「町長、俺の死ぬところを見つけてくれ、仮設住宅では死にたくないんだ」。前双葉町町長であり、参院選にみどりの風から出馬した井戸川かつたか氏が、2013年7月5日(金)16時45分から、東京都千代田区の東電本店前と、霞が関の経産省前テントひろばで演説を行った。冒頭の言葉は、現在、仮設住宅で暮らしている、高齢の双葉町民の言葉だという。井戸川氏は、原発事故によって暮らしを奪われた、被災者の過酷な状況を伝えた。また、事故当事者である東京電力が、責任を取らないことを許容している日本の政治に対して、「日本の政治は間違っている、弱者はどこまでも弱者にされてしまう」と批判。原発事故被害者の声を国会へ届けたい、と語った。
- 日時 2013年7月5日(金)16:45~
- 場所 東電本店前、経産省前テントひろば(東京都千代田区)
- 詳細 井戸川かつたか候補HP
井戸川氏は東電本店前で、「『原発は事故を起こさない。止める、冷やす、閉じ込めるで、絶対安全だ』と言われていたが、事故が起きて私たちは難民にされた。双葉町の歴史、空間、帰るまでの時間、限りなく甚大な被害を受けたにもかかわらず、私たちは放置され続けている」と話し始めた。
続けて、「福島の子どもたちは、高い放射線量の中で暮らし、今年度から学校給食で、福島県の農産物を食べさせられている。放射能を片付けるのは、出した企業の責任だ。ところが、いわゆる除染法が作られ、除染に協力するのが国民の責務だと定められた。一企業が起こした事故の後始末を、国民に課すような法律ができるのは、おかしいのではないか」と、国と東電を批判した。
「有楽町の街頭で、私が演説している時に、福島第二原発の所長が笑って私の前を通り過ぎた。何と傲慢な会社か。まず責任をとり、補償し、双葉町を元に戻しなさい。3.11の夜、私たちは、あなたたちの会社の社員から、大丈夫と言われた。だが、その時、社員は家族を避難させていた。これほど卑怯な会社だとは思わなかった」と、井戸川氏は東電に対して怒りをぶつけた。
さらに、「3月12日に原発が爆発した時、空から放射能を含んだチリが降った。避難を誘導した警官、自衛隊員などが被曝した。県民健康調査では影響ないというが、私は喉の2ヵ所が痛い」と明かした。
井戸川氏は「地元と東電の話を聞かずに、25兆円を使って住民の早期帰還を進める、国の計画があるという。基本は、私たち住民と東電が、同じテーブルで話し合って物事を決め、解決していくことだ。それが一番早い」と提言し、「私は今度の事故で、日本で唯一、直接被曝をさせられた首長であり、被曝の影響も出ている。これを伝えるのが私の義務である」と訴えた。
経産省前テントひろばに移った井戸川氏は、ひろばの人々に向かって、「テントを守り、私たちの思いを訴えていただき、ありがとうございます。私は、復興庁・水野参事官のツイッター発言や、高市早苗自民党政調会長の発言を聞いて、立候補を決めた。政府は嘘をつく。嘘をつけない私が国会に行って、これ以上、嘘をつかせない」と決意を述べた。