さっぽろ市民放射能測定所 はかーる・さっぽろ 1周年記念報告会 2013.6.1

記事公開日:2013.6.1取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・阿部玲)

 2013年6月1日(土)13時30分より、札幌市北区の札幌エルプラザで「さっぽろ市民放射能測定所 はかーる・さっぽろ 1周年記念報告会」が行われた。札幌市豊平区にある、はかーる・さっぽろは、ベラルーシ製の放射能測定器ATOMETX・AT1320Aを保有し、北海道大学の協力も得て、市民の持ち込んだ食品を独自に検査している。設立から1周年を迎え、これまでの測定結果や、測定方法の基礎知識などをわかりやすくレクチャーした。

■全編動画
・1/3(13:37~ 46分間)

・2/3(14:25~ 42分間)

・3/3(15:09~ 1時間43分)

  • 13:30~ 食品測定の基礎知識
  • 14:00~ 北海道お魚PJ報告
  • 15:00~ 土壌測定報告
  • 16:00~ 食の安全・安心
  • 16:45~ ベビーミルクのお話

 はかーる・さっぽろ代表の富塚とも子氏は、冒頭に「昨年5月に設立し、運営スタッフ12名、測定スタッフ17名で、これまでやってきた。この1年間、どういうことがあったのか、何がわかったかを、ご報告したい」と挨拶した。

 食品測定の基礎知識を講義した本郷氏によると、1年間に行った測定数は、有料の持ち込みが149件、試験測定104件の、計253件。3時間測定を基本としているが、検出限界値を下げるために再測定も行うため、述べ500件近い測定を行ってきたという。「中でも驚いたのは、セシウム137が、北海道でも検出されたこと」と述べて、「しかし、それはセシウム134の比率から見て、チェルノブイリ原発事故由来のセシウムが環境中に残っている、と考えられる」との見解を示した。

 また、基本事項として、「日本人の平均的被曝量は、3.8ミリシーベルト/年(以下、mSv/年)。外部被曝では、大地から0.38mSv/年、宇宙から0.29mSv/年。内部被曝では、飲食物(カリウムなど)から0.41mSv/年、空気から0.4mSv/年。その他、人工放射能は、原発事故等0.0005mSv/年、医療から2.3mSv/年」などと具体的な数値を挙げ、「それ以外に、年間1ミリシーベルト以上被曝させてはいけない、というのが日本の法律」と説明した。

 さらに、「10ベクレル(以下Bq)食べた場合の被曝線量」の計算の仕方は、Bqとシーベルトの概算観算式である「50Bq≒1マイクロシーベルト(以下μSv)」を用い、「Bqを50で割るとμSv」と簡略化。「3.11以前、日本人は1日あたり何Bq食べていたのか?」については、「飲食物から0.41mSv/年ということは、1000を掛けると410μSv/年。410μSv/年×50=20500Bq。20500Bq÷365=56.164Bq」などと、わかりやすく解説した。

 お魚プロジェクトの報告では、持ち込まれた食品の、検査前処理法が示された。「まず、きれいに塩分を落とし、細かく刻んでマリネリ容器に1kgを詰める」。こうすることで、検体以外の外部要因からの影響を防ぐ。北海道沿岸の旬の海産物では、特にマダラからの検出例が多いとのことで、注意が促された。スーパーで購入したものを測った事例では、アブラコ12Bq、クロガレイ3Bq、スケソウダラ22Bqなどと、報告された。

 土壌測定の報告では、「3.11以前でも、セシウム137が数bq~15Bq/kg未満程度は検出されていた。現在も、セシウム134がほとんど検出されておらず、福島由来とは断定できない。チェルノブイリ由来と考えられる」と分析を述べた。はかーる・さっぽろでの実測では、「道東の畑の土。セシウム137が6.57Bq/kg。セシウム134がピークなし」との例が示された。

 赤ちゃんの粉ミルク測定については、自らも母親である佐々木百合香氏が担当した。「2011年12月、『明治ステップ』から30.88Bq/kgの放射性物質が検出され、30万缶が自主回収されたのをきっかけに、自分も気にするようになり、測定を始めた。各メーカーも、あの事件をきっかけに、粉ミルクの測定(検出限界値5Bq/kg)とHP等での結果公表を行うようになった」と述べ、はかーる・さっぽろで独自に測定したものについては、各メーカーともNDであることが、資料とともに発表された。市販品で、国産と表示された原乳については、「北海道・九州産の原乳を使用しているということが、ヒアリングでわかっている」と報告され、「これからも、手の届く範囲で測定をしていきたい」と語った。

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