民意と乖離した「異様な」選挙結果
2012年12月16日、衆議院議員総選挙の投開票が行われ、自民党が単独過半数を得て、第一党に返り咲いた。民主党は議席を230から57に大幅に減らし、約3年半におよぶ民主党政権は、その幕を下ろした。大手メディアは、一斉に「自民党圧勝」の報を出し、話題は今後の政策と、閣僚・党役員人事へと移っている。
しかし、本当に自民党は「圧勝」したのだろうか? 各種データをみてみると、今回の投票結果が、必ずしも民意を反映したものではない「異様」な選挙だったことが浮き彫りになってくる。
まず第一の「異様」さとして、今回の衆院選は、投票率が小選挙区で59.32%と、前回(2009年)の衆院選より10ポイントも減り、戦後最低であった点があげられる。その理由として、原発、TPP、震災復興、経済政策、消費税など、争点が分散化したこと、政党が過去最多の12党が乱立したことなどが理由として挙げられてはいる。
【参考画像】http://j.mp/Wprw6R
しかし、こうした分析は少しおかしい。3.11の東日本大震災以降、初めての総選挙であり、増税法案が可決された直後の選挙であったことを考えると、これは不可解という他はない。原発の維持・推進に賛成か反対か、増税に賛成か反対か、本来は対立軸が鮮明であったはずの選挙なのである。
有権者の関心が低かったとしたら、むしろそのことのほうが驚きである。新聞とテレビの大メディアが、政策に相違点のほどんどない自民と民主と維新だけを繰り返し取り上げ、明白に脱原発・反増税を訴えている中道リベラル諸政党を黙殺するネグレクト報道を続けなかったら、「どこにも投票するところがない」と言って、シラケ顔で棄権してしまう有権者の数は、これほどまで多くはなかったであろう。
(続く)
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