【IWJブログ】「法的安定性は関係ない」発言の礒崎総理補佐官、言い訳にならない言い訳の裏に日本会議の思惑?(日刊IWJガイド7月31日号より)  

記事公開日:2015.7.31
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※本ブログ記事は、会員・サポーター向けに毎日発行している無料メルマガ「日刊IWJガイド」2015年7月31号より、特別に切り抜き掲載したものです。

民主主義を覆す磯崎総理補佐官の問題発言を「電話で注意」で済ます安倍総理

 失言・暴言内閣と言っても過言ではない安倍内閣ですが、彼ら自身はそう思っていないところが恐ろしいですよね。だって、何を言っても「注意」で済むんですから。

 先日、「法的安定性は関係ない。わが国を守るために(集団的自衛権行使が)必要かどうかが基準だ」などと発言し、大大大問題となっている礒崎陽輔・総理補佐官ですが、野党の再三の要求を受け、やっと来週8月3日の国会への参考人招致が決まりました。

礒崎陽輔・総理補佐官

 野党からは「更迭すべし」との強い批判が噴出していますが、この発言、どれくらい問題なのでしょうか。

 法的安定性とは、簡単に言うと、「法はみだりに変更されない」という民主主義国家・法治国家の大原則です。時の政権が法の解釈をむやみやたらに変えてしまったら、その法の支配による秩序、それがもたらす社会の安定、国民生活の安定が揺らいでしまいますから。

 だからこそ安倍政権も、今回の安保法制しかり、昨年の集団的自衛権の行使容認の閣議決定しかり、「合憲だ」と強弁し、「なぜなら法的安定性は大事だから!」と言ってきたわけです。

 中国に対して強硬な態度に出る時も、「法の支配は大事なんだ」「だからルールを守れ」というロジックで批判していました。しかし、今回の礒崎補佐官の発言は、その安倍総理がなんとかごまかしてきた、「法的安定性は守ってますよ」という主張を、真っ向から吹き飛ばすものなのです。

 普通だったら「どうしてくれるんだ!」と怒り心頭もので、即、更迭が当たり前のレベルの話です。でも、そうはならないのが安倍政権。なぜか。それは、この礒崎補佐官の発言は安倍政権の「本音」だからではないでしょうか。

 それを裏付けるように、今回安倍総理は「電話で注意」しただけで、28日に安倍総理が礒崎氏を含む何人かの自民党議員と会食した時には、その話は一切総理の口から出なかったそうです。赤ら顔で会食を終えて出てきた礒崎氏がそう語っていました。

 昨日の国会で、民主党の広田一議員がその事を質すと、「前に電話で注意したので(必要ない)」と安倍総理。つまり面と向かっては一切注意してない、それどころか、一切処分するつもりもないようです。安倍総理にとって、この法的安定性の問題は、ちょっと電話で注意すれば済む話のようです。

 法の支配を軽んずるとは、人の支配が幅を利かすということ。権力者の胸先三寸ということです。それは常日頃、安倍総理自身が批判してやまない北朝鮮や中国の体制と同じということではないでしょうか。

過去の政府解釈すら否定!言い訳が言い訳になっていない…

 この礒崎補佐官の発言の全体をよく見ると、ざっくりとこう言っています。「憲法9条の下、我が国の自衛権は必要最小限度だ。でもその最小限度の政府解釈は時代とともに変わる」と。そして安倍総理も礒崎氏本人も、「本意はこういうことなので、法的安定性は大事じゃないと言ったわけではない。法的安定性は保たれている」などと言い訳しています。

憲法解釈変更「法的安定性は無関係」 礒崎首相補佐官(2015年7月26日19時04分 朝日新聞)

 でも、これ、何の言い訳にもなっていないんです。以下、安倍政権の詭弁の変遷なのですが、ちょっと長くて分かり辛いです。しかし、そもそもが彼らの説明が分かり辛過ぎるので、そこはご容赦ください。

 安倍政権は集団的自衛権の行使容認について、昭和47年見解などを持ち出し、「過去の政府解釈も、集団的自衛権の行使は認めてきた!」と言い張り、つまり合憲だ、と言ってきました。もちろん、これは事実ではありません。

【スクープ!】「集団的自衛権行使容認の閣議決定」が覆る決定的根拠! 「昭和47年政府見解」の知られざる真実を小西洋之議員が暴露!!

