【大義なき解散総選挙】「この解散総選挙は『3年殺し』の約束をさせられる選挙」 ―岩上安身、安倍総理会見を振り返る 2014.11.19

記事公開日:2014.11.19 テキスト
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特集 総選挙2014

※11月19日(水)の岩上安身の連投ツイートを再掲します。

 本日の安倍総理会見。冒頭のスピーチ、そして記者からの質疑応答でも、解散する明白な理由は見出せなかった。総理が強調したロジックはこうだ。「景気回復が遅れている。来年10月に予定されていた10%への再増税は3年後の2017年に延期するが、必ず実施する。そのために解散して信を問う」。

 なぜ、解散する必要があるのか、わかりにくいのは当然である。総理のロジックには、そもそも、なぜ景気が腰折れしたのか、誰にその責任があるのか、という肝心なポイントがまるまる欠落しているのである。

 安倍総理自身、会見冒頭のスピーチで、GDPの2期連続のマイナス、最も重視するという、消費支出のマイナスに言及している。日本経済が危機的であることは、アベノミクスが成果をあげているという絶叫とは裏腹に、ご本人も認識しているわけである。

 だが、その経済危機を招いた原因は何か、誰に責任があるのかは、言及しないのである。記者クラブの記者たちも、その点に触れる質問をしようとしない。言うまでもなく、原因は消費税増税であり、その責任者は景気腰折れのリスクを顧みず、増税を断行した安倍総理自身にある。

 私が指されたら、質問しようと思っていたことは、「総理は、景気が良くなければ増税は行わないという景気条項が法案に書き込まれていたにも関わらず、ご自身の判断で増税を断行され、その結果、この大不況を招いた。その責任はどう考えているのか」というものだった。

 再増税の先送りを決断した、と胸を張る前に、なぜそうした決断をしなくてはならなくなったのかが、問われるべきである。この景気の腰折れを、あたかも自然災害のように言ってもらっては困る。これは人災である。その人災を引き起こしたのは安倍総理自身だ。その責任の自覚はあるのか。

 演説と質疑応答を聞く限り、その責任の自覚はあるとは言えない。また、記者クラブの記者たちにも、肝心のその責任に触れる気配が感じられない。政治は結果責任である。今年の4月のタイミングで、消費税を5%から8%にあげた決断は間違っていた。その失政こそが本来問われるべきである。

 もし、安倍総理が、いや、消費税増税は間違っていない、この不況と増税は関係ない、と居直るなら、来年の再増税の見送りは必要ないことになる。再増税を見送る、ということは、増税が景気回復に甚大な悪影響を及ぼすことを十分認識している、ということだ。

 ということは、この唐突な、理由も大義も見出せない解散は、自身の大失政を隠すためのごまかし解散ということになる。未曾有の不況は安倍政権自身が招いたのだ。しかし、この選挙によって再び過半数を得たなら、臆面もなく、信任を得た、として、不況の責任追及をかわすだろう。

 日本経済の首を絞めて、窒息しかけたところで、手を緩める決断をしました、と恩着せがましいことをのたまい、3年後に必ず再度絞めます、と言いつつ、ここは有権者の信を問いたい、と言う。つまり、この解散総選挙は、「3年殺し」の約束をさせられる選挙なのだ。忘れてはならない。

安倍晋三総理大臣記者会見・実況ツイート

※以下、11月18日(火)に行われた、安倍晋三内閣総理大臣の記者会見・実況ツイートを再掲します

 11月18日(火)19時10分より、安倍晋三内閣総理大臣による記者会見の模様を実況ツイートします。会見には、岩上安身も出席しています。

 冒頭、安倍総理より発言。安倍総理「本年、4月より8%の消費税を負担いただいています。3%の引き上げを決断したあの時から、10%の引き上げを行うべきか、考えてきました。民主党政権時、野党ではありましたが、税制改革法案に賛成しました。

