【IWJよりご報告!】熊本・大分大地震、IWJ特派チーム取材&支援活動の総括!―出演:岩上安身、IWJ 安道幹記者・城石裕幸記者・高橋敬明記者~後編実況ツイートまとめ 2016.9.11

記事公開日:2016.9.11 テキスト
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※9/11日付けの実況ツイートをまとめています。

 これより、昨日に続き、9月1日(土)「特別番組 熊本・大分大地震 取材&支援活動の総括(後編)」の模様をツイートします。出演は岩上安身、高橋敬明記者、安道幹記者、城石裕幸記者の4名。

岩上「地震と原発再稼動の問題に入ります。被災の酷かった熊本・大分の周辺を見渡すと、すぐ側に川内、伊方、玄海原発があります。たまたまこれらの原発をよけて地震が起きたようにもみえますね」

【VTR】地震学者・立命館大・高橋学教授「熊本県益城町は、日本列島の陸上の断層で一番大きな断層・中央構造線の一部に過ぎない。ミクロの視点も大事ですが、『熊本だけの悲劇』というレベルで扱わないことも大事。マクロにすると環太平洋の話です」

IWJ特派チームは鹿児島県・川内原発の5km圏内、片道一車線の細い避難経路を辿った。IWJのインタビューに地元住民は、「熊本級の地震がきたら道路は寸断される。そうなったらアウトでしょ」と語った。

IWJ高橋記者が九州電力の社員に質問。「国民の命を守るのか、国策による原発再稼働、どちらを進めるのか」。九州電力「両方です」。高橋「二択のうちどちらですか」。九州電力「・・・」

IWJ特派チームは佐賀県の玄海原発周辺も取材。IWJ「玄海町の町長はずっと原発推進派?」。地元の住職・中秋さん「そうです。一度も反対派が町長になったことはない。そりゃあ難しいですよ。選挙は(推進派による)買収選挙ですから」

IWJ「それは証拠はあるんですか?」。中秋さん「あります。私が町長室で聞いたんです。町長が(買収金額の)値段まで言いよった。そういう意味でも民主主義の闘いです。今は民主主義が壊されているんですよ」

IWJ特派チームは大分県からフェリーで愛媛県へ。九州側、四国側どちらからでも天候に左右される海の避難ルートの“もろさ”をレポート。取材した日も強風と大雨でフェリーは一時運休となっていた。(以上【VTR】)

岩上「九州から四国に行って、実際に原発がどういうところに建っているかを取材してもらいました。熊本地震をミクロで見るのも大事だが、地震は中央構造線に沿って起きているので、視野を広げて見なければいけません」

城石「避難経路を検証しましたが、川内、玄海、伊方、3ヶ所とも共通していることがある。原発は人里離れた過疎地に建っており、とにかく道が狭く、状態が悪いということ。また、崖の側にあり、崖崩れがきたらアウトという印象です。避難しづらいでしょう」

高橋「どの町にも必ず原発の安全性を訴えるテーマパークのようなものがありましたが、福島であの事故が起きて、九州でも大地震が起きたという中で、玄海原発の目の前でBBQしている家族もいた。ちょっと信じがたいが、現地ではやはりそういう感覚なのだと思う」

岩上「そこで暮らしている人にとっては日常ですから、家でご飯を食べるのもBBQするのも同じ、という感覚でしょう。地元の人がおかしいわけではない。生活すると、そうならざるを得ない。我々はそこまでしちゃった、ということ」

 「3.11が教えてくれたのは、天災によって原発事故が起こりうるということ。政治も経済もおかしくなり、同時に火山や地震が活動期に入っている。弱り目に祟り目というか、3.11がもしかしたらプロローグかもしれない。熊本地震は警鐘ではないか」

城石「地元の人にも話を聞きました。揺れは大したことないが、ものすごい不安はある、と口にされていました。川内原発から玄海原発までも近い。九州縦断も、車でほぼ1日でできる距離。そういう距離感というものは実感しました」

高橋「現地で、岩上さんに『九州は島なんだよ』って言われました。広いし、なかなか島という感覚はなかったが、島という意識で原発事故が起きると考えてみると、どこも狭いです。伊方も川内も玄海原発もすべて杜撰な避難ルートのくせに再稼働したがる。この矛盾」

 「福島第一原発事故の真相究明もできていない。学者も『もしかしたら隠れた断層があるかもしれない』と言っているなかで、『なんで原発?変えないと』と思いますよね」

岩上「僕は、原発問題は安全保障問題と関係あると言ってきました。やはりスタート点からエネルギー問題だけではない。最終的には核兵器を保有したい、そのポテンシャルは持ち続け、米国に寄り添い、信頼してもらいたい。だから対米追従を深める」

 「沖縄の人の人権よりも基地が優先されているように、原発には、産出されるプルトニウムが核の材料となり、ロケットの技術が軍事転用できるということがある。原子力基本法も書き換えられた。中国相手に核を持つべきだという主張もあるが、その先を論じない」

 「核保有して近隣諸国と向き合う、相互確証破壊戦略まで持っていきたい、と思っているんだろう。原発に不向きなこの国で原発を建て、事故を起こせば、国家の安全保障のつもりが、国家を滅ぼすことになるかもしれない。究極に馬鹿げていると言わざるをえない」