 しかし過去の政府解釈や政府見解で、集団的自衛権の行使が否定されまくっていることを追及されると、「否定されているのは『ただの(フルスペックの)集団的自衛権』であり、我々のは自衛のためのやむを得ない『限定的な集団的自衛権』であり、それは自衛権の範囲内だ。だから合憲だ」と反論し始めました。

 つまり、「過去の政府解釈が出された当時は、我々が編み出した『集団的自衛権の限定容認』という発想がまだ生まれておらず、検討されもしなかったのだから、否定しようがない。つまり過去の政府解釈は我々の『集団的自衛権の限定容認』を否定していない。だから合憲だ」と言うめちゃくちゃなロジックです。

 しかし今、参議院で野党から、「いやいや、過去の国会でも『集団的自衛権の限定容認』のケースが議論され、きっぱり否定されてますよ」と追及され、総理も中谷防衛相も横畠法制局長官もしどろもどろという状況です。

 その場その場の思いつきで、詭弁を継ぎ足しては、次々と破綻する。少しは発言する前に、考えたらどうなのか、と思いますが。

 ここで重要なのは、安倍政権は一貫して、「過去の政府解釈は変えていない!」と無理矢理にでも強弁してきたことです。しかし礒崎氏は「時代と共に政府解釈も変わる」と言ってしまっているのですから、何の言い訳にもなってないどころか、安倍内閣のこれまでの発言を否定してしまっているのです。これは、もう弁明のしようがないでしょう。

 そもそも礒崎氏は「立憲主義なんて聴いたこともない」などとうそぶいてしまうような人なので、いくら「法的安定性は否定していない!」と釈明しても、嘘つけ、法的安定性は関係ない、が本音だろ!と指摘されてしまうわけです。

【ちなみに礒崎氏は以前10代の女子にTwitter上で論破された挙句、ブロックして遁走するという失態を演じている】
2015/06/21 【スクープ!】礒崎首相補佐官を論破した18歳女子は実在した! 岩上安身が直撃!「戦争は消火活動ではなく、人同士が殺し合うもの」――戦争と災害を区別さえできない安倍政権を徹底批判!

他にも安倍総理に近い「あの人」が「法的安定性は関係ない」と発言!背後に「日本会議」の影

 ところで、今や「安保法制は合憲ではない」と主張する憲法学者として有名な、日大法学部教授の百地章氏、大東文化大学大学院法務研究科教授の浅野善治氏、中央大学名誉教授の長尾一紘氏の3人ですが、「週刊新潮」の7月30日号で対談しています。

 そこで百地氏がこう言っているんですね。

 「法的安定性の確保は大切ですが、それが確保されないことが、どうして憲法違反になるのでしょうか」

 びっくり、礒崎氏とまったく同じことを言っています。やはり気脈が通じまくってますね。この対談では、ツッコミのいないトリオ芸のように他の2人も同様の主張を披露しています。

礒崎首相補佐官に続き官邸推薦の憲法学者も「法的安定性関係ない」「中国に対抗するため安保法は必要」…もはや日本は法治国家じゃない(2015.07.29 リテラ)

【百地氏が外国特派員協会で行った会見の模様はこちら!】
2015/06/29 安保法制「合憲派」2人の学者が会見「侵略を再び起こさないか」の指摘に百地章氏が反論「なぜ、日本が権力を行使した場合だけ侵略に繋がるのか」

 ところでこの百地氏と、長尾氏は、日本会議に関わっていることでも有名ですね。

 日本会議とは何かというと、日本最大の右翼組織と知られ、安保法制「合憲」の憲法学者として菅官房長官が紹介した3人も所属しています。国会議員の4割(約280人/717人)、そしてなんと閣僚ポストの8割(15人/19人)が所属しています。「愛国者教育」「改憲」「有事法制整備」など、今の安倍政権が進めている政策のほとんどを提言。今、安倍政権の極右政策、歴史修正主義の「黒幕」として、海外メディアからホットな注目を集めています。

 そして礒崎氏は、何を隠そうこの日本会議議連の政策審議会副会長を務めているんです。ちなみに安倍総理や菅官房長官、中谷防衛相は副会長、下村文科相は幹事長を務めています。まさに日本会議内閣と言ってもいい布陣ですね。

 かつて自民党と深い付き合いのあった小林節・慶応大名誉教授は、先日の岩上さんのインタビューでこう言っていました。

 「彼ら(日本会議)に共通する思いは、第二次大戦で敗けたことを受け入れ難い、だから、その前の日本に戻したいというもの。日本が軍事五大国だったときのように、米国とともに世界に進軍したいという思いを共有する人々の集まりだ」

