岩手県内の被災地からの漁網受け入れに「きちんと説明すれば不安は解消されるものと思っている」 ~黒岩祐治神奈川県知事 定例記者会見 2013.5.14

記事公開日:2013.5.14取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・小山内/澤邉)

 2013年5月14日(火)、神奈川県横浜市中区の神奈川県庁で「黒岩祐治神奈川県知事 定例記者会見」が開かれた。黒岩知事は、岩手県の漁網について、市の最終処分場への受け入れを前提に、南足柄市長が検討を表明した件に関して、「地元の発意でこうした動きが出てきたことに深く感謝するとともに、大変力強く感じている。県としては、南足柄市および箱根町の今後の対応に全面的に協力をしていく」と語り、災害廃棄物の受け入れに改めて意欲を示した。

■全編動画

  • 日時 2013年5月14日(火)
  • 場所 神奈川県庁(神奈川県横浜市)

 最初に、黒岩知事は、5月2日をもって県内すべての市町村が、風しんワクチンの接種に対する助成を実施することを発表した。また、神奈川県内の企業(株式会社オーイズミ)が、従業員を対象とした風しんの予防接種を行う取り組みも紹介した。

 次に、5日から11日のアメリカ訪問の概要について報告した。「神奈川県が超高齢化社会をどうやって乗り越えていこうかという取り組みを主にアピールした」と説明。加えて、「ライフイノベーション国際戦略総合特区、さがみロボット産業特区に対する企業の誘致を行った」と話した。

 また、元ハーバード大学の学長であるハーベイ・ファインバーグIOM代表と協議をし、超高齢化社会に対応する新しい教育をいっしょに作る話が出たという。「ファインバーグ氏は医学教育の専門家であり、今のアメリカの医学教育では、これからの超高齢化社会に対応できないという認識を持っていた。いっしょにプロジェクトを進めることとなり、新たな医学教育へ挑戦できる可能性も見えてきた」と語った。

 その後、米国食品医薬品局(FDA)の元長官フランク・ヤング氏と面談し、今後のFDAとライフイノベーション国際協働センター(GCC)との連携について意見交換を行い、「われわれの目的に共感してくれて、全面的に協力していきたいと約束をしてくれた」と話した。また、メリーランド州のオマリー知事との会談については、「食生活の中から病気にならないようにしていく日本の伝統的な食習慣を知っていて、『そういう発想は大事』と言っていた。そして、そういう(ライフサイエンス)分野でコラボレーションしていこうということになった。彼は、今度の大統領候補と目されている人」と語った。

 続いて、慶應義塾大学との共同研究・共同実験で、「お薬手帳」の電子化による効果などを検証するための実証実験を、15日から開始することを公表した。実証実験にはスマートフォンなどが必要で、「お薬手帳アプリ」を使って、協力病院や薬局が印刷したQRコードを患者が読み取ることにより、情報がクラウドのデータベースに登録される。そこで、患者が医師や薬剤師に対して、スマートフォンを提示したり、パスワードを与えたりすることで、医師や薬剤師もウェブで「お薬手帳」の情報閲覧が可能になるという。

 質疑応答に入ると、岩手県の漁網について、箱根町に続いて南足柄市が10日に、市の最終処分場への受け入れを前提に検討すると表明したことに関する問いが出た。記者から「この1市1町で受け入れが実現した場合は、量的にいえば県内への要請分をクリアする状況になるが、これまで横須賀の芦名で検討していた方針は変化するのか」と尋ねられると、黒岩知事は「今の段階でまだ、お答えはなかなかできない」と明言を避けた。

 神奈川県の施策や特区に関して、「アメリカの企業や研究機関に向けた具体的な動きにつなげるフォローアップはどういったものを考えているか」という質問には、「今回、ジョン・ノリス氏という元FDAの次官が、われわれが最後にワシントンDCを離れるまで、ずっとついてきてくれた。われわれからも説明をしているが、彼が『これは素晴らしい試みなのだ』と、どんどんアピールしてくれた。その彼がボストン在住であるから、フォローアップは彼が十分できる立場にある」と明かした。加えて、「同行した参与の武市氏(GCC事務局長)もアメリカに幅広い人脈がある。もともと三菱商事の米国副社長で、その後は世界銀行の関連の局長をやっていた人。そういった参与を通じたフォローアップも十分可能ではあると思う」とコメントした。

 最後に、今月に入って逗子市の小学校に、酔った米兵が侵入して現行犯逮捕されたほか、横須賀市でも米兵が民家に侵入する事件が起きていることへの見解を求められると、「正直なところ、またかという感じ。日米関係は非常に大事な関係である中、神奈川県も沖縄に次ぐ基地を持つ県ということで、日米安全保障体制を担う大きな使命を持っていると自覚している。その中でやはり、米軍と県民の皆さんが信頼関係を持って共存していくことが大事」と述べた。

 そして、「どういった対応を米側に求めていくのか」という質問には、「再発しないように、心を引き締め直してもらいたいと言うしかない」と回答。さらに、「言うべきことはしっかり言う。信頼醸成をしっかり見据えながら、中長期的に関係を築いていくこと。この両方を今、ずっと行っている。今回もきちんと対応してもらいたい」と言葉を重ねた。

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