2013年3月15日(金)15時から、東京都新宿区の東京都庁で「猪瀬直樹東京都知事 定例記者会見」が開かれた。猪瀬知事は、都営水力発電所で発電する電気の売却先が決まったことを発表した。また、東京電力からは、電力需給に関する基本契約については「解約する方向で理解を得られた」として、要求されていた約52億円の解約金については「真摯に話し合って解決を図っていくことができる」と説明した。
(IWJテキストスタッフ・中川/澤邉)
2013年3月15日(金)15時から、東京都新宿区の東京都庁で「猪瀬直樹東京都知事 定例記者会見」が開かれた。猪瀬知事は、都営水力発電所で発電する電気の売却先が決まったことを発表した。また、東京電力からは、電力需給に関する基本契約については「解約する方向で理解を得られた」として、要求されていた約52億円の解約金については「真摯に話し合って解決を図っていくことができる」と説明した。
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最初に、猪瀬知事は、交通局が運営する水力発電所(多摩川第一発電所、多摩川第三発電所、白丸発電所)で発電する電気の売却先を公募した結果、東京電力を含む9社からの入札があり、新電力(特定規模電気事業者)の株式会社エフパワーと売電契約を結ぶことを報告した。契約は平成25年4月1日から平成27年3月31日までの2年間となり、売却単価は1キロワット時あたり14.5円(税抜き)で年間の電力料収入は約17億円となる。「これまでの(電力料収入)実績は約10億円、単価9円ぐらいだったから、競争入札で高く売ることができるようになった」と述べた。また、「東京電力との間で電力システム改革や電力自由化に向けて協力していく点を改めて確認した」と付け加えた。
質疑応答では、「都と東京電力との契約解除に伴う費用負担は場合によってはあるという認識か」と尋ねられ、「合理的なものであれば協議に応じていく」と回答した。続けて、「協議の場は法的な場所を用意するのか」と問われると、「52億円という法外な解約金を取ることは、大変不手際であったと東電側も認めている。したがって、協議に応じていくことで、合理的な解決策を考えればいいのではないか」と口にした。
「廣瀬社長は以前に猪瀬知事と面談をしたが、その後、今日までの間に直接協議をしていたのか」という質問には、「いろいろなレベルで協議があり、ホットラインで廣瀬社長とも話をした」と説明。その上で、「52億円の解約金を要求するのは本意ではなかったということで、これからはきちんと協議していこう」と廣瀬社長から伝えられたことを明かした。
「日本維新の会とみんなの党が都議選に向けて発表した共通政策の中で、『すべての公営企業の民営化』と『外郭団体の統廃合を進める』という項目が盛り込まれている。行政改革を熱心にやってきた知事にとっては親和性も高いと思うが」と尋ねられると、「大阪市営地下鉄は、非常にいろいろな面で問題があった。そういうことで民営化の問題が出てきたと思う。全体として民でできるものは民でやり、そして官民が連携しなければいけないものは官民が連携して行う」とコメントした。
そして、「利用者のために公共交通機関があるわけだから、高齢化社会に応じてバリアフリーがあったり、あるいは(東急東横線と東京メトロ副都心線の)相互直通運転ができたりすれば、体の不自由な人も乗りかえが楽だし、そういう意味で、利用者のほうを向いているかどうかが(民営化を検討する)1つの判断基準になると思う」と言及した。さらに、「今回の東京の水力発電も競争入札にした。誰が利益を得るかといえば、利用者が利益を得る。利用者本位に改革を進めることが大切だ」と付け加えた。
「大阪では市営バスの民営化の議論も進んでいるが、東京都営バスの民営化についてはどのように考えているか」と問われると、「今はその考えはない」と返答。その理由に関しては「大阪市バスはかなりいろいろな問題があった。年収1400万円以上の職員が何人もいるなどの問題があった。入れ墨をした人もいた。東京と大阪はそのまま比べられない」と話した。その一方で「いずれ、全体の総合交通体系を見直していくときに、考えなければいけない問題だろう」と将来的な民営化の動きに含みをもたせた。