【第288-295号】岩上安身のIWJ特報!「英語化」が、日本社会を粉々に破壊する!? 新自由主義と「言語帝国主義」の野放図な拡大を阻止せよ! 九州大学准教授・施光恒氏インタビュー 第二弾 2017.1.6

記事公開日:2017.1.6 テキスト独自
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(岩上安身)

 11月8日に実施されたアメリカ大統領選挙で共和党のドナルド・トランプ氏が勝利したことにより、発効が絶望的な状況になったTPP。それにも関わらず安倍総理は、「あらゆる形態の保護主義に対抗する」「TPPの意義を米国にも強く訴えていく」などと述べ、今国会でのTPP批准にこだわり続けている。

 安倍総理はなぜ、もはや発効する見込みのなくなったTPPに、ここまで強いこだわりを見せるのだろうか。それは安倍総理が、日本全体の国益ではなく、経団連(会長・榊原定征 東レ相談役最高顧問)を中心とする一部大企業の利益しか考えていないためではないか。財界の面々に「TPPを成功させます!」と約束してしまった以上、いったん振り上げた拳をおろせなくなっているのではないか。

 あるいはオバマ政権が打ち出した「アジアへの基軸転回(Pivot to Asia)」が、台頭する中国を封じ込める「第2の冷戦」戦略であると早合点して、欣喜雀踊し、米国が中国を排除した経済ブロックを形成するなら、自国の市場を捧げてもよいから、ブロック形成の人柱に喜んでなりたいというのが、安倍総理らの心情なのかもしれない。

 いずれにしても、すでにTPPは「死んだ」。死亡宣告された条約の亡骸にしがみついて、「生き返らせるようにトランプ次期大統領を説得する!」と取り乱しているのが、安倍総理なのである。

 こうしたTPPへの異常とも言える固執から見えてくるのは、安倍総理の本質とは、国益を重視する真の意味の「愛国者」「ナショナリスト」ではなく、グローバリズムと新自由主義の信奉者ではないか、ということである。TPPだけでなく、消費税増税も日銀の金融緩和もGPIFのハイリスクな年金運用も、安倍総理が繰り出すあらゆる経済政策は、日本の「生活者」ではなく、大企業、特に米国発の一部グローバル大企業のほうを向いているとしか思えない。

 安倍総理の非愛国的な政策は、経済の分野だけにとどまらない。その最たるものが、小学校低学年から英語の授業を義務化し、大学の講義をすべて英語で行うとする、「英語化」政策である。

 一見、日本人が皆、流暢に英語が話せるようになれば、コミュニケーションの幅が広がり、英語圏の人々との交流も今以上に深まるように思える。しかし実は、この「英語化」は、明治時代以降、「翻訳」というプロセスを通じて涵養されてきた日本人の思考力、すなわち、日本語で読み、書き、考え、そして社会を形づくるという根底的な思考力を、「ビジネスの論理」に従って根本から破壊し尽くしてしまう、恐るべき政策なのである。

 著書『英語化は愚民化~日本の国力が地に落ちる』(集英社新書)で、この「英語化」の問題点を鋭く分析し、安倍政権の新自由主義的な政策に厳しい批判を加えているのが、九州大学准教授の施光恒氏である。施氏は、「英語化」の本質を「言語帝国主義」だと指摘。米国と英国が、グローバル企業のビジネスチャンスを非英語圏にまで拡大するため、明確な意図をもって推進しているのだと述べる。

 今月の「岩上安身のIWJ特報!」では、先月に引き続き、私が今年3月3日に行った施氏へのインタビュー第2弾のフルテキストをお届けする。非英語圏を「英語の通じる植民地」化し、そこからグローバル大企業がひたすら収奪を行うための仕組み――。それが、「言語帝国主義」たる「英語化」の本質である。新自由主義が全世界を覆い尽くすなか、必読のテキストである。

