2013年5月17日(金)15時から、東京都新宿区の東京都庁で「猪瀬直樹東京都知事 定例記者会見」が開かれた。
猪瀬知事は、この日の13時半から14時まで、安倍総理と成長戦略や2020年夏季五輪の招致活動に関して会談を行ったと報告。成長戦略については、英語を話せる救急救命士の増加を目指すことなどを例に挙げて、「国際都市にふさわしい施策を講じることで、海外からたくさんの企業や人が集まり、東京に富をもたらす」とメリットを強調した。
(IWJテキストスタッフ・中川/澤邉)
2013年5月17日(金)15時から、東京都新宿区の東京都庁で「猪瀬直樹東京都知事 定例記者会見」が開かれた。
猪瀬知事は、この日の13時半から14時まで、安倍総理と成長戦略や2020年夏季五輪の招致活動に関して会談を行ったと報告。成長戦略については、英語を話せる救急救命士の増加を目指すことなどを例に挙げて、「国際都市にふさわしい施策を講じることで、海外からたくさんの企業や人が集まり、東京に富をもたらす」とメリットを強調した。
■全編動画
最初に、猪瀬知事は、安倍総理との会談について、「安倍首相が成長戦略のピッチャーであれば、東京はキャッチャーとして、多くの現場を持っているので、国際戦略特区の中枢として、さまざまな先行事例を実施していくという認識を確認し合った」と明かした。
次に、国の緊急経済対策に応じた公共事業の早期実施や、子育て支援の強化に向けた小規模保育の拡充を基本とした、341億円規模の平成25年度6月補正予算案を公表した。小規模保育については、待機児童の解消を加速化させるために、運営費補助単価の引き上げや事業規模の拡大に取り組む。また、国制度の対象外である認証保育所や小規模保育などで働く職員の処遇改善についても支援を行い、「1人当たり年間約10万円、給与が増えることが見込まれる」と説明した 。
また、マレーシアで下水道施設の設計、建設、維持管理を行うプロジェクトを実現するため、東京都下水道サービスと住友商事、現地企業の3社が合弁会社を設立することを発表した。猪瀬知事は「官民連携による下水道分野での海外展開では、最大規模の事業。マレーシアの水環境の問題解決に貢献していきたい」と意気込みを語った。
質疑応答に入ると、国土交通省が掲げている1万4000キロの全国ミッシングリンク(未開通路線)の整備について見解を求められ、「これからは修理、補修、いろいろな老朽化対策が必要になる」と話した。「新規建設するのはおかしいという考えでいいのか」と再び問われると、「基本的には、費用対効果があるかどうかが基準」とコメント。また、「いつのデータを根拠に三環状道路と八ツ場ダムの必要性を訴えているのか」と追及されると、「常に最新のデータを確認して進めている」と返答した。
16日に都道路計画の是非を問う小平市の住民投票の告示が行われて、直接請求に基づく住民投票は都内で初になるが、投票率が50%以上となって開票されて、仮に見直しの声が多かった場合の対応を聞かれると、「住民投票の結果が届いた時点で、いろいろ考えることはあるかもしれないが、現在は仮定の話であるから答えることは特にない」と述べるにとどめた。
「安倍総理との会談の中で、成長戦略に向けてすぐ動き出すようなプロジェクトはあったか」と尋ねられると、「東京独自では、六本木から渋谷まで深夜もバスを運行することができる」と返答した。また、「例えば外国人が日本で企業を立ち上げる時に、入国審査に時間がかかってしまう。短くするように(国へ)要望しなければいけない」と話し、担当する省庁に要請を出していることを明かした。さらに、「国際都市・東京が、日本の成長戦略のエンジンでなければならない」と付け加えた上で、国の規制緩和や法律改正に取り組む姿勢も示唆した。
一部の政党から争点を見出すのが難しいと言われている、東京都議選(6月14日告示、23日投開票)についての意見を求められると、「成長する経済に追いつくような、さまざまな福祉の施策をきちんと行っていくという意味で、前向きな政策をちゃんと表現しているかは1つの争点。我々の暮らしがよくなるという見通しを見せてくれるところかどうかは、有権者が判断するのではないか」と口にした。また、各候補者個人から、遊説の応援の依頼などがあった場合の対応を問われると、「基本的に僕は無所属なので、特定の立場を代弁することはない」と支援は行わない意向を示した。
「東京都が14日に報告した、南海トラフ地震の被害想定の中に、帰宅困難者問題が出ているが、新宿区の超高層ビル街を避難場所として確保する話は進展しているのか」という質問に対しては、「区がある程度、先頭に立ってくれないと、なかなかできない。まだ保険の問題など、はっきりしないところがある」と答えた。
そこで、記者から「保険の問題が第一ということか」と問いただされると、猪瀬知事は「避難したビルで、たまたま怪我人が出たら、誰がその治療費を払うかという話が出てくる。そういう問題は、まだ全部詰め切れていない」と回答した。続けて記者が「それが解決すれば、すぐ実現できるということか」と投げかけると、猪瀬知事は「たぶん、そういうこと」と曖昧な返事をして「また途中経過を知らせる」と言葉を重ねた。