脚本アーカイブズ・シンポジウム「脚本アーカイブズは 「誰のため」「何のため」? ―『記憶』を『記録』し、構想する」 2013.2.14

記事公開日:2013.2.14取材地: 動画
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 2013年2月14日(木)、東京都千代田区の文部科学省で、脚本アーカイブズ・シンポジウム「脚本アーカイブズは 「誰のため」「何のため」? ―『記憶』を『記録』し、構想する」が行われた。

■ハイライト

  • 第1部 基調講演
    • 『脚本・台本とは』
      山田太一氏(脚本家・日本脚本アーカイブズ推進コンソーシアム代表理事)
    • 『文化リサイクル――“生産・消費”社会から、“循環再利用”社会へ』
      吉見俊哉氏(東京大学副学長)
  • 第2部 パネルディスカッション
    『脚本・台本は誰のもの――何のための脚本アーカイブズなのか』

    • 司会:吉見俊哉氏(東京大学副学長)
    • 総合司会:中江有里氏(女優・脚本家)
    • パネリスト:今野勉氏(放送人の会・代表幹事)、福井健策氏(弁護士)

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「脚本アーカイブズ・シンポジウム「脚本アーカイブズは 「誰のため」「何のため」? ―『記憶』を『記録』し、構想する」」への1件のフィードバック

  1. 榊原千鶴 より:

     脚本家・山田太一さんによる基調講演より。
     テレビ草創期から1980年代直前までの、約30年間の映像はほとんど残っていない。わずかに残っているのは脚本のみ。ビデオテープが高価で繰り返し使われたからでもあるが、そもそも「残そう」ということを考えなかった。記録として残すことの重要性に思い至る、つまり、新たな価値観に世の中が気付くためには時間がかかる。
     そして、時代や社会がかわると、面白いと感じる点もかわる。その時代にしか表現できなかったものが、そこにある。価値は刻々と変化する。だから現代に生きる私たちが、いまの判断だけでものごとを選別してはいけない。
     スタジオジブリ発行の小冊子『熱風』に、元野球選手の落合博満さんが書いていた。監督就任当初の指導法を、世間は落合独自のものだと評したが、そうではない。過去の監督たちが行った指導法を調べ、自分と波長の合う人のやったことを真似ただけ。人は、前ばかりを見ようとする。人の真似をしないように、独創性がたいせつだと言う。けれどそれができる人は稀だ。過去の財産を参照することで、新しいものを生み出すこともできる、と。慧眼だと思う。 
     ただし、文化は戦時には身を潜める。そして人間は戦争を繰り返す。だからこそ、多少余裕のある平和なときに、文化財としての脚本を収集し、人々がたやすく参照できる構造で保存する、そうしたシステムの構築が重要だ。残されたものは、次の世代と手を繋ぐよすがとなるものだから。
     テレビドラマの映像と脚本を軸に、先人の営みに学ぶことの重要性を指摘する山田さん。視聴するうちに、山田ドラマに夢中になり、脚本を買い求めてはお気に入りの台詞を繰り返し読んだ若き日を思い出した。IWJに新たなに創設された「文化」チャンネルのおかげである。IWJに感謝しつつ、今後の展開にも、思いっきり期待している。

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