森友学園・籠池泰典理事長の証人喚問が3月23日、参議院で午前10時から始まった。

　安倍総理から森友学園へ100万円の寄付があったのか。籠池氏は2015年9月5日、塚本幼稚園を訪れた安倍昭恵総理夫人より100万円の寄付金を受け取ったと改めて証言。偽の陳述があれば、今後、籠池氏は偽証罪に問われることになるが、昭恵総理夫人と2人きりになった部屋で受け取ったことを「鮮明に覚えている」と強調した。

　籠池氏は「森友学園」問題が騒動に発展した以降も、総理夫人とは緊密な連絡を取っていたことを明かし、中には籠池氏の妻の元に「口止め」とも取れるメールが昭恵夫人から届いたことも匂わせた。

　自由党・山本太郎議員から「一番、誰に怒りを覚えるか？」と問われた籠池氏は「松井府知事です」と繰り返し、松井知事から「はしごを外された」という認識を示した。籠池氏の口からは、小学校建設や国有地購入に関して相談を持ちかけた政治家として、維新の会・東徹参議院議員、自民党・北川イッセイ前参議院議員、自民党・柳本卓治参議院議員の名が新たにあがった。

※3月23日の配信時の実況ツィートを並べて掲載します。

　籠池泰典氏「多くの皆様の期待を受けて舞い上がっていたこともあった。幼児教育の現場で指導の行き過ぎがあったことを反省し謝りたい。しかし、これまで応援してもらっていた方が手のひらを返すように離れてしまった。

　当初は、『安倍晋三記念小学校』にする予定だった。昭恵夫人には3回にわたって講演してもらった。（2015年）9月5日の講演の際、私と二人きりの状態で『夫からです』と100万円の寄付金をくださった。鮮明に覚えている。

　豊中の土地については不動産屋から紹介された。昭恵夫人の携帯に電話し、留守電にメッセージ。総理夫人付きの谷さんという方からFAXで、『大変むずかしい』とお返事をいただいた。

　大阪府への設置認可申請を取り下げたが、政府要人や大阪府知事は手のひらを返すようになった。これは何かおかしいと思うように。妻に昭恵夫人から口止めともとれるメールが届いた。あんなに私たちの教育に賛同してくれていたのに」

　山本一太委員長からの質問。山本「総理官邸は100万円の寄付金を否定している。経緯を詳細に示してほしい」

籠池氏「平成27年9月5日、昭恵夫人が当園で講演会を行った。その際、『一人でさせて申し訳ありません』と封筒を出された」

籠池氏「『安倍晋三からです』ということでした。昭恵夫人は人払いをしてお付きの方が退出したので、私と昭恵夫人の二人だった。100万円を確認し、金庫に入れた。そのあと月曜日に郵便局へ」

