法案を出していきたい」と述べるにとどまる

――共同代表選挙、玉木雄一郎さんはどういう政策を訴えていきますか?

玉木議員「外交安全保障政策は現実的にやりましょうと言っていますが、何でもかんでも米国に追随することに我々は与しませんから、近くはしっかり守るけど、地球の裏側まで行って、軍事的なことに参加することは抑制的に考える。

 一番大事なポイントは、格差。世界的にも国内的にも広がっている。全ての人が尊厳をもって暮らしていけるような社会保障政策を作っていく。弱肉強食で20年やってきた自民党政権の1つの弊害の塊。これを直していく。温かい政治をやりたい」

▲玉木雄一郎議員(憲政記念館前で)

――自民党とどこで差をつけるのでしょうか。自民党の安保法制を追認することになるのでは?

玉木議員「まったく心配ない。安保法制はいっぱい法律を束ねていたので、容認できるところもできないところも混在していた。まとめて食えと言われたから反対だったが、容認できないところも、憲法違反のところも残っているので、そこが憲法の枠に入るように、しっかり運用してもらうのが前提だが、法律上もはみ出たことができないように。

例えば、武力攻撃事態法の存立危機事態の武力行使要件である新3要件についても、もう少し限定をかけたような言いぶりにするなど、見直し法案を出していきたい」

――憲法改正について。自民党改憲草案をどう思いますか?

玉木議員「あれはダメですね。立憲主義にそもそも立脚していない。家族のあり方をこうせい、ああせいというのは、憲法に書くべき話ではない。2012年の自民党改憲草案のようなものを出されたら、そもそも議論もできない。

 今回、安倍総理が衆院を解散しましたが、諸外国を見ても、解散権はできるだけ制約しようという方向です。仮に憲法改正を議論するにしても、権力を抑制する、歯止めをかけていく方向での議論はしっかりやっていくべき。解散権の制約や違憲な立法を許さないための憲法裁判所の設置などは、積極的に議論すべきだと思います」

――野党が少数の現段階では、自民党の議論に乗ったらずるずると引きずられ、自民党改憲草案が土台になるのではないですか?

玉木議員「逆に、議論に入っていっておかしいと言わないと、数の力でそのままいってしまう。議論はちゃんとやらないと、例え少数でも、堂々たる正論を吐けば、国民を味方にして、数は少ないかもしれないけれど、やっぱり野党の言っていることは正しいよね、自民党改憲草案おかしいよねと、国民のみなさんの力をお借りして、おかしなことは改めていく」

「安保法制は容認しない」「憲法9条は今変える必要はない」――大串博志議員が断言! 立憲民主党との連携にも積極的な一方、共産党との連携については明言を避ける

――他党との距離感をどのように取っていくお考えですか?

大串議員「今回選挙が終わって以降、明確に申し上げているのは、新しい党の方向性をきちんと定めなければならない。その方向性は、安倍自公政権の一強制を打破していくこと。これを全面に出していくとすると、目的を同じくする他の野党、特に民進党や無所属の会派、ひいては立憲民主党など、幅広い連携を積極的に行っていくべきです。統一会派を組むことも目指すというスタンスも明らかにして、連携していくべき。自公政権を打倒していくべきです」

▲大串博志議員(衆議院議員会館で)

――共産党との連携はいかがですか?

大串議員「理念や基本的な考え方を異にする政党と、政権を同じような方向に向けやっていくことはない。一方で、選挙があります。参院選、衆院選が必ずある。安倍一強体制を打ち崩すために、政治上のこととしては考えていかなければならないと思います。ただし、立ち位置としては、党の基本的な考え方を大事にしていく」

――共産党については、連携を模索しているということでしょうか?

大串議員「そこまでも申しません。まずは、民進党や立憲民主党のみなさんとの連携をきちんと考えることが第一。希望の党の寛容な改革保守という理念と大きく違う政党と、統一会派を組むなど大きな動きをしていくことはない。一方で、選挙に向けては考えていかなければならない」

――昨年の参院選や新潟県知事選では共産党との連携があったから勝った選挙区も。それでも共産党との連携の話はまだということでしょうか?

