【特別寄稿】笑顔でリベラル「排除」を口にする小池代表の「リベラル派大量虐殺(公認拒否)」断行!――前原誠司・民進党代表は「安倍(政権)倒す倒す詐欺」に騙された!? (ジャーナリスト・横田一) 2017.10.1

記事公開日:2017.10.1 テキスト
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(取材・文・写真:横田一)

 10月22日投開票の衆院選があと10日以内に公示日を迎えるなか、「希望の党」突然の登場で野党再編が紆余曲折し、日々、急展開を見せている。

 衆議院解散がささやかれてから、民進・共産・自由・社民の4野党は小選挙区で野党統一候補擁立の調整を進めてきた。しかし、9月26日、小池百合子都知事が突然、都庁で会見を開き、新党「希望の党」結成と代表就任を表明。翌27日には、若狭勝衆議院議員や、細野豪志氏などの民進党出身者8人、日本のこころを離党した中山恭子氏らとともに、新党設立会見を開き、「しがらみのない政治。大胆な改革を築いていく新しいステージ。日本をリセットする」と、結党の理念を打ち出し、選挙戦の構図を一変させた。

▲26日に都内で開かれた「希望の党」設立会見(撮影:横田一)

 希望の党の「お披露目」の翌日28日、前原誠司・民進党代表が、突然、不可解な動きを見せた。両院議員総会で、次期総選挙での候補予定者の公認内定を取り消し、小池新党に公認申請を行うことを通達。「もう一度政権交代を実現して、好き勝手な安倍政権を退場に追い込むために、名を捨て実を取る。その決断をご理解いただきたい」と、民進党を事実上解党し、希望への参加に理解を求めた。

 しかし、所属議員全員の新党公認を目指すと強調した前原代表に対し、29日、小池代表は前原氏との会談後のぶらさがり会見で、「(民進党所属議員)全員を受け入れることはさらさらない」と言い放ち、受け入れ候補者の「選別」を行う考えを明らかにした。

 小池代表は「憲法改正」と「安全保障政策」への姿勢を「選別」の方針として示した。小池希望の党の方針は、安倍自民党と同じく「改憲」「安保法制賛成」である。2つの政策を「踏み絵」にし、政策が一致しない、リベラル派議員の「排除」にかかったのである。永田町では首相を経験した民進党議員やリベラル派の主要メンバーの名がずらりと並んだ「公認拒否議員リスト」なるものも出回っている。

 「改憲反対」「安全保障関連法白紙撤回」というこれまでの民進党の党是を貫くため、希望への公認申請はせず、無所属での出馬を決断した逢坂誠司氏や辻元清美氏などの決断にも注目が集まっている。また、前原氏と代表戦を戦い、代表代行をつとめた枝野幸男氏は、無所属で出馬するだけではなく、新党結成も視野に入れていると伝えられている。

 「希望の党」の真の目的は何なのか。「安倍政権打倒」を撒き餌にした、民進党リベラル派議員「排除」による、民進党潰しではないか?という声も聞こえてくる。IWJ代表の岩上安身は「希望の党」の本質は極右・対米従属政党であり、「合流」劇の仕掛けの狙いは、希望の党と自公維とあわせて改憲発議に必要な3分の2の議席を確保することで、そのためにリベラル派=改憲反対派議員のふるい落とし、つまりは「粛清」を一挙に断行することであると「合流」騒動直後から指摘している。

 29日、フリージャーナリスト・横田一氏が小池百合子都知事を直撃。「前原氏を騙したのか」「リベラル派排除を共謀したのか」と問いただした。横田氏の質問に、躊躇なく「排除いたします」と言い切った小池知事。前原代表は騙されたのか?それとも小池氏と共謀したのか?

 以下、横田一氏がIWJに寄せた特別寄稿を掲載する。(IWJ編集部)

「安倍政権打倒」を口実にした「リベラル派大量虐殺(公認拒否)」が希望の本当の狙い!?

