2013年2月1日（金）15時から、東京都新宿区の東京都庁で「猪瀬直樹東京都知事 定例記者会見」が開かれた。猪瀬知事は、日本女子柔道・園田隆二監督らの暴力事件について「非常に不愉快」と述べた上で、「2020年東京オリンピックは、こういう不祥事をなくすことを前提に、スポーツは文化であるということを目指すため、その目標に向かって進んでいる」と語った。

• 日時 2013年2月1日（金）15：00～
• 場所 東京都庁（東京都新宿区）

　冒頭、猪瀬知事は女子柔道の暴力問題に触れ、「オリンピック憲章でも、スポーツにおいては、暴力は許されないと明確に謳われている。JOCの強化本部長である上村春樹氏が強化本部長を辞めることになったが、当然のこと」と語気を強めた。また、「こういう問題がこの時点で出てくるというのは、誠に情けない状態だと思う」とコメント。さらに、「各競技団体は、暴力行為の有無に関する実態調査を行い、しかるべき対策を講じて暴力の根絶を図っていただきたい」と訴えた。

　次に、2018年秋に開催予定の、国際水協会世界会議の開催都市に、東京都が立候補したことを発表。猪瀬知事は2020年オリンピック・パラリンピック開催地が9月7日にブエノスアイレスで決定することに触れた上で、「国際水協会世界会議は、その1週間後の9月14日にイスタンブールで決まる」と説明した。さらに、東京水道の海外展開などを考えていることを明かし、「官民連携の国際貢献ビジネスを一層加速させる絶好の機会となり、東京の観光産業の振興にも寄与することになる」との期待を口にした。

　そして、「スパークス・グリーンインフラ・ファンド」への投資案件が決まったことも報告した。投資先は、熊本県芦北町に新設する8000キロワットのメガソーラーであることを明かし、「今月に着工し、年末には電力供給が始まるという、非常に投資効果の高い事業である」と説明。さらに、「官民連携インフラファンドの投資は、都民の力と民間企業の力が全国の発電事業を育て、新電力の育成に貢献し、競争環境を作り出す。その結果として、都民生活を支えていくことになる」と話した。

　質疑応答に入ると、警視庁職員でもある女子柔道日本代表の園田隆二監督について、「パワハラにとどまらず、刑法犯に当たる可能性があるが、どう考えているか」との質問が出た。猪瀬知事は、警視庁警務部教養課の「事実関係を調査し、処分する必要があれば厳正に処分する」というコメントを読み上げ、「だが、彼は警察官というよりも、柔道の監督として全身全霊で仕事をしていたと思う」とだけ、答えた。

　続けて、「それが、五輪招致の活動に与える影響は少ないと考えているか」と聞かれると、「BBC放送では、日本のスポーツ全体に対しての指摘ではなく、ピンポイントで女子柔道の監督が暴力行為をした部分について指摘している。だから、招致活動そのものには関係ないと思う」と述べた。

　さらに、「スポーツ関係団体の暴力問題について、JOCに徹底した調査をしてもらいたいか」とか尋ねられると、「文化論としていい出したら切りがない。戦前も陸軍で、1年早く入っただけで、初年兵を殴ったりすることがあった。そういう習慣が、日本の文化の中に、間違った理解で残っていることもある。自分の優位性を非常に狭いところで得ようとする感覚は、日本社会に根強くあるのだろう。そういうところがスポーツの中にもあらわれたということだと思う」と述べた上で、「決して誇れることではない」と付け加えた。

　首都高速道路株式会社の菅原秀夫社長が、老朽化対策費の財源について2050年までの有料期間を延長する考えを示したことで、東京都としては財源をどのように工面するべきか、意見を求められると、「基本的には道路公団民営化で、返済期限をきちんと決めた。その基本的なスキームを壊すことはできない。ただし、その後、無料にするということは、維持管理費については徴収してもいいということでもある。要は建設費の償還は45年に終えるということ」と答えるに留まった。

　新藤義孝総務相が全国知事へ地方公務員の給与削減を要請したことに関しては、「東京は交付税をもらっていないが、学校の先生の給料については国庫補助金が3分の1入っているので、その分に響いてくる。しかし、東京都は学校の先生の給料を下げる措置はしない」と明言した。東京都の自前の財源で補てんするのかと問いただされると、「基本的にそういうことになる」と答えた上で、「一律に全国にそういう指示を出すことはいかがなものか」と評した。