2013年6月28日(金)15時から、東京都新宿区の東京都庁で「猪瀬直樹東京都知事 定例記者会見」が開かれた。7月1日から、2020年夏季五輪招致のプレゼンテーションに出席するため、スイス・ローザンヌに出張する猪瀬知事は、「3月に来日したIOC評価委員会の評価報告書では、とても素晴らしいと評価を受けているので、その勢いに乗りながらプレゼンをしたい」と意気込みを語った。
(IWJテキストスタッフ・中川/澤邉)
2013年6月28日(金)15時から、東京都新宿区の東京都庁で「猪瀬直樹東京都知事 定例記者会見」が開かれた。7月1日から、2020年夏季五輪招致のプレゼンテーションに出席するため、スイス・ローザンヌに出張する猪瀬知事は、「3月に来日したIOC評価委員会の評価報告書では、とても素晴らしいと評価を受けているので、その勢いに乗りながらプレゼンをしたい」と意気込みを語った。
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冒頭で、猪瀬知事は、会見の直前に起きた「練馬区小学校児童の傷害事件」について触れ、「被害に遭われた児童やそのご家族に対して、心からお見舞い申し上げます。子供の安全確保については、学校現場はもとより、地域の方々とも連携して取り組む必要がある」と述べた。次に、安全・安心まちづくりを推進するマスコットキャラクターの愛称を公募すると発表し、「幅広い世代に親しまれる、素敵な名前を考えてほしい」と応募を呼びかけた。
質疑応答に入ると、26日に開かれた参議院の本会議で、安倍晋三首相への問責決議が可決して、電気事業法改正案が廃案となったことで、東京都が目指す電力改革の影響について意見を問われた。猪瀬知事は「非常に残念なこと」と返答した一方で、「たぶん、秋口の臨時国会で電気事業法改正案が衆議院に提出されて成立すると見ている」との認識を示した。
また、「法改正の動きは、我々が前からずっと促してきたこと。電力自由化については、東京電力改革を提案して、実際に東電の社内分社化が始まっているから、発送電分離のもとになる形ができている。そういう中で、電気事業法改正案は、将来の電力自由化や発送電分離を見越した文言になっているので、参議院選挙後の秋口には通してほしい」と口にした。
次に、「27日に開催された東京メトロの株主総会で、国側はメトロ株について、改めて従来の主張通り『市場に放出して復興財源に』と言っており、7月から再びその協議が始まるが、一元化に向けてどのように臨んでいくのか」と尋ねられた。それに対しては「株主総会における提案を契機に、利用者視点に立ったサービス改善や一元化を進めていく中で、東京の地下鉄の運営改革会議が設置されたことが大きな成果。まずは、この運営改革会議を7月には必ず始める。そういう中で具体的に進めていく」とコメントした。
そこで、記者から、経営の一元化に関して国は慎重な姿勢を示しているが、どう崩していくのかと問いただされると、「実態として1つになっていこうという機運をつくる必要がある。そういう意味で、東京都から役員が送られているが、今まではいわゆる天下りだった。そうではなく、経営に参画するという形で、今回の総会で、副社長と常務の2人が入った。そして、役員だけではなくて、職員の交流も進めていくつもり」と語った。
続いて、東京都教育委員会が27日の定例会で、高校で使う実教出版の日本史教科書の国歌・国旗に関する記述が東京都教育委員会の考え方と合わないとして、使用は不適切とする見解の議決が行われた点への意見を求められた。猪瀬知事は「教育委員会の見解は正しいと思っている。すでに、2012年1月16日の最高裁の判決で、国歌斉唱時の起立斉唱を教員に求めた校長の職務命令が合憲であると認められている」と返答した。
それを受けた記者が「文科省の検定を通った教科書について、学校で選定をするプロセスは決められている。その途中で、採択をする権者の東京都教育委員会がそういった声明を出すと、学校側はプレッシャーになると思うが」と投げかけると、「いま話した最高裁の判決で、きちんと言われていることだから、教科書の表現が少し変であれば、それは都教委も考え方を持っていいと思う。つまり、国定教科書ではないので、文部省の検定が全て正しいわけではない。それから、現場の各校長先生の判断に全て一任されるものでもなく、東京都教育委員会としての見解はあってしかるべきだ」と主張した。