大串議員「そうですね」

――目の前の北朝鮮の危機について。現実的な外交というが、戦争の危機が迫っていることをどう認識していますか?

大串議員「北朝鮮の状況がこれだけ緊迫している。我が国の国民のみなさん、領土、領海を守るために万全の対策が必要。そのために現実的な外交を。一方で、安倍政権下で強行成立された集団的自衛権を含む安保法制については、容認しない立場。憲法違反の疑いが濃いと、私たちも多くの学者も指摘してきた。それを含む安保法制は容認できない。その上で、北朝鮮を含む緊迫した状況に対し、現実的な外交で国を守っていきます」

――安倍政権は憲法9条の改正を掲げていますが、どのようにお考えですか?

大串議員「憲法改正について、自己目的化、変えること自体が目的化してはいけない。立憲主義が大切。国民のみなさんの中で幅広い議論をするのはいいと思う。議論をした上で、国民のみなさんがこれならと思う点が出てくれば、議論の俎上に載せていいし、今であれば、衆議院の解散権の制限や、地方分権について幅広く議論できれば。憲法9条は今、変える必要はないと思います」

――集団的自衛権を含む安保法制、憲法9条改正を容認しないということは、希望の党の方向性が変わってくるということでしょうか?

大串議員「いいえ、違います。報道では『踏み絵』と呼ばれている、政策協定書を作る段階で、集団的自衛権を含む安保法制を容認するという文言が出てきたので、飲めませんと私たちが意見を言って、削除してもらった。この経緯にかんがみても、集団的自衛権を容認してはいない。選挙中も一貫して容認していない。憲法9条についても、幅広い議論はあっていいが、今の現下の9条が果たしてきた役割を踏まえれば、9条を今変える必要はない」

――憲法9条改正や安保法制を容認といった文言が政策協定書に出てきたということは、小池代表の考えとは異なるのではないでしょうか?

大串議員「どういう経緯で集団的自衛権を含む安保法制を容認するという案が出てきたのかは分からない。でも、事実として文言は削除になった」

――玉木雄一郎議員は、9条改正を含む議論はしていきたいとおっしゃっています。

大串議員「議論はしていい。しかし、9条は変える必要はない。これまでも、これからも申し上げていきたい」

――自民党改憲草案の中身は、日本を戦争遂行体制に導くものです。大串議員は希望の党を、日本が戦争遂行体制に進まないようストップをかけるような政党に導くのでしょうか?

大串議員「現下の北朝鮮情勢を見ていると、テンションが高まっている。しかし、お互いがテンションを高めることはあってはならない。偶発的な衝突につながらないとも限りません。強い言葉を使って、お互いがお互いを煽ることが良いこととは思わない。戦争という手段にもし頼ることになったら、誰ひとりとして幸せになる人はいない。絶対に戦争は避けなければならない。そのための外交面も含めた対応を国としてやっていかなければならない」

――戦争遂行体制という点で、安倍政権と対峙していくということでしょうか?

大串議員「安倍総理が北朝鮮問題に一生懸命に取り組もうとしているとは思うが、緊張感が高まりすぎているきらいがあるのではないかという感覚がある。北朝鮮にきちんと圧力をかける必要はありますが、緊張感を高めない、偶発的に戦争にならないような担保もとりながらやっていくべきではないかと思います」

――緊急事態条項について。自民党は今回の選挙でも緊急事態対応として出してきた。ナチスの手口とも言われていますが、どのようなご認識ですか?

大串議員「ナチスの手口かどうかはわかりませんが、緊急事態条項という考え方のもとで、緊急事態が起きたときに、憲法を一時停止するような形で人権を制限することができるような条項を作っていく必要が今あるかというと、ないと思います」

――民進党の代表選の際に、民進党の前代表・前原誠司氏は岩上安身のインタビューで、「自民党改憲草案そのものを読んでいない」と。一方の枝野幸男氏は、読んでいた。大串議員は読んでいますか?

大串議員「自民党の改憲草案ということですね、読みましたよもちろん。安倍総理とも国会の中で、この緊急事態条項をめぐって私は議論をしました」

――どこに一番の危機感をお持ちでしょうか?

