2013年6月5日(水)14時、大阪市北区の大阪市役所において、橋下徹大阪市長の定例会見が開かれた。冒頭、大阪市政に関して、橋下市長から、「大阪アーツカウンシルの統括責任者について」「ICT活用事業モデル校の授業公開について」「大阪市音楽団の定期演奏会について」の発表および記者との質疑応答が行われた。
(IWJテキストスタッフ・久保元)
2013年6月5日(水)14時、大阪市北区の大阪市役所において、橋下徹大阪市長の定例会見が開かれた。冒頭、大阪市政に関して、橋下市長から、「大阪アーツカウンシルの統括責任者について」「ICT活用事業モデル校の授業公開について」「大阪市音楽団の定期演奏会について」の発表および記者との質疑応答が行われた。
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続いて行われた、市政以外のことがらに関する質疑応答では、「慰安婦問題」と「オスプレイ訓練誘致問題」に関する質問が記者から集中した。国連のパン・ギムン事務総長が、「(橋下市長の発言に)国際社会は納得しない」とコメントしたことに関しては、「日本人が認識している慰安婦の姿と、韓国が認識している姿に相当なズレがある」と述べた上で、「日本は曖昧戦略をとってきたが裏目に出ている。国家が組織的に人身売買をしたのかどうかは明確になっていない。日本政府も逃げてきた」との見解を示した。さらに、「世界は、韓国が言ってきたことを認めたのだろう。しかし、多くの歴史学者は、『そんな事実はない』と言っている」とし、「事実については、政治家が政治判断してはいけない。歴史的事実をはっきりさせないといけない」と持論を述べた。
橋下市長は、慰安婦問題について、「今回の一連の発言(による問題の拡大)は、メディアの誤報だと、いまだに思っている。言いたいことが間違っているとは思っていない」とした。その上で、慰安婦問題に関する自身の見解の拠り所として、橋下市長は、「(歴史学者の)秦郁彦さんの論を中心に物事を考えている」と語った。
橋下市長に対して公開質問状を出している、中央大学の吉見義明教授については、「僕は、軍の一定の関与は認めている。議論が噛み合っていない。『秦さんと(議論を)やって』としか言いようがない」とした。また、日本維新の会所属の桜内文城衆議院議員が、吉見氏の著書に対して「捏造」と発言したことについて、橋下市長は、「(桜内議員が)吉見さんと議論したらいい」と述べ、「捏造発言」は日本維新の会としての公式見解ではなく、桜内議員個人の意見であるとの見解を示した。
橋下市長が名前を挙げた秦郁彦氏について、「著書の中で、『だまされて連れて来られた』という証言がある。当時の政府や警察には、それを取り締まる義務があるはずだが」と質問した記者に対し、橋下氏は、「取り締まりや処罰が、あったのかなかったのか、国家のシステムとしてそういうことをやっていたのかは、歴史家が判断することだ」と答えた。
稲田朋美行政改革担当大臣が、5月24日の会見で、「戦時中は、慰安婦制度ということ自体が、悲しいことであるけれども、合法であったということも、また事実である」と発言したことについて、記者から意見を求められた橋下市長は、「『合法だったから日本は悪くない』と正当化しようとする理由として、掲げたのだと思う。そういうロジックだったら大問題だ」との見解を示した。
橋下市長および松井一郎大阪府知事が、米軍の垂直離着陸輸送機「MV22オスプレイ」の訓練を、「八尾空港(大阪府八尾市)に誘致することを検討する」と表明したことについて、記者から「慰安婦発言でのマイナスを挽回するためでは」との主旨を問われた橋下市長は、「挽回になるわけがない。大阪で票を減らす(ことになる)。選挙のことを考えたら、言わないほうがいい(に決まっている)」と反論した。
慰安婦制度が合法ならば、本人の就業意思を確認する公文書がでてきていたはずで、こんな国際問題に発展するわけがないんです。