山本「政治的関与があったのか、なかったのか」

籠池氏「国有地取得について、政治的関与があったんだろうと認識している。そのつどそのつどの場所であったんだろうと思っている」

　次に自民党・西田昌司議員の尋問である。

西田議員「昭恵夫人に事情を聞いた。お付きの方は席を外したことはないと言っている」

籠池氏「それは事実と違っている。二人だったことは間違いない」

西田議員「都合のいいことを言っている。証明はできない」

籠池氏「私は安倍総理の大ファンだった。寄付金をもらった段階で、名前を出さないほうがいいかと思った」

西田議員「それもおかしい。あなたは『安倍晋三記念小学校』の名前で寄付を募っているではないか」

籠池氏「それは総理ではない時」

西田議員「『安倍晋三記念小学校』という名前を総理は断っているはず。何年も募っていたこと証拠を我々はつかんでいる。今年の2月23日の音声と文字起こしがある」

籠池氏「寄付金を募ったのは衆議院議員だった時のほんの一瞬」（速記止まる）

籠池氏「安倍総理に直接お願いしたことはない。昭恵夫人を通して相談したことはある」

西田議員「何を頼んだ？」

籠池氏「瑞穂の國記念小学院についての副読本やカリキュラムなど、教育的なこと」

西田議員「なぜ野党議員だけを呼んで話をしたのか。不透明感を感じる」

籠池氏「お越しになったことについて、家に入っただけ。私が招いたわけではない。何の問題が？」

西田議員「その時に野党議員に昭恵夫人からのメールを見せたか」

籠池氏「記憶にない」

西田議員「総理も言っているわけだから、メール公開の許可を求めたい」

籠池氏「家内のメールだが、私はいいと思っている」

西田議員「二人で会ったのだから証拠にならない。あなたは寄付金の集まりが悪かったから『安倍晋三』の名前を利用したのではないか。さらには皇室までも利用した」

籠池氏「ご皇室の方が来たことはない。私自身がそう指示したこともない」

西田議員「なぜ工事費が未払いになっているのか」

籠池氏「認可適当が大きな担保になっていた。それがいつのまにか大阪府の中で認可をさせないという方向に進んでいったようだ。11億円は寄付金と銀行からの借り入れで払うつもりだった」

西田議員「お金をどう払うかが私学審議会でも焦点だった。議事録を読むと、私学課は『寄付金だけでやる』と」

籠池氏「私学審議会の議事録を読んでいないので分からない」

西田議員「塚本幼稚園の負債は？」

籠池氏「3億円だったと思う」

西田議員「今回の7億5000万をどう工面するつもりだったのか」

籠池氏「寄付金で。それから資産の価値を再評価することで高まっていくと思う。きちっとできるという認識」

西田議員「この問題の本質は、はじめからあなたにお金がなかったということ。私は税理士もやっているので事業計画に詳しい。あなたは、志はよかったかもしれないが、お金の手当がないままつき進んでいった。はじめの計画がかなり無茶苦茶だった」

　次に民進党・福山哲郎議員。

福山「具体的な名前が次々と出ている。虚偽の陳述があれば偽証罪に問われるが」

籠池氏「はい」

福山議員「平成27年10月に総理夫人付きの谷査恵子さんから電話があったということだが」

籠池氏「おっしゃる通り」

福山議員「お願いしたのはこの1回だけか」

籠池氏「国有地についてはこの1回だと記憶」

福山議員「何か証拠はあるか」

籠池氏「いただいたFAXは残っている」

福山議員「内容を紹介してほしい。今、口頭で」（速記止まる）

※籠池氏が読み上げたFAX

籠池氏「買受特約10年について。介護施設はついていたが学校法人はどうなんですか、と聞いた。その答えは『学校法人は無理だ』というものだった」

福山議員「この時期、昭恵夫人は名誉校長？」

籠池氏「そうでございます」

福山議員「娘さんによると、寄付金が『玉座の間』にあったということだが」

籠池氏「園長室が正解」

福山議員「10万円を講演料として渡した？」

籠池氏「10万円は先に用意していた。封筒に『感謝』と書いてお持ち帰りいただいた」

福山議員「なぜ、今になってこのことを明らかにしたのか」

籠池氏「私はもともと安倍総理に敬愛の念を抱いていた。2月23日、安倍総理が国会で『しつこい人だ』と。事件勃発後に手のひらを返して学校をつぶそうとしている」

福山議員「昭恵夫人から口止めとも取れるメールが届いたとのことだが、頻繁なもの？」

籠池氏「2月は20数回、3月も15、6回だと思う」

福山議員「大変驚いている」

籠池氏「女性同士ということで、家内との間で頻繁にやりとりをしている」

福山議員「先ほど名前のあった府議会議員の畠さんとは？」

籠池氏「先代と昵懇だった。熱心に動いてもらった。大阪府の幹部役人に働きかけをしてもらったり、松井一郎府知事に働きかけをしてもらった」

福山「どなたが近畿財務局や私学審議会とやられていたのか」

籠池氏「対応調整は私がやっていた。ただし一民間人なので、プレッシャーをかけたということはない。鴻池先生に『ご紹介をたまわりたい』と言った。コンニャクの中身は商品券」

