2012年12月12日(水)14時から、東京都港区の原子力規制庁で、原子力規制委員会の田中俊一委員長による定例会見が行われた。質疑応答では、福井県にある敦賀原子力発電所2号機の直下に活断層が走っている公算が大きいとの調査結果を、規制委員会が発表した点に、記者の関心が集まった。
(IWJテキストスタッフ・富田/奥松)
2012年12月12日(水)14時から、東京都港区の原子力規制庁で、原子力規制委員会の田中俊一委員長による定例会見が行われた。質疑応答では、福井県にある敦賀原子力発電所2号機の直下に活断層が走っている公算が大きいとの調査結果を、規制委員会が発表した点に、記者の関心が集まった。
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再稼動が難しくなった敦賀2号機を抱える日本原子力発電に対し、規制委員会がどれだけの権限を持てるのかについて、記者から質問された田中委員長は、「廃炉という判断を出すつもりはない」と述べながらも、「再稼動の正否については、判断する」と強調した。判断を下す時期としては、「新安全基準が決まる、来年7月以降」を挙げ、「条件が満たされていなければ、再稼動を認めないという判断を下す」と語った。
「規制委員会が廃炉の判断を出さないのなら、いつまでも運転をしない原子炉が残ることになるが」との記者の指摘に、田中委員長は「どこまで踏み込むかは、今後、詰めていく」とした上で、「仮に活断層があって、運転が認められない場合は、必要なことは求めていく」と回答。ただし「廃炉にするかしないかは、財産処分の問題でもあり、われわれが判断することではない」とも述べ、委員会は事業者に廃炉を命令しないことを再び示した。
これに対し同じ記者から、「運転はしなくても、原子炉の中に燃料棒があり続けるという危険な状態がある場合、規制委員会が事業者に対し、そういうリスクを取り除くように、指示や命令を下すようになるのか」と質問されると、田中委員長は「そういう判断は、しなければいけないと思う」と応じた。
日本原電が11日に、断層の活動性を指摘した規制委員会に、その判断の根拠を問う公開質問状を出したことに関して、田中委員長は「科学的な面については、可能な限り納得してもらえる答え方をするが、いわゆるクエスチョン・アンド・アンサーという形での回答はしない」と発言した。
また、田中委員長は「規制委員会では、1号機に関する議論は行われていない」とし、設置許可申請済みの敦賀原発3、4号機の扱いについては、「現時点では決めていないが、今回の調査結果を見れば、もう少しきちんと活断層の調査を行う必要がある」との考えを示した。