 しかし、消費税増税によって景気が腰折れしてしまい、税率を上げても税収が増えないということになれば、元も子もありません。消費税を引き上げるべきかどうか、40人を超える有識者の方から意見を聞き、議論してきました。

 10%への消費税増税を、法定通り行わず、延期すべきだとの結論に達しました。しかし、アベノミクスは順調です。企業の収益が増え、雇用が拡大し、消費が拡大することで景気が回復する。こうした好循環が生み出されつつあります。

 10%の消費税増税により、デフレ脱却も危うくなりかねない、と判断しました。成長戦略をさらに実行することで、所得が着実に上がる状況を作り出していきます。そうすれば、消費税引き上げに向けた環境を作りあげることができると考えます。

 財政再建について。財政再建の旗をおろすことは、決してありません。社会保障を次世代に引き渡していく覚悟、安倍内閣のこのような立場は、決して揺らぐことはありません。再び延期することはない、ここで、はっきりとそう断言いたします。

 このように、国民生活にとって、重い重い決断をする以上、すみやかに衆議院を解散し、国民に信を問うべきだと決心しました。私たちが進めてきた経済政策を、さらに前に進めていくべきかどうか、判断をあおごうと思います。

 選挙をしても、議席を減らすだけだ、との声をいただいています。厳しい選挙となることは、覚悟の上です。国民生活に大きな影響を与える税制について、大きな決断をした以上、どうしても国民の皆さんの信を問わなければならない、と思います。

 批判のための批判を繰り返し、立ち止まっている余裕は、今の日本にはないのです。この選挙戦での論戦を通じて、どちらが正しいのか、明らかにしていきたいと思います。あれから2年、雇用は改善し経済は回復しつつあります。この流れを止めてはいけません。

 デフレから脱却し、経済を成長させるには、景気回復、この道しかありません。国民の皆様からの信を得て、しっかりと、この道を進めていきたいと思います」

質疑応答へ。NHK「選挙の勝敗ラインについて」。

安倍総理「自民、公明の連立与党によって過半数を維持できなければ、アベノミクスを進めていくことはできません。過半数を得られなければ、退陣いたします」

記者「今回の解散については、大義がない、との指摘があるが」。

安倍総理「なぜ2年前に民主党が大敗したのか。それは、民主党がマニフェストに書いていない消費税増税を行ったからであります。税について、公約に書いていないことを行うべきではない。

 国民の信を問うのは当然であり、民主主義の王道であると考えます。景気をしっかりと回復し、賃金を上昇させなければなりません。国民のご協力なくして、成長戦略という重要な政策は実行できません」

読売新聞「軽減税率の実施について」。

安倍総理「軽減税率導入に向けて、自民・公明の両党でしっかりと検討していくことになります」

フジテレビ「選挙に際して、政権として何を掲げるのか」。

安倍総理「しっかりと3本の矢の政策を進め、名目所得があがり、実質賃金があがるという好循環を作りあげていきたいと思います。高卒・大卒の内定率も上がっています」

ウォール・ストリート・ジャーナル「安倍政権は、経済以外にも、エネルギーや安全保障について、重要政策を抱えているが」。

安倍総理「エネルギー、原発、安全保障についても、党の公約にしっかりと書き込んで、選挙戦に臨みたいと思います」

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「【大義なき解散総選挙】「この解散総選挙は『3年殺し』の約束をさせられる選挙」 ―岩上安身、安倍総理会見を振り返る」への2件のフィードバック

  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    【大義なき解散総選挙】「この解散総選挙は『3年殺し』の約束をさせられる選挙」 ―岩上安身、安倍総理会見を振り返る http://iwj.co.jp/wj/open/archives/207155 … @iwakamiyasumi
    この連ツイは多くの人の想いを代弁している。岩上さんが質問出来なかったのがつくづく惜しい。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/534976465264070656

  2. 戦略失敗の本質 より:

    阿部政権は自らの政治経済戦略の失敗を認める大義を持ってほしい。その気が彼に無いならば、阿部戦略の失敗を超え真の成熟した日本社会をめざす私たちに大義がある。

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