石垣市長選、自民推薦・中山氏の「続投」決まる ~陸自配備を巡る地元紙報道は影響力示せず 2014.3.2

記事公開日:2014.3.2取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富田)

 任期満了に伴い、3月2日に投開票が行われた沖縄県石垣市長選挙は、自公推薦で現職の中山義隆候補が、大浜長照候補との一騎打ちを制し、再選を果たした。中山候補1万5903票、大浜候補1万1881票、投票率は前回比2ポイント減の75パーセントだった。

■TwitCasting録画

▲喜びにわく当選した中山よしたか氏選挙事務所

■TwitCasting録画

▲落選した大浜長照氏の選挙事務所

  • 日時 2014年3月2日(日)
  • 場所 沖縄県石垣市内

「陸自、石垣に」スクープ記事の波紋

 今年11月に想定される沖縄県知事選挙では、普天間米軍基地の辺野古への移設が、大きな争点になるのは確実な情勢。それを視野に入れた革新派は、「基地反対」を掲げる大浜氏を応援し、名護市長選挙に続く自民連敗を狙ったが、勝利には至らなかった。

 今回の市長選では、当初、これといった争点が見当たらないとの声が多かったが、告示日である2月23日、琉球新報が「陸自警備部隊、石垣に2候補地」との見出しの記事を1面トップに載せたことで、「陸自配備」の問題が急浮上した。

 新港地区とサッカーパークの2ヵ所を陸自部隊の配備地に挙げ、「3月までに候補地を決定する」と報じたこの記事を巡っては、翌24日、防衛省が「事実誤認」との理由で、琉球新報社と日本新聞協会への「適切な報道を求める」申し入れを実施。小野寺五典防衛相は、2月28日午前の記者会見で、「間違った報道が、地方選に影響を及ぼすことは適当ではない」と強調した。この発言により、争点としての陸自配備問題が、多少なりとも霞んだ可能性はある。なお、防衛省の申し入れに対して、琉球新報は「十分な取材に基づいた報道であり、訂正の求めには応じられない」としている。

中山氏は陸自配備に柔軟姿勢

 注意したいのは、防衛省の申し入れは「候補地特定」との伝え方を問題視するもので、「石垣島に陸自を配備しない」との政府宣言を意味しないということ。2月25日、自民党の石破幹事長は中山候補の応援演説で、「埋め立て地やサッカー場に、自衛隊を置くようなことは絶対にない」と、同記事を意識したスピーチをしているが、陸自配備そのものを「行わない」とは言っていない。

 政府が昨年12月に策定した中期防衛力整備計画では、与那国島に沿岸監視部隊を配備することに加え、南西諸島への「陸自の警備部隊」新設が決まっており、防衛省は警備部隊の候補地選定調査を始めている。中国の脅威を重視する安倍政権は、陸自が常駐していない南西諸島の防衛力強化が不可欠、との認識だ。

 市長選で勝利した中山氏は、元来、石垣島への陸自配備に柔軟な立場である。再選直後には記者団に対し、「(陸自)配備の話があれば、話し合いの場にはつきたい」と語っている。

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