2013年4月18日（木）18時30分より、東京都江東区の亀戸文化センターで、「『2.9 竪川弾圧』への抗議行動と報告集会」が行われた。同日、東京地裁より、被告人の園良太氏へ「執行猶予3年、懲役1年」の判決が下された。事件の発端は、2012年2月8日、江東区が行政代執行によって、竪川河川敷公園の野宿者の小屋を強制撤去したこと。それに対して、翌9日、園氏らは江東区庁舎で抗議活動を行なった。その際、抗議途中に、江東区職員が強制退去命令を読み上げ、抗議活動者たちを庁舎外へ退去させた。その後も抗議活動は続いたが、園氏は区役所のガラスを割ってしまい、その場で現行犯逮捕された。のちに園氏は「ガラスを割ろうという意思は、微塵もなかった」と話している。

• 日時 2013年4月18日（木）18：30～
• 場所 亀戸文化センター（東京都江東区）
• 主催 2．9竪川弾圧救援会（詳細）

　報告集会では、はじめに園氏が登壇し、「１年2ヶ月ぶりに保釈条件を得て、今日は、抗議活動に参加してきた」と声を上げると、会場から拍手が起こった。「実務的なことは、あとで弁護士から報告があると思うが、法廷は、野宿者たちが生まれる実情や、根本的な社会の病巣には触れず、『役所で声を上げたのは、威力業務妨害にあたり、有罪』とだけ言って切り捨てた。また、関西でも、反原発運動に対して理不尽な逮捕が起こっている。人権を抑圧するこの傾向は、変えていかなくてはならない」と主張した。

　園氏は「４ヶ月間収監され、独房に入れられ、接見禁止など、どれだけつらい代償を受けたか。裁判所も検察も一体化し、（彼らの見立てを）追認していく。また、今年1月、沖縄県全市町村長と国会議員、県議会議員が、首相官邸と議員会館で直訴行動をし、それに対してチャンネル桜や右翼団体が、差別発言やヘイトスピーチなどで対抗した。しかし、警察は右翼勢力を取り締まらず、抗議の声を上げた自分は、逆に袋叩きにされた。それに対しても、4月６日に麹町警察署員が家に押し掛け、私に任意出頭を求めてきた」と語った。

　続けて、「警察は（国や行政に対し）反対運動をする人たちを、いつでも不当逮捕し、あらゆる手段を使って弾圧を加えることができる。竪川の現場も、日々、行政から圧力が加えられている。今回は不当判決を受けたが、いろいろな人に出会い、助けられてきた」と述べた。

　次に、竪川の野宿者たちが、この事件について、「弱い者いじめだ」「検察、裁判、警察もグル」「行政側は住民に説明などせず、一方的に公園整備や、便所の夜間使用禁止などを行い、野宿者への弾圧を続けている」と、ひと言ずつ話した。

　今回、園氏の弁護団をつとめた、大口昭彦弁護士、上杉崇子弁護士が来場した。上杉氏は「判決は、検察の求刑通りの執行猶予3年、懲役１年が下された。判決文は、検察の言い分を写したようなものだった。この事件は、野宿者への弾圧だ、ということを訴えてきたにもかかわらず、それは背景にされて語られることがなく、非常に残念だった。罪状は威力業務妨害なのだが、裁判長の言うことは、わけがわからない状態だった。しかし、この事件をアピールできたことについては、納得したい。引き続き、良い結果を求めて上告し、戦っていきたい」と報告した。

　次に、大口氏が「裁判長は、小さな声で早口で、話は不明瞭だった。判決文だが、刑事事件については、判決状がないことが多い。そのため、法廷での発言と、のちに提出される判決文の内容が違うこともある。昔は、判決文において、証拠の評価を書いていた。しかし、それもなくなった。今は、結論だけのおおざっぱなシステムになってしまった」と話した。その上で、「今回の裁判は、ナンセンスきわまりない。区の職員が、園氏の行為によって仕事ができないと訴え、警備計画を立てて捕まえたという不当逮捕で、内容はボロボロの裁判だ。控訴審において（不当な部分を）徹底的に突いていきたい。憲法15条にもあるように、公務員は公僕である。威張りくさって、住民を頭ごなしに支配したり、恫喝するなどは、許されるべきではない」と語った。報告終了後は歓談会に移り、おのおの参加者たちが、感想や心情を話した。