7.21参院選の前に必読!「オール京都」と称して自民と非共産野党と財界が結束!? 共産候補を落とすために公明党と「裏取引」!? 野党共闘ができない京都の特殊事情! 2019.7.14

記事公開日:2019.7.14 テキスト
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(文:IWJ編集部)

 7月21日の投開票日にむけ、熱を帯びる参院選だが、京都選挙区では、野党共闘の足並みが揃わない状況が見られている。

 今回の参院選で、京都選挙区(改選数2)には、自民現職で、国民主権を否定する極右にして、熱心なMMT推進論者の西田昌司氏、日本共産党現職の倉林明子氏、立憲民主党新顔の増原裕子氏、「オリーブの木」新顔の三上隆氏、「NHKから国民を守る党」新顔の山田彰久氏の5人が立候補した。このうち、自民党の西田氏は公明党の推薦を受け、立憲の増原氏は国民民主党の支持と社民党府連合の推薦を得ており、事実上、自公・旧民進系・共産の三つ巴の構図となっている。

▲自民党 西田昌司候補(2013年7月18日、IWJ撮影)

自民出身地方自治体首長が立憲民主候補の演説会で反共意識むき出しの応援演説!さらに立憲民主党候補者の増原裕子氏も「反共演説」!

 京都において、共産党は府議会と市議会で共に自民に次ぐ第2党であり、強い支持基盤を持っている。それゆえに、「共産市政にしない」との旗印の下、自民、公明に旧民主系など非共産の野党は、経済界、連合などと共に「オール京都」と称して団結し、共産候補との地方選を戦ってきた。つまり京都では「共産党のみが野党」とも言える「特殊な事情」がある。

 京都府長岡京市議の小原明大氏(日本共産党)は、参院選序盤の7月9日、次のような連投ツイートをした。ツイートに出てくる安田守・向日(むこう)市長は、自民党京都府議から2015年に自民、公明、民主、社民の推薦で出馬して当選し、現在2期目。中小路健吾・長岡京市長は前原誠司氏の秘書から京都府議(民主党)を経て、2015年に市長選に出馬し初当選。2期目となる今年1月13日の市長選では、自民、立憲民主、国民民主、公明の推薦を得て再選を果たしている。

▲小原明大 長岡京市議(日本共産党)(日本共産党京都府委員会HPより)

 「安田守向日市長が、#長岡京市 での #増原裕子 演説会で『共産党を追い出してほしい。例えば中学校給食など自分がやったという。ウソばっかりつく。これがないあれが気に入らないと反対しておきながら最後に自分の手柄にする。どう見たって増原さんの方がいいんですから、必ず勝たせて』と反共演説」

▲安田守 向日市長(向日市HPより)

 「中小路健吾長岡京市長も、『6年前に共産に奪われた議席を取り戻す選挙』と。#長岡京市」

▲中小路健吾 長岡京市長(長岡京市HPより)

 「いや、どちらも多様性とか異なる考えを認め合うとかしゃべっています。まあ、どちらも自民にも立憲にも推されて共産党だけ野党の市長なので、立場上は理解できますが、異なる考え認め合うといいながら共産党ウソつき論なのでとってつけた感すごい」

 「ふつう演説会に呼ばれてしゃべるなら、候補者持ち上げをすると思うんですね。取ってつけたような反共演説(あとの多様性の話と反するような)は、頼まれたんじゃないのと邪推しちゃいます」

 さらに小原氏は、立憲民主党候補者の増原氏自身も「反共演説」を行っていたとの情報をツイートしている。増原氏は、先述の長岡京市での演説会で、「(自民の)西田さんの上に行きたい」と述べて野党共闘への配慮を見せたようだが、翌日7月9日の京丹後の演説会では、一転して「6年前に共産党に取られてしまったこの議席を取り戻して、政治に緊張感を取り戻したい、その責任感を持っています」と発言したという。

▲立憲民主党 増原裕子候補(立憲民主党HPより)

 「増原さんは『西田さんの上に行きたい』と配慮を見せたそうだが、かついでいる勢力が反共さえすればOKみたいな状況ではいけない。希望をもっと語り、安倍政権打倒とともに反共主義も乗り越えられる選挙に」

 「#増原ひろこ 候補、9日の京丹後の演説会では、『6年前に共産党に取られてしまったこの議席を取り戻して、政治に緊張感を取り戻したい、その責任感を持っています。2番目に滑り込ませて』1日で『西田さんに勝たせて』から後退。あれは長岡京市で野党共闘の前進を望む皆さんへのポーズやったのね」

 「定数2の難しさ。自力が2番目3番目であるならば、まずは2番目をめざすのは自然なこと。われわれだって、口に出さないけど同じことだ。でも出さないのが大事なんだ。長岡での演説、『西田に勝ちたい』のとき拍手があった。少なくない人が、よくぞ言ったと思ったんだ」

 「だから、『やっぱ立憲はダメ』とかを広げるんじゃなくて、『そうじゃないよ、あくまで自民をたおすと言ってこそ希望になるんだよ』と、みんなで言っていきましょう」

2013年の参院選では前原誠司氏が公明党に票を「おねだり」!? 今回公示直前には公明関係者が「残る1議席の行方を考える」と、公明票を他候補へふりわけることを示す発言!