 「伊方へフェリーで渡るときはいかがでしたか?」。

城石「偶然なのかわからないが、最初に移動を予定していた日は『今日は雨かな?』くらいに思っていましたが、港に着いたら運休でした。四国側の波が高かったようで、『ままあることだ』と言われました」

 「フェリーに乗っている時間は1時間程度。目視で確認できるほど大分と四国は目と鼻の先です」。

岩上「フェリーでの避難は選択肢になりえない?」。

城石「なりえないと思います」

 「3.11のときも阪神淡路も、港が粉々になりましたよね。まずそこを考慮していない、と感じます。四国側の港も九州側の港も、すごく小さなフェリー乗り場でした。避難を考慮して作られたものではありません」

高橋「伊方原発再稼働後、避難訓練がありましたが、台風が近づいていることからフェリーには乗らなかったそうです」。

岩上「訓練さえできなかったと」。

高橋「そういうことが現実に起こるわけです。昼間とも限らない」。

岩上「季節も、うららかな季節とは限らない」

岩上「さらに南海トラフも考えなければいけない。過去、南海トラフ大地震が起こると、東海から紀伊半島、四国、九州の場合、間がなく津波が襲うと言われている。これは大変なことになります。規模はわからないが、南海トラフは確実に起こります」

高橋「原発はすべて海に面していますから。川内原発では、地元の人が、『記録には残っていないが、言い伝えで、大津波が襲ったという話を聞いたことがある』と言っていた。そういうリスクがある中で再稼働するなら、せめて住んでいる人の命は守ろうよ、と思う」

岩上「鹿児島は再稼働に慎重な三反園氏が知事に当選し、原発の一時停止を申し入れるも九電は『NO』」と跳ねのけています」。

城石「地元住民の話が印象深かった。伊方原発は本当に細長い半島にあるが、もともと崩れて崩れて崖になって残ったのが佐田岬半島だそうです」

 「もともと今の道は原発への道ということで整備されたが、それまでは海岸沿いの細い道しかなく、雨や台風がくるとすぐに土砂崩れになっていたそうです。原発自体は岩盤を深く掘って地盤がしっかりしているというが、原発に崩れた崖が降ってくるかもしれません」

 「伊方原発はそんな立地なので敷地も狭い。福島のような事故が起きれば汚染水のタンクを建てる場所もないんです。リアス式海岸で、崖の斜面に家が建っている場所もある。だからこそ原発の交付金で道路整備されたりすることがありがたい、という声がありました」

 「そうやって原発は地域を懐柔し、『なければ困る』と印象つけている。確かにお金がないと地元の人は大変だろうなと思いました。逆に、違う方法でお金を生み出す…地域を整備したり、産業を生み出したりすることまで含めて考えないと、脱原発も難しいでしょう」

岩上「原発があることで若い人が定着するかと思いきや、しなかった。過疎化は全国各地で起こっています。ますます何か工事でもしてもらわないと、宿や飲食店が潤わない。しかし一度事が起これば人が住めなくなるだけではない。地形的なことも考えないといけない」

 「風向き次第だが、九州、四国、中国、関西まで影響を受けるかもしれない。瀬戸内海は浅いので、海底に放射性物質が付着し、流れ去らずにずっと残る可能性を指摘する学者もいます。死の海になってしまう。どうするの、その後。そういう問題もある」

高橋「今回の大地震でみえた国家と民間の関係。民間主導で頑張っている人たちがいるのに『国家のために』という人たちが蔓延っている。確かに60年代は原発に頼る時代だったかもしれないが、今、技術が発達し、地震が頻発しても、核兵器のためなのか、まだ停めない」

岩上「米国が『核先制使用をやめようという』と検討しているときに、日本は反対しています。こんな露骨なことを言っているんです」。

高橋「抑止力という言葉を履き違えている。日中戦争も、どっちが先に発泡したとか言って始まった。そんな愚かな歴史がある」

 「リアルに考えて、核の先制使用が必要か、と考えてみればわかる。核を先制使用すれば、報復を受けます。日本は人が住める場所がなくなるけどいいのか、と考えなければいけない。となれば、『核の先制使用は絶対にしないでね』という交渉をしなければならないはず」

 「シン・ゴジラがヒットしていますが、現実の原発のアホさについて議論していただければと思います。核燃サイクルは無理。米国には都合いいかもしれないが、日本人には最終的に益のない話です」

 「ということで、話は広がりましたが、IWJの取材活動にご寄付して支援していただいていること、感謝申し上げます」。高橋「本当に皆さまありとうございます。東京で支えてくれていたスタッフから、『今日カンパを持ってきてくれた人がいた』と聞くと嬉しかったです」

高橋「共感してくださった皆さんからカンパをいただいた。これまでに感じたことがない充実感を感じました。ありがとうございました」。

城石「そこに暮らしている人にお話を聞くのは難しかった。でも、直接会って話を聞くことで初めてわかることがあります」

 「現場で得られたことは大きい。東京では学者や政治家の皆さんにお話しを聞くことが多かったが、一般の皆さんにお話しを聞くことは少なかったんです。新しい視点を得られました」

岩上「熊本取材のアーカイブをご覧になりたい方は、ぜひ会員登録のほど、よろしくお願いします。会員登録で、IWJの活動をお支えいただけます。…私、声がガラガラです。約1ヶ月1週間インタビューを控えただけで、すごく遠のいていた感じがあります」

 「寄る年波もありますので、若い人に頑張ってほしい。次の世代を育成するためにも、ご支援よろしくお願いします」。
 
 (了)

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