2013年5月3日(金) 14時から、滋賀県東近江市の金念寺ホールにて「自由民主党憲法改正案批判!-立憲主義の危機・国民主権の危機―」が行われた。近藤公人弁護士は、憲法成立の過程を解説した上で、自民党の改正案の問題点を提示した。
(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)
2013年5月3日(金) 14時から、滋賀県東近江市の金念寺ホールにて「自由民主党憲法改正案批判!-立憲主義の危機・国民主権の危機―」が行われた。近藤公人弁護士は、憲法成立の過程を解説した上で、自民党の改正案の問題点を提示した。
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自民党による憲法改正案を、「立憲主義、国民主義の危機である」と指摘する近藤弁護士は、憲法の歴史を解説する中で、個人の尊厳の理念を根底におく人権保障の体系が作られ、近代立憲主義が成立した流れについて語った。その上で、「国家権力を制限するために、統治機構が存在する。国家権力は、憲法を尊重するべきである」と述べた。
続いて、自民党の改正案は、立憲主義の考え方に反するものであると説明し、「自民党は、現行憲法がGHQによるものであり、日本国民の自由な意志が反映されていないと説明しているが、GHQ案がそのまま通ったわけではない。当時の社会党では、ワイマール憲法的な憲法について議論がされている」と述べ、GHQ案をそのまま受け入れたわけではなく、衆議院で十分な議論がされた上で、現行憲法が成立している点を指摘した。
また、自民党の改正案の中で、平和主義はユートピア的発想であるとする点、天皇元首を明記している点を問題視し、「天皇元首はまぎれもない事実、と説明しているが、学会的にあり得ないことである。元首は実質、国家を代表するもので、通説的には内閣総理大臣である。自民案は、天皇を一段上の存在に上げて、天皇制の国家に戻そうという意図があるのではないか」と述べた。
次に、改正案が、国際社会の平和安全のために、自衛隊を海外派遣することを憲法上で認めている点、治安維持名目で、市民集会の弾圧も可能になってくる点を説明し、「自民案では、徴兵制も念頭に置いている。領土保全について、抽象的な規定だったものが、『国民と協力して』領土を守ることを規定している。国民に対して、このような義務を課すこと自体が、そもそも近代立憲主義には合わない規定である。また、表現、結社の自由が、相当狭められるだろう」と危惧した。
憲法96条に規定されている、憲法改正要件を、総議員の2/3以上の賛成から、過半数以上の賛成に改めようとしている点については、他国の改正要件を示しながら、「自民党案では、時の権力者の思うままに憲法を変えることが可能になる」と問題視した。その上で、「権利ばかりで(国民の)義務が少ないから、日本が駄目になったと主張し、改憲論を声高に唱える一部の国会議員は、明治の指導者に比べて、憲法の意味を理解していない」と述べ、改憲阻止の可能性として、反原発運動などの経験を活かした世論の形成が重要であるとした。