 このように三つ巴となった京都選挙区の情勢について、2019年7月6日付の毎日新聞は、西田氏が「優位」、倉林氏と増原氏は「競る」と報じている。また、同日付の朝日新聞は、西田氏と倉林氏が「安定」、増原氏が「やや厳しい」と報じている。両紙とも西田氏が優勢であり、次いでやや倉林氏が増原氏をリードする形で競っているとの内容だ。

▲日本共産党 倉林明子候補(2019年5月19日、IWJ撮影)

 しかし、こうした情勢は決して確実なものとは言えない。6年前の2013年7月22日付の京都新聞によると、この年の参院選では、公明党支持者のうち、西田氏に投票した有権者が35.2%だったのに対し、実に38.9%もの有権者が民主党(当時)候補の北神圭朗氏に投票したことが明らかになっている。

 これは、自民の西田氏の当選は安泰とみた一部の公明党支持者が、残り1議席の行方を鑑みて、共産党候補の当選を阻止するため、旧民進党候補に投票したと見られている。

 しかもそこにはなんと、民主党と公明党の「裏取引」があったことが明らかになっている。2013年7月28日付のしんぶん赤旗は、「民主党は、京都出身の衆院議員・前原誠司元代表が同党候補応援に選挙期間中はりつく異例の体制で、京都での議席を守ろうと必死に。公明党・創価学会や自民党に『共産党を落とすために票を回して』と頼むという、有権者をないがしろにした“おねだり”作戦まで展開しました」「京都の民主党関係者は、『公明党からかなりの票を回してもらった』と認めた」と、報じている。

 今回の参院選でも、公示直前の今年6月30日付の毎日新聞が、「(西田氏が)安泰と見れば、残る1議席の行方を考えることもある」と、暗に「増原氏に票を回す」ことを示唆するような公明党関係者の発言を報じている。

 こうした公明党支持票の動きは、今回の参院選でも鍵を握っている。公明党の票が立憲民主党・国民民主党の統一候補である増原氏に流れれば、共産党の倉林氏が落選し議席を失うことは十分にあり得る。しかし、共産党は「野党共闘を壊す」との批判を避けるため、こうした現実を表立って批判することができない。

大阪では立憲民主、共産両候補を応援したれいわ新選組山本太郎代表が京都ではなぜか共産候補を応援しただけで帰京!?

 こうした京都の事情を考慮してか、れいわ新選組代表の山本太郎氏は、7月11日に大阪選挙区で立憲民主党の亀石倫子候補と共産党の辰巳孝太郎候補の応援演説を行ったが、12日の京都では倉林候補の応援演説後すぐに新幹線に乗り、帰京した。

▲共産党・倉林明子氏とれいわ新選組・山本太郎氏(2019年7月12日、IWJ撮影)

 

福山哲郎立憲民主党幹事長が「共産党に議席を渡さない!」と選挙カーで叫んでいる!?

 一方、山本氏が倉林候補の応援演説をしているまさにその時、京都府内選出で立憲民主党の幹事長をつとめる福山哲郎参議院議員が「反共演説」をしていたとの情報を、京都府会議員の光永敦彦議員(共産党)がツイートしている。

 「12日午前11時25分頃。熊野交差点に立憲民主党政党カーと思われる車から『共産党に議席を渡さない!。私、福山哲郎がマイクを握っております』」

▲立憲民主党増原裕子候補(左)、枝野幸男代表(中)、福山哲郎幹事長(右)(2018年12月16日、IWJ撮影)

 福山幹事長、そして地方自治体首長らの演説からは、まるで自民党か公明党の議員の演説であるかのような共産党への敵意が見て取れる。道理も何もあったものではない。自民党の西田氏は、過去に「国民に主権があるなんておかしい」と発言したことで物議を醸した人物である。野党にとっての今回の参院選の最大の争点は、自民党が行ってきた民主主義や憲法、そして国民の生活の破壊を食い止めることではないのか。そのための野党共闘ではなかったのではないか。

 自民党の西田氏を批判せず、共闘を誓った共産党の候補である倉林氏に対して反共演説を行う京都での立憲民主党の福山幹事長の姿勢は、果たして京都における「特殊な事情」というだけでごまかし続けて良いのであろうか。

 立憲民主党幹事長の福山幹事長に加えて、同じく京都府内選出である国民民主党府連会長をつとめる前原誠司衆議院議員からも、共産党との共闘を忌避するかのような言動がしばしばうかがえる。福山氏、前原氏の反共産の姿勢については、以下の記事もあわせてご覧いただきたい。

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「7.21参院選の前に必読!「オール京都」と称して自民と非共産野党と財界が結束!? 共産候補を落とすために公明党と「裏取引」!? 野党共闘ができない京都の特殊事情!」への1件のフィードバック

  1. 志田 匠 より:

    自公枠の候補者が強大だから、共産系追い落とせ? 西田昌司氏個人だってツッコミ所満載
    なのに本末転倒も甚だしいですな。小原明大氏のtwitterには応援メッセージを残してきました。

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