2012年5月20日(火)に行われた、「核の傷から、子どものいのちを守る Michel Fernexさん・肥田舜太郎さんを囲んで」の模様。
※本懇談会は急遽UST中継が決定し、配信担当が開始時間に間に合わなかった為、途中からの配信となっています。何卒ご了承下さい。
(IWJボランティアスタッフ・工藤)
2012年5月20日(火)に行われた、「核の傷から、子どものいのちを守る Michel Fernexさん・肥田舜太郎さんを囲んで」の模様。
※本懇談会は急遽UST中継が決定し、配信担当が開始時間に間に合わなかった為、途中からの配信となっています。何卒ご了承下さい。
■全編動画
日本の「人々が被曝から身を守るために」の緊急提言(2011.11.30)を出された医師Michel Fernex(ミッシェル・フェルネックス)博士は、原発推進のIAEA(国際原子力機構)とWHO(世界保健機構)の癒着関係を早くから指摘し、被曝の危険性を訴え続けている世界的に著名な医師。東電福島第一原発事故による放射能被害を心配し、日本の人々に訴えたいと自費で来日され、埼玉では肥田舜太郎さんと共に内部被曝問題研究会・医療部会の懇談会が行われた。
冒頭、ドキュメンタリー映画「真実はどこに?-WHOとIAEA 放射能汚染を巡って-」を上映。
Michel博士講演では、冒頭に上映した映画の中では充分に議論されていなかった遺伝的影響に関する内容を中心に行われた。
初めて原子力産業が出来たときWHOは懸念し、ワーキンググループを科学者達で「原子力産業が放射性物質を環境中に放出したらどのような影響が出るか」をまとめた。遺伝子の数は人間と動物と大して変わらないが、人間が持っている「ゲノム」は個人の財産である。遺伝子こそが、次世代の人類の調和の取れた存在を保持するために重要であり、放射能は遺伝子に突然変異を起こし次世代に影響を与えるとの内容の文書を作成した。放射線各種がDNA以外の細胞にも影響を与え、放射線による細胞損傷の影響を、通常時から原発事故場所との距離や実験・研究による結果も含めて、詳細に説明された。世代毎に遺伝子損傷は悪化していることに博士自身受け入れがたく思い何とかしなければとの危機感を持っており、具体的な3つの例を挙げている。また、日本は原発事故を起こしてしまったので、今後遺伝損傷は間違いなく起こると思うが、日本は研究技術が高いため遺伝子損傷を修復する技術を確立して欲しい(するだろう)という、多少楽観的な願望も持っていることも明らかにされた。
肥田舜太郎先生は自らの広島での被ばく経験、また被ばく者の治療経験からの内容を中心に講演。原爆投下時以降に広島市へ来た、あるいは戻って来た人が病気になるかどうか判断がつかない状況であったが、後から来た方が病気になっていくのを何年も見てきた。何もわからずに30年が経ち、アメリカに行って体内に入った放射性物質が引き起こす病気だと初めて聞かされ、何とか周囲に伝えようと必死であったという。
肥田先生自身は「被ばく患者を診てきただけ」と謙遜する一方で、「原発事故があってから腹立たしく、どうしても言いたい事は“内部被ばくは無い”と報道される事」と怒りを見せる一面も表し、良心を持ち懸命に生きてきたことが滲み出ていた。
参加者からの質疑では医療関係の方からの質問が多く、診察する際の注意点や、何をしていかなくてはならないのか?などの診察や患者との接し方などを気にしている面が多く、医者としても今後の姿勢の重要さも問われそうである。
また、最後の方でMichel博士から、チェルノブイリでは汚染地帯にいる子供たちのリンパ球を培養したところ弱いX線に対しての感受性が高まっているとの報告があった。成人も含め一般的には95%が該当するが、残りの5%で被ばくをしてもリンパ球に影響が見られない人もおり、旧ソ連ではそういった放射線に耐性のある人を原子力関係の作業員として選んできたことも明かし参加者を唸らせた。