福山議員「稲田朋美大臣との関係は」

籠池氏「顧問契約を結んでいた。土地のことについても稲田事務所に相談に行っている。稲田朋美大臣と直接相談したことはない」

籠池氏「大阪府の働きかけがあったと想像せざるをえない。松井一郎知事がテレビに出ていろいろしゃべったので審議がストップしたのではないか」

　続いて公明党・竹谷とし子議員。

竹谷議員「寄付金について。お礼を出すのが一般的だと思う。安倍総理と昭恵夫人にお礼はしたか」

籠池氏「黙っていてということなので、お礼はしていない。匿名でということだったので」

竹谷議員「寄付金は封筒に入っていたか。封筒は残っているか」

籠池氏「封筒は残っていない」

竹谷議員「お礼状もなくて封筒も残っていない。私には寄付金はなかったと思えてならない。安倍総理は塚本幼稚園を訪問した？」

籠池氏「訪問はしていない」

竹谷議員「『安倍晋三記念小学校』という寄付を募る際に安倍総理の許可は得たか？」

籠池氏「得ていない」

竹谷議員「それは詐欺ではないか？」

籠池氏「詐欺ではない。この名前を冠することで寄附をした人はいなかったと思う。記憶が確かではない」

竹谷議員「愛知県の海陽学園への推薦枠はあるのか」

籠池氏「私学審議会への書類に添付したことは確か。JR東海の葛西敬之会長と会った際のリップサービスを真に受けてしまった。学校法人からの許可は得ていない」

　続いて日本共産党・小池晃議員。

小池議員「財務省に行かれた時に埋設物の撤去費用について話したか」

籠池氏「そういうものを定期借地するのかと談判した。何らかの動きはあるんだろうと思った」

小池議員「昭恵夫人は名誉校長をすぐに受けたか？」

籠池氏「1秒ほど止まったがすぐに受けてもらった」

小池議員「昭恵夫人と豊中の敷地に行ったか」

籠池氏「一緒に行って、ここに小学校ができるんだと。『いい田んぼができそうですね』と」

小池議員「安倍総理は、あなたと電話で話したのは1回だけだと」

籠池氏「1回だけ」

小池議員「大阪府の設置認可基準の緩和で政治家に頼んだことは」

籠池氏「東徹議員（維新）に頼んだ」

　続いて日本維新の会・浅田均議員。

浅田議員「大阪府の誰に何を騙された？」

籠池氏「大阪府のトップによるサジェスチョンがないと、設置認可はひっくり返らないと思っている」

浅田議員「松井一郎知事に会ったことは？」

籠池氏「会ったことはない」

浅田「働きかけをしたのか。依頼・陳情なのか」

籠池氏「規制緩和についても設置認可についてもお願いをした」

浅田議員「畠成章さんのお名前をあげたのは」

籠池氏「2代にわたってお世話になっているので、私の思いをくんで動いてくださったと思う」

浅田「畠さんは亡くなっているが」

籠池氏「亡くなるまで動いてもらったということ」

　続いて自由党・山本太郎議員。

山本議員「昭恵夫人から『一人でさせてすみません』と言われたと。どう思ったか」

籠池氏「非常に嬉しく、これで物事は進んでいくなと思った」

山本議員「このままいけばご自身が背負う負債はどのくらいに？」

籠池氏「17、8億だと思う。本当にとんでもないことになったと思う」

山本「どの政治家に怒りを覚えるか？」

籠池氏「大阪府知事」

山本「他は？」

籠池氏「大阪府知事」

　続いて無所属の松沢成文議員。

松沢議員「府会議員に松井一郎知事への口利きを依頼したか」

籠池氏「それはありません」（速記止まる）

松沢「昭恵夫人に松井一郎知事のことを話したか」

籠池氏「話していない」

松沢「財務省の人間に麻生太郎財務相に伝えてほしいと言ったか」

籠池氏「それは伝えた。しかし伝わっていないのではないかと思っている」

　以上で籠池氏が退席し、参議院予算委員会の証人喚問が終了。このあと衆議院予算委員会での証人喚問も引き続き実況します。IWJへのご支援をよろしくお願いいたします。