特集記事：衆議院解散前夜 ～11月15日（木）永田町は一気に政局へ突入した 2012.11.15
野田総理は11月14日（水）、自民党安倍総裁との党首討論で、「次期通常国会で衆議院の定数削減を必ずやると決断してもらえるなら、12月16日に（衆議院を）解散してもいい」と表明した。14日夜、政府・民主三役会議で、12月4日公示、12月16日投開票とする選挙日程が決定。2009年8月以来となる衆院選が行われることになった。
明けて11月15日（木）、解散を明日に控え、国会議員の離党や他会派同士の合流が相次ぎ、また「TPP交渉参加」を争点化に反対するJAの抗議行動などで、永田町は騒然となった。IWJはスタッフ総動員で永田町に常駐し、可能な限りその動きを追いかけ、取材・中継した。
【11月15日（木）、11時30分】
一気に政局モードが加速するなか、国会議事堂からほど近い憲政記念館では、超党派議員らによる「11月東アジアサミットでのTPP交渉参加表明を阻止する超党派議員・国民集会」が行なわれた。総選挙を、国民的議論がまだ進んでいない「TPP交渉参加の是非」を決定する場にしてはならないと、多くの議員・有識者が集まった。
「TPPを考える国民会議」副代表世話人の山田正彦元農水相は会議冒頭、「今の民主党とはもうやっていけないと覚悟している」と述べ、また鳩山由紀夫元首相も演台に立ち、「日本はアメリカに対して独立国でなければならない。今日は覚悟してここに来た」と熱く語った。
■11月東アジアサミットでのTPP交渉参加表明を阻止する超党派議員・国民集会
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【14時38分】
「TPP反対」の声が高まる中、読売新聞が14時38分に配信した記事により、関係者のあいだに衝撃が走った。「野田首相がこの日、東アジアサミット出席のため訪れるカンボジアで、再選を果たしたばかりのオバマ米大統領と会談し、（12月16日の総選挙の投開票を待たずして）TPPの交渉参加に前向きな考えを伝える方針を固めた」と報じたのだ。
【15時】
TPP争点化の動きがめまぐるしい中、政局も佳境を迎えた。いわゆる「第3極」を中心に、離党と合流が相次いだ。15時、「みどりの風」結党会見と、「太陽の党・減税日本」の合流会見が同時に行なわれた。
参議院議員会館で行なわれた、「みどりの風」の会見では冒頭、野田首相の解散表明を受け、民主党に離党届を提出した山崎誠衆議院議員が合流し、結党要件である5名になり、総務省に結党届けを提出したことが発表された。
次の衆議院議員総選挙に向けては、同党の亀井亜紀子議員が「出来るだけ早く政権公約をつくる」と述べ、具体的な中身については「TPP反対を明確にする」と述べた。
■みどりの風 結党会見 ハイライト
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永田町から近い全日空ホテルでは、石原慎太郎氏率いる「太陽の党」と、河村隆氏率いる「減税日本」の、合流会見が行なわれた。石原氏は、太陽の党を解党し、橋下徹氏率いる維新の会と、「新党（日本維新の大連合）を結党したい」と述べた。
しかし、維新の会が合流条件にしている「TPP交渉参加」について質問が及ぶと、河村氏は「内容がハッキリしない。見極め必要」、石原氏は「自由貿易はいいが、遺伝子組換え表示撤廃をアメリカは言っている。これは許せない。こういう問題が他にもあるなら激しい議論が必要」と、両代表とも、慎重な姿勢を示した。
■太陽の党 減税日本 共同記者会見ハイライト
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【16時】
16時、この日朝からTPP交渉参加反対の抗議集会や座り込みを行なっていた、JAの組合員や農業関係者らが、首相官邸前に集結し、「TPP交渉参加断固阻止官邸前抗議」を行なった。全国から集まった参加者の列は、国会記者会館下に続く下り坂まで伸び、周辺は「TPP反対」の声で溢れた。
■TPP交渉参加断固阻止 官邸前抗議
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【17時】
一方、有楽町イトシア前では、「国民の生活が第一」の街宣が行なわれた。大手マスコミによる「生活隠し」と言われている、報道の少なさとは裏腹に、多くの聴衆が詰めかけ、登壇者一人ひとりに熱いエールが送られた。中継同時視聴者数も1200人を超え、この日のIWJの配信のなかで、最も注目を浴びたものとなった。
■国民の生活が第一 街頭宣伝ハイライト
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【18時】
16時からJAによるTPP交渉参加抗議行動が行なわれていた官邸前では、それを引き継ぐかたちで、18時から市民有志主催による、「ASEAN首脳会合に於ける野田首相、TPP交渉参加表明阻止
官邸前抗議」が行なわれた。
主催者より、野田首相が衆議院の解散を表明したことから、人権委員会設置法が廃案となったことが報告された。
■ASEAN首脳会合に於ける野田首相、TPP交渉参加表明阻止 官邸前抗議
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また同時刻、政局でもさらに注目すべき動きがあった。社民党の阿部知子議員が緊急記者会見を開き、社民党を離党し、新党結成や「みどりの風」への合流、離党を表明した山田正彦議員との連携など、リベラルな第3極を結集していく考えを表明した。
■阿部知子議員 記者会見 ハイライト
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【19時】
19時からは、衆議院議員会館で、「国民の生活が第一」と「新党きづな」の、両院議員総会が行なわれた。かねてから打診のあった、「きづな」の解党・合流が了承され、「生活」の衆議院議員37名に、「きづな」の議員9名のうち計8名が合流したことで、「生活」は衆議院45人となった。唯一、「きづな」の代表である内山晃議員は、総会に姿を現さず、無所属となったが、その経緯などは、この場で明らかにされることはなかった。
■国民の生活が第一 新党きづな 両院議員総会（頭撮り）
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