 「彼らは自分が特権階級であり、下々の者を管理するんだ、というおかしな人たち。はっきり言って気持ち悪い。彼らは欧米とやり合うことはもうありません。今度は、欧米と一緒になって弱いものを叩く、という側につくのではないでしょうか」

【小林節氏のインタビューの模様はこちら!】
安保法制「予定通り」の衆院突破 小林節氏が岩上安身のインタビューで「共産党を入れた野党連立」を提言!自民党を牛耳る日本会議は「おかしな人たち」

 まさに「おかしな人たち」が進める安保法制。野党が何を言っても耳を傾けないのもうなずけます。

 さらに、日本会議の「コア」と指摘されている日本青年協議会は、かつて「反憲学連」という組織を結成していました。「反憲」とは何か。彼らは「生長の家」という新興宗教の創始者で、明治憲法の復活を掲げていた極右主義者・谷口雅春氏の愛弟子を自称しているといいます。そしてその谷口雅春氏が主張していたのが、「反憲的解釈改憲」です。

 「反憲的解釈改憲」…あくまで現行憲法の範囲内で、解釈で現行憲法を否定する、ということです。まさに、今の安倍政権の解釈改憲をぴったり現す言葉ですね。

 この点について詳しいことは、以下の記事で菅野完(@noiehoie)さんが詳しく、分かりやすく解説しています。

「先制攻撃」さえ認める安倍解釈改憲に潜む日本会議&日本青年協議会の深謀遠慮――シリーズ【草の根保守の蠢動 第12回】

 そういえば、安倍政権の秘蔵っ子で、安倍総理から「朋ちゃん」と呼ばれている稲田朋美政調会長も、以前、「谷口雅春先生を学ぶ会」という団体が主催する「東京靖国一日見真会」というイベントで行った講演で、谷口雅春氏の著書に家族の命が救われ、自身も人生の節目節目で救われた、と力説していました。以下の動画からは、とても心酔している様子が見てとれます。

【動画】
https://www.youtube.com/watch?v=LAY2jsefbZA

 そんな稲田氏も先日、「憲法の最終的な判断は最高裁」と発言し、憲法学者の指摘を蔑ろにしていました。まさに阿吽の呼吸で同じ意識を共有されていますね。

 そういえば、稲田氏はかつて、「日本はサタンの国だ!」と教義で教える朝鮮半島で生まれた反日カルト宗教「統一教会」の講演でも、熱弁をふるっていたことがありました。統一教会と言えば、安倍総理は、祖父の岸信介氏、父親の安倍晋太郎氏と3代にわたって深いつながりがあります。

 安倍総理だけでなく、安倍政権の閣僚のなかには、統一教会とのつながり「疑惑」のある方が、まだまだいます。こうした自民党と統一教会との露骨なつながりについては、以下2本の記事でまとめています。

特定秘密保護法、憲法改正、原発・・・ 自民党と統一教会、その「深い関係」に迫る (その1)

「自民党と統一教会は一卵性双生児」特定秘密保護法、憲法改正、原発・・・ 自民党と統一教会、その「深い関係」に迫る (その2)

 ちょっと話が普通の人がついていけないような方向に進んでしまいましたが、自民党の深淵には、こうした、普通の日本人がついていけない「おかしな人たち」が蠢いているのでしょうか。小林節さんなら、そのあたりの事をご存知かも知れませんね。

 日本会議については、「学者の会」の賛同人のベルリン自由大学・野呂香代子さんも寄稿を寄せてくださっています。ぜひご覧下さい!

【安保法制反対 特別寄稿 Vol.87】一方で日本会議、他方で日米合同委員会?日本政治を操るルートを国民の共有情報としたい(「安全保障関連法案に反対する学者の会」賛同者、ベルリン自由大学・野呂香代子さん)

【さらに山口二郎氏も、岩上さんのインタビューで日本会議に言及しています!必見です】
「60年安保闘争再び 重なりあう1960年と2015年――日本会議に『借り』を作った自民党の正体に迫る~岩上安身による法政大学教授・山口二郎氏インタビュー」

 安倍政権、いえ自民党の歴史のなかに、怪しげな新興宗教が浸透し、それが今も蠢いている。日本の政治の中枢にある、オカルティックな暗部が今、大手を振って表舞台にせり上がろうとしているのかもしれません。IWJは、こうした裏の政治についても、しっかりとチェックしていきたいと思います。(佐々木隼也、文責:岩上安身)

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