記事目次

  • 「日本をアメリカの51番目の州に」!? 憲法審査会で自民党・丸山和也参議院議員が信じがたい暴言!TPPと「英語化」を推進し、自ら進んでアメリカの一部になろうとする「対米従属派」の本音とは?
  • 「日米関係はストックホルム症候群」――。日米構造協議、TPP、安保法制、あらゆる「対日要求」を「屈辱」とも思わず、自己欺瞞の末に自ら進んで受け入れてしまう国・日本
  • 小学校からの「英語必修化」で日本社会に大きな構造的変化が!教育費の高騰、格差拡大、「教育移住」の流行、そして日本語の「現地語」への転落・・・
  • アメリカとイギリスが戦略的に展開する「言語帝国主義」とは何か――。「英語化」とは「自然現象」でも「時代の要請」でもなく、その国の安定性・継続性を破壊する「帝国主義」に他ならない!
  • 「今日のエリートは、大衆を切り捨てる方向に進んでいる」――。「ゲイテッド・コミュニティ」と「タックス・ヘイヴン」からうかがえる、富裕層の「ノーブレス・オブリージュ」の欠如
  • グローバル化と規制緩和では、少子化を招くだけで日本経済は回復しない!必要なのは、雇用の安定と内需の拡大を中心とする再分配政策だ!
  • 「土着から普遍」ではなく「普遍から土着」へ――。「英語化=グローバル化史観」に抗い、自由と民主主義を守るためには何が必要か? 「宗教改革」における聖書の翻訳と日本の「言文一致運動」に学ぶ
  • アベノミクス第三の矢「成長戦略」の虚妄!新自由主義のもとでは、「収奪」(外資の引き込み)と「侵略」(外需の取り込み)の二者択一しか存在しない!
  • 「英語化」の進展で危惧される「ダブル・リミテッド」(セミリンガル)の増加~日本語でも英語でも抽象的思考ができず、アイデンティティの形成にも支障をきたす!?
  • 和魂漢才・和魂洋才から、”無魂米才””米魂米才”へ――。言語をビジネスのための「ツール」としてしか考えない、三木谷浩史氏らグローバリストたち
  • 欧米圏よりも「読解力」の知的格差が少ない日本~良質な中間層は、日本語で知的な思考を行うことで生まれる
  • 外来の抽象的概念を身近な日常語に結びつける「音読み」「訓読み」という独特のしくみ――知的格差を作らない日本語独特の知られざる力とは?
  • 母語を持たない国・ウズベキスタンの「悲劇」――公用語はウズベク語だが、ほとんどのエリートはロシア語話者であるという現状
  • ”ファイブ・アイズ”によって進められる英語化と世界の序列化――日本は「労働者表現階級」として英語のネイティブ・スピーカーによる搾取の対象に!?
  • 日本は「非英語圏」の希望の星・・・のはずだが――今こそ対米従属的な「英語化」ではなく、「非英語圏」の成長を取り込むよう舵を切るべき
  • 「言語的多様性に警戒しなければならない」――「ブリティッシュ・カウンシル」が発行した驚愕の帝国主義的レポートとは!?
  • 大日本帝国が植民地・朝鮮で行った「日本語化」~日本語教育にとどまらず、「内鮮一体」の方針における創氏改名も
  • 日本は非英語圏の雄~グローバル化ではなく、日本のよさや強みを生かす国作り、世界貢献を
  • 本当の国作りをするために必要なことは、グローバル化ではなく「翻訳と土着化」――国内の万人がアクセスできる公共空間を作ることこそが重要
  • 実は貿易依存度の低い日本~経済も言語・文化も内需社会
  • 周辺諸国が母語で知的向上を目指し、母国で豊かに暮らす幸福を、明治時代に成功を収めた日本こそが援助すべき
  • 英語化政策、TPP、集団的自衛権行使容認、緊急事態条項で空洞化する日本の主権
  • 世界の構造的な不平等を先進国こそが考えなければいけない

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