「1票の格差」訴訟・弁護士グループによる大阪高裁判決後の記者会見 2013.3.26

記事公開日:2013.3.26取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・久保元)

 「わが国の有史以来初の、歴史的判決が出た。今日は『国民主権国家建国の日』といえる」と記者会見で語ったのは、昨年暮れに行われた衆院選での最大2.43倍の「1票の格差」は違憲であるとして提訴した弁護士グループを主導する升永英俊弁護士だ。

 前日(2013年3月25日)の広島高裁での「違憲・選挙無効」という史上初の踏み込んだ判決に続き、翌26日午前には広島高裁岡山支部で、判決の効力発生を猶予しない形での「違憲・選挙無効」という、より厳しい判決が下された。

 さらに26日午後には大阪高裁でも「違憲」との判決が出たことを受けて、15時50分から、大阪高裁内にある大阪司法記者クラブにおいて、提訴した弁護士グループによる記者会見が開かれた。

■全編動画(17:50~ 48分間)

  • 日時 2013年3月26日(火)
  • 場所 大阪司法記者クラブ(大阪府大阪市)

 会見の冒頭、広島高裁岡山支部での、判決の効力発生を猶予しない形での「違憲・選挙無効」という判決について、升永弁護士が「国会議員が主権者なのではなく、憲法が定める通り『国民が主権者である』という我々の主張が100%採用され、判決が下された」と高く評価した。さらに、「我が国の有史は、まだ1450年であるが、それ以来、『我々国民が主権者である』という仕組みを一度も経験していない。今回の広島高裁岡山支部の判決は、国民が主権者だと認める画期的なもの。今日は『国民主権国家建国の日』といえる」と絶賛した。

 一方、大阪高裁が、「違憲」という判断はしたものの、「選挙無効」とまで踏み込まなかったことについて、升永弁護士は「人口比例選挙の必要性に踏み込むのが不十分だったといえるが、だからといって意義に乏しい判決だとは思っていない。それどころか、歴史的判決だと考えている」と一定の評価を示した。

 「1票の格差」をめぐる一連の訴訟では、3月6日から26日までのわずか20日間で15件(小選挙区のみ)の判決が下り、このうち「違憲・選挙無効」判決が2件、「違憲・違法」判決が11件、「違憲状態」判決が2件と、全ての高裁において違憲判決が出続けている。これについて、伊藤真弁護士は、「公職選挙法が定める『100日裁判』というルールによって迅速に判決が出ている。国会の怠慢を司法が断罪しているといえる」と述べた。また、「わが国は人口比例選挙になっておらず、国会議員主権国家になってしまっている。人口比例選挙によって国民主権国家にしなければならない」と語った。その上で、「0増5減は何の意味もない。21増21減や、4増4減という議論もあるが、いずれも人口比例になっておらず、1票の格差解消には全くつながらない」と批判した。

 今後の裁判の行方については、升永弁護士が「最高裁が違憲判決を下した瞬間、国会議員は『国会議員』ではなく、まさしく『違憲国会議員』になる」と皮肉った上で、「国による不作為が放置されていることに対する、国家賠償訴訟が多発するだろう」との見解を示した。

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