2013年3月27日(水)14時から、神奈川県横浜市中区の神奈川県庁で「黒岩祐治神奈川県知事 定例記者会見」が開かれた。黒岩知事は、民間人材や女性職員の積極的な登用を特色とした平成25年度の人事異動を発表したほか、被災地の漁網受け入れをめぐる問題にも言及し、「私の気持ちは全く変わっていない」と受け入れへの姿勢を改めて示した。
2013年3月27日(水)14時から、神奈川県横浜市中区の神奈川県庁で「黒岩祐治神奈川県知事 定例記者会見」が開かれた。黒岩知事は、民間人材や女性職員の積極的な登用を特色とした平成25年度の人事異動を発表したほか、被災地の漁網受け入れをめぐる問題にも言及し、「私の気持ちは全く変わっていない」と受け入れへの姿勢を改めて示した。
■全編動画
冒頭で、黒岩知事は人事異動の概要について、「県内経済の活性化や次世代育成などに対応するため、本庁機関の再編を実施して適材を配置する」と話して、全任命権者合計で3898人の人事異動が行われることを明かした。また、民間から日本銀行金融機構局総務課国際信用政策グループ長の竹本治氏を政策局参事監に迎えることも発表した。
次に、2012年9月の緊急財政対策本部調査会からの最終意見に基づき、庁内で検討していた各所属の運営状況を示す「会計の見える化」と県民利用施設の状況を示す「県民利用施設の見える化」の内容がまとまり、平成25年度から実施することを報告した。
続けて、平成24年度に実施した6件のリバースオークションの試行結果に関して、削減額合計が約4億6900万円(削減率約20%)になったことも説明した。そして、認知症患者の介護をめぐり、かかりつけ医、専門医療機関、介護サービス事業者などが連携するために、必要な情報の共有ツールとして「よりそいノート」を作成して、4月1日から運用することも発表した。
質疑応答に入ると、「日銀の竹本氏の採用によって、どういう分野のてこ入れを図りたいのか」という質問が出た。黒岩知事は竹本氏について「世界の経済、金融情勢に精通するとともに、高い情報収集能力、分析力、語学力、国内外における幅広い人的ネットワークを有している」と評し、「経済のエンジンを回すための具体策を期待している」とコメントした。
「さがみ縦貫道路」の開通における期待と課題を尋ねられると、「寒川の方から関越に入るまで、今のままでいくと3000円ぐらいかかる」と利用料金の高さを課題に挙げ、「2000円くらいになるように国に何度も陳情に行っている」ことも明かした。
また、「圏央道がつながったときに、千葉県は企業誘致を積極的に行っている。道路がつながったら人やものがこちらに来るかといったら、下手をすると逆になる」と口にした。その上で、「さがみ縦貫道路」を中心としたエリア(さがみロボット産業特区)が、2月に地域活性化総合特区に指定された点に触れ、「本当に大きなこと。『さがみ縦貫道路』の開通をきっかけにして、経済のエンジンが回っていくことにつなげていきたい」と語った。
被災地の漁網の受け入れに関して、現在の思いと今後の見通しを聞かれると「残念ながら、今の時点では地元の理解を得られていない」としながらも、「全く諦めてはいない」と明言。「神奈川が被災地のがれきを受け入れない、拒否した歴史だけは残したくない思いが強くある」と述べ、漁網受け入れに引き続き意欲を見せた。続けて、「地元の漁業組合の皆さんが、『同じ海で生活する者として、やはり漁網は受け入れよう』という声も出してくれた」と強調。さらに、「県議会、地元の横須賀市長、横須賀市議会も受け入れたいと言ってくれている。何としても諦めないで『受け入れた』という結果を残せるように、さらに頑張っていきたい」と付け加えた。そこで、記者から「県議会や市議会、漁協の方から要請という文書も手渡されている中で、政治判断もできる時期になっているが」と問われると、「地元とは協定書がある。協定書を超えた政治判断は、やはりできない。だから、協定書に基づいた形での合意点を探ることに全力を注ぎ続けるしかない」と答えた。
「4月に全国知事会の会長選が予定されているが、何か考えはあるのか」という問いには、「もし(埼玉県の)上田知事が出馬するなら、支援はしたいと思う」と回答した。記者が「それは同じ関東の仲間としてか」と投げかけると、「そうだ。神奈川と埼玉は、問題意識を共有するところもたくさんある。臨時財政対策債という、交付税の代わりに借金を押し付けられる問題が深刻な課題となっているのは、埼玉や神奈川だ」という理由も明かした。