2012年11月10日(土)13時、大阪市北区の新梅田研修センターにおいて、「民主党政策進捗報告会」が開催された。政権与党である民主党が、国民から不満や要望を聞く場として、10日から18日にかけて全国11ヶ所で開催することとなっており、大阪会場には、民主党執行部を代表し、政策調査会長を務める細野豪志氏が報告者として出席した。
(IWJテキストスタッフ・久保元)
2012年11月10日(土)13時、大阪市北区の新梅田研修センターにおいて、「民主党政策進捗報告会」が開催された。政権与党である民主党が、国民から不満や要望を聞く場として、10日から18日にかけて全国11ヶ所で開催することとなっており、大阪会場には、民主党執行部を代表し、政策調査会長を務める細野豪志氏が報告者として出席した。
■全編動画
報告会の冒頭、民主党による3年あまりの政権運営を振り返るビデオを上映した。野党時代の2009年に作成したマニフェストと比較し、進捗度合いを自己評価した。マニフェストに盛り込んだ高校授業料無償化や、農業個別所得補償については「実現できた」と評価した。「子ども手当」については、月額26000円を中学校卒業まで支給するとの公約に対し、財源不足や震災等の要因により原則1万円に減額したことから、「不十分である」としたものの、自民党政権時代より内容を改善できたと評価した。また、ガソリン税などの自動車関連の暫定税率撤廃は実現に至らず、鳴り物入りで実施した高速道路通行料無料化についても、財源問題により途中で制度を廃止したため、「未達成」と評価した。各種政策を遂行する上で、最重要となる財源の確保についても、「未達成」と評価した。一方、マニフェストに書いていない政策として、消費税増税を伴う「社会保障と税の一体改革」などを実施したことも報告した。
ビデオ上映の終了後、細野氏が登壇し、「政権を取れば、さまざまな政策を実行できると考えていたが、甘かった。選挙前に掲げたマニフェストで、実現できなかった項目が多々あることについて、率直にお詫びする」と謝罪した。その上で、「本日は皆様から厳しい意見をいただきたい。意見は一旦すべて受け止め、今後の政策に活かしたい」と述べた。
ビデオ上映と細野氏によるお詫びは約20分で終了し、その後は、参加者が発言する意見聴取が行われた。「月額26000円の子ども手当をあてにして習い事に通わせたのに、支給額が減額されたので習い事をやめさせた。生活はギリギリなのに増税されたら、やっていけない。私は今でも1日1食しか食べられない」(守口市の自営業男性)といった日常生活に関わる切実な意見や、「民主党は支出に関する話が多いし、ビジョンもない。目の前の政策論争ばかり」(神戸市男性)、「年金がどんどん削られている。これ以上削られたら生活保護に頼らなければならない」(西宮市男性)といった厳しい意見が寄せられた。これに対し、細野氏は、政策の不備を詫びた上で、所得水準の安定化と税負担の公平性を担保していくために、マイナンバー制の導入を目指していくことなどを明言した。
「大飯原発を再稼動しなくても電気が足りたのだから、すぐに原発の運転を停止するべき」という意見について、細野氏は「電気が足りたのは節電など、適切に対処した結果だ」と明確な回答を避けたほか、瓦礫の広域処理に疑問を呈する意見に対しては、「瓦礫の安全性についてご理解いただけていないのは、私たちの説明に問題があると考えている。2年間という短期間での処理は困難なので、大阪市のような力がある自治体に助けていただきたいと考えている」と回答した。
参加者からの意見聴取には約2時間を割き、38名が意見を述べた。民主党の政策への批判や、厳しさを増す生活環境の改善を要望する意見が多数を占めたが、民主党や野田首相を応援する意見も複数あった。