猪瀬都知事、新大久保での差別的デモ「傷害をおこさなければ合法」という見解―猪瀬直樹東京都知事 定例記者会見 2013.3.29

記事公開日:2013.3.29取材地: 動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(IWJテキストスタッフ・小山内/澤邉)

 2013年3月29日(金)15時から、東京都新宿区の東京都庁で「猪瀬直樹東京都知事 定例記者会見」が開かれた。

 猪瀬知事は、新大久保での民族差別デモに関して「注意深く見守る」との見解を示したほか、地球温暖化対策が期限切れを迎えて原発再稼働が検討されている点についても言及した。

 

■全編動画

 冒頭で、猪瀬知事は東京都顧問に元慶應義塾大学の塾長である鳥居泰彦氏を任命することを発表した。次に、前日の東京都議会で、全日本選抜柔道選手権10連覇など『女三四郎』と呼ばれた山口香氏を都教育委員に選任することが決まったことも明かした。

 また、4月14日から19日まで米国・ニューヨークを訪問し、マイケル・ブルームバーグ市長と会談するほかに、都市交通政策やエネルギー政策に関する行政視察も予定していると報告した。

 質疑応答では、「石原慎太郎前知事が選任した東京都の参与は、年度末の3月31日をもって退くのか」という質問が出た。それに対して猪瀬知事は、「また任につく人もいるかもしれないが、とりあえずは期限が切れたということ」と答えた。

 新大久保で「在日特権を許さない市民の会」(在特会)によって主催される在日コリアン排斥街宣デモが行われている件については、「品がない表現ですね」と答えたが、「デモは届けを出して手続きをすれば、できることはできる。人を傷つけたりしなければ、とりあえずは合法活動ということになる」とも語った。

 「一部の国会議員が、民族差別デモを許可しないように、都の公安委員会に要請しているが、知事として何か対策をとらないのか」という問いには、「対策というのは法律に基づいていないとできない」と明言を避けた。さらに、「公安委員会は都の管轄だと思うが」と切り込まれると、「それは公安委員会が判断しなければいけない問題」と述べるにとどまった。

 八ツ場ダムに関する都の支出は違法だとする住民訴訟で、住民側が敗訴となった判決の感想を問われると、「八ツ場ダム建設は3年ぐらい止まった。できるだけお金をかけずに、早く水がめをちゃんと造るなら造ればいいと思う」とコメント。その上で「現地もよく知らない、そして地元の知事や議会とも話をすることなく、止めると決めた当時の前原大臣(国土交通相)に問題があると思う」と評した。

 続けて、「八ツ場ダム事業は都にとって必要な事業だと考えているか」という問いかけには、「基本的に、東京都はこれまで事業に対してお金を出してきた。それは、東京都だけではなくて、埼玉県や地元の群馬県、いろいろな形で事業を進めてきた。だから、その事業が再開されるということは、これから国がきちんとやらなければいけないと思う」と口にした。

 「卒業式での君が代斉唱で、職務命令に従わなかった教職員への懲戒処分はどのようなあり方が適切か」と質問されると「『全員起立』というときに座っている。これはおかしい。まず基本的なルールがわからない人は不適格」としながらも、「起立して口パクをしていればいい」とも述べた。

 また、「戒告を超える減給以上の処分は慎重であるべきだ」という最高裁の判決が出ていることに関しては、「そんなことは、はっきり言ってどうでもいい」と一蹴。記者が「処分の重みは戒告であろうと減給であろうと停職であろうと、そこは大した話ではないということか」と問いただすと、「明日から解雇だといっているわけではないから、大した話ではないでしょう」と答えた。

 4月1日をもって地球温暖化対策推進法(温対法)に基づき進めてきた二酸化炭素などの削減計画が期限切れを迎え、原発の再稼働も検討しなくてはいけないという話が出ていることについて見解を求められると、「原発を再稼働するかどうかは原子力規制委員会が決めることなので、国の政策として決めることに提言をする気はない。しかし、東京電力管内の東京は、すでに脱原発状態になっている」と返答。

 さらに、東京電力の計画として、今年の4月から柏崎刈羽原発を再稼働することが示されていた点に触れ、「稼働する見通しは立っていないので、見通しのないところで話をすることはできない。どのような状態になったらどういう条件で稼働するかは僕にはわからない。国自体もまだ、そのための条件や基準についての結論を出していない」と付け加えた。

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です