「これからも市民と一緒に進んでいく」〜立憲民主党の小選挙区候補者、全員当選の快挙!「市民」が支えた北海道選挙区の舞台裏!他方で市民からは共産党への「非礼」を疑問視する声も 2017.10.24

記事公開日:2017.10.26 テキスト動画
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(取材・文:原佑介)

 議席を公示前の3倍に伸ばし、一気に野党第一党に躍り出た立憲民主党。

 枝野幸男代表が党を立ち上げた当初、誰がここまで支持を拡大すると予測できただろうか。比例代表東海ブロックでは、勢い余って候補者数以上の比例票が集まり、本来獲得できたはずの1議席を、皮肉にも自民党に譲る結果となってしまった。

 公示の約1週間前に新党が結成され、誰もが自分の選挙準備で手一杯な中では、比例票が余る可能性にまで考えが及ばなくても不思議ではない。ネット上では、比例票が候補者数を超えてしまう現象を、ネットユーザーなどは「弾切れ」などと呼んでいるが、実は、立憲民主党の「弾切れ」は北海道でも懸念されていた。

北海道では小選挙区の候補者が全員当選!市民のアドバイスがなければ「弾切れ防止」の可能性も!

 北海道で野党共闘を支援する市民団体の筆頭「戦争させない市民の風・北海道」(通称・市民の風)の関係者は10月5日、道内選出の民進党参議院議員に対し、「票が集まり過ぎた場合の保険として、比例単独でひとり立候補させておいてはどうか」とアドバイスしたという。

 助言を受けた議員は当初、「さすがに大袈裟ではないか」といった具合だったが、結果は助言どおり、元民主党衆議院議員の山崎摩耶氏が比例単独候補として出馬した。

 今回の選挙では、自公が3分の2を獲得するという大勝利を収めたが、北海道選挙区では、立憲民主党候補が各地で支持を集め、比例復活も含め、小選挙区に立候補した同党候補者の全員が当選を果たしている。

 細かく中身をみると、10区は立憲民主党の神谷裕(ひろし)氏が公明党・稲津久氏の一騎討ちで破れはしたが、票差はわずか500票(得票率では0.2%差)しかない。4区は自民・中村裕之氏が制したが、もし、希望の党が建前どおりに「安倍政権打倒」を優先し、候補者の一本化に協力していれば、立憲民主党の元職・本多平直氏が当選していた可能性も高かった。

 「たられば」の話になるが、立憲民主党が小選挙区でもう1、2議席競り勝っていれば、北海道でも「弾切れ」が起こっていた可能性は否めず、市民の風関係者による助言は、決して杞憂だったとは言えない。

「希望の党から立候補する者とは共闘しない」〜北海道の市民団体「市民の風」が立候補予定者に突きつけた「声明」

 北海道では、市民団体が積極的に選挙を支援することが多く、市民が政治家に対し、日常的に大きな影響力を持つ。

 今では全国にある「勝手連」も、元は1983年の北海道知事選の際に、当時、日本社会党の衆議院議員だった横路孝弘氏を支援する市民らが、自然発生的に「横路孝弘と勝手に連帯する若者連合」を立ち上げたことが起源となっている。市民連合も源流をたどれば、原点としてここにたどり着く。

 今回の衆院選でも、北海道の民進党や共産党、社民党は、全国でもいち早く候補者を一本化する方針を示していた。背景には「市民の風」などの市民団体の強い要請があった。

 しかし、9月28日になって、突如、「民進党候補者を希望の党から出馬させる」という「前原クーデター」が発生し、道内の野党共闘にも混乱が生じる。

 そして一躍「台風の目」に躍り出た希望の党。一時はワイドショーも希望の党の話題一色となった。道内の民進党の候補予定者の中には、希望の党への合流を歓迎する者や、迷いながらも「無所属で出馬するよりも希望の党に公認申請したい」と考える者もいた。そんな中、民進党・逢坂誠二氏は前原クーデターの翌29日、「希望の党とはどうしても肌が合わない」と明言し、無所属で出馬する意向を表明した。

 そして市民の風は10月1日、「衆議院選挙立候補予定者に臨む方針」と題した声明を発表。希望の党について、「私たちも困惑するところですが、少なくとも安全保障法制廃止を訴える私たちとは根幹のところで一致せず、リベラル派の政治家を『排除』する姿勢については私たちとは大きく異なる」と断じ、候補予定者らに対し、次の条件を突きつけた。

① 「希望の党」へ加入する立候補予定者とは共闘しない。

② 当「市民の風」が掲げてきた1)安保法制廃止2)立憲主義の回復と民主主義の尊重3)安倍政権下の改憲阻止―に同意するリベラル政党党派からの立候補者とは、従来、市民と立憲政党の枠組みで進めてきた「統一候補」実現と同様に、「共闘」を推進する。リベラル政党党派とは、「希望の党」に加入しないメンバーで構成される党派(新党・分党などを含む)、または北海道ローカルパーティなどを想定している。

③ 無所属立候補者とは、上記3項目などの政策協定を条件に、「共闘」推進を検討する。

▲「戦争させない市民の風・北海道」の声明

市民に見放された希望の党が獲得したのは比例復活の1議席のみ!最後は「希望の党リベラル派」を謳い出す「悪あがき」も!