大串議員「緊急事態条項に関しては2つ論点があると思っていて、1つは緊急事態が起こった際に、憲法一時停止するような形で、人権を制限できる権限を超法規的に政府に与える点。もう1つは、緊急事態が起こった際、衆議院議員の満期が来てしまったときに、国の意思決定ができなくなるのではないかという観点から、特例的に任期を変えることができるようにすべきではないか、という点。前者については、今の段階で必要ないと思う。後者の国会議員の任期については、議論があってもいいが、どれくらい必要かは厳密に詰めていくべきではないかと思っています」

安倍政権は遠からず改憲に向けて動き出す。その時、希望の党が向かうのはどちらなのか?

 選挙に際して当初、小池百合子氏が希望の党の党是を「アベ政治にNO」と言っていたが、実際フタを開けてみれば、「その主張は自民党と何が違うのか?」というものであった。また前原氏の合流騒動、小池氏のリベラル議員「排除」発言騒動が起こるに連れ、実際には「希望の党」が、リベラル・保守派が混在していた民進党を解体する役割を果たすとともに、その実態が極右であり、改憲のための補完勢力であり、第2自民党であるという事実が報じられていくと、その人気もまた急速に失墜していった。

 「改憲勢力が発議可能な3分の2を確保した総選挙結果は米国には大歓迎の状況だ。むしろ米国が意図して作り上げたとみていい。民進党を事実上、解党させて東アジアの安全保障負担を日本に負わせる環境が改憲により整う非常に好都合な結果を生み出した」

 希望の党によるこの民進党解体劇で日本の改憲への動きが進んだことを、他ならぬ米国が「大歓迎」しているのだと、週刊朝日が報じている。

 その一方、「アメリカは12月、(軍事攻撃に備えて)約3万人の在韓米軍の家族を『クリスマス休暇を口実にして』韓国から退避させる。彼らは『三沢・横田・横須賀・岩国・嘉手納の5箇所の在日米軍で引き受ける』という、やけに詳細な話までが水面下で広がっているともいう。また同じ記事では、元韓国軍少佐で拓大研究員の高永喆氏が「大邱の在韓米軍司令部が、10月に米軍家族に『個人的にアメリカに帰ってほしい』と伝えたことも明らかになっている」と言及していることも報じられているため、根拠のない話と断じることもできない。

 もちろん米軍からの公的な発表があるわけではない。そんなことを公表されれば「じき攻撃しますよ」と自らバらしてしまうようなものだからだ。しかし逆に、「米軍家族の姿がいつの間にか見られなくなった」となれば、その時は攻撃OKということであり、本当にそうなられては遅いのだ。

 米軍はアメリカ本土に逃げてしまえば、まだ北朝鮮からの反撃をこうむったとしても、被害は大きくはならないだろう。しかし北朝鮮と目と鼻の先の同盟国、日本と韓国についてはまったくそういうわけにはいかない。いざとなっても、私たちには逃げ場はないのだ。

 このあまりにも不穏な報道が真実であるかどうか、現時点ではわからない。しかし、ことが本当に起きてしまってからでは取り返しがつかないのだということを、そうして改憲が発議され、国民投票が行なわれ、導入されれば何が起こるかを、誰もが真剣に、自分の身に引き寄せて目を逸らさずに、想像してほしい。

 小池氏の仮面が剥がれ落ちるとともに急速に人気が失墜した「希望の党」だが、今回の選挙で党から小池カラーが薄まる中で、これまでの「極右の党」という方向性もまた、変わってくる可能性が出てきている。

 安倍政権は、遠からず改憲に向けて動き出すであろう。その時、希望の党の動向は少なからぬ重みを持つはずだ。そのうえで希望の党の議員達には、1週して希望の党の出発点であった、そして言葉通りの「安倍政権にNOを突きつけること」を、今一度真剣に考えてしてほしい。

 大串氏の「安倍自公政権の一強制を打破していくこと。統一会派を組むことも目指すというスタンスも明らかにして、連携していくべき」という言葉は今、本当の意味で大変に重いものなのだ。

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