2012年2月16日(木)、東京電力本社で、記者会見(11:00~、0:52′)が行われた。
保安院より、温度上昇に係る報告徴収に関する報告書を昨日23:50に提出した。既設温度計も劣化していくため、代替温度計の設置を検討していることを発表した。また、作業員1名に顔面に放射性物質が付着する身体汚染が発生、WBCで内部取り込みは無いと判断した。
(IWJ・原)
2012年2月16日(木)、東京電力本社で、記者会見(11:00~、0:52′)が行われた。
保安院より、温度上昇に係る報告徴収に関する報告書を昨日23:50に提出した。既設温度計も劣化していくため、代替温度計の設置を検討していることを発表した。また、作業員1名に顔面に放射性物質が付着する身体汚染が発生、WBCで内部取り込みは無いと判断した。
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2号機圧力容器底部の温度上昇原因を「温度計の故障」とする報告書を15日夜、保安院に提出した東電。翌日午前の会見で、報告書の中身についての発表が行われた。
保安院に提出した報告書は、原因究明の再現実験を行った内容。
温度計(H1)の不具合の可能性が高いと、13日、直流抵抗測定等の方法で健全性確認を行った結果、340℃の温度を指示。直流抵抗値の結果を踏まえ、H1は断線状態に達したものと判断。
H1は保安規定138条に定められた原子力底部温度の監視対象から除外すると発表した。
2月15日に測った抵抗値は、500Ω(通常180~250Ω)と高かったため、断線しかかっているのではないかという前提に基づき、熱電対に可変抵抗を装着し、抵抗値を変更することで、ハンチングや温度上昇が見られるのか。そして、海水に被覆を剥いた状態で漬けたらどういった変化が表れるのかという確認を実験した。
その結果、ハンチングは確認され、抵抗値を8kΩにした場合、ハンチング後、温度上昇傾向がみられたという。また、塩分を含んだ水にリードを付けると抵抗値が下がるということがわかった。以上のことから、H1の故障という結論を出した。が、実験の精度は不明。8kΩで行った実験も、実際の値である500Ωでは実験を行っておらず、今後、行う予定もない。現状の状態で断線傾向でどのような動きをするかはわかっていない。今回の実験は、H1に見られる故障は、どのような条件で起こりうるのか、という確認であると言える。
海水にリードを漬けると抵抗値が下がる件については、事故直後、海水を注入していた時期とは違い、現在は淡水の注入を行なっているため、何故、今になって故障に至ったか原因は不明のまま。
温度計の代替設置は、1年以上はかかる中期的な課題となりそうだ。
海水に浸かると抵抗値の低下がみられ、実際よりも低い温度が表示される。
事故直後の海水注入によって、各温度計の示す値を±20℃の誤差としているが、これも根拠のある数字ではない以上、温度計の全体的な信頼性は曖昧であり、実際の温度の確認は困難である。冷温停止状態であるとする根拠そのものが乏しいが、冷温停止状態の定義の見直しは、保安院や国と協議をしていくという。科学的というよりも、政治的に状況を決定するようだ。