 翌2日、枝野幸男氏が立憲民主党の設立を宣言した。市民の風が声明発表、そして立憲民主党の設立を受け、北海道からは前職の松木謙公氏(2区)、元職の山岡達丸氏(9区)、新人の水上美華(12区)の3名は希望の党からの出馬にこだわったが、その他は、無所属の逢坂氏を除く7人全員が立憲民主党から立候補すると決めた。この7人の中には、一時的とはいえ、希望の党からの出馬を模索したことを市民らに謝罪した候補者もいたという。

 5日には市民の風と立憲民主党、共産党、社民党が調印式を開き、「政策協定」を締結。(1)安保法制、共謀罪の廃止を目指し、(2)立憲主義と民主主義の回復を目指し、(3)憲法9条の改訂に反対することの3点で合意した。

▲市民の風と立憲民主党、共産党、社民党による調印式。左から立憲民主党・北海道代表代行・荒井聰氏、市民の風・上田文雄共同代表(前札幌市長)、共産党北海道委員会・青山慶二委員長、社民党北海道連合・浅野隆雄幹事長(2017年10月5日)

 結果、安保法制の廃止、立憲主義の回復を訴えた立憲民主党の候補者らは全員が当選したのに対し、希望の党は山岡氏の比例復活を除き、全員落選した。

 「前原クーデター」さえなければ、希望から出馬した松木氏ら3名も、野党統一候補として市民の風と政策協定を結んだはずだが、実際には希望の党に入り、安保法制容認、改憲支持という、従来のスタンスとは真逆の立場に立ってしまった。振り返れば、ここで明暗が分かれた。

 選挙が進むに連れて、立憲民主の支持率が増加する一方で、希望の党の支持率は低下し続けた。これに慌てたのか、松木氏は選挙の後半になって、「希望の党リベラル派」を標榜し、ポスターも「憲法9条変えるつもりありません」「安全保障 専守防衛に徹します」などとの文言を入れたものに貼り替えた。

 松木氏の変節について、同じ2区から出馬した共産党の金倉(かなくら)昌俊候補は、IWJの取材に、「有利なほうに匂いを嗅いで寄っていく方なので、『松木さんらしい』と思うが、有権者を惑わすやり方はフェアじゃない」と批判している。

 結局、松木氏は比例復活さえも叶わなかったが、ころころと政策や立場を変える候補者が、有権者の信頼を得られずに落選するという、きわめて真っ当な結果だったと言える。

池田真紀氏「これからも市民と一緒に進んでいく」〜北海道で勝ち上がった衆院選当選者にIWJが連続取材!

 投開票から2日後の10月24日、立憲民主党は参議院議員会館で両院議員総会を開催、全国から当選者が集まった。総会は非公開だったが、終了後、当選者がメディアの個別取材に応じた。

 初当選を果たした池田真紀氏(北海道5区、比例復活)は、IWJの取材に対し、「これからだな、と思う」と述べ、「市民の皆さんはこの間、雨の日も雪の日も一緒に活動してくださった。これからも一緒に進んでいこうと思う」と誓いを新たにした。

 横路孝弘氏の後継者で今回初当選した道下大樹氏(北海道1区)は、「市民と野党共闘が一定の成果をあげた。そうした声を大事にし、立憲民主党の考え方をより丁寧に道民に説明し、支持を広げていきたい」と抱負を語った。

 荒井聡氏(北海道3区)は、「新党が立ち上がってワクワクしている」と胸中を語り、「日本を戦争のできる国にしてはいけない。私は外交官として、外で憲法9条の持つ力を体感していた。戦争に軍隊を送らない、ということで得てきた信頼は厚い。これからも守っていきたい」と意気込んだ。

 かつて枝野氏の政策秘書も務めた本多平直氏(北海道2区、比例復活)は、安倍政権が目指す憲法改正について、「今、憲法を変える必要はまったくない」と断言。自民・公明が3分の2議席を獲得したが、「憲法のどこをどう変えるかを提示されていないので、憲法改正を国民が支持したわけではないと思う。国民投票にかかる前から、改憲に対抗する動きを作っていきたい」と語った。

 立憲民主党に所属しながらも無所属で出馬し、4選を果たした逢坂誠二氏は、「国民全体で憲法を大事にしてきた反面、中身の議論がなかった。だから皮肉にも、安倍内閣が非常に乱暴な議論をしたことで、国民が立憲主義を再確認することとなってしまった」と指摘。憲法議論はすべきだが、議論には時間をかけなければならないとの立場をとった。

 さらに逢坂氏は、「安倍総理がやっていることは、不見識。96条を変えると言ったり、緊急事態条項が必要だと言ったり、その都度変わる。どこにその心があるのかわからない。改正が目的化している」と批判した。

 立憲民主党の躍進は、野党共闘を支持する市民らにとって喜ばしいに違いない。しかし、共産党が議席を大幅に減らしたことを気にかけている市民も少なくないという。前述の「市民の風」の関係者が言う。

市民の風関係者の警告「共産党に対する礼儀を欠いた候補者に反発している市民も多い。我々市民は、野党共闘を応援しているのであって、立憲民主党の応援団ではない!」

 「北海道では、今回の選挙で共産党の議席が1つ失われ、ゼロになってしまった。小選挙区で候補者を降ろしたことも影響したと思われるが、立憲民主党の当選者の中には、『共産党にも助けられた』と公にコメントする候補も入れば、選挙期間中、まったく共産党に言及しなかった候補もいる。その礼儀を欠いた姿勢に反発している市民も多い。市民の風などの支援者は、野党共闘を応援しているのであって、立憲民主党の応援団ではない!」

 一時のブームで作られた熱が冷めやすいことは、奇しくも小池百合子氏と希望の党が証明している。立憲民主党が市民の支持を保つことができるか、これからが問われるときだ。

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「「これからも市民と一緒に進んでいく」〜立憲民主党の小選挙区候補者、全員当選の快挙!「市民」が支えた北海道選挙区の舞台裏!他方で市民からは共産党への「非礼」を疑問視する声も」への1件のフィードバック

  1. 桐生坦々 より:

    北海道5区;池田真紀氏が比例で当選!ほんとうにおめでとうございます!
    前回は補選で初立候補!あと一歩まで迫ったのは、池田真紀さんの生き様への幅広い共感!
    出来たばかりの【野党共闘】の事実上の『初戦』だった。
    池田さん自身の経歴・実績への魅力が第一の要因なのは、どの選挙でも、一番の枢要点であるのは間違いないことだ。
    それに加えて【野党共闘】で一対一に持ち込む「候補者しぼり」。「自民党に痛打を!」と考える人たちが、選挙応援活動にももっともチカラが入る形態。
    個人への期待・魅力。【野党共闘】が成立。結果は、当初は難しいと予想された5区で、僅差まで詰めた。
    【野党共闘】に関しては、この形態には『威力か有る』ことを初証明した点で、全国で『これなら、イケる』と、希望を抱かせるものとなった、その意義はとても大きかった。

    ・民主党の「前原」も街宣車で、JCP小池晃氏と共に立った。小池氏はその際、「前原さんと一緒に街宣車に立つなんて、これは革命じゃないですか?!」と、共闘に依る闘いを喜んだものだった。
    【野党は共闘!】と国会前集会でもそれを求め後押しした人々にとっても、同じ気持ちだったろう。

    *今回の総選挙は、それ迄の【野党共闘】・その積み上げ・発展が、一挙に破壊された中での国政選挙だった。
    ・それでも、市民と立憲野党との【共闘】は、少なくない地域で、短期間に態勢を整え実質【野党共闘】を新たに構築しつつ闘って、成果を上げた。

    *ただ、従来持たれていた【野党共闘】の「党派代表(または党首)の協議(会談)」は、タブン、
    総選挙後でも未だに、一度も持たれていないのではないですか?(私が知らないダケか?)
    *そうだとしたら、これは変だよね?
    総選挙では、実質『市民+立憲3野党』で闘ったところが、幾つも有った訳だし、
    各党派と【市民連合】とは、全て一堂に会してではなかったが、それぞれ、『政策協定』に合意して、
    それに違背しない闘いを展開した訳でしょう?
    そこには、名も無い一般市民・国民の切ないほどに必死な願い、『国政政策』として実現してほしい願いがこもごも込められていたのですよ。

    そういう経過を思うならば、
    選挙結果確定後、真っ先に、
    各々の党首・党代表が交互に挨拶を交わし握手するぐらいの光景が、有ってしかるベキではないでしょうか?
    各党党首・代表が【市民連合】を訪れ、同じように、互いの健闘と政策上の今後の件を話し合うことも有ってしかるベキではないでしょうか?

    ・それらが直ちに行われているなら、誠意と信義を互いに誠実に履行する意思をそこで確認し合っているなら、
    また、『政党』として、「排除」「党利」から真に自由で真の独立性を理解し合えているなら、
    ★↓※下記のように指摘される「立候補者」が実在する余地などまったく無い!★
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    *「共産党に対する礼儀を欠いた候補者に反発している市民も多い。我々市民は、野党共闘を応援しているのであって、立憲民主党の応援団ではない!」*
    ★これは本当なのか?本当にこういう「立候補者」だったら、私だって、不愉快極まりない。
    ●これが事実と相違しているなら、私としては、ここで謝罪をするものである。
    ・党代表&幹事長氏は、この動画ページをご覧になっていたなら、または、別ルートで「検証」され、
    該当選挙区関係者&党代表として、真偽とともに、党の見解を全国に向けて表明されたし。
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