 前原誠司・民進党代表は、希望の党代表・小池百合子都知事の「安倍(政権)倒す倒す詐欺」に騙されたのか。それとも共謀したのか――こんな疑問が浮かんできたのは、前原代表が両院議員総会で希望へ合流を提案、了承された翌日の9月29日。リベラル派の論客から、次のような話を聞いた時のことだ。

 「小池知事(希望代表)が民進議員の誰を公認するのか否かを決めるようだ。『安倍政権打倒』の口実にした『リベラル派大量虐殺(公認拒否)』が本当の狙いの可能性もある。ポイントは、どれだけ公認申請者が認められるのか。公認を認められないケースが多数出ると、候補者の過半数擁立が難しくなり、『安倍政権打倒』は単なるお題目にすぎず、本当の狙いは『民進党潰し』となる。

 一方、前原代表の説明通りに『(希望への公認申請者が)排除されることはない』が実現すれば、非自民勢力が幅広く結集、政権交代の可能性は一気に高まるでしょう」

 この見立ては、民進党のリベラル派議員の話とほぼ一致していた。

 「小池知事(代表)と懇意なジャーナリストと産経新聞出身者の事務総長が民進議員の選別をしているようだ。リベラル派の主要議員は排除される可能性が高く、しかも自公政権を一気に過半数割れに追い込むところまでは想定しておらず、安倍政権延命と民進党潰しが狙いの可能性がある」(リベラル派議員)。

▲小池百合子都知事(2017年9月29日IWJ撮影)

 そこで、29日14時からの小池知事会見で半年ぶりに指名されたので、単刀直入に聞いてみた。

――(横田)前原代表が昨日、所属議員向けに「希望の党に公認申請をすれば、排除されない」という説明をしたのですが、一方で(小池)知事、(希望の党)代表は安保、改憲を考慮して一致しない人は公認しないと(報道機関に話している)。(前原代表と)言っていることが違うと思うのですが、前原代表を騙したのでしょうか。それとも共謀して、そういうことを言ったのでしょうか。二人の言っていることが違うのですが。

小池知事「すいません。その質問は場所(注)を転換してからお答えさせいた
だいた方がいいと思いますし、独特の言語を使っていらっしゃるなと今思ったところです。

(注 25日に小池知事が希望代表に就任したことから、29日の定例会見は二部制(前半が公務の都政、後半の政務の希望関連)に変更していたが、それ以前の一部制の時にも国政関係の質問が出ていたので前半で質問をした)。

(第二部の政務に入って再質問)

――前原代表が昨日発言した「(希望の党に)公認申請をすれば、排除されない」ということについて小池知事・代表は、安保、改憲で一致する人のみを公認すると、前原代表を騙したのでしょうか、共謀して「リベラル派大量虐殺、公認拒否」とも言われているのですが。

小池知事(代表)「前原代表がどういう発言をしたのか、承知をいたしていませんが、『排除されない』ということはございませんで、排除いたします。取捨(選択)というか、絞らせていただきます。

 それは、安全保障、そして憲法観といった根幹の部分で一致していることが政党としての、政党を構成する構成員としての必要最低限のことではないかと思っておりますので、それまでの考えであったり、そういったことも踏まえながら判断をしたいと思います。現下の北朝鮮情勢などで、これまでの議論に加えてリアルな対応を取っていこうと考える方々もいらっしゃるので、そういったところもしっかり皆様、希望の党から出馬されたいという方を絞り込ませていただくことでございます。

 ちなみに、その作業は私どもの方では若狭(勝)議員、そして民進の方から玄葉(光一郎)議員が絞り込みの作業に入るということで、基本的に任せているところです」

――ということは「安倍政権打倒」を甘い言葉にして、リベラル派大量虐殺、公認拒否・排除をしたということになりませんか。「(綱領に掲げた)寛容な保守」であれば、ハト派からタカ派まで包み込まないのですか、公認しないのですか。そうしないと、安倍政権を倒せないのではないですか。

小池知事「多様性に富んでいるということは、これ(記者会見)で証明してい
ることになります。とても寛容な記者クラブで(聞いたことに答えずに次の記
者を指名)」

永田町に出回る「リベラル派議員排除リスト」〜首相経験者やリベラル派主要メンバーらがずらり

 小池知事(希望代表)の「正体」が浮き彫りになってきた。それは、微笑みを絶やさない定例会見でのイメージとは対極にある「冷徹無比で詐欺師紛いの独裁党首」というものだ。

 異論を許さない非寛容さは安倍晋三首相と瓜二つで、党内が一色に染まること当然とし、主要政策も安保法制容認と憲法改正で安倍首相と共通。そして、前原代表に「安倍政権を打倒しましょう」という甘い言葉をかけて騙し、「民進党乗っ取り(=リベラル派排除による第二自民党化)」に成功した天才的詐欺師ではないか。

 昨日あたりから永田町では、「リベラル派大量虐殺=公認拒否議員リスト」と呼ぶのがぴったりの一覧表が出回っていた。これを見ると、首相経験者やリベラル派の主要メンバーらがずらりと並んでいた。

希望の党「選別委員会」排除リスト
野田佳彦
菅 直人
手塚仁雄
辻元清美
赤松広隆
近藤昭一
長妻 昭
枝野幸男
岡田克也
阿部知子
安住 淳
篠塚 孝
初鹿明博
海江田万里
櫛渕万里(ピースボート出身、東京23区)

 理解不能なのは、小池知事が「排除」の論理を打ち出してもなお、前原代表が「話が違う」「騙された」と怒り心頭に発していないことだ。「安倍(政権)倒す倒す詐欺」に騙されたふりをして実は、前原氏と小池氏が「共謀」していた可能性も捨てきれない。

 どちらにしても、「リベラル派大量虐殺(公認拒否)」断行をしようとする小池氏に対して、民進党議員はもちろん連合など支持団体や地方議員や支持者らが猛反発、「大量公認拒否なら合流は白紙撤回だ」「リベラル派議員が第二民進党のような新党から出馬できるようにすべきだ」といった声が広がっても全く不思議ではないのだ。

小池氏と共謀!? それとも騙された!? 疑惑が強まる前原代表の「嘘」

 民進党議員の公認権だけでなく、政策決定権も放棄する可能性が高い。28日の会見で前原代表が安保法制について答えたことも、小池氏が「安保法制容認」を公認の条件にしていることから、これまでの「安保法制白紙撤回(一部は残す)」が反故にされるのは確実であるからだ。「政策はこれからすり合わせていく」という前原代表の説明も嘘ということになる。

▲前原誠司・民進党代表(2017年9月28日IWJ撮影)

――(横田)「希望の党」に公認申請しても、拒否・選別されるおそれはないのか。旧社民党出身者は受け入れない趣旨の発言を小池代表がしているし、特に昨日も細野さんが安保法制の白紙撤回は当然見直すという発言をして、今まで民進党の立場、主要政策の安保法制白紙撤回、特定秘密保護法・共謀罪廃止、その旗を降ろすことになるのではないかという懸念がある。排除の論理、リベラル派と、その主要政策の見直しを迫られるのではないか。2点についてうかがいたい。

前原代表「我々は一緒にやってきた仲間でございますので、この仲間の公認を目指すということで、これから交渉していくということになろうかと思います。それは、もともとどこの党にいたかどうかということは、もう一緒になったからには私どもは関係ないという立場で臨んでいきたいと思っています。

 私、細野さんがどういうご発言をされたかということについては存じ上げませんが、安保法制の廃止、憲法違反の廃止ということを決めたのは細野政調会長の時だったと思います。そういう意味においては、憲法違反というものについて、その疑義があるものについての白紙あるいは見直しについては、我々は少なくとも細野さんとの間では合意できるのではないかと思いますし、我々も何も日米安保がだめだと言っているわけではなくて、日米安保は極めて重要である。

 そして、日米防衛協力のための指針、ガイドラインの見直しによって、日米の防衛協力を進めていこうと。こういうことの中でお互いの政府で合意したことを、それぞれの国が対応策、法整備を行っていくことの中で行われたことについては、全て『ノー』ではありません。

 したがって、我々はすき間のない形で、見直しはするけれども新たなものを現実的にアメリカとの交渉の中で模索をしていくということでありますので合意はできるのではないかと私は思います」

 細野氏との間で、これから話し合い、合意に至ることができる、という前原氏の言葉は、果たしてどこまで本気で言っているのか。前原氏の腹の中は読みきれない。

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  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    笑顔でリベラル「排除」を口にする小池代表の「リベラル派大量虐殺(公認拒否)」断行!――前原・民進党代表は「安倍(政権)倒す倒す詐欺」に騙された!? http://iwj.co.jp/wj/open/archives/399497 … @iwakamiyasumi
    民進党解体への共謀ではないか?両者とも病的な嘘つきだ。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/914247761461108736

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