【IWJブログ】超党派議員が秘密保護法反対訴え「盗聴問題でゆれる米国に追従して、日本まで世界で孤立してしまうのか」 2013.11.13

記事公開日:2013.11.13 テキスト
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(取材/記事 原佑介/文責 岩上安身)

 民主党、みんなの党、日本共産党、社民党、生活の党、新党大地――

 本来、それぞれ主張を異にするはずの議員らが党派を越えて集まり、一丸となって反対の声を上げた。

 本日2013年11月13日(水)、東京・銀座マリオン前で、特定秘密保護法案に反対する超党派議員らが街頭演説を行い、法案の危険性を訴えた。

 日本共産党の穀田恵二衆議院議員は、「国会では勉強会が発足し、民主党からは近藤昭一議員、みんなの党からは山田太郎議員、生活の党からは小宮山泰子議員、社民党からは照屋寛徳議員などが呼びかけ人として、市民とともに秘密保護法の勉強、政府との質疑を続けてきた」と、これまでの反対運動の経緯を説明した。

 その上で穀田議員は、「そうした中で、やはりこれはおかしい、成立させるわけにはいかない、ということで、今日、街頭で訴えることとなった。秘密保護法は『何が秘密か、それは秘密です。それを知ろうとすれば処罰する』ということだ」と、法案の危険性を訴えた。

 社民党の照屋寛徳衆議院議員は、沖縄選出の立場から秘密保護法案を批判。「47都道府県の中で、沖縄に関する特定秘密が一番多くなるだろう。なぜなら、74%の米軍基地が集中しているからだ。朝鮮戦争、ベトナム、湾岸、イラクも、沖縄の米軍基地から出撃していった」と、沖縄における米軍の実態を訴えた。

「この法案が成立すると、米軍犯罪や戦闘機の墜落事故、核兵器を含むどのような兵器が沖縄基地に貯蔵されているのかという事実、そして、オスプレイを含む米軍のやりたい放題の基地運用のすべてが特定秘密にされるだろう。このような秘密国家を許すわけにはいかない」

 民主党の有田芳生参議院議員は「米国と一緒に戦争のできる国にするための一環として、この法案がある。子ども・孫の世代のためにも断固廃案に持っていこう」と呼びかけ、当時、自身もジャーナリストとして取材にあたった「オウム真理教」を例に出して、法案の危険性を訴えた。

「成立すれば、外交軍事だけの問題ではない。毎日が大きく歪んでいく。報道の自由、知る権利。私達の暮らしがどのようになっていくか、報道を通じて知っていくのは主権者の権利。

 松本サリン事件が起きた直後、山梨県・上九一色村で、サリンの残留物が検出され、大問題になった。法務委員会で谷垣大臣に『秘密保護法があったら、上九一色村でサリンを作っている情報は特定秘密に?』と問うたら『テロ計画だから特定秘密にあたる』との答弁が返ってきた。

 地下鉄サリン事件は防げなかったが、あの時、オウムがなにかやっているに違いないと、ジャーナリストはオウムを追及し、取材の目を注ぎ、注意喚起した。もし特定秘密法案あれば、そういう報道もできず、国民は知ることができない」

 生活の党の小宮山泰子衆議院議員は、戦前の「軍機保護法」下で起きた「宮澤・レーン事件」の悲劇を紹介した。

 宮澤・レーン事件とは、当時、北海道帝国大学の学生だった宮澤弘幸さんが、米国人の英語教師レーン夫妻に「軍の機密情報を漏洩した」として、懲役15年の実刑判決が言い渡された事件である。宮澤さんは日本の敗戦にともなって釈放されたが、過酷な拷問や受刑生活で結核を患い、それが原因で、27歳という若さで亡くなった。

 当時の裁判は秘密保持のために非公開だったため、宮澤さんが漏らしたとされる「秘密」の内容が判明したのは、なんと1990年代になってからだ。そして、宮澤さんの容疑は「樺太に旅行したときに、偶然見かけた根室の海軍飛行場を友人のレーン夫妻に話した」だけだったのだ。しかも、その飛行場は過去に新聞記事にもなっており、すでに公の情報だったのである。この事件については、本日行われた岩上安身によるインタビューの中で、海渡雄一弁護士も言及していた。

 こうした不条理な逮捕劇は、宮澤さんにだけ例外的におこったのではない。観光でたまたま撮った写真の景色に軍事施設が写っていた、というような理由で逮捕された人も少なくなかったという。

 小宮山議員は、「これが日本の歴史。戦争を繰り返してはいけない。最近まで私もこんな国になるとは思っていなかった。しかし、それを心配しなければならない国になってしまった」と話し、秘密保護法の危険性を警告した。

 新党大地の鈴木貴子衆議院議員は、他国と情報共有するためにも秘密保護法が必要だ、という政府見解に疑問を呈し、「ではこの法があったら、アルジェリアでテロが起きた時、日本はどんな情報が得られたのか。根拠があれば、示すことが重要。データと見解を示すことが政治家の役割だ」。

 日本共産党の田村智子参議院議員は、秘密保護法の乱用について懸念を訴えた。

「今は秘密保護法がないので、黒塗りの資料とはいえど、入手することができる。場合によっては、裁判で黒塗りの中身の開示を迫ることができる。しかし、法ができれば、何が秘密かも秘密となり、資料請求しても『そういう資料はあるかどうかの答弁は差し控えさせていただきます』となってしまうのではないか。日本の政治が国民に開かれたものにはならないのではないか」

 直前まで参議院特別委員会に出席していたという社民党・福島みずほ議員は、「森まさこ大臣に、秘密の廃棄について質問した」と報告。

 「『廃棄する秘密が公文書館のほうにいかず、総理の同意で廃棄できるのであれば、なんでもかんでも廃棄できるではないか』と尋ねた。すると、『今までもそうしてきたので従来通りです』との回答がきた。秘密が妥当かどうか検証する機会はない。廃棄をしたことそのものも明らかにしない。闇から闇では、民主主義ではない。

 さらに、国民には教えないのに、外国の政府には秘密を提供できる。これでは、民主主義、国民主権を優越している。情報は国民のものだ。真の主権者になるために秘密保護法、ぶっ飛ばしていこう」

 日本共産党の仁比聡平議員は、「党派を越えて、我々国会議員が秘密保護法を廃案にすべきだと訴えているのは、憲法、民主主義と相容れないからだ」と述べ、「米国と情報を一体にし、戦争の司令塔になる国家安全保障会議と一体のものと安倍総理はいうが、当の米国は、ドイツのメルケル首相の携帯電話まで盗聴していたことが発覚し、世界中で孤立しようとしている。日本もそんな国にしてしまっていいのか